日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼F-16A


▼F-16B



▼マーベリック空対地ミサイルを搭載したF-16


F-16A性能緒元
重量8,580kg
全長15.03m
全幅10.00m
全高5.01m
エンジンPW F100-PW-220 A/B106.0kN ×1
最大速度M1.95
戦闘行動半径926km
上昇限度15,240m
武装M61A1 20mm機関砲×1
 AIM-120C AMRAAMアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル
 AIM-7スパロー セミアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル
 AIM-9サイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイル
 AGM-84A/G/L「ハープーン」空対艦ミサイル
 AGM-65BマーベリックTV誘導空対地ミサイル
 AGM-65Gマーベリック赤外線画像誘導空対地ミサイル
 各種爆弾等
乗員1名

F-16はアメリカ空軍の軽量戦闘機(LWF)計画により1975年1月に選定された。これは当時の主力戦闘機であるF-15があまりにも高価であるために、もっと安価な小型格闘戦用戦闘機を多数装備してハイ・ロー・ミックスとして運用しようという考えに基くものである。F-16に採用された当時最新の技術は、CCV/RSS(操縦性優先形態/静安定緩和)を採りいれた機体デザインとフライ・バイ・ワイヤを組み合わせ、鋭い操舵反応と加速性を得た事、ブレンデッド・ウィング・ボディにより構造重量の低減、機内容積増大、抗力減少を達成した事、ストレーキ付きクリップドデルタ翼に前縁フラップ/フラッペロン自動制御式可変キャンバー機構を組み合わせて高い機動性を確保し、高迎え角や横滑りに強い胴体下面のインテークを装備した事、一体型の広い視野キャノピーと耐G性の高い傾斜座席、サイドスティク・コントロールを採用した事、などが挙げられる。

台湾空軍は1970年代末からF-16の売却をアメリカに要請していたが、中国への刺激を恐れて当初アメリカ政府は許可しなかった。代わりにアメリカはF-16のエンジンをダウングレードしたF-16/79や、F-5Eの発展型のF-20タイガーシャークを台湾に提案したが、台湾は能力が著しく劣るとしてこれを断固拒否し独自の戦闘機開発(IDF経国)を進める事になった。しかし1990年代になると中台情勢が変化し、特に中国の軍事力増強があからさまになると、まずフランスが台湾にダッソー・ミラージュ2000-5の売却を承認、これに呼応してアメリカもピース・フェニックス計画としてF-16の供給を認めた。台湾への引渡は1996年から開始され、F-16A/B合計150機(うち複座のB型30機)が渡された。

台湾空軍は当時最新のF-16C/Dを要望していたが、結局売却されたのは旧型のF-16A/Bになった。もっともこのF-16は改良されたA/B型で、F-16A/Bブロック20と呼ばれている。F-16A/Bブロック20はNATO諸国のF-16に施された能力向上(MLU)仕様とほぼ同等の性能で、最大10目標を同時追跡できるAN/APG-66(V)3火器管制レーダー、AN/APX-113(V)新型IFF(AIFF)、GPSの装備などが行われており、中射程AAMの運用も可能。ALR-56M向上型レーダー警戒装置やAN/ALE-47チャフ・フレア・ディスペンサーなどの防御装置も装備している。コックピットはブロック50仕様と同じ暗視ゴーグルに対応したものになり、1998年にアメリカから28セット購入(2000年に39セット追加購入)した輸出型LANTIRNポッドの使用と合わせて全天候下での対地攻撃能力を有している。1998年8月には空中発射型AGM-84ハープーンを58発、2000年6月にはAN/ALQ-184ECMポッドを48セット、2000年9月にはAIM-120C AMRAAM空対空ミサイルを120発(要求数は292発)と発射ランチャー、2001年9月にはAGM-65G空対地ミサイルを40発と発射ランチャーをアメリカから次々と購入し、2002年7月にはミッションコンピュータの能力向上を行っている。AIM-120の発射は2000年10月にグアムでテストされ、ドローンを撃墜し成功裏に終えている。また台湾空軍は空中給油機を保有していないが、F-16A/Bは空中給油装置が残されている。

台湾空軍のF-16は第401戦闘航空団の第17、第26、第27戦闘飛行隊と第12教育飛行隊、及び第455戦闘航空団の第21、第22、第23戦闘飛行隊の計7個飛行隊に配備されている。2005年10月に台湾空軍のF-16は、新竹沖の韓国貨物船(毒性化学物質を積載)を撃沈する任務に就いたが、ミサイル数発を発射したにもかかわらず撃沈には至らなかったという。

【2009年6月19日追記】
軍事情報サイト「Defense News」は6月15日付の報道で、台湾空軍は既存のF-16A/Bのアップグレードを検討しており、米台の間で協議が行われている事を明らかにした[5]。アメリカはF-16A/Bのアップグレードには応じる可能性が高いが、これと並行して台湾が要求しているF-16C/D×66機の売却については、中国への配慮もあって容認しないであろうと報じた。翌16日、台湾の国防部空軍司令部は空軍の戦力を維持するためF-16A/Bのアップグレード計画に着手している事を認めると同時に、アメリカに対しては引き続きF-16C/Dの供与を求め続けていく方針に変更は無いとも付け加えた[4]。

台湾が計画しているF-16A/Bのアップグレードの主な内容は以下の通り[5][6][7]。
APG-66(V)3レーダーをAPG-68(V)9に換装
ミッションコンピュータをMMC-3051からMMC-7000に換装
計器盤に新たにカラー多機能ディスプレイ(CMD:Color Multifunction Display)を搭載
統合型ヘルメット・マウンテッド・サイトJHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System)の導入とAIM-9Xの運用能力付与
新型電子対抗システム(ECM)の採用
エンジンの換装も検討されているが、予算の制限から実現は困難と見られている[4]。

台湾国防部はF-16A/Bのアップグレードは、2011年頃に開始して2017年までには改修作業を完了したいと希望している[6]。

【2011年9月23日追記】
2011年9月21日、米国防総省は米議会に対して、台湾への総額58.5億ドル(約4,480億円)に上る兵器売却の方針を通告した[8]。焦点となっていたF-16C/D 66機の輸出については見送られたが、台湾が要請していた既存のF-16A/B×145機分のアップグレードに関しては承認され、改良部品や兵装、訓練などを合計して53億ドル分が盛り込まれた[8]。

アメリカが発表した台湾向けF-16A/Bアップグレードパッケージの内容は以下の通り[9][10]。

【電子装備】
 AESAレーダー176
 GPS/INS航法装置176
 ALQ-213電子戦管理システム176
 ALQ-184電子戦ポッドのアップグレード、もしくはAN/ALQ-211(V)9かAN/ALQ-131の新規購入82
 戦術データリンク端末(Link16)86
 シャープシューター光学/赤外線目標照準ポッドのアップグレード28
 AN/AAQ-33目標指示ポッドもしくはAN/AAQ-28ライトニング目標指示ポッド26
 統合型ヘルメット装着キューイング・システム(Joint Helmet Mounted Cueing Systems:JHMCS)128
 夜間暗視装置128
 AIM-9X赤外線誘導空対空ミサイル140
 AIM-9Xテレメトリーキット5
 GBU-31V1 (JDAM:Joint Direct Attack Munitions)誘導爆弾用キット16
 GBU-38 JDAM(GPS/レーザー誘導併用型)誘導爆弾用キット80
 GBU-10向上型ペイブウェイIIもしくはGBU-56 レーザーJDAM誘導爆弾18
 GBU-12向上型ペイブウェイIIもしくはGBU-54 レーザーJDAM誘導爆弾80
 GBU-24向上型ペイブウェイIII16
 CBU-105センサー誘導型クラスター爆弾64
 LAU-129ランチャーとミサイルインターフェイス153
 APX-113 IFFのアップグレード
 HAVE GLASS IIの適応(RCS値減少対策)

このほか、兵装の更新、F100-PW-220エンジンをF100-PW-229に換装するための研究、モジュール式作戦コンピュータ、通信装置、統合作戦計画システム、空中給油支援装置などのアップグレード、コクピットの多機能ディスプレイ化、予備・修理用部品の提供、要員の訓練と訓練用施設の提供などが含まれている[9]。

台湾側ではアメリカのF-16A/Bアップグレードパッケージ提案に対して歓迎の意を表明しており、米議会の承認が得られれば、F-16A/Bの能力向上が実現することになる[8][10]。国防部の関係者によると、台湾の予算ではF-16A/Bのアップグレード作業が完了するには12年を要するとの見通しを示している[11]。

【2012年5月20日追記】
2012年5月5日、台湾空軍はF-16A/Bの近代化改修に関するアメリカからの回答を受領した[12]。空軍司令部は、アメリカから提示されたアップグレード案パッケージの内容とその価格を検討して、全ての見直しが終了した後に正式な契約を行うとしている。2011年にアメリカが提示したアップグレード案パッケージには、台湾側が導入を求めていない項目も入っていたが、此等はアメリカとの交渉後に削除されたとの事。その結果、最終的にアメリカが提示したアップグレード経費は、台湾行政院が支出を承認した金額とほぼ同等の37億ドルになったとされる。

【2013年6月14日追記】
2013年5月15日、嘉義455連隊所属のF-16A(機体ナンバー6622号機)が墜落[13][14]。パイロットは脱出に成功。この事故により、台湾空軍が2013年5月時点で保有するF-16A/Bの機数は144機となった[14]。

【2013年8月3日追記】
ロッキード・マーチン社は台湾空軍のF-16の近代化改修事業に関して、同機に搭載するAESAレーダーにノースロップ・グラマン社のSABR(Scalable Agile Beam Radar)を選定した[15]。

【参考資料】
[1]戦闘機年鑑2005-2006
[2]世界航空機年鑑2005
[3]TaiwanAirPower.org
[4]Radio Taiwan Inernational「国防部、F-16戦闘機のアップグレードで米と調整 」(2009年6月17日)
[5]Defense News「Taiwan Plans F-16 Upgrades - New Radar, Jammer, Missiles Seen」(Wendell Minnick/009年6月15日)
[6]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「美提升F-16性能 取代售台新機 」(2009年6月17日)
[7]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「我國空軍現役F-16A/B戰機將升級!」(2009年6月17日)
[8]村山祐介・村上太輝夫・古谷浩一「米、台湾へ武器売却決定-新型機は見送り 中国に配慮」(朝日新聞2011年9月23日 11面)
[9]Defense Security Cooperation Agency「Taipei Economic and Cultural Representative Office in the United States - Retrofit of F-16A/B Aircraft」(Transmittal No.11-39)
[10]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「國防部感謝美提升我國F-16A-B型戰機性能」(2011年9月22日)
[11]Defense News「U.S. Releases $5.8B Arms Package for Taiwan」(2011年9月21日)
[12]FOCUS TAIWAN「Taiwan receives U.S. letter of answer for F-16A/B upgrade」(2012年5月5日)
[13]聯合新聞網「墜機獲救 F-16飛行員出院了」(梁雅雯/2013年5月17日)
[14]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「F-16墜海 現存144架」(2013年5月15日
[15]ノースロップ・グラマン社公式サイト「Lockheed Martin Selects Northrop Grumman's Scalable Agile Beam Radar (SABR) for the F-16 AESA Radar Upgrade Program」

【関連事項】
F-16C/D戦闘機「ファイティングファルコン」(台湾)
台湾空軍

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