日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼F-CK-1A



▼F-CK-1B



▼2006年10月9日にテスト飛行した経国アップグレードタイプ(手前。この機体は新造機だという)


▼2007年3月16日に初飛行を行った経国アップグレードタイプの複座型(コンフォーマルタンク装着)



F-CK-1A性能緒元
重量5,500kg
全長14.48m
全幅8.53m
全高4.65m
エンジンITEC TFE1042-70 A/B4,200kg ×2
最大速度M1.7
航続距離1,500km
上昇限度16,000m
武装M61A1 20mmバルカン砲×1
 「天剣2型」アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(TC-2)
 「天剣1型」赤外線誘導空対空ミサイル(TC-1)
 AIM-9サイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイル
 AGM-65空対地ミサイル「マーベリック」
 「天剣2A型」対レーダーミサイル(TC-2A)
 「雄風2型」空対艦ミサイル(MGB-2C)
乗員1名


経国(チンクオ)は台湾の国営航空企業AIDC(Aerospace Industrial Development Corpration。漢翔航空工業股份有限公司)がジェネラルダイナミックス(GD、現ロッキード・マーチン)他数社の技術協力のもとに開発した戦闘機である。経国の名称は李登輝総統(大統領)が命名したもので、これは1988年に死去した蒋経国総統(大統領)を記念したものである。英語名称はIDF(Indigenous Defensive Fighter/国産国防戦闘機)、F-CK-1がある。F-CK-1のCKとは「経国Ching kuo」の頭文字を表している。

1970年代末、台湾はF-5E/Fに続いてF-16の購入をアメリカに要請した。しかし当時のアメリカ政府は、能力の高いF-16を台湾に売却して中国を刺激する事を恐れてこの要請を拒否し、代わりにF-16のエンジンをJ79にダウングレードしたF-16/79とF-20タイガーシャークを台湾に提案した。しかし台湾はこれらの機体は空軍の要求を満たさないとして、独自に戦闘機を開発する道を選んだ。戦闘機の独自開発を始めた台湾に対し、アメリカ政府は国内の民間企業がこの開発計画を支援する事は承認し、その結果ジェネラル・ダイナミクス社が機体フレーム、ギャレット社がエンジン、ウエスチングハウス社がレーダーをそれぞれ開発協力することとなった。開発は台湾のAIDCが中心となって作業を進められた。初飛行は1989年5月28日で開発は順調に進んでいたが、1989年10月に試作初号機が大破、1991年7月には試作2号機が亜音速飛行中に振動を起こして墜落した(パイロットは死亡)。この事故を受けて設計変更がされたために空軍への引渡は計画より遅れ、1994年1月からになった。量産機の生産は月2機のペースで進められたが、1995年10月に燃料管理システムの改修が必要な事が判明したため一時生産中止となり、1996年5月に再開されている。その後F-16導入が解禁されミラージュ2000-5の購入も決まったために、当初計画された生産数256機は130機(うち複座型28機)に削減された。なおコックピットのキャノピーは前期生産型では中央部分が横に開くタイプだったが、その後の生産型ではキャノピー全体が開くタイプに変更されている。単座型はF-CK-1A、複座型はF-CK-1Bと呼ばれる。複座型は後席が設けられた分、燃料搭載量が減らされているが、電子兵装等には変更はなく、兵装の搭載能力やミッション能力も単座型と同等。

経国の全体の設計はGDが協力したこともあってF-16に似通っており、ブレンデッド・ウィング・ボディ、大型のストレーキ、クリップド・デルタ形主翼などを採用している。フライトコントロールはリア・アストロニク社(Baeシステム)との技術提携によるデジタル・フライ・バイ・ワイヤで、F-16と同様にサイドスティック方式を採用しており、フルスパン前縁フラップや大型のフラッペロン及び全遊動式の水平尾翼によって運動性を高めるという点においてもF-16と共通している。エンジンはギャレットとAIDCが設立したITECが、ビジネス機用のTFE731をもとに開発したTFE1042-70(軍用名F-125)A/B付きターボファンで、デジタル完全制御されているため整備性は極めて高い。インテークは楕円形で固定面積式だが、F/A-18と同様にストレーキの下に開口させて高AOA時の吸入効率を高めている。このエンジンは現代の戦闘機用としては少々力不足で、アメリカの圧力により大推力エンジンを採用できなかった本機の弱点といえるが、小型軽量化によりそれを補った技術力は評価される。コクピットディスプレーはベンディックス/キングが担当し、HUDと左右両側に多機能CRTを装備し、射出座席はマーチンベイカー製Mk.12を使用している。

FCSレーダーはF-20用のロッキード・マーチンAN/APG-67(V)をもとに開発されたマルチモード・パルス・ドップラー形式の金龍53型(GD-53/チンロン53)。ルックダウン・シュートダウン能力を備え、対空と対水上の2モードを有しており、複数目標(最大10目標?)の同時追跡能力と、その中の1目標に対する攻撃能力を持つ。捜索距離は150kmといわれている。搭載兵装は赤外線誘導の短射程空対空ミサイル天剣1型(TC-1)と、アクティブ・レーダー誘導の中射程空対空ミサイル天剣2型(TC-2)を携行でき、視程外距離(BVR)戦闘も可能になっている。天剣1型はAIM-9Cサイドワインダーによく似た台湾国産のAAMで、主翼両端に専用のステーションがあるほか、主翼下片側3箇所のハードポイントの一番下側に装備できる。天剣2型は台湾国産の中射程空対空ミサイルで、中間誘導は慣性誘導式で終末誘導はアクティブ・レーダー誘導を採用している。形状はAIM-7Fスパローに類似している。搭載数は2発で、胴体中心線下に並べて携行する。空対地兵装としては通常型爆弾、クラスター爆弾、ロケット弾ポッドなどの搭載が可能。また雄風II(HF-2)空対艦ミサイルを最大3発搭載する事ができる。雄風II型は小型ターボファン・エンジンを推進力とする台湾独自開発のシースキミング型対艦ミサイルで、中間飛翔に慣性誘導、終末誘導にアクティブ・レーダーと画像赤外線を使用している。最大射程は80km。このほか左舷LEX部にM61A1 20mmバルカン砲1門を装備している。

1998年にはAIDCにより小規模なアップデートが既存の経国に行われた。これはGEC-マルコニー社(現BAEシステムズ)の統合電子戦システムを装備するためのもので、キャノピー前の4つの改良型IFF用アンテナが外見上の相違点となっている。これに続いて、IDF-Cと呼ばれるF-CK-1A/Bのより本格的なアップグレード型がAIDCから台湾空軍に提案され、2000年に開発予算が付けられている。このアップグレード計画は「翔昇専案」と命名され、7年間の開発期間と70億台湾元の予算が費やされた。改修の内容はアビオニクス、FCSの改修による対地攻撃能力の強化、降着装置の改良、コンフォーマルタンクによる航続距離延長など。改修によって、最大離陸重量は12,530kgから18,000kgへ、コンフォーマルタンクを含めた機内燃料搭載量は2,111kgから4,700kgへ、主翼のハードポイントは6箇所から8箇所へとそれぞれ増加している。ハードポイントの増加に伴い天剣2型の搭載数も2発から4発に増える。搭載されているBAe社製のミッション・コンピュータは16bitから32bitモデルに換装される。現在最初の2機のアップグレードが進められており、最初の単座型(この機体は新規製造とされている)が2006年10月9日に初飛行し、複座型「翔昇」は2007年3月16日に試験飛行に成功した。2007年3月27日には、陳水扁総統がこのアップグレードタイプの名称を「雄鷹」とすることを宣言した。AIDCによると、アップグレード型の英語名称はF-CK-1C/D(単座型/複座型)であり、中国語名称は「経国 雄鷹」になるとのこと。

空軍は現在のところ、「雄鷹」アップグレードを実施することを決定していない。これには、アップグレードの性能に満足していない事、予算の制約、66機の調達を希望しているF-16C/D戦闘機の輸入の見通しが立っておらず長期計画を決定できない事などが背景にあるとされる。

現在経国は清泉崗空軍基地第427戦闘航空団の第7、第28戦闘飛行隊と、台南空軍基地第443戦闘航空団の第1、第3、第9戦闘飛行隊の5個飛行隊に配備されている。また馬公空軍基地には毎年10月〜4月まで、台湾本島の経国部隊から派遣部隊が送り込まれている。

1991年7月12日、F-CK-1試作2号機が試験飛行中に墜落しパイロットは死亡した。
1994年8月31日、F-CK-1Aが胴体着陸を行い大破した(後に修理されて復帰)
1995年7月4日、F-CK-1Aが燃料システムの不具合により海上に墜落した(パイロットは脱出)
2003年4月29日、F-CK-1Bが墜落しパイロット2名は脱出したが負傷した。
2003年9月27日、F-CK-1Bが墜落しパイロット2名は無事脱出した。

【2008年4月10日追記】
台湾空軍では、F-16C/Dの調達が実現した場合でも、空軍の戦力維持のためF-CK-1の近代化改装を実施することを決定した。AIDCは、2009年に8機のF-CK-1をアップグレードすることを発表。これらの機体は2007年に公開されたF-CK-1C/D「経国雄鷹」試作機に装着されていたコンフォーマルタンクは未搭載となるが、アビオニクスやFCSの改善により、精密誘導兵器やスタンドオフ兵器の運用能力が付与され対地攻撃能力は大きく向上する。台湾空軍の計画では一個連隊分のF-CK-1が近代化改修を受ける予定。一部のF-CK-1は訓練部隊に配備転換され、退役するF-5E/F戦闘機を代替することになる。

【2009年1月6日追記】
2008年12月28日、IDF「経国」初号機ロールアウトから20周年を記念する式典が製造元の漢翔公司で開催された。式典ではF-CK-1C/Dの試作機2機も展示されていたが、機体名称は陳水扁政権時に命名された「雄鷹」から元々の計画名称である「翔昇」に変更されていた。漢翔公司の説明では、F-CK-1C/Dの名称として「翔昇」が復活したとのこと[1](ただし、同社の公式サイトでは2011年9月現在も「雄鷹」の名称が使用されている[5])。

【2011年9月24日追記】
台湾空軍では、70億新台湾ドルの研究開発費を投じて経国の能力向上型F-CK-1C/D「翔昇」をAIDCに開発させたが、アメリカからのF-16C/Dの導入を優先したこともあり、アップグレードの実施には至らなかった。その後、F-16C/Dの輸入実現が難航したことを受けて、経国の能力向上計画を「翔展案」と改名した上で再開、2008年には立法院に「翔展案」の予算を提示して承認を得ることに成功した[2]。

「翔展」改修を受けた機体の名称がF-CK-1C/Dに変更されるのは「翔翼」案と同じ。改修作業では、既に生産が終了したコンポーネントは代替品で置き換え、飛行制御用ソフトウェア、アビオニクス、電子戦システム、敵味方識別装置を改良[2]。グラスコクピット化が進められ、新たに3基の液晶表示装置(カラー)が設置され、機器の操作の省力化が進められた[3][4]。GD-53改良型レーダーには新たに地形追随モードが付け加えられ、空対空・空対地探知能力も改善されているが、特に対地攻撃能力の強化に重点が置かれている[2][5]。

「翔翼」案では、航続距離延伸のため機体後部にコンフォーマルタンクを装着していたが、「翔展」改修ではコンフォーマルタンクの採用は見送られた。主翼のハードポイントは6箇所から8箇所へとそれぞれ増加している。ハードポイントの増加に伴い天剣2型の搭載数も2発から4発に増える。新たに「天剣2A」対レーダーミサイル、「万剣」空対地ミサイル 「青雲」サーモバリック弾などの運用能力が付与され、これによって対地攻撃能力が大幅に向上する[2]。

「翔展」案では、空軍第443連隊の71機のF-CK-1A/Bが改装対象となり、2009年から2012年にかけて実施されることが決まっている[2][6]。2011年6月30日には「翔展」改修を実施した最初の6機が空軍に引き渡された[6]。

6月30日の引渡し式典に参加した馬英九総統は、国防部、経済部、AIDCに対して「経国」をベースとした高等練習機開発案の研究を進めるように指示を出していることを明らかにした[3]。

【2012年3月2日追記】
2011年9月28日、台湾の高華柱国防部長は立法院の外交国防委員会において、上記の「翔展」案で改修対象とならなかったF-CK-1A/B 56機について、2013年から2017年にかけて106億新台湾ドルをかけて近代化改装と能力向上を行う事を明らかにした。計画名称は「翔展2号」案。2011年の改修からは、機体寿命延長改修と「万剣」空対地ミサイルの運用能力を付与する改修を統合化している事も明らかにされた。

【参考資料】
戦闘機年鑑2005-2006
世界航空機年鑑2005
AIDC公式サイト
Yam天空-新聞 「雄鷹戰機祇是純剪綵?漢翔員工憂慮空軍根本不買」
Yam天空-新聞 「翔昇成果展示、総統為新戦機命名為雄鷹」
MDC軍武狂人夢
台湾月報
中国広播公司全球資訊網「作為F-16C/D服役前過渡機種、IDF昇級計画不受影響」(2008年4月8日)
missile.index
Taiwan Air Power
Taiwanmilitary.org
Kojii.net
Defense-Aerospace

[1]中時電子報「雄鷹改成翔昇 IDF命名也輪替」(2008年12月29日)
[2]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「經國號升級版「復活」 翔展月底交機(本來就規劃只升級台南的IDF,除非蓮臺中都升級不然不算復活!)」(2011年6月26日)
[3]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「國機國造 總統指示研發教練機」(2011年6月30日)
[4]漢翔公司公式サイト「經國號戰機(IDF)性能提升首批交機 總統親臨見證」(2011年6月30日)
[5]漢翔公司公式サイト「F-CK-1 C/D雄鷹戰機 (2001〜)」
[6]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍「71架升級版IDF 漢翔吃大補丸」(2011年7月1日)
[7]Yahoo!奇摩部落格-林郁方立法委員「提升經國號性能 「翔展二號」案102年啟動.」(2011年9月30日)

台湾空軍

<<Amazon Associate>>
世界航空機年鑑2005 出版社: 酣燈社
戦闘機年鑑(2005-2006) 青木 謙知 (著)/出版社: イカロス出版

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます