日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼FC-1試製01号機。



▼試製04号機。インテークがDSI(Diverterless Supersonic Inlet)に変更されているのが確認できる。

▼試製04号機の主翼付近の写真。試製01〜03号機と比較して、ストレーキ部分が大幅に拡大されている。

▼パキスタン空軍向けJF-17第一号機。


性能緒元(量産型)
空虚重量6,320kg
通常離陸重量9,100kg
最大離陸重量12,700kg
機内燃料2,300kg
全長14.00m
全幅9.00m
全高5.10m
エンジンRD-93(ドライ5040kg、A/B 8,300kg)1基
最大速度M1.8
戦闘行動半径1,200km(空対空任務)、700km(対地攻撃任務)
フェリー航続距離1,800km
上昇限度16,700m
荷重制限-3〜+8.5G
武装23mm連装機関砲×1
 PL-12アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(霹靂12/SD-10)
 PL-9赤外線誘導空対空ミサイル(霹靂9)
 PL-8赤外線誘導空対空ミサイル(霹靂8/パイソン3)
 LT-2レーザー誘導爆弾(雷霆2型)
 LS-6滑空誘導爆弾(雷石6)
 FT-1/3誘導爆弾(飛騰1型/3型)
 C-802K空対艦ミサイル
 CM-400AKG空対地ミサイル
 爆弾等3,700kg
 AIM-9P空対空ミサイル *JF-17
 MAR-1対レーダーミサイル *JF-17
乗員1名(FC-1)/2名(FC-1B)

【開発経緯】
1980年代中頃、中国はJ-7M戦闘機をベースに大幅な設計変更を行い新型アビオニクスを搭載した輸出型戦闘機を開発する計画を立案した。これは、J-7M(F-7P)を輸出したパキスタンからの提案に基づいていた。パキスタンは1984年10月23日、中国に派遣した空軍代表団を通じて、J-7Mをベースに全面的な近代化を加えて能力を向上させた発展型の共同開発に関する提案を伝えた。提案の主眼は、安価なJ-7Mに西側製レーダーやエンジンを搭載する事で比較的低コストで能力の高い戦闘機を実現できないだろうかというものであった。この提案を叩き台にして、新型輸出向け戦闘機のスタディが開始された。

当時、中国は西側諸国と良好な外交関係を有していた事もあり、この戦闘機開発を中国市場への進出のチャンスと捕らえて、多くの西側防衛産業が計画への参加を求める事になった。1987年に米P&W社の代表団が北京を訪れ、PW1120(1基200万ドル)、F404(1基180万ドル)、PW1216(1基130万ドル)の3種のエンジンを提案、また同年5月には英ロールス・ロイス社の専門チームが中国に派遣されRB199-127/128の提案を行った。これらに中国が開発中の渦噴14ターボジェットエンジンを加えた5つの候補からエンジンが選定される事になり、機体の開発はグラマン社の協力で中国第132航空廠(現在の成都飛機工業集団有限公司)が担当、設計は第611設計局(現在の成都飛機設計研究所)が行う事になった。計画名称は中国とパキスタンの頭文字から「F-7CP」とされたが、のちに「セイバー供廚伐められた。ほかに中国空軍での運用を前提とした「J-7C」の名称も用意された。また、中国やアメリカの開発者の間ではJ-7Mの改良型ということから、この計画を「超7/スーパー7」と呼ぶことも行われていた。

この近代化型F-7はパキスタン空軍での運用が前提にあるため、インド空軍のMiG-29を圧倒する事が目標とされた。その後、パキスタンは一旦計画から離脱したが、中国とグラマン社、そして新たにシンガポールを加えて、計画名称を「スーパー7」として継続させる事になった。グラマン社の協力でF-16に似たベントラル・フィンを採用する事で機動性を向上し、またサイド・エア・インテイクもF-16のものを参考に内側に10度傾けて胴体にめり込む様な形で装備され空力的に洗練された。この様にF-16の機体構造が非常に参考にされ開発は順調に進められていたが、1989年の天安門事件によりアメリカは制裁措置を発動し、1990年にはグラマン社を含む全てのアメリカ軍需企業が中国から引き揚げた。これにより近代化F-7の開発計画は存立の危機に立たされる事になったが、中国は再びパキスタンを開発計画に誘う事に成功し、直近の計画頓挫は回避する事ができた。

計画の前提であった西側からの技術導入が閉ざされ開発は困難が予想されたが、国際環境の激変が思わぬ助けとなる事になった。中国は冷戦の終結に伴い、関係改善が図られていたソ連に対して技術支援を求め、これに応じてソ連のミコヤン・グレヴィッチ設計局(以後ミグ設計局と表記)やクリモフ設計局が中パ両国の戦闘機計画に技術協力を行う事になった。ミグ設計局では1980年代半ばに単発小型戦闘機案「33」戦闘機の開発を進めていた。のちに「33」戦闘機案は中止されたが、この戦闘機の開発で得られた技術はFC-1開発計画に活かされる事になった。中国とロシアの協議によりMiG-29のレーダー技術と同機のRD-33エンジンの改良型を搭載する事が決定、ミグ設計局の協力のもとに中国第132航空廠が開発を担当する事になった。中国、パキスタン、ソ連の3カ国による戦闘機共同開発計画には、FC-1(Fighter China No. 1)の計画名称が与えられた。これがFC-1のスタートである(ただしスーパー7の名称も引き続き使用されている)。

1992年には中国とパキスタンとの間で断続的に交渉が行われ、FC-1計画案の詰めが行われた。その結果、FC-1のエンジンとしてRD-33を採用する事が正式に決定された。パキスタン側からはスーパー7が達成すべき条件として、BVR(Beyond Visual Range:視程外距離)-AAMの運用能力の付与、全天候性能の実現、機体単価は1,000万ドル以内に抑える、良好な整備性と低い維持コストの実現、西側製レーダーの採用、先進的アビオニクスの搭載などが提示された。1993年には、中露の計画参加企業間でのスーパー7/FC-1の技術協力協定への調印が行われ、8月には中国側で正式にスーパー7/FC-1開発計画の推進が承認された。この時点ではパキスタンの開発参加は確定されず、スーパー7/FC-1の開発はミグ設計局の技術指導を受ける形で中国単独で行う事となった。躓いていたエア・インテイクの改設計はミグ設計局の協力で成功し、水平尾翼もF-16の設計を参考にしつつMiG-29の技術を応用してより大きな角度で可変できる様にする等、機体各部にMiG-29や「33」戦闘機案の技術が取り入れられている。機体に必要なアビオニクスの開発も並行して行われた。1997年には地上試験用の機体フレーム2機が作られて各種テストを始めた。

1998年の初夏、パキスタンとの間で共同開発に関する詰めの協議が行われ、6月28日に両国が協同でFC-1戦闘機を開発する事が正式に決定された。パキスタンは協同開発費用として1億5,000万ドルを出資し、開発成功後に150機の調達を行う事、中国はパキスタンでのFC-1の生産ライン立ち上げ、段階的にコンポーネントのパキスタンの国産化率を高めていく事に協力する事も定められた。計画名称は正式に「FC-1」と定められ、中パ両国の共同開発の開始から二年以内にFC-1の全ての設計図を完成させ、試作機を製造し2003年3月に初飛行を行う事が決定された。

1999年9月には、中パとロシアのクリモフ設計局との間でRD-33改良型(RD-93の名称が与えられた)に関する協議が行われ、90基前後のRD-93を調達する事がロシア側に伝えられた。2001年2月、FC-1の要求性能の再検討を求めるパキスタンの申し出により両国で協議が行われた結果、試製01号機〜03号機までは当初の設計通り製造し各種実証試験に用い、試製04号機は設計変更を行い能力向上を図る事が決定された。FC-1の設計では、西側諸国から導入したデジタル設計技術やソフトウェアが大幅に取り入れられ、設計作業の効率を大いに向上させる事となった。2002年10月には試製01号機に関する全ての設計図が完成し、成都飛機工業公司ではFC-1の製造に向けた作業を開始した。しかし、この時期からFC-1の配備を警戒するインドがロシアに対してRD-93の供給を停止する様に圧力をかける事態が発生した。成都では、ロシアに対してRD-93の購入数を100基に増加、一台ごとに240万〜280万ドルを支払う事を伝え、さらにエンジンの需要を拡大するために中国空軍に対してもFC-1の採用を働きかける事を提案して対処する事を余儀なくされた。また、1998年にパキスタンが核実験を行った事に対する制裁措置として西側諸国が軍事技術協力の中断を行ったため、当初予定していた西側製レーダーの搭載が困難になる事態も発生。中国側では、西側製装備が調達できない場合に備えてレーダーやアビオニクスを中国製で代替する作業を行わざるを得ず、開発作業は遅延を来たす事になった。

ようやく2003年1月に試製01号機が完成。各種の地上試験を経て2003年8月25日に初飛行を実施した。この飛行はわずか15分間だったがこの日の内に2度の飛行を行っている。この初飛行を伝える報道でFC-1に「梟龍」のニックネームが与えられた事が公にされた。公式の飛行試験は2003年9月から行われた。9月30日にはパキスタン軍の代表団が成都を訪問し、試製01号機の製造を記念する式典を開催。その席でFC-1のパキスタン名をJF-17「サンダー」とする事が発表された。JF-17という名称には、パキスタン空軍で就役しているF-16に続く戦闘機という意味が込められている。

試製01号機は基本的な機体性能の確認と機体の制御装置に関する実証試験に用いる事としており、設計では新機軸の導入は最小限に留め、飛行に必要な基本的な機材以外の搭載は行わないと決めていた。これは、事故の発生リスクを最小限に抑えるために措置であった。開発陣は、FC-1計画の基盤自体が脆弱であり、試作機の墜落事故というトラブルが発生した場合、即計画の中断という事態を招きかねないと判断していた事による。設計時と機体バランスの変化を来たさない様に、未搭載の機材の場所には同一重量の鉛バラストが搭載されたが、その重量は100kgを超える事になった。試製02号機は飛行試験には供されず地上での各種試験と静強度試験に用いるため、本格的な実用機としての試験は試製03号機が担当する事とされた。なお、試製01号機は主翼上面に境界層板を装備していたが、03号機では廃止されている。

試製03号機は2004年4月9日に初飛行を実施。03号機の飛行時間は01号機の4倍に及ぶ時間が費やされ、実用化に向けた各種試験が実施された。01、03号機による飛行試験により、FC-1の実用性の実証が確認される事になった。ある飛行試験の最中、電気系統の不調によりアビオニクスとフライ・バイ・ワイヤ系統が機能停止に陥るトラブルが発生したが、バックアップの油気圧系機体制御システムを使用する事で、無事に着陸に成功して事なきを得ると共に、機体の信頼性を実証する事になった。

01号機と03号機が飛行試験を重ねるのと並行して、当初から予定していた性能向上型の開発に関する検討も進められていた。パキスタン空軍はFC-1/JF-17について下記の改善点を提示した。
機体重量の軽減試製01/03号機の推力重量比は0.91であるが、これはF-16より低い数値であり、エンジン推力の強化が直ぐには出来ない以上、推力重量比を改善するには機体軽量化が不可欠。
搭載燃料の増加FC-1の燃料搭載量は米製F404エンジンを前提とした物であった。F404より燃費の多いRD-93を搭載したため、当初の搭載燃料では航続距離が減少する事になる。航続距離の要求数値を達成するため機内燃料の増加が必要。
最高速度の増加当初の設計ではFC-1の最高速度はマッハ1.6であった。しかし、BVR戦闘では少しでも速力が高いほうが有利。最高速度のマッハ1.8〜2.0への増加を求める。
機内容積の増加アビオニクスや各種装備の追加搭載を可能とする空間の確保。

また、01/03号機の飛行試験の結果、主翼前縁のドックトゥース付近で気流渦が発生、機体強度の不足といった問題も判明していた。試製04号機の開発では、上記の各種問題の解決が求められる事となった。

一方、この時期はパキスタンをめぐる国際的環境も大きな変化を見せる事になった。2001年9月11日に発生した米国同時多発テロとそれに続く対テロ戦争により、アメリカはパキスタンに対する政策を一変させた。核兵器の保有以降、アメリカはパキスタンに対する軍事援助を停止していたが、これを解除してパキスタンが求めていたF-16C/DとAMRAAMの輸出を承認するに至った。これにより、パキスタン空軍は第3世代戦闘機の不足を解消するめどが立ったが、同時に空軍の予算がF-16C/Dの調達に割かれれば、その分JF-17調達費用が削減されるのは避けられなかった。パキスタン空軍と中国側ではFC-1/JF-17の開発方針を巡り議論が交わされたが、その結果実用化が予定より遅れるとしても、FC-1試製04号機の開発を継続して能力向上を行った上で配備を進める方針が再確認された。

試製04号機には、軽量化と性能向上を主眼として多くの設計変更が施される事になった。主翼前縁で発生する気流渦への対処としては、主翼前縁部のストレーキ面積を増加すると共にドッグトゥースの設計を変更する事で対処した。ストレーキの面積増加は翼面加重を減少させるのにも寄与しただけでなく、機内容積を増加させ、燃料搭載量を増やす事を可能とした。軽量化については機体各部の設計の見直しによる重量軽減を図ると共に、複合材の使用範囲を拡大する事で対処した。

パキスタン側が強く要請した速度向上については、機体の軽量化とインテイクとエアダクトの設計変更を行って対処する事が決定された。01〜03号機のインテイクは矩形断面で胴体側にスリップ・ベーンを持つ一般的な設計であった。これは亜音速飛行では問題なかったが、超音速飛行の際には空気の圧縮効率に問題があった。インテイク重量を増加させずに、超音速時の速度性能を改善するという課題を解決するために、成都飛機公司では凸型のDSI(Diverterless Supersonic Inlet)を採用する事を決断した。凸部は空気境界層を圧縮して逸らす効果があり、従来のインテイクと比較して超音速飛行時に効率よく空気を圧縮する事が可能となり、最高速度はM1.6からM1.8に改善された。DSI方式のインテイクは、エンジンブレードを隠し、インテイク内への電波の流入を抑制する効果もあり、機体正面からのRCS(Radar cross section:レーダー反射断面積)値を減少させる効果もあった。04号機では、DSI方式の採用とスリップ・ベーンの廃止などで、インテイク関連の重量を100kg軽量化する事に成功した。インテイクの設計変更と同時にエアダクトも改良が加えられ、内側に10度傾けて胴体にめり込む様な形だったものが、胴体に並行して取り付けられる形状に変更された。胴体へのめり込みを廃止したのは機内容積の拡大を意図しており、この設計変更によって燃料やアビオニクス関連の空間を確保する事に成功した。

04号機の設計作業は2005年3月に完了し、実機の製作が開始された。これと並行して中パ両国においてFC-1/JF-17の生産ラインの構築作業も進められた。04号機は2006年に完成し、同年4月28日に初飛行に成功。この04号機をベースとして量産型が製造される事となった。

【機体性能】
FC-1/JF-17量産型の機体のサイズは、空虚重量6,320kg、全長14.00m、全幅9.00m、全高5.10m。試製01〜03号機では、推力重量比が1を切っていたが、機体の軽量化がなされた04号機では推力重量比1.05を確保している。通常離陸重量は9,100kg、最大離陸重量は12,700kg。離陸距離は609m、着陸距離は823m。最大上昇限度は16,700m。FC-1の戦闘行動半径は空対空任務で1,200km、対地攻撃任務で700km、フェリー航続距離は1,800kmとされている。パキスタンでは、JF-17に空中受油能力を付与する事で航続距離延伸を計画している。

FC-1はJ-7の発展型だが、機体形状は全面的に設計変更が施されている。J-7が採用していた機首部インテイクを廃止し、胴体側面に置くサイド・インテイク方式を採用した。これにより機首は先端部をレドームのみとする事が可能になった。当初FC-1のインテイクは矩形断面で胴体側にスリップ・ベーンを持つ一般的な設計だったが、その後再設計され凸型のDSI(Diverterless Supersonic Inlet)になった。凸部は空気境界層を圧縮して逸らす効果があり、これにより最大速度がマッハ1.6から1.8になった。主翼は中翼配置で前縁付け根にストレーキがあり、主翼端にはECM機器収納用のフェアリングがある。水平尾翼は胴体後部の低い位置に配置されている。垂直尾翼は前縁後退角が大幅に減らされ、また後縁部もほぼ垂直に立つ様な形となった。キャノピーは後方視界に優れたバブルキャノピーではなく、機体背面と一体化した形状となっているが、これは後方視界の確保よりも速度性能や機内容積の確保を優先した事による。視界不足を補うためにキャノピーには3つのバックミラーが取り付けられている。FC-1/JF-17の試作機と初期量産機はいずれも単座機であるが、訓練や機種転換に用いるための複座型の開発も行われる事になっている。

機体形状は一新されているが、機体の素材についてはJ-7と同じくアルミ合金中心で、複合材の採用は一部に留まっている。これは、パキスタンなどの第3世界の国々での生産・運用を前提とした措置であり、既存のJ-7と同レベルの整備インフラがあれば整備運用が可能となる様にしている。従来型の機体素材を踏襲しているため、軽量化や機体寿命の延伸では不利であるが、FC-1/JF-17は既存のJ-7シリーズと比較して、5割増しの機体寿命を確保しており、最大荷重制限も+7.5Gから+8.5〜9Gに向上している。複合材を使用せず機体強度を高め軽量化を達成するため、設計や加工では様々な工夫が施されているとの事。ただし、重量面での不利は否めず、前述の通り試製04号機では複合材の使用範囲を拡大する事で重量軽減を行う事になった。FC-1は、飛行時間800時間ごとにオーバーホールを行い、機体寿命は2200時間を想定している。

エンジンはMiG-29のRD-33エンジンの改良型であるRD-93ターボファン・エンジン(ドライ5040kg、A/B 8,300kg)の単発だが、顧客の要望によっては同等の西側ターボファン・エンジンを装備できる様になっている。RD-93エンジンはモスクワにあるシェルニチェフ機械製造工場が生産する。ロシアは2005年に100基のRD-93を2億3800万ドルで中国に輸出する契約を結んでいた[4]。RD-93のパキスタンへの販売認可はロシア側が渋っていたが、結局2006年にJF-17への搭載をロシアは認めた。しかし、インドの抗議もあってロシアは再びRD-93の第三国向け輸出の許可を取り消すなど二転三転が繰り返されたが、最終的には2007年にパキスタンへの再輸出が承認される事となった。パキスタンではRD-93の整備について、当初は中国に依頼し、次第に自国での整備体制を整えていく方針を採用するとしている。現在、中国ではロシアの協力を得た上でRD-33エンジンの国産化作業を行っている。このエンジンは2005年にWS-13(渦扇13)の名称が与えられ、現在各種コンポーネントの生産が行われている。WS-13の生産が軌道に乗れば、FC-1にWS-13を搭載する事も十分考えられる。

搭載するレーダーはロシア製のファザトロンKOPYO、イタリア製のLIAR(現ガリレオ)Grifo-S7、タレス社のRC400などが候補になっていたが、試作機にはイスラエル製のエルタEL/M-2032が搭載された。パキスタン空軍関係者の証言によると、2007年にパキスタンに到着するJF-17には2種類の中国製レーダーが搭載される事が明らかにされた。最終的にJF-17の第一次バッチの50機は、中国製KLJ-7もしくは KJL-10パルス・ドップラーレーダーを搭載する事になったと見られている。FC-1のレーダーは、アンテナ直径600mm、対空/対地/対艦等のモードを有し、10目標を同時追跡しその内2目標を同時攻撃する能力を有しているとされる。

JF-17は、中国製レーダーとPL-12アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイルを組み合わせ、BVR-AAMの運用能力を獲得している。HUDや前方赤外線捜索・追跡システムは中国製で、GPS入力を備えたリングレーザー・ジャイロ慣性航法システムも装備している。操縦系統は2重のデジタル・フライ・バイ・ワイヤ。ハードポイントは胴体下1箇所と主翼下4箇所の計5箇所。このほかに主翼両端にAAMランチャーが設けられている。携行兵器は基本的に中国製のPL-8やPL-9、PL-12などのAAMだが、パキスタン仕様のJF-17ではアメリカ製AIM-9Pサイドワインダーやブラジル製MAR-1対レーダーミサイルの運用能力が付与されている[10]。対地攻撃兵器は無誘導の爆弾・ロケット弾のほか、レーザー目標指示ポッドを搭載する事で精密誘導爆弾の運用も可能。

【今後の展開について】
パキスタン向けJF-17の最初の2機は、2007年3月にパキスタンに到着、3月23日の共和国記念日にイスラマバード上空を飛行して正式公開された。

2007年3月30日のパキスタン「The News-International-」ネット版の報道によると、パキスタン空軍の最高指揮官Tanvir Mehmood Ahmedは、JDWの取材に対して、パキスタンが購入するJF-17の機数はこれまで伝えられてきた150機よりも多い事、予算が許せば2015年までに200〜250機のJF-17を生産して、10〜12スコードロンに配備する事を希望している事を明らかにした。2008年3月14日、パキスタンは中国から6機のJF-17を受領。これで、これまでに同国に引き渡されたJF-17は合計8機になった。パキスタン空軍の関係者の情報によると、既にパキスタンでのJF-17のライセンス生産が開始されており、2011年までに年間25機の生産体制を構築する計画になっている。パキスタン向けのJF-17の1機当たりの価格は約800万ドルと言われている(価格の内訳は不明)。装備一式を含む機体価格は1,500万ドルから2,000万ドル程度と見られている。

2008年1月22日には、JF-17生産工場の竣工式が行われ、Tanvir Mahmood Ahmed空軍司令官はその式典で2008年には15機のJF-17を生産し、将来的には年間25機から30機の生産を行いたいとの意向を示した。パキスタンでのライセンス生産では、機体部品の60%と電子装備の80%を国産化する予定。最初に生産される50機は、中国製レーダーやアビオニクスを装備するが、第二バッチの量産機では、ヨーロッパ製のレーダーやアビオニクスの搭載を検討しているとの事。

2007年11月29日のJane's Newsによると、パキスタン空軍ではJF-17にフランスのタレスRC-400レーダーとMBDA MICA空対空ミサイルを搭載したバリエーションを開発する事を検討しているとの事。これはフランスのDGA(Délegation Générale pour l'Armement)の提案による。これが実現すれば、パキスタンのJF-17は中国製レーダーと空対空ミサイルを搭載したタイプと、フランス製レーダー/ミサイルを搭載したタイプが並存する事になる。これは、予算や整備の面では余分なコストが掛かるが、コンポーネントの供給源を複数にする事で禁輸措置などに対する脆弱性を減少させる事が可能となる。かつて、兵器供給国との関係悪化により何度も禁輸措置を受けたパキスタンにとっては、この問題は深刻な課題であり続けている。

中国とパキスタンは、FC-1/JF-17をF-5E/FタイガーIIやダッソー・ミラージュIII/5、MiG-21/J-7の後継機として各国に売り込む事を狙っており、バングラデシュやエジプト、ナイジェリアなどが興味を示していると言われている。

上記の様に積極的に輸出が図られているFC-1であるが、中国空軍自体はFC-1の採用に難色を示しているとされる。その要因としては、既に国産の第4世代戦闘機であるJ-10の量産を開始している事、FC-1の性能に満足していない事などが挙げられる。中国空軍に採用された場合はJ-9(殲-9)の名称が付与されると見られているが、現時点では制式化の可能性については判断が難しい状態にある。

【2009年3月11日追記】
2009年3月7日、中国とパキスタンはJF-17第一次バッチ42機の共同生産に関する協定に調印。Tanvir Mahmood Ahmedパキスタン空軍司令官によると、42機の生産に必要な資金は6億ドルになるとの事。中国はパキスタンでのJF-17の生産を支援するほか、生産ライン立ち上げに必要な資金の借款も行う[1]。

パキスタンは2009年3月時点で、評価試験用に8機のJF-17を受領している。これらの機体を使用して今年半ばまでに最初のJF-17戦闘機戦隊を編制する予定。さらに、今年中には中国からの調達と国産分をあわせて40機のJF-17を調達することになっている。パキスタンでの量産のペースは、最初の数年は年産15機だが最終的には年30機にまで到達させる計画。パキスタン空軍は最終的に2015年までに250機のJF-17を30億ドルで調達する事になると見られている[2][3]。

【2009年10月10日追記】
中国はロシアの国営兵器輸出入会社ロスボルエクスポルトとの間で、RD-93エンジンの推力向上型を100基購入する交渉を行っている事が明らかになった[4]。ロシア防衛産業の関係筋によると、交渉は既に基本的な合意を見ており、国防省や関係機関も輸出を承認しており、現在は価格面でのすり合わせが行われている段階。関係筋によると、ロシアは既に500基のRD-93の中国への売却に合意しているとされ、最初の100基は固定価格で輸出され、第二陣の100基の価格は現在協議中との事。

元々のRD-93の推力はA/B時8,300kgであるが、推力向上型ではA/B時9,000kgにまで推力が増加している。推力向上型RD-93がFC-1/JF-17に搭載できれば、機体の推力重量比の改善に繋がり、各種性能を向上させる事が可能となるため、中国とパキスタンとしては是非とも交渉を妥結させたい所であろう。

【2010年2月22日追記】
2010年2月17日、パキスタン空軍の第26戦隊にJF-17の配備が開始された[5]。JF-17は同戦隊のA-5攻撃機を更新する機体として配備が行われる。パキスタン空軍は現在JF-17の第一バッチ50機を発注済で、2010年2月時点で10機を受領しており[6]、2012年末までに全機受領される予定[7]。

一方、パキスタンではJF-17にフランス製アビオニクスや空対空ミサイルを搭載した発展型の開発を計画しておりフランスとの間で技術支援に関する交渉を行っている。これに対してインドとアメリカが、フランスの技術提供に懸念を表明しているとの事[7]。

【2011年6月27日追記】
パキスタンとフランスの間で行われていたJF-17発展型に関する交渉は2010年になって中断された。仏ルモンド紙の報道では、これはパキスタンへの技術移転に懸念を示すインドの圧力、パキスタンの財政状況や移転された技術の機密保持への懸念などが理由とされる[8]。

2011年5月に中国を訪問したパキスタンのギラーニ首相は第一バッチ分50機がパキスタンで生産中のJF-17の供給速度を速めることで中国側と合意に達した[9]。これに加えてさらに50機を追加調達することでも合意したとされる。パキスタン空軍広報官によると、追加発注分の機体が中国から供給されるかそれともパキスタンで組み立てられるかは現時点では不明であるとのこと。

【2013年9月7日追記】
2013年6月17日から23日にかけて開催されたパリ航空ショーにおいて中国航空工業集団公司(AVIC)は、FC-1の複座型であるFC-1Bの模型を出展[11]。FC-1Bは、機種転換訓練や飛行訓練のみならず、兵装を使用した戦術訓練も可能であり有事の際には実戦投入可能な能力を有している[11]。中国航空技術進出口有限公司の馬志平社長は、FC-1の国際市場投入から7〜8年が経ち、多くの潜在的顧客から複座型の要望が出ていたことが開発の背景にあるとした[12]。

FC-1Bは、単座型の座席直後に新たに後部座席を配置しているが、複座化の代償として機内搭載燃料が減少しており、作戦行動半径は単座型(空対空任務:1,200km/空対地任務:700km)より短い600〜800kmとなっている[13]。

外観からは分からないFC-1とFC-1Bの大きな相違点は操縦系統[13]。FC-1はフライ・バイ・ワイヤを採用しているが、縦方向のみ4重デジタルフライ・バイ・ワイヤであり、横方向の操作には従来型のメカニカル操作を残していた。これは開発リスクを抑えるための方法であったが、現在の戦闘機としてはやや旧式に属する手法であるのは確かだった。FC-1Bでは操縦系統が一新され、3軸安定式4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤが採用された[13]。今後生産されるFC-1単座型もこの操縦系統を採用する事が計画されている[13]。

FC-1Bの開発では対地攻撃能力の強化が目的の1つに掲げられており、新たにWMD-7型全天候型照準ポッドの搭載能力が付与された[13]。WMD-7は、赤外線/電子/レーザー一体型の照準ポッドであり、夜間や悪天候下の状況においても地上目標の捜索、識別、照準が可能。レーザー誘導爆弾の誘導に使用するだけでなく、通常爆弾による対地攻撃の際にもWMD-7を使用することで命中精度を向上させる事が出来る[13]。FC-1Bは、WMD-7以外にも任務に応じて各種電子戦ポッドや偵察用ポッドの搭載が想定されている[13]。

【2013年12月21日追記】
2013年12月18日、50機を発注していたJF-17 BlocK1の最終生産機の引渡しと、JF-17 Block2の生産開始を記念する式典がイスラマバート北部にあるパキスタン航空コンプレックスのカムラ工場で開催された[14]。

JF-17はまずA-5攻撃機の更新用に配備が開始され、今後は、同空軍のミラージュ/5、F-7Pを更新する事になる[15]。JF-17 Block2は50機が発注され、最初の機体のロールアウトは2014年初頭になるとされる[15]。パキスタン空軍のプレスリリースによると、JF-17 Block2は、アビオニクスの改良、空中受油能力の付与、使用可能な兵器の種類の増加がなされ、整備性の向上などが施されると発表された[14]。パキスタンの軍事アナリストのUsman Shabbir氏によると、機体の改修は空中受油プローブの装備程度で、改良の多くはレーダーやアビオニクスになるとしている。今後、全てのJF-17 Block1もBlock2仕様にアップグレードされる事になる[15]。

JF-17 Block1の生産費用は1500万ドルだが、Block2になると2000〜2500万ドルに上昇するとされる[16]。カムラ工場の生産設備はBlock2の生産に合わせて再構成されたとの事。JF-17 Block2の生産は2016年まで実施され、その後は改良型であるJF-17 Block3の生産が行われるものと見られている[16]。

【参考資料】
人民解放軍-党と国家戦略を支える230万人の実力(竹田純一/ビジネス社/2008年)

Jウイング特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
漢和防務評論
航空档案2006年9月-2007年4月号「屠基達”超7”史話:屠基達総師的”商戦”!」
航空世界2006年6月号「喜看天府梟龍舞-“梟龍”04架全状態成功首飛」(張宝鑫/中国航空工業第一集団公司)
航空世界2006年6月号「戦龍八部-全面解析国産『梟龍』新型戦闘機」(袁来/中国航空工業第一集団公司)
現代兵器2007年11月号(総第347期)「巴基斯坦空軍的雷電(4)」(謝里夫・薩・納阿姆希(著)、一挺(編訳)/中国兵器工業集団公司)
現代兵器2007年12月号(総第348期)「FC-1“梟龍”戦機性能深入評析」(李超/中国兵器工業集団公司)

Chinese Defence Today
China Defense Blog
Chinese Military Aviation
DAWN(2008年3月15日)「PAF gets six JF-17 Thunder aircraft」
kojii.net
Jane's Defence Weekly
Jane's Air Forces News (2007年11月29日)「Pakistan considers mix of Chinese, French weapons for its JF-17s」
JF-17.com
The News-International「PAF to seek more Chinese aircraft, says air chief」
DefenceTalk「Pakistan to start JF-17 production from next year」
India defence「Pakistan starts mass production of JF-17 fighters」
空軍世界
中華網「梟龍毎架800万美元、巴欲與中合作四代戦機」
新浪網「中国訂購100台俄製加大推力型RD-93発動機」(2009年9月24日)

[1]India Defence「China, Pakistan Sign JF-17 Production Agreement; China to Credit Finance Pakistani Fighter Jets 」(2009年3月8日)
[2]ONLINE - International News Network「Pakistan and China sign deal for joint production of JF-17 Thunder jet fighters 」
[3]ASIAN DEFENCE「PAF to start serial production of JF-17 Thunder fighter aircraft soon」(2009年3月7日)
[4]Военный паритет「Китай раскручивает "Рособоронэкспорт". На двигатели РД-93 с повышенной тягой」(2009年9月22日)
[5]ASIAN DEFENCE「JF-17 Thunder will be formally inducted in of Pakistan Air Force 」(2010年2月17日)
[6]CombatAircraft.com「Pakistan inducts multi-role jets developed jointly with China」(2010年2月19日)
[7]AVIATION WEEK「French JF-17 Deal Could Anger India」
[8]THE ECONOMIC TIMES「France suspends arms supply to Pakistan」(2010年4月5日)
[9]TEH WALL STREET JOURNAL INDIA「China to Fast-Track Jets for Pakistan 」(JEREMY PAGE/2011年5月20日)
[10]「パキスタン空軍-ブラジル製MAR-1ミサイル受領」(『軍事研究』2011年10月号/ジャパン・ミリタリー・レビュー)170頁
[11]Air Recognition「Chinese combat trainer aircraft two-seat version Xiaolong FC-1B unveiled at Paris Air Show 2013」(2013年6月12日)
[12]新浪網「官方披露双座枭龙战机改进:电传操纵系统已升级 」(2013年6月18日)
[13]新浪網「中国双座枭龙战机操纵系统升级 机动性大幅提升」(2013年6月30日)
[14]IHS Jane's Defence Weekly「PAC announces start of JF-17 Block 2 construction」(Farhan Bokhari/2013年12月18日)
[15]Defense News「Pakistan Launches Production of New Fighter Jet」(USMAN ANSARI/2013年12月18日)
[16]DAWN.com「Production of improved version of JF-17 aircraft launched」(Baqir Sajjad Syed and Yaqoob Malik/2013年12月19日)

【関連項目】
J-7戦闘機(殲撃7/F-7/MiG-21)

中国空軍

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