HQ-17A中距離地対空ミサイル（紅旗17A/FM-2000/HQ-17AE）
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rglc85tj8h 2023年05月04日(木) 11:26:01履歴
▼動画「首次公开！中国新一代防空导弹HQ-17AE震撼亮相 实弹测试现场罕见曝光 4大突出性能揭秘 堪称最强野战防空“神器”！「军武零距离」20210306 | 军迷天下」HQ-17AE（HQ-17Aの輸出版）の特集番組。
HQ-17A地対空ミサイル（紅旗17A）は、装軌車両中心で編成された重型合成旅の近距離防空を担うHQ-17中距離地対空ミサイル（紅旗17/トールM1）をベースにして装輪シャーシ化した自走対空ミサイル車両である。HQ-17Aは、装輪装甲車を中心に編成された中型合成旅の野戦防空を担う[1]。HQ-17Aの輸出版の開発も行われており、当初はFM-2000、後にHQ-17AEの名称で兵器博覧会などでの宣伝が行われている[2][3]。開発を行ったのは中国航天科工二院で、部隊配備が明示されたのは2019年の建国70周年軍事パレードであった[3]。
HQ-17は中国がロシアから輸入したトールM1短距離地対空ミサイル・システムをリバースエンジニアリングによりノンライセンスで国産化したものであるが、そのロシアにおいても装輪車両化したトールM2Kが開発されており[4]、HQ-17からHQ-17Aへの展開も同様の流れを見せている。
【シャーシ】
HQ-17Aは、6輪式の装甲シャーシに対空ミサイルとレーダーを搭載したターレットを搭載している。このシャーシは東風汽車公司が生産していると見られ、全輪駆動式の足回りは良好な野外走行性能を保証している[2]。不整地走破性能向上のためタイヤ空気圧の中央制御システムを装備する[2]。車体は、小火器や砲弾の破片に抗湛するレベルの装甲が施されているが、前線で放火を交える車両ではないため、走行時の視認性を優先して車体前部には大きなフロントガラスを配置している[1][2]。乗員は4名で、フロントの並列座席に操縦手と車長が座り、車体中央部は管制・操作室で、制御要員二名が着座してミサイル関連の制御を行う[1]。車体後部は動力系統を納めており、エンジンとトランスミッションに加えて、SAMシステムの稼働に必要な電力を賄うため補助発電装置が搭載されている[1]。これによりHQ-17Aは停車中でもエンジンを停止したままで防空任務に就くことが可能となり、燃料の節約に功を奏している。
【ターレット】
HQ-17Aは車体中央部にミサイル関連機材を収納したターレットを搭載している。原型となったトールM1、その中国版のHQ-17と比べると装輪車両への搭載のためかターレットのコンパクト化が図られていることが見て取れる。ターレットは無人化されており、ターレット本体、捜索レーダー、追尾レーダー、光学/電子センサー、VLS（Vertical Launching System：垂直発射機）、ミサイル本体、旋回・駆動系統などで構成されている[1]。ターレットの駆動は油気圧式で、管制・制御は車内の管制・操作室から遠隔で行われる[1]。
HQ-17Aの搭載レーダーは、ターレット前方の追尾レーダーと、ターレット後方の旋回式捜索レーダーの二種類が搭載されており、いずれもAESA式のフェーズド・アレイ・レーダーを用いており、複数目標の捜索・追尾性能に優れているのが特徴[1]。捜索レーダーは、目標の方位・距離・高度を算出可能な三次元レーダーであり、IFF（identification friend or foe：敵味方識別装置）と併用して自軍とそれ以外の目標の位置情報を算出する[1]。
ターレット前方の大面積のフェーズド・アレイ・レーダーが追尾レーダーであり、ミサイルの管制もこのレーダーで行う[1]。多数の空中目標を同時追尾して、その中で脅威度の高い目標に対して複数のミサイルを同時に発射・誘導することが可能で、これは巡航ミサイル、ジェット戦闘機、攻撃ヘリ、UAV、小型ドローンなど様々な脅威が錯綜する前線において臨機応変に対応可能な能力をHQ-17Aに与えている[1][2]。同時に4発のミサイルを発射して、4つの目標を迎撃する能力を備えている[3]。追尾・管制レーダーの左側には光学/電子センサーも用意されており、必要に応じてこちらを用いて作戦を行うことも可能[1]。光学/電子センサーを使う場合は、20km圏内の空中目標に対して観測を行い、目標の偏差や方位角の誤差を算出し、目標の進行方向を予測して追尾を実施[1]。この方法は視認距離内の超低高度の目標の追尾能力に優れており、電子妨害下の環境でレーダーの使用が困難な場合でもHQ-17Aに交戦能力を与えている[1]。光学センサーの上部には電子妨害装置を搭載しており、これを用いて小型ドローンに電子攻撃をかけることが可能[9]。
【ミサイルと関連設備】
HQ-17Aのターレット中央にはVLSが収納されている[1]。これはトールM1から継承した手法であり、ターレットを旋回させることなく即座に発射可能なためリアクションタイムを短縮する効果が高い。ミサイルを収納するランチャーは4セル一組で構成され、HQ-17Aは2セルのランチャーをターレットに収納しており、合計8発のミサイルを搭載する[1]。
ミサイルの発射方式はコールドローンチ方式を採用しており、VLSからガスで打ち上げられた後、TVC（Thrust Vector Control：推力偏向）で目標方向に向きを変えてロケット・モーターに点火、点火後4秒で速度850m/sにまで加速して目標に向かう[1]。この方式の利点はロケットの噴射熱や火炎で車体を痛めない事で、ミサイルが発射されてもターレット上の電子設備はほとんど影響を受けない点である[5]。
搭載ミサイルは、ミサイル先端部に制御翼、尾部に安定翼を各4枚装着しており、コールドローンチで射出されると、弾頭部に内蔵されたTVCを用いて任意の方向に姿勢変更してロケットモーターを作動して目標に向かう。HQ-17AはTVCを用いることで優れた急旋回能力を有しており、高度10m程度の高さで目標に対して急旋回して撃墜することが出来る[1]。ミサイルの最大射程は約20,000m、最大射高は10,000m[2][3]。一発のミサイルによる航空機に対する命中率は、最大で 45〜80%程度とされる[2]。
ミサイルの誘導については、原型のトールM1では無線指令誘導方式が採用されていたが、同システムは誘導方式を自由に選択することが可能で、輸出向けにはアクティブ・レーダー誘導システムも存在していた[1]。HQ-17Aは、中間誘導は無線指令方式で、終末段階でアクティブ・レーダー誘導システムを用いるという複合式を採用[1]。これにより終末段階での「打ちっぱなし」が可能となり、同時迎撃能力の向上に資している。中間誘導を行うことで、飛翔途中に脅威度の高い新たな目標が出現した際には、そちらに誘導し直すことも可能[1]。ミサイルの弾頭部にはテレビカメラが内蔵されており命中までの映像が伝達されてくる。制御員はこれを利用して撃墜判定を行うと共に、作戦の分析や戦訓を導き出すデータとしても活用することが出来る[1]。
HQ-17は停車してミサイルを発射するだけでなく、最高25km/hまでの速度で移動しながら作戦を遂行する行進間射撃能力も有している[3][6]。これは防空システムに対する敵の制圧攻撃に対処するために有効な能力である。
HQ-17Aを装備する防空ミサイル部隊は、HQ-17Aのほか、指揮車両、整備車両、弾薬補給車などで構成される。弾薬補給車は二種類が存在し、一つはMV3野戦トラックを基にした車両で、もう一つはSX2306高機動野戦トラックをベースとしたもので、いずれの車両にもクレーンと再装填用ミサイルが搭載されている[2]。装填作業は4セル一組のランチャーを装填するため、従来のように一発一発装填するよりも迅速に作業を終えることが可能となる[6]。
【運用】
前述の通り、HQ-17Aは装輪装甲車を中心装備とする中型合成旅における野戦防空任務に用いられる[1]。優れた野外走行能力を有するHQ-17Aは、8×8装輪シャーシを採用した625ガン・ミサイル複合兵器システムと共に部隊に随伴して、高度10〜10,000mの低〜中高度域の防空を担当することになる[1]。また、HQ-16A/B中距離地対空ミサイルなど他の防空システムと連携して、重層的な防空網を構成する運用も可能となっている[1]。現在戦の標準装備となっているデータリンクシステムを用いることで、各車両を繋いでネットワーク化させることも想定されている[3]。
【輸出版−FM2000/HQ-17AE】
HQ-17Aの輸出版としては、当初はFM-2000という名称が付与されていた。これはメーカーが名付けた輸出用名称であり、もともと輸出向けに開発されていたものが中国軍に「HQ-17A」として制式化された流れを受けて、HQ-17Aの輸出版という意味のExport(輸出)の頭文字を付けて「HQ-17AE」という新たな輸出名が与えられた[7]。
HQ-17AEは基本的には中国軍向けのHQ-17Aを踏襲しているが、2022年11月に開催された珠海航空ショーで展示されたHQ-17AEは搭載するレーダーを能力向上型と思われるものに換装。車体後部が一段高くなっており、これは発電能力を強化するためAPUを換装した可能性が指摘されている。
【HQ-17AE火力支援車】
近年のロシア・ウクライナ戦争で見られるように、近年の戦争では小型で安価な小型ドローンが最前線でも多数投入される事例が相次いでいる。安価な機体ゆえに少々の喪失は織り込み済みで、従来型の対空ミサイルで迎撃すると費用対効果が極めて悪く、貴重なミサイルを消耗させられてしまう。中国航天科工二院でも、これに対応するためHQ-17AEから発射可能な安価な「小型巡航ミサイル」を開発して輸出向け市場での宣伝を行っている[8]。
これはまだ実車は登場しておらずPR動画のCGのみが公開されているが、それを基に記述すると、HQ-17AEのターレットを撤去して、新しく小型の自爆型ドローンを搭載したVLSを搭載するというもの。その後方には自衛用のRWS（Remote Weapon System）を装備している[8][9]。
HQ-17AE火力支援車は、HQ-17AEと連携して対ドローン/UAV作戦を遂行する。ドローン/UAVの大量投入に対抗し、多数のSAMや徘徊型爆弾を搭載した「弾薬庫」として防衛側の迎撃ミサイル数を増やす目的があるものと考えられる。
前述の通り、HQ-17AE火力支援車は、VLSに対空ミサイルや徘徊型爆弾を多数搭載している[9]。対空ミサイルは通常通り航空機やUAVの迎撃に用いられるが、投入数が多い小型ドローンや徘徊型爆弾に対しては低コストで手数の多い迎撃手段として、HQ-17AE側も徘徊型爆弾を用意している。多数搭載する徘徊型爆弾を用いて相手の小型ドローン/徘徊端爆弾を迎撃するという構想。HQ-17AE火力支援車が搭載する徘徊型爆弾は、射出されると前後の翼を展開して尾部のプロペラを稼働させて目標に向かって飛翔する。対空ミサイルに比べると圧倒的に速度は遅いが、段違いに安価なコストで、ドローン消耗戦に対抗し得る防空兵器として機能する。複数のドローンが集団となって攻撃するスウォーム攻撃を実施するとされる[8]。射程は15〜20km。ドローン迎撃だけでなく、必要に応じて自らのドローンを敵陣地や車両などに突入させる自爆ドローンとして用いることも可能[8]。
敵味方が大量のドローンを投入することが前提となった現在の戦場において、それに対応した形の防空兵器として構想されたのがHQ-17AE火力支援車だと言えるだろう。CG画像では、レーダーやセンサーについては未搭載であり、誘導はHQ-17AEに依存することになると思われる。VLSに搭載する兵装を変えることで様々な任務に対応することが可能と思われ、今後の展開が注目される新兵器だと思われる。
■'性能諸元：シャーシ''
| 重量 | 30t |
| 全長 | 9.7m |
| 全幅 | 3.1m |
| 全高 | 3.7m |
| エンジン | ディーゼル（400馬力） |
| 最高速度 | 90km/h |
| 航続距離 | 800km |
| 武装 | HQ-17AE対空ミサイル４連装セル×（8発） |
| センサー | 三次元捜索レーダー×1 |
| 追尾・管制レーダー×1 | |
| 光学/電子センサー×1 | |
| 電子戦システム | 電子妨害装置×1 |
| 装甲 | 圧延鋼板装甲 |
| 乗員 | 4名（車長、操縦手、システム管制員×2） |
■ミサイル性能緒元
| 全長 | 2.9m |
| 直径 | 23cm |
| 重量 | 165.0kg |
| 弾頭 | 15kg（HE） |
| 推進方式 | 1段式固体ロケット |
| 最大速度 | 850m/s |
| 射程 | 1,500〜20,000m |
| 射高 | 10〜10,000m |
| 誘導方式 | 中間：無線指令誘導、終末：アクティブ・レーダー誘導 |
【参考資料】
[1]「防空反弹模块 第四方队―野战防空导弹方队之“红旗”-16B、“红旗”-17A防空导弹」『兵工科技�甦� 中华人民共和国成立七十周年国庆大阅兵典藏版』（兵工科技杂志社）81〜86ページ
[2]Military Today「HQ-17A Short-range air defense missile system」http://www.military-today.com/missiles/hq_17a.htm
[3]新浪网「低空猎手：新出口型伴随式野战防空导弹系统HQ-17AE」(2021年3月7日/环球时报)https://mil.news.sina.com.cn/china/2021-03-07/doc-...
[4]Army Recognition「TOR-M2 / TOR-M2E / TOR-M2K SA-15D Short-range surface-to-air defense missile system – Russia」https://www.armyrecognition.com/russia_russian_mis...
[5]江畑謙介「中国も装備するロシア野戦防空システム トール地対空/クリノク艦対空SAM」（『軍事研究』1999年8月号/ジャパン・ミリタリー・レビュー）190〜205ページ
[6] 動画：军武零距离「首次公开！中国新一代防空导弹HQ-17AE震撼亮相 实弹测试现场罕见曝光 4大突出性能揭秘 堪称最强野战防空“神器”！ 20210306 | 军迷天下」https://www.youtube.com/watch?v=Pg1fyhMKLqQ
[7]一清「从FK-3000到反无人机系统――航天科技集团推出反无人机全套解决方案」『兵工科技 2022珠海航展(下)』No.2022.24（兵工科技杂志社）41〜50ページ
[8]搜狐「以牙还牙！中国公布红旗-17AE巡飞弹系统，堪称反无人机最佳方案_防空导弹_图片_发射」(2022年11月10日/《军武次位面》作者：路芷) https://www.sohu.com/a/604352672_120542825
[9] Edgar on Twitter「 "3/3 - Y a juzgar por el video, se está trabajando para crear interceptores de municiones merodeadores lanzados desde el sistema de defensa aérea HQ-17A, desarrollado sobre la base del diseño del complejo ruso Tor-M1.」https://twitter.com/edgar40ar/status/1589769230823...で紹介された中国航天科工集団有限公司(CASIC)のプロモーションビデオ映像を参照
HQ-17中距離地対空ミサイル（紅旗17/トールM1）
中国陸軍