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▼(動画)蓝星军武志「红旗13导弹首次曝光!一车八弹性能强悍,曾在北非击落土耳其战机」(投稿日2025年10月28日)HQ-13に関する解説動画


HQ-13近距離地対空ミサイル(紅旗-13)は、2025年にその存在が明らかになった車載式の短距離地対空ミサイル・システム[1]。「猛士」装輪装甲車を基幹装備とする軽型合成旅の随伴防空兵器として開発された。輸出向けに開発されたFB-10A(飛豹-10A)地対空ミサイル・システムの中国軍向けバージョンであると目されている[2]が、現時点では軽々に判断すべきではないという慎重な意見も存在する[1]。本稿では、前者に基づいて記述を行うが、詳しい開発経緯が明らかになった時点で記事に修正を施していくことにする。

【配備の背景】
中国陸軍の基幹部隊である合成旅は、装備の違いにより、装軌車両中心の重型合成旅、装輪装甲車中心の中型合成旅、「猛士」四輪駆動車/軽装甲車中心の軽型合成旅の3つに区分される。

各合成旅は、それぞれの部隊に応じた対空兵器システムを配備している。まず、広域防空に当たるエリア・ディフェンスについては合成旅の上位レベルに当たる集団軍の防空旅に所属するHQ-16A/E中距離地対空ミサイルがこれを担当する[2]。

合成旅に随伴して部隊防空を担当するのは、重型合成旅では装軌式シャーシを用いた07式35mm自走対空機関砲HQ-17中距離地対空ミサイル(紅旗17/トールM1)を使用。8輪装輪装甲車を基幹装備とする中型合成旅では、8輪装輪装甲車を用いた625式ガンミサイル複合防空システムHQ-17A中距離地対空ミサイル(紅旗17A/FM-2000/HQ-17AE)を配備している[2]。

ここで問題となるのが「猛士」四輪駆動車/軽装甲車を用いる軽型合成旅である。これまで「猛士」を用いた適切な自走対空兵器が欠如していたため、同部隊ではFN-6などのMANPADS(Man-Portable Air-Defense Systems:携帯式防空ミサイルシステム)と74式37mm連装機関砲90式35mm連装機関砲といった牽引式対空機関砲に随伴防空を依存していた[2][3]。当然ながら、これは過渡的措置であり、重型/中型合成旅と同じく、自走可能な防空システムの配備が求められていた[2]。そこには、近年新たな脅威として登場してきたFPVドローンによる自爆攻撃や徘徊弾薬といった兵器への対応能力も求められるようになっていた[3]。

これを満たす防空システムの一つが、今回その存在が明らかになったHQ-13である。HQ-13は、軽型合成旅の基幹装備である「猛士」装輪装甲車を用いることで、部隊に随伴して防空任務に従事する能力を備えた待望の新型防空システムとして配備が開始されたと見なすことが出来るだろう。

【FB-10A短距離地対空ミサイル・システムについて】
HQ-13の原型となったのは、中国航天科技集団公司傘下の第八研究院が開発した輸出向け短距離地対空ミサイル・システムであるFB-10Aであるとされる[2](異説あり[1])。

FB-10シリーズの始まりは、2016年に珠海航空ショーで初展示されたFB-10短距離地対空ミサイル・システムである[4]。FB-10は、自己完結型の対空ミサイル・システムであり、6輪トラックの荷台に旋回式ターレットを搭載。ターレットには、捜索用フェイズド・アレイ・レーダー、捜索・照準用の光学/電子センサ―、4連装ミサイル発射器を搭載しており、一両で対空警戒・目標追尾・照準・攻撃までの過程をこなせる能力を備えていた[4][5]。FB-10ミサイルは、赤外線画像誘導システムを採用しており、発射後の誘導・管制が必要ない「撃ちっ放し攻撃」が可能で、複数目標との交戦能力を備えている[5]。ミサイルの射程は最大10km、射高は15〜5,000mとされる[5]。

一方、HQ-13に繋がるFB-10AはFB-10の大幅改良型であり、2021年の珠海航空ショーで実車が展示されて、その存在が明らかにされた[4]。東風「猛士」第三世代型のCTL-181A型6×6装輪装甲車をベースとしており、車体後部の荷台部分にミサイル発射器を搭載している。シャーシをCTL-181Aに変更したことで、機動性と防御力が向上している。

ミサイルの形状も変化しており、FB-10では円筒形の胴体だったのが、後部胴体が一段太くなっており、ロケットモーターの大型化がなされたと推測できる[2]。FB-10では、ミサイル発射器とフェイズド・アレイ・レーダーは纏めて搭載されていたが、FB-10Aでは、ミサイル発射器とレーダーが分離され、レーダーはCTL-181Aを用いた捜索管制車の車体後部に搭載された。自走ミサイル搭載車には4連装ミサイル発射器×2を装備している[4]。FB-10Aミサイルの最大射程は10〜18km、最大射高は7,500mとされる[2][4]。誘導システムは赤外線画像誘導/レーダー誘導システムのデュアルモードシステムを採用し、マッハ4で対艦ミサイルを迎撃できるHQ-10(紅旗-10)艦対空ミサイル・システムと同等であり、なおかつコストはHQ-10より安価であるとされる[4]。

FB-10Aは、2025年にはアラブ首長国連邦を経由して、スーダンの準軍事組織である緊急支援部隊(RSF)に提供されたとの情報がある[5]。

【性能−車体】
以下では、HQ-13の性能について記述する。

HQ-13のシャーシは、「猛士」高機動車シリーズの第三世代型に当たる「第三世代『猛士』装甲車」ファミリーの一種であるCTL-181A型6×6装輪装甲車を用いている[6]。CTL-181の構造は、車体前部が動力部、車体中央は乗員が乗る装甲キャビン、車体後部が積載区画となっており、HQ-13ではそこにミサイル発射器を搭載する[6]。積載区画は4つのタイヤを配置して重量増に備えている。総重量は14t程度とみられている。シャーシの全長は6.49m、車幅2.36m、車高2.125m、シャーシ自体の自重は10tで2tの貨物を積載可能[6]。

エンジンはカミンズISDe300 40V型6気筒水冷ターボチャージド・ディーゼル(最高出力300馬力)を搭載し、変速機は6段マニュアル式[1][7]。足回りは独立懸架装置を採用し、この油気圧サスペンションは車高調整が可能で、+100mmから-130mmの間で車高を変更する能力を有しており、車高調整により射撃プラットフォームとしての安定性を高める[1]。車高調節は自動制御で行われ、迅速な射撃体勢への移行に功を奏している[1]。常時6輪駆動で路上最高速度は120km/hに達する[1][8]。最大傾斜角60度までの登坂能力、40度までの安定傾斜角度を有し、450mmの垂直な壁を乗り越え、700mmの幅の溝を突破し、水深1.2mまでの渡渉能力を備えている[1][8]。

乗員は合計4名で、車体中央の装甲キャビンに乗車する。キャビン両側面にそれぞれ二枚ずつドアがあり、迅速な乗り降りを可能としている。CTL-181Aの装甲は、小銃弾や砲弾の弾片から乗員を保護するレベルのものを備えている。

【対空ミサイル・システム】
HQ-13は、ミサイルを搭載する自走ミサイル搭載車と、レーダーを搭載する捜索管制車から構成されている。いずれもCTL-181A型6×6装輪装甲車をシャーシに用いている。

自走ミサイル搭載車は、車体後方の荷台スペースに旋回式ターレットを搭載。これに4連装発射器を左右二基積んでおり、合計8発の地対空ミサイルを搭載している[1]。4連装発射器の間には目標追尾に用いる光学/電子センサーが配置されている[2]。捜索管制車は、CTL-181Aのシャーシの後方を一段かさ上げして容積を確保。車体上部にフェイズド・アレイ・レーダー一基を搭載。レーダーは伸縮式フレームの頂部に装着され、未使用時はフレームを車体上部のU字部に収納する。捜索時にはフレームを立ててレーダーを回転させて全周旋回を行う。レーダーの最大探知距離は50km以上であり、優れた同時探知・追尾・誘導性能を備えている[2]。

このミサイルの性能は射程20,000m前後、射高50〜8,000m前後と見積もられており、これは初期のHQ-7近距離地対空ミサイル(紅旗7/FM-80/クロタール)を上回る性能であり、充実したセンサーのバックアップも加味すれば、既存のMANPADSによる随伴防空をはるかに上回る防空能力を確保し得ると考えられる。

ミサイルの誘導システムは、発射した後で地上からの誘導が必要ない「打ちっぱなし」能力を備えた赤外線画像誘導システムと、捜索管制車による無線指令誘導システムのデュアルモードを有しており、これにより電子妨害に対する高い抗湛性を備えている[1][2]。後者の場合は、合計6発のミサイルを同時誘導することが出来、複数の目標に対する高い同時交戦能力を備えている[2]。

【HQ-13の役割について】
HQ-13は軽型合成旅の随伴防空兵器として、主にヘリコプター、ドローン、巡航ミサイル、固定翼航空機の迎撃を任務としている[5]。特に近年その脅威度を増しているドローンや精密誘導兵器への対処において、防空能力を大幅に向上させる装備と目されている[2]。

HQ-13は、部隊単独での交戦と、防空ネットワークに統合されてその一部として運用するどちらの交戦モデルも採ることが可能[5]。HQ-13防空ミサイル・システムは、ますます複雑化する現在戦における空中脅威に対する部隊と重要インフラの生存性向上をその任務としている[5]。各車両は、自律的な交戦判断が可能な射撃管制ユニットとして機能するため、部隊展開の手間を最小化し、分散作戦における兵站負担を最小限に抑えることができる。機動性の高い「猛士」シャーシを用いていることもこの特徴を際立させているといえる。

軽型合成旅では、HQ-13および、同じくCLT-171Aをシャーシに用いたSW-53ガン・ミサイル複合防空システムの配備を進めている[9]。SW-52は輸出名称であり中国軍での制式名称はまだ明らかではない。35mm単装機関砲とHQ-13と同じ地対空ミサイルの単装発射器を二基搭載しており、即応性に優れた機関砲と射程の長い地対空ミサイルを組み合わせることで、異なる脅威に対する対応能力を高めているのが特徴である[9]。

軽型合成旅は、HQ-13やSW-53の配備により、これまで脆弱だった近距離防空能力を向上させ、戦略機動性の高い軽型合成旅の作戦上の独立性を高めると共に、敵の電子妨害下の状況や上位レベルの部隊からの支援を受けられない場合でも、効果的な作戦行動能力を確保することに繋がるとみられている[9]。

【参考資料】
[1]刘乐「中国陆军列装“红旗”-13地空导弹体系」『舰载武器』2025.12B/No.472(中国船舶集团有限公司)7ページ
[2]捜狐「解放军17个轻型旅,全面装备,FB10A导弹,到底有多强悍?」(来源: 万里繁华/2025年3月28日)
https://www.sohu.com/a/876741417_120048357?scm=100...
[3]网易「红旗-13导弹曝光:将成轻型机械化旅标配? 提高我军野战防空能力」(来源: 国平视野/2025年10月26日)https://www.163.com/dy/article/KCPTLBLR0553TJK2.ht...
https://www.toutiao.com/article/667441363702251572... [6]2018年珠海航空ショーの東風汽車展示ブースでの性能表を参照
[4]Army Recognition「China unveils FB-10A short-range air defense missile system」(2021年12月27日)https://www.armyrecognition.com/focus-analysis-con...
[5]Defense Blog「China fields new short-range air defense system」(Daisuke Sato/2025年10月25日)https://defence-blog.com/china-fields-new-short-ra...
[6]马克「全域作战机动火力 – 171E型122毫米车载榴弹炮」『兵工科技2021.19 2021中国珠海航展专辑(下辑/室内展品)』(兵工科技杂志社)10-14ページ
[7]雪球「我军最新型的轻型高机动122毫米车载榴弹炮解疑」(2019年3月31日/喜之狼的札记)https://kknews.cc/zh-cn/military/klm8apr.html
[8]听箭「装甲“猛士”车载炮– PCL-171型122毫米车载榴弹炮」『兵工科技2021.1 2021中国新兵器』(兵工科技杂志社)23-26ページ
[9]Army Recognition「China equips light brigades with SWS3 air defense systems to counter drones during reconnaissance missions.」(2025年5月28日)https://www.armyrecognition.com/news/army-news/202...

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