日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




旧ソ連・ロシアの大型制空戦闘機。当時開発が伝えられていたアメリカのF-14、F-15、F-16等の新型機に対抗するため、またトマホークなどの巡航ミサイルを迎撃するために開発された。開発計画は1969年から始まり、プレ生産型のT-10-7が初飛行したのは1981年3月。これを原型として1982年からコムソモリスク・ナ・アムーレ工場で量産が開始された。Su-27はロシア空・海軍をはじめアンゴラ、エチオピアなど各国に輸出されており、さらに様々な発展型が開発され世界各国に売り込みが図られている。

スホーイSu-27の最初の量産型であるフランカーBは、機首にファザトロンN001 Zhuk(NATOコード”スロット・バック”)パルスドップラー・レーダーを装備しており、最大探知距離250km、目標の最大追跡距離154kmという能力を持つ。MiG-21クラスの小型目標でも前方からなら80kmで補足する事ができる。ルックダウン・シュートダウン能力もあり、輸出型のSu-27SKでは10目標の同時追跡、2目標の同時攻撃が可能になっている(TWS:Track While Scan)。このほかSu-27はRLPK-27ヘルメット装着目標指示装置とOEPS-27 IRST(Infra-Red Search and Track:赤外線捜索追跡)機材及びNSTs-27レーザー測距装置と結ばれている。OEPS-27は操縦席正面に装備されている赤外線捜索システムで、戦闘機級の目標ならば約50km先のエンジン放熱を探知できる。OEPS-27は捜索・探知が出来るだけなので、目標を探知すると組み込まれているNSTs-27レーザー測距器(測距距離10km)で目標との距離を測り攻撃に必要な各種データを揃える。これらの装備によりSu-27は高電子戦下でもレーダー波を発せずに40kmで目標を捜索・追跡する事が可能で、ステルス機を探知するのにも威力を発揮するだろう。RLPK-27ヘルメット装着目標指示装置はR-73赤外線誘導ミサイルのシーカーと連動しており、機軸から60゜の角度までの範囲にいる目標をロック・アップする事ができる。Su-27はBiryuzaと呼ばれるデータリンク・システムを搭載しており、AWACS(Airborne Warning and Control System:早期警戒管制機)や地上の管制施設のみならず戦闘機間でもレーダーで探知した目標データを共有する事が可能になっている。Su-27は制空戦闘時、一般的に4発のR-73赤外線誘導ミサイルと6発のR-27中距離空対空ミサイルを搭載する。

操縦システムは4重のアナログ式フライ・バイ・ワイヤで、SAU-27自動飛行操縦装置も装備されており、あらゆる高度域においてボタンを押すだけで機体を自動的に水平直線飛行に戻す機能を有しているほか、地上の管制施設やAWACSから直接機体を制御する事が可能になっている。主翼の配置は前縁部が前部胴体に溶け込む形になっていて、中央翼部はリフティング・ボディを形成している。この形状は空気抵抗を減らしながら大きな機内容量を確保できるもので、F-16と同様のアプローチだ。主翼前縁付け根は前方に長く延びてコクピット下方まで達する前縁延長(LEX)を構成しており、重心位置の前方で揚力を作り出す事により大きな迎え角で飛行する事が可能になっている。エンジンはサチュルン/リューリカAL-31Fで、4段の低圧圧縮機、9段の高圧圧縮機、冷却式高圧・低圧タービン各1基を持ち12.5トンという大推力を叩き出すターボファン・エンジンである。このようにSu-27は優れた機体形状と大推力のエンジンによる卓越した運動性を有し、また実戦的な武器システムを装備することにより、戦闘機として高い能力を持っていると言えるだろう。

中国がソ連と新型戦闘機の購入交渉を始めたのは1990年だった。これを受けて1991年3月に北京でMiG-29とSu-27のデモフライトが行われ、その結果中国はSu-27を26機購入する契約に調印し、1992年中に20機の単座型Su-27SK(フランカーB)と6機の複座型Su-27UBK(フランカーC)がロシアのコムソモリスク・ナ・アムーレ工場から送られた。さらに中国は1993年に22機のSu-27(SK16機、UBK6機)を7億1,000万ドルで追加購入し、このSu-27第2バッチは1996年までに中国へ送られている。その後中国空軍で教育用のSu-27UBKの不足が判明し、2002年に第3バッチとして28機のSu-27UBKが中国に送られた。

このように中国は合計76機のSu-27をロシアから直接購入したが(ロシアから送られたのは新造機ではなく中古機だったという説もある)、自国でライセンス生産を行うことに強い関心を示していた。この要望によって1995年12月にロシアとの間でライセンス契約が結ばれ、瀋陽航空機工業(SAC)でSu-27の生産が行われる事になった。当時の瀋陽航空機工業はJ-8(殲撃8)及びJ-8供保啖8供棒鐺機の輸出事業に失敗し、J-7(殲撃7)の輸出を各国に行っていた成都航空機工業と比べて経営的に苦しかった。そのため中国はSu-27のライセンス生産を瀋陽航空機工業に任せる事で救済したといわれる。ライセンス生産型Su-27の最初の2機はロシアのKnAAPOから供給される部品を組み立てる完全なノックダウン生産だったが、その後ロシアの技術支援と教育により中国国内で生産する事が可能になった。近代的なSu-27の生産は中国航空産業界にとって全く未知の世界(航空機用チタンの溶接技術等)で、北京の研究所はSu-27の製造技術を徹底的に研究し、中国語の膨大なマニュアルを作成したという。エンジンやアビオニクスなど30%近い部品はロシアから供給されており、完全な国内生産は認められていない。この中国ライセンス版Su-27SKはJ-11(殲撃11)と呼ばれている。J-11の生産は当初幾つかの重大な問題の為に生産が遅れていたが、その後生産は軌道に乗り年間20機程度を送り出すことが可能になった。J-11の初飛行が成功したのは1998年9月1日。J-11は中国空軍用に200機生産される予定だったが、2004年までに96機を生産して中断されている。なおJ-11は単座型しか存在しない。

中国が購入したSu-27SK/UBKはロシア本国で使用されているSu-27と比べて、OPES-27電子光学照準システム(IRST)やECM機器などのアビオニクスのグレードが下げられているという。だが一方でガーディニアECCM(Electric Counter Counter Measure:対電子妨害対抗手段)を中核とするLTTS統合防御システムが追加装備されており、これはF-15EのTEWS(内蔵型戦術電子戦システム)であるAN/ALQ-135と同等の能力を発揮するとも言われている。レーダーはオリジナルのSu-27が限定的なTWS能力しか持たなかったのに対し、10目標の同時追跡、2目標の同時攻撃が可能なN001 Zhuk-VEに強化されている。主にロシアから供給された部品を多く使用した最初の60機に続いて、部品の国産化率を高めコクピットに3つの多機能ディスプレイ(MFD)を装備するなどの改良を加えたタイプに生産が切り替えられた。この機体はJ-11Aと呼称されている。J-11Aはそれまで運用可能だったR-27R/RE1セミ・アクティブ・レーダー誘導ミサイルに加えてR-77アクティブ・レーダー誘導ミサイルの運用が可能となり本格的な同時多目標攻撃能力が付与されている。J-11Aに続いて登場したのが、中国が独自の改良を施したJ-11B戦闘機であるが、詳細は当該ページを参照されたし。

2006年11月27日のロシア電子新聞によれば、現在ロシアの2つのエンジン製作企業が中国空軍のSu-27のエンジン・アップグレード事業受注を競っているという。競っているのはサリュート社(AL-31F M1を提案)とサターン社(117Sを提案)で、中国空軍は2007〜2008年に26機のSu-27(国内生産のJ-11ではない?)改修用として1億8,000万ドルで52基の新エンジンを購入する計画。AL-31F M1は元々Su-27に装備されていたAL-31Fの強化型で、アフターバーナー使用時の推力が122kNから133kNに増加している。一方の117Sは3次元推力偏向ノズルを持つAL-31P(インド空軍のSu-30MKIが装備)の発展型。なお、Su-27のエンジン交換の件は新型エンジンではなくAL-31Fの追加購入という形で決着することになったため、新型エンジンの調達は実現しなかった。

Su-27の整備機材や車輌は1970年代の技術で作られたもので、重量や容積が大きく空輸できないものが多いという。このためSu-27が中国国内で展開・整備できる基地は限定されている。また大型の発電車や高圧酸素・窒素の供給が不可欠で、各整備機材がシステム化されていない為に整備に多くの時間を要するようだ。整備機材そのものの故障率も高く問題になっている。Su-27用の潤滑油はロシアからの輸入に依存していた為に、常に不足気味だという(中国製潤滑油は硫黄分が多く使用できない)。Su-27自体の整備性は第1、2世代の戦闘機と比べると、機体を分解せずにエンジンを交換できたり整備パネルがアクセスし易いなど良好だ。しかしSu-27は高温地域での運用が考慮されておらず、特に電子装備の絶縁体が湿気や高温の影響を受け不具合を生じていると言われている。またSu-27導入当初、AL-31Fエンジンの分解修理・整備はロシアに送り返して行わなければならず、これが稼働率を下げる一因となっていた。この問題は2001年に大規模なエンジン修理工場が中国国内に完成した事で解決し、Su-27(J-11)自体の分解修理・補修についても2003年から完全に国内で行う事が可能になった。

Su-27は安徽省蕪湖の第3戦闘機師団に最初に配備され、続いて広東省遂溪の第2戦闘機師団に配備された。第3バッチとして送られた複座型のSu-27UBKは四川省重慶の第33戦闘機師団に配備されている。ライセンス生産型のJ-11は遼寧省瀋陽の第1戦闘機師団、甘粛省蘭州の第6戦闘機師団、北京の第7戦闘機師団、江蘇省南京の第14戦闘機師団、山東省済南の第19戦闘機師団に分散配備されている。

中国空軍は限定的な対地攻撃能力しか持たないSu-27に満足しなかったため(自由落下型爆弾とロケット弾程度しか運用できない)、Su-27を改良発展させ対地攻撃能力を大幅に強化したSu-30MKK多用途戦闘機をその後導入した。中国海軍はSu-30MKKの能力向上型であるSu-30MK2戦闘機を導入している。

【2007年12月25日追記】
「漢和防務評論」2008年1月号の記事によると、中国はスホーイの協力の下で2005年からSu-27SK/UBKとJ-11基本型の近代化改装に着手し、2007年末の段階で70機の改修が完了したとの事。ただし、この改修は火器管制システムに改良を加えてR-77アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイルの運用を可能とする程度の小規模なものであり、レーダーの換装や対地・対艦攻撃能力の付与などは行われていない。

【2008年6月13日追記】
中国はロシアのウラル光学機械工廠との間で、中国空軍のSu-27やSu-30シリーズのIRSTやレーザー測遠器といった光学電子システムのアップグレードに関する協定を締結。ウラル光学機械工廠は中国に対して、改修作業や整備・補修に必要な機材を提供することになった[1]。

【2013年3月31日追記】
訓練中のSu-27UBKが山東省栄成市虎山鎮長会口大橋の北200mの砂浜に墜落(胴体着陸)し、パイロット2名が死亡した。

【中国におけるSu-27派生型一覧】
Su-27SKSu-27の輸出型。Kは中国を表す。36機をロシアから輸入。
Su-27UBK複座型フランカー。40機をロシアから輸入。
J-11Su-27SKのライセンス生産型。レーダーはN001 Zhuk-VEに換装。60機を生産
J-11AJ-11の改良型。グラスコクピット化を進め、アクティブ・レーダー誘導ミサイルの運用を可能とした。36機が生産。
J-11B中国製コンポーネントを大幅に使用した独自改良型。レーダーやミサイルなども中国製に変更。
J-11BSJ-11Bの複座型。
Su-30MKKロシアから76機を調達したマルチロール戦闘機。空軍に配備。
Su-30MK2Su-30MKKの発展型。対艦攻撃能力の向上が図られている、ロシアから24機を調達し海軍航空隊に配備。
J-15Su-33やJ-11Bを基に開発された艦上戦闘機型。

J-11性能緒元
重量16,380kg
全長21.49m
全幅14.70m
全高6.36m
エンジンAL-31F A/B12,500kg ×2
最大速度M2.35
航続距離3,680km
上昇限度19,850m
武装GSh-301 30mm機関砲×1(150発)
 R-27中距離空対空ミサイル(AA-10 Alamo)シリーズ
R-77空対空ミサイル(中国)(J-11A以降の機体と改修型のみ。)
 R-73赤外線誘導空対空ミサイル(AA-11 Archer)
 各種爆弾/ロケット弾など4トン
乗員1名(Su-27SK/J-11)、2名(Su-27UBK)


▼複座型のSu-27UBK


【参考資料】
月刊航空ファン(文林堂)
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
Jウィング特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
漢和防務評論 2007年10月号
漢和防務評論 2008年1月号「中国改良Su-27SK戦闘機」
地平線の雨
MASDF・Su-27マイティウィング
Chinese Defence Today
Chinese Defence Blog
Chinese Military Aviation
MILAVIA"Sukhoi Su-27 'Flanker' - Variants List"
Yahoo!ブログ〜ロシア・ソ連海軍〜
中国武器大全
2ch「軍事板-中国兵器スレ」
中華網「俄将為中国空軍昇級蘇系戦機光電系統」(2008年6月2日)[1]

【関連項目】
J-11B/BS戦闘機(殲撃11B/殲撃11BS/Su-27)
Su-30MKK/MKK2戦闘機(中国)
Su-30MK2戦闘機(フランカーG)(中国海軍)
J-15艦上戦闘機(J-11BH/殲撃15)

中国空軍

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