日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


中国空軍の次世代戦闘機開発計画の存在についてはじめて具体的な言及を行ったのはアメリカ海軍情報部(ONI)や軍事情報誌JDWであった。

初期の情報ではSu-27やF-15クラスの複座戦闘機を2015年頃までには実用化するという程度の内容であったが、次第に情報が増加していく。中国航空工業第1集団公司(AVIC-I)傘下の成都航空機工業(CAC)第611研究所と瀋陽航空機工業(SAC)第601研究所がそれぞれ次世代戦闘機の研究開発に着手している事が伝えられた。この次世代戦闘機は、米F-22の様なステルス性や高い機動性が付与された西側の第5世代戦闘機に相当するものを目指している事が明らかになった。なお、中国では、西側の第5世代戦闘機に相当する機体を「第4世代戦闘機」と呼称するが、これは中国と西側諸国の間で戦闘機の世代の数え方に相違がある事に起因する。(中国ではJ-5/J-6を「第一世代戦闘機」、J-7/J-8IIを「第2世代戦闘機」、J-10/J-11を「第3世代戦闘機」と位置付けている。)

【瀋陽航空機工業(SAC)/601研究所案】
瀋陽は1980年代末〜90年代初頭、「1993工程」「第三世代戦闘機」「戦闘機D」などと呼ばれる計画名称で次世代戦闘機に関する研究に着手した[1]。

2002年、中国航空航天工業第一集団公司(AVIC-I)の幹部筋からの情報として、瀋陽は既に中国空軍の次世代大型戦闘機のための研究開発に着手していることが報じられた[1]。AVIC-Iは同年開催された珠海航空ショーで公開したプロモーションビデオの中で、簡単に次世代戦闘機について紹介した。このビデオに登場した風洞試験用の縮小模型は、アメリカのF-22に似た双発エンジン機であったが、垂直尾翼はF-22とは異なり単尾翼で、胴体後部にベントラル・フィンを配置した形状の機体だった[1]。この機体は、J-12と呼ばれるようになるが、これは制式名称ではなく外部からの非公式名称。J-12は、推力偏向装置を採用したWS-10Aターボファンエンジンの改良型を搭載することになっていたが、これが間に合わない場合はロシア製AL-31Fを搭載する可能性が高かったであろう。

その後、瀋陽はJ-12の設計を発展させる形で、さらなる機動性の向上を目指して通常形式の機体にカナード翼を追加した三枚翼機(「トライプレーン」配置)の設計案(外部からはJ-19や「雪鵠」と呼ばれる[1][7])を提案するが、最終的には成都が提案したJ-20設計案が空軍に採用される結果となった[1]。

瀋陽では、J-12、J-19といった大型双発ステルス戦闘機の設計案と並行して、アメリカのF/A-18やロシアのMiG-29に相当する中型双発エンジンのステルス戦闘機についても研究していたとの情報がある。J-13と仮称される中型戦闘機はWS-13もしくはロシアのRD-93エンジン二基を装備した多用途戦闘機であり、空母での運用も想定されていたとされる。しかし、J-13の設計は概念段階に留まった模様で、瀋陽ではロシアのSu-33に範を取ったJ-15艦載戦闘機の開発に進む事になる[1]。

【成都航空機工業(CAC)/第611研究所】
成都航空機工業(CAC)第611研究所(以下では「成都」と略す)が、次世代戦闘機の開発作業を開始したのは、同社が担当したJ-10戦闘機の開発成功後であったとされる[1]。最初の概念案の段階では、J-10の拡大改良型として、ロシア製RD-93/WS-13の双発エンジンでカナードデルタ+双垂直尾翼の機体が構想され、空軍だけでなく海軍の空母艦載戦闘機として運用が行われることが考えられていた。この内、空母艦載機としてはSu-33をベースとする瀋陽のJ-15が採用され、成都案は新規開発のリスクが懸念された結果退けられる事になる。

成都の次世代戦闘機設計案については2006年にその存在が報じされ、西側ではJ-14の名称で呼ばれる事になる[1]。このとき報道された画像は実際にはCGであったが、双発+カナードデルタ+双垂直尾翼というコンセプト自体は、後のJ-20で実用化している[1]。

成都の当初の設計案では、推力8.5〜9.0kN級のRD-93/WS-13エンジンを搭載する中型多用途戦闘機が構想されていたが、大型戦闘機を提案する瀋陽との競争や空軍の意向もあって、成都の設計案もWS-10改良型やAL-31Fを搭載した大型戦闘機へと発展する事になる[1]。J-14と呼ばれる事が多いこの設計案は、推力偏向装置を備えたWS-10A/AL-31FNを二基搭載した最大離陸重量20tクラスの戦闘機であり、超音速巡航が可能な機体であった[1]。

【成都案の採用】
次世代戦闘機に関する瀋陽と成都の競争は、最終的に成都案が採用されて本格的開発へと進む事になった。成都案の採用に至る詳しい経緯は公開されていないが、瀋陽が採用した三枚翼機のデメリット(制御系統の複雑化、カナード+主翼+水平尾翼を配置するため胴体が長くなってしまう、ステルス性で不利など)が、空軍の不評を買い、よりリスクの低い成都案の採用となったのではないかとの推測がなされている[7][8]。

2009年11月8日に放送されたCCTVの報道番組において、中国空軍の何為栄副司令員は中国空軍建軍60周年を記念するインタビューの中で、中国が開発中の「第四世代戦闘機」は現在開発が進行中であり、まもなく初飛行が実施されるであろうと述べた[5]。中国空軍の高官が公に次世代戦闘機の開発を認めたのは今回が初となる。中国空軍創設60周年(2009年11月11日)を機に公表したものと推測されている[6]。インタビューでは「第四世代戦闘機」は8〜10年後の実用化が可能であろうとの見通しも示された[5]。

成都は、2009年末には次期戦闘機の原寸大模型を製造し、2010年5月までには試作機2機の製造に着手した事が報道された[1]。2010年12月22日には、最初の試作機(機体ナンバー2001)が初飛行に成功した[1]。これ以降の経緯についてはJ-20の項に譲る。

【参考資料】
[1]Andreas Rupprecht『DRAGON’S WINGS – CHINESE FIGHTER and BOMBER AIRCRAFT DEVEROPMENT』(Classic/2013年)208〜211頁
[3]Chinese Defence Today「J-XX 4th-Generation Fighter Aircraft」
[4]Chinese Military Aviation
[5]新華網「《面対面》対話何為栄:中国正在研制第四代戦機」(2009年11月9日)
[6]時事ドットコム「中国、第5世代戦闘機を開発=「近く初飛行」と空軍首脳」(2009年11月10日)
[7] 新浪军事「沈飞四代机科幻方案曝光 曾是歼20最大竞争对手(图)」(2017年10月12日)
[8]新浪军事「沈飞4代战机方案设计科幻 却因一致命缺陷败给歼20」(2017年10月13日)

【関連項目】
J-20(殲撃20/J-XX/718工程)
中国空軍

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