日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼2010年11月に珠海航空ショーで展示されたL-7練習機の試作機



性能緒元
最大離陸重量1,290kg
エンジンM-14X空冷レシプロエンジン(360hp)×1
最大速度350km/h
最大上昇率11m/s
航続距離1,300km
最大加重+9G〜-5G
乗員2名

L-7/練7練習機「雛鷹」(練7は会社での名称。「雛鷹」は民間型の名称。軍の制式名称は初教7となる予定)は、長年中国空軍の初等練習機として運用されてきたCJ-6の後継機として洪都航空工業集団公司がロシアのヤコブレフ設計局と共同開発中のレシプロ複座練習機。L-7はヤコブレフが開発したYak-152をベースとしており、ロシア側ではYak-152K(Kは「中国」のロシア語「Китай」の頭文字)の名称で呼ばれている[1]。

中国空軍は1993年ごろからCJ-6の後継機に関するスタディを開始していた。しかし、空軍の予算の重点は戦闘機や攻撃機などの正面装備に置かれており、練習機の更新は当面据え置かれる状況が続いた[1]。中国空軍と洪都航空工業集団公司によって実施されていた次世代初等練習機に関する技術評価は、2003年になって漸く完了したが、これと同時期にロシアのヤコブレフ設計局が洪都に対して初等練習機の共同開発について打診してきた。ヤコブレフの提案は、ロシア空軍向けに同設計局が開発していたYak-152を元に改良を加えた機体を共同開発・生産するというものであった[1]。

洪都は2004年3月にYak-152の評価を行い、同機は中国空軍の全ての要求を満たすものであるとの結論を得て、洪都とヤコブレフはYak-152K(洪都での名称はL-7=「練7」教練機)の共同開発に関する協定を締結した[1][2]。協定では、双方のワークシェアと出資比率を50:50とする事、ヤコブレフが機体設計と機体のテストを、洪都が試作機の製造に責任を追うとされた[1]。同時に、中露両国にYak-152Kの生産ラインを構築する事も決定された。両国で運用されるYak-152Kは、中露両軍の要望に応じて異なるアビオニクスを搭載すると見られている[1]。

協定では開発期間は3年間とされ、2006年末までに細部設計作業を完了、2008年末までに試製1号機を製造し、2009年初めに初飛行を実施する予定であったが、実際に試作機が完成したのは計画より1年遅れの2010年10月末となった[1][2]。この試作機は同年11月に開催された珠海航空ショーに出展されて、その存在を公にしている[2]。

【機体について】
L-7/Yak-152Kは、タンデム複座のレシプロ機で、主翼の直線翼は低翼配置となっている。降着装置は引き込み式の前輪式三車輪で、初教6と同じく不整地や道路などからの離陸も可能とされる。

エンジンは空冷式レシプロエンジンのM-14X(360hp)、プロペラは3枚式。最高速力は350km/h、最大上昇率は毎秒11m、最大航続距離は1,300km[3]。燃料系統は重力供給方式と加圧供給方式の併用だが、これはアクロバット飛行においていかなる体勢にあっても安定した燃料供給を実施するための措置[2]。L-7は、+9Gから-5Gまでの機体加重での飛行能力を有しており、機体寿命は30年間を想定している[2]。

コクピットはタンデム式で、前席に訓練生、後席に教官が搭乗する[1]。一体型キャノピーは右開き式で、射出座席(ロシア製SKS-94Mゼロ・ゼロ射出座席)が標準装備されている[2][3]。操縦桿は前後の座席それぞれ備えられており前後いずれの座席においても操縦が可能。操縦席の計器盤は多機能表示装置(MDF)を用いたグラス・コクピットが採用され、人間工学に配慮した設計により操作性の向上に資している[2]。基本的な飛行技能や航法訓練を実施するための航法装置や通信機を標準装備する[1]。コクピットは完全密閉化され、既存の初等練習機のCJ-6とは異なり外気温や気圧に左右される事無く訓練を実施することが可能となった[2]。

L-7の価格は200万人民元(約2,500万円)以下とされている[2]。L-7/Yak-152Kは、空軍や海軍航空隊で初教6に代わる初等訓練機として運用されるほか、民間の飛行学校などでの使用も想定しており、中国国内だけで軍民合わせて300機の需要があるものと推定されている[1]。また、国際市場への売込みを前提として、中国やロシアでの飛行認可だけでなくFAA(Federal Aviation Administration:米連邦航空局)やJAA(Joint Aviation Authority:欧州合同航空公団)の認可を得る事も予定されている[1]。

【注】
L-7の民間型ニックネームである「雛鷹」は、実は既にCJ-6に与えられた名称である。同じ名称を付与(もしくは襲名?)した具体的な経緯については現時点では不明で、今後の情報が待たれる所。

【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「L-7 Basic Trainer」
[2]新浪网「国产初教七座舱堪称豪华单价低于200万人民币」(2010年11月14日)
[3]Chinese Military Aviation「JL-7 Baby Eagle」

中国空軍

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