日本の周辺国が装備する兵器のデータベース



▼パキスタン海軍のタリク級駆逐艦(旧英アマゾン級フリゲイト)から発射されるLY-60N。


▼LY-60Nの6連装ミサイル発射機


▼LY-60Nの追尾・管制用レーダー


LY-60N性能緒元
全長3.89m
直径20.8cm
翼長0.68m
重量220kg
弾頭高性能HE/弾片
弾頭重量33kg
推進装置1段固体推進薬ロケットモーター
最大速度マッハ3?4
射程1,000-18,000m
射高30-12,000m
誘導方式セミアクティブ・レーダー誘導

LY-60N(猟鷹60N)はHQ-64中距離地対空ミサイル(紅旗64/LY-60/猟鷹60)の艦載型である。開発元は上海学院の宇宙航空技術部。LY-60Nは輸出向けの名称。LY-60Nは中国海軍では使用が確認されておらず、運用されているのはパキスタン海軍のみである。

中国は1980年代にイタリアからアスピーデ中距離空対空ミサイルを輸入し、これを基にして中国初のBVR(Beyond Visual Range:視程外)攻撃能力を有するPL-10PL-11中距離空対空ミサイルを開発した。これらの技術を元にして、地対空/艦対空ミサイルとして発展させたのがLY-60である。当初はイタリアとの共同開発であったが、1989年の第二次天安門事件による制裁措置によりイタリアからの技術協力は停止された。しかしその後も開発は継続され、1994年10月には部隊配備に漕ぎ着けたとされている。

LY-60Nは中/低高度の航空機、低空域の対艦ミサイルやヘリコプターを目標にしている。LY-60Nはミサイル発射機、追尾・管制用レーダー、指揮管制システム等から構成されている。ミサイルは6連装発射機に搭載される。垂直発射型(VLS:Vertical Launching System)が開発されているとの情報もあるが、その真偽や詳細については不明である。ミサイルを収納している密封式ランチャーはフリーメンテナンス式で、10年以上の耐用年数を有している。ミサイルの大きさは全長3.89m、直径20.8cm、翼長0.68m、重量220kg。ミサイルの形状は原型のアスピーデに類似している。ミサイルにはX字型に安定・制御翼が装着されている。安定・制御翼は折畳み式ではないため、ランチャーは比較的大型のものになっている。

LY-60Nのシステムは高度な自動化が行われており、高いECCM(Electric Counter Counter Measure:対電子妨害対抗手段)能力を有している。艦の捜索用レーダーで探知された目標のデータはLY-60Nの管制用レーダーに送られ、管制用レーダーは発射されたミサイルの目標への誘導を行う。ミサイル1発の撃墜確立は60?90%。同時に誘導可能なミサイル数は搭載された管制用レーダーの数に左右される。LY-60Nを搭載しているパキスタンのタリク級(Tariq)駆逐艦(旧英アマゾン級フリゲイト)の場合、搭載している管制用レーダーは1基のため、一度に誘導可能なミサイルは1発に留まる。

LY-60Nは海外市場向けに積極的な売り込みが行われ、パキスタンやイランへの輸出に成功したとされる。パキスタンではイギリスから購入したタリク級6隻のうち3隻に、LY-60Nを搭載する近代化改装を実施した。この3隻はパキスタン海軍で最も有力な艦対空ミサイル搭載艦となっている。

【参考資料】
中国軍事用語辞典(茅原郁生/蒼蒼社)
週間ワールド・ウェポン No.111(DeAGOSTINI)
Global Security
Chinese Defence Today
Pakistan Military Consortium
我的備忘録「中国”猟鷹-60”導弾系統(図文)」
中国武器大全

【関連項目】
HQ-64中距離地対空ミサイル(紅旗64/LY-60/猟鷹60)

中国陸軍
中国海軍

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