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rglc85tj8h 2023年06月17日(土) 23:06:18履歴
▼動画「PCP 001型82毫米车载速射迫击炮 Type PCP-001 82mm Self-propelled Morta」
▼動画「首次公开!解放军曝光82毫米车载速射迫击炮供弹方式 看高原“战獒”现场展示惊人射速!20230616 | 军迷天下」弾薬クリップへの装填方法などを見ることが出来る
PCP-001型82mm装輪自走速射迫撃砲は、東風汽車公司製EQ2050A四輪駆動車「猛士」のシャーシに、82mm速射迫撃砲を搭載した自走迫撃砲。制式名称は「PCP-001型82mm車載速射迫撃炮」[2]。輸出向け名称としてCS/SS4の型式名が付与されている[9]。
空挺部隊では既に「鉄鷹」四輪駆動車に99式82mm速射迫撃砲(W-99)を搭載した自走迫撃砲を配備しているが、同車は砲の反動を抑えるには車体が軽量に過ぎたため、射撃時の振動が大きく理論上の最大発射速度を発揮困難で、全周射撃が出来ないなどの問題が存在した[3][4]。PCP-001は、この問題を解決するために開発された車両である。シャーシを「鉄鷹」四輪駆動車よりも大型のEQ2050「猛士」に変更し、砲架、弾薬、火器管制システムなどに全面的に手を加えて実用化にこぎつけた[3]。制式化の年は資料によって違いがあり、資料[3]では2007年、資料[4]では2014年と諸説ある。資料[4]では、輸出向けに開発されたCS/SM-1型81mm装輪自走速射迫撃砲が先にあって、PCP-001はこれを基にして製作されたとしている。PCP-001には「戦獒(チベタン・マスチフの意)」の公式愛称が付与されている[3]。
【性能】
PCP-001は、東風汽車公司製のEQ2050A「猛士」四輪駆動車の荷台部分に82mm速射迫撃砲のオープントップ式砲塔を搭載している[1][3]。PCP-001はEQ2050譲りの高い野外走行性能を有しており、路上最高速度は100km/h、航続距離は550km。深度1mまでの河川を渡河し得る[3]。
乗員は4名で、前部席の右側に車長、左側に操縦手、後部砲塔に迫撃砲を挟んで、左座席に装填手、後右座席に砲手が着座する[3]。装填手席の背後には弾薬クリップに収納された砲弾ラックが配置されている。フロントウインドは走行時にのみ展開して射撃の際は射撃の妨げにならないように前に倒される[4]。操縦席部分は、長距離移動の際には脱着式ルーフを装着することも可能[4]。「鉄鷹」四輪駆動車に99式82mm速射迫撃砲(W-99)を搭載した自走速射迫撃砲では、射撃時に振動抑制のためアウトリガーを展開していたが、PCP-001は反動抑制技術の導入やプラットフォームの大型化により安定性が増したことでアウトリガーを装備する必要がなくなり、射撃の迅速化に資している。
【武装】
PCP-001の主兵装である82mm速射迫撃砲は、旧ソ連の2B9M「ワシリョーク」82mm自動迫撃砲の中国版である99式82mm速射迫撃砲(W-99)の改良型で、車載化に当たって砲身長を延伸し、砲身の厚みを増した他、砲架、弾薬、火器管制システムなど全面的な設計変更が施されている[3]。砲身厚を増したのは、連続射撃時の砲身加熱対策の一環であり、ライフルリングにも温度が下がりやすい加工を施したとの事[3]。
PCP-001の砲システムは、砲、砲架、駐退復座装置、電気モーター、弾道計算機、光学照準器、レーザー測遠器、微光式暗視装置などで構成される[1][2]。砲の動作はモーターを使用した電気駆動式を採用。弾道計算機により迅速に目標の諸元を算出し、諸元に基づいて自動的に砲の操作が行われることで、射撃開始までの時間を短縮している。PCP-001は、通常の迫撃砲が砲口から砲弾を装填・発射する前装式なのに対して、弾薬クリップ(装弾数4発)を機関部右側にセットして装填する後装式を採用している[3]。
PCP-0001の82mm砲弾は弾長500m、重量は約4.2kg。砲弾の種類は、遠距離殺傷榴弾、鉄球入り殺傷焼夷弾、対装甲用弾、煙幕弾、照明弾などが用意されている[1][3]。弾薬クリップに4発を装填した際の重量は24kgとなる[3]。PCP-001は、4発入りの弾薬クリップを2秒で打ち尽くす高い発射速度を有しており、理論上は毎分110〜120発の発射速度になるが、24kgのクリップを連続装填するのは装填手にとって負担が大きく、実用上の最大発射速度は毎分40発[1]。ただし、連続射撃を行うと砲身加熱が生じるので、実際の運用では短時間の連射を行って、陣地転換を行いその間に砲身を冷却して、再度射撃を行うという方法で砲身加熱を抑制する[3]。
曲射照準射撃の場合、射程は400〜6,000m[3]。82mm砲は全周射撃が可能なだけでなく、迫撃砲としては珍しい水平射撃能力を備えており、直接射撃により目標を打撃することもできる。全周旋回射撃が可能で、付仰角は-1〜85度と高所に位置する目標を直射攻撃する能力を有している。
PCP-001の火器管制システムは、曲射射撃モードと直射射撃モードを選択可能。システムは、弾道計算機、レーザー測遠器、微光増幅式暗視装置などで構成される[3]。間接射撃の場合は、自車もしくは友軍の偵察車両やUAVなどから得られた情報に基づき諸元を端末に入力、車長の指揮の下で一連の手順を踏んで射撃が実施される[3]。チベット高原などの高地では砲弾の飛翔が低地とは異なるので、それに基づいた高原射撃表を用いて射撃を行う[3]。直射の場合は、レーザー測遠器で目標の距離を測定して算出した諸元に従って射撃を行う[2]。直射時の最大有効射程は400m[2]。
迫撃砲は曲射照準射撃の場合、高い山形の弾道を描き滞空時間が長くなるので対砲レーダーに探知されやすい。PCP-001は、「猛士」譲りの高い路上/野外走行能力を備えており、速射迫撃砲の性能と相まって迅速に陣地展開を行い、集中射撃を行った後、速やかに撤収を行う[1][2]。装甲を備えてないPCP-001にとっては迅速な機動により防御能力の欠を補うことが不可欠となる。
高い発射速度を有するPCP-001にとっては弾薬補充が戦力維持の重要な要素となる。そのため、PCP-001と同じ「猛士」四輪駆動車をベースとしたVPY-001A型82mm車載速射迫撃砲弾薬輸送車が開発され、PCP-001とセットで運用されている[1][3]。
【運用】
PCP-001は、間接射撃・直接射撃のいずれも可能なことから、戦場のさまざまな状況に対応して柔軟な運用ができる[1][3]。歩兵営(大隊に相当)に対する火力支援のほか、煙幕弾、照明弾などを使用して部隊の作戦を支援する。機動性に優れ、輸送機による空中輸送・パラシュート降下も可能なPCP-001は、緊急展開部隊である軽型合成旅、国境警備を担当する辺防部隊、空軍の降下部隊である空降部隊などに配備され、歩兵部隊の火力打撃力の一環を構成している[3] [5]。
PCP-001は、その高い発射速度を生かして、暴露目標、簡易な野戦陣地、敵の砲兵陣地等を打撃して、歩兵部隊の攻撃の支援を行う[5]。一発当たりの砲弾の威力は大口径の120mm迫撃砲等には遜色があり、射程も6kmと決して長いものではないが、毎秒三発、小隊単位だと数秒間で100発にもおよぶ圧倒的な単位時間当たりの投射弾数でそれを補う形となる[5]。軽型合成旅の場合は、歩兵営(大隊に相当)隷下の2個迫撃砲排(小隊に相当)と2個ロケット砲排を有しており、2個迫撃砲排はPCP-001×6輌を、2個ロケット砲排は63式107mm12連装ロケット砲×6門を装備して、歩兵部隊の火力支援を担当する[8]。そして、必要に応じて旅団砲兵の09式122mm装輪自走榴弾砲(PCL-09)と連携して支援火力任務を担う事が想定されている[4][5]。PCP-001は、迫撃砲として反斜面陣地や峡谷、森林地帯などの陣地への曲射攻撃を行うのみならず、水平射撃も可能なため、展開する部隊に随伴して突撃作戦や市街戦などにおいて直射支援任務を行う事も想定されている[6]。ただし、PCP-001は無装甲のため、このような直射支援任務では敵の反撃を考慮した運用が必要となる。
高い機動性をそなえた「猛士」四輪駆動車と82mm速射迫撃砲の組み合わせは迅速なヒットエンドランを可能とし、短射程ながら高い発射速度を備えた速射迫撃砲の特性を引き出す組み合わせであると評価し得る。ただし、一発当たりの威力よりも瞬発的な投射弾量で勝負する車両であり、防御力皆無である点など、運用面で注意すべきことが多い兵器でもある。空挺部隊、緊急展開部隊、国境警備部隊といった軽装備中心にならざるを得ない部隊を中心に配備されているのも、PCP-001の特性を生かすための措置であると考えられる。
「猛士」四輪駆動車を生産する東風汽車集団傘下の東風越野車有限公司(Dongfeng Off-road Vehicle Co., Ltd.)は、PCP-001を「CS/SS4」の輸出用名称で海外市場への売り込みが図っている[9]。すでに81mm口径の速射迫撃砲を搭載したCS/SM-1型81mm装輪自走速射迫撃砲が存在するが、これは西側規格の81mm迫撃砲を運用する国への輸出を想定したものであり、CS/SS4は旧東側規格の82mm口径の迫撃砲を運用する国々への販路拡大を意図したものであると考えられる。
■''性能緒元'[3][7]
【車両】EQ2050A
全備重量 | 5t |
全長 | 4717mm |
全幅 | 2210mm |
全高 | 2485mm(未搭載状態) |
エンジン | カミンズ EQB150-20直列四気筒ターボチャージド水冷ディーゼルエンジン(150hp) |
最高速度 | 100km/h(路上) |
航続距離 | 550km |
装甲 | なし |
乗員 | 4名 |
【兵装】[1][3][4][6]
武装 | 82mm速射迫撃砲×1 |
搭載弾数 | 不明(参考:輸出向けのCS/SM-1型81mm装輪自走速射迫撃砲の場合は64発) |
射程 | (曲射)400〜6,000m、(直射)400m |
発射速度 | 40発/分(実用) |
俯仰角度 | -1〜+85度 |
旋回角度 | 360度 |
【参考資料】
[1]Army Guide「PCP001/CS/SM1」http://www.army-guide.com/eng/product4859.html (2022年1月20日閲覧)
[2]新浪网_新浪军事「我军大量82毫米自行迫击炮曝光 速射猛烈(图)」(2015年04月22日)http://mil.news.sina.com.cn/2015-04-22/0949828569.... (2022年1月20日閲覧)
[3]MdEditor「高原战獒打了就跑,详解PCP-001型82毫米车载速射迫击」(2021年3月23日/蒋蒋烽火谈)https://www.gushiciku.cn/dl/12yop(2022年1月20日閲覧)
[4]汽车之家「中国品牌之"二汽"猛士PCP1速射炮装备史」(2015年7月7日/宋楠)https://chejiahao.autohome.com.cn/info/1027226/ 2022年1月20日閲覧)
[5]荒木雅也「習近平の中国人民解放軍」『PANZER』2021年8月号、28〜52ページ(アルゴノート社)41ページ
[6]每日頭條「天天漲姿勢第3期:中國傘兵為什麼要裝備速射迫擊炮?」(2015年4月20日/圖說軍事)https://kknews.cc/military/b2ogorm.html (2022年1月20日閲覧)
[7]东风猛士越野车网「猛士越野车EQ2050A 长头溜背软顶车型」http://www.dfyyc.net/html/mengshijixingche2.html (2022年1月20日閲覧)
[8]每日頭條「解放軍打造世界最強輕型步兵營,手握三大利器打垮敵步兵團」(2018年2月13日/由 範小叻叻) https://kknews.cc/military/6e8oa3q.html (2022年1月23日閲覧)
[9]Army Recognition「AirShow China 2018: Dongfeng CS/SS4 82mm self-propelled mortar system」(2018年11月13日)https://www.armyrecognition.com/airshow_china_2018... (2022年1月24日閲覧)
【関連項目】
99式82mm速射迫撃砲(W-99)
CS/SM-1型81mm装輪自走速射迫撃砲 【輸出用】
「鉄鷹」特殊車
中国陸軍