日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


基隆級駆逐艦(キッド級)のMk26発射機に搭載されたスタンダードSM-2MR艦対空ミサイル


SM-2MR性能緒元
全長4.72m
翼幅1.08m
直径34.3cm
重量708kg
最大速度マッハ2.5+
射程166km
誘導方式中間誘導:慣性航法誘導(目標情報更新有り)
終末誘導:セミアクティブ・レーダー誘導

アメリカ海軍は、1960年代後半からRIM-2テリアとRIM-24ターター艦対空ミサイルをRIM-66「スタンダードMR(SM-1MR)」とRIM-67「スタンダードER(SM-1ER)」によって代替した。[1]。

RIM-67スタンダードER(ERは「Extended Range:延長射程」の略称)はRIM-2テリアの発展型であるブースターを装備した長射程型であり、RIM-66スタンダードMR(MRは「Medium Range:中射程」の略称)はRIM-24ターターの発展型であるブースター無しの中距離型の艦対空ミサイルであった[1][2]。スタンダードMRはSM-1MR(SMはStandard Missileの略称)、スタンダードERはSM-1ERと呼ばれた。

1978年には、射程延長のため従来のセミアクティブ・レーダー誘導方式に加えて中間飛翔時の誘導に慣性航法システム(Inertial Navigation System:INS)を採用したスタンダード-2(Standard Missile -2/SM-2)が実用化された[2]。SM-2は射程が延長されただけではなく、飛翔中の全行程で母艦からの誘導が必要だったSM-1とは異なり、発射後の大半は自律的な飛翔を行い(母艦からの目標情報更新は可能)、終末誘導時のみ母艦からの誘導を行うだけで良くなったため、同時に対処可能な目標数が大幅に増加している。これはすぐれた同時処理能力を有するイージス・システムに対応した改良でもあった。


SM-2についても中距離型のRIM-66C〜M「SM-2MR」と長距離型のRIM-67B〜D「SM-2ER」、さらに垂直発射装置に対応したRIM-67E(のちRIM-156Aに改称)と多種多様にわたる派生形が開発され、アメリカ海軍のエリア・ディフェンス防空用艦対艦ミサイルの中核を占めることになる。RIM-66/67の後に続くアルファベットで各仕様が示され、各タイプの発展型にはそれぞれ「Block〜」との識別番号が振られるため、SM-2シリーズの派生形の表記はきわめて複雑なものになっている[1]。

SM-2シリーズの主要な派生形を表にすると以下のようになる[3][4][5][6][7][8]。
SM-2MR(中距離) 
RIM-66C SM-2MR Block Iイージス・システム搭載艦に対応したSM-2。中間誘導に指令誘導+INSを採用。
RIM-66D SM-2MR Block I非イージス艦対応型。
RIM-66G SM-2MR Block IIイージス・システム搭載艦対応型。ロケット・モーターが25cm延長され射程が延伸。
RIM-66H SM-2MR Block IIイージス艦、垂直発射装置対応型。
RIM-66J SM-2MR Block II非イージス艦対応型。
RIM-66K SM-2MR Block III (RIM-66K-1)、 III A (RIM-66K-2)非イージス艦対応型。
RIM-66L SM-2MR Block III (RIM-66L-1)、 III A (RIM-66L-2)イージス艦対応型。
RIM-66M SM-2MR Block III (RIM-66M-1)、III A (RIM-66M-2)、 III B (RIM-66M-5)イージス艦・垂直発射装置対応型。終末誘導に赤外線誘導方式を併用。
SM-2ER(延長距離) 
RIM-67B SM-2ER Block Iテリア/タロス搭載艦向け。中間誘導に指令誘導+INSを採用。
RIM-67C SM-2ER Block IIテリア/タロス搭載艦向け。MK 70ブースターを装着した射程延長型。非イージス艦対応型。
RIM-67D SM-2ER Block IIIテリア/タロス搭載艦向け。エンジン換装、新型信管高度計搭載。
RIM-67D SM-2ER Block IIIA最後のテリア/タロス搭載艦向け。終末誘導に赤外線誘導方式を併用。
RIM-67E(RIM-156A)SM-2ER Block IVイージス艦対応型。推力偏向装置付きフィン無しブースターを搭載。垂直発射装置対応型。RIM-156Aと改称される。
RIM-156B SM-2ER Block IVAイージス艦対応型。戦術弾道ミサイル迎撃型。2001年末に開発中止。
RIM-156B SM-2ER Block IVA改良型イージス艦対応型。戦術弾道ミサイル迎撃型。開発中。

台湾海軍はアメリカからのキッド級駆逐艦4隻の購入と合わせて、スタンダードSM-2MR Block IIIA対空ミサイル144 発を総額 2 億 7,200 万ドルで購入し[10]、2008年にも144発を追加購入している[9]。SIPRI 「The SIPRI Arms Transfers Database」では台湾が購入したのはRIM-66Mとなっているが[9]、RIM-66Mはイージス艦・垂直発射装置対応型なので、非イージス艦でレール式発射機のキッド級の装備としては該当しないと思われる。おそらく台湾が購入したのは非イージス艦対応型のRIM-66K-2 SM-2MR Block IIIAであろう。


キッド級はスタンダード・ミサイルとアスロック対潜ミサイル兼用のMk26連装ランチャー2基を装備している。Mk26は5秒ごとに1発のSM-2を発射できるので2基のMk26による最大発射速度は毎分16発となる。ただし、キッド級はイージス艦程の同時処理能力は有していないので実際に同時誘導可能なSM-2の数は限定される。前述した様に、SM-2はセミアクティブ・レーダー誘導方式とINSを併用しており、中間段階では慣性航法装置と母艦からの指令で目標の未来位置に向けて飛行を行い、目標に接近したところで母艦からのレーダー照準波に誘導されるセミアクティブ・レーダー誘導に切り替わる。母艦からの誘導は終末段階に限られるため、母艦の火器管制システムからのレーダー照射は数秒で済み、交戦可能な目標数を増やす事が可能となった。キッド級はスタンダードSM-2用管制レーダーAN/SPG-51Dを2基装備しており最大4〜6目標に同時に対処できる[11]。SM-2 Block IIIAの最大射程は約166km[7]。低高度から飛来する目標に対する迎撃能力が向上している[6]。ただし、SM-2 Block IIIAはSM-3のような弾道ミサイル迎撃能力は無い。

【参考資料】
[1]世界の艦船2006年8月号「対空兵装の変遷▲潺汽ぅ襦廖焚部いさく/海人社)84〜89頁。
[2]艦載兵器ハンドブック改訂第2版「スタンダードRIM-66/67」(海人社)56頁。
[3]Directory of U.S. Military Rockets and Missiles「Raytheon (General Dynamics) RIM-66 Standard MR」
[4]Directory of U.S. Military Rockets and Missiles「Raytheon (General Dynamics) RIM-67 Standard ER」
[5] Directory of U.S. Military Rockets and Missiles「Raytheon RIM-156 Standard SM-2ER Block IV」
[6]Global Security「SM-2 RIM-66 / RIM-67 Standard Missile」
[7]The US Navy -- Fact File「Standard Missile」
[8] ミサイル事典―世界のミサイル・リファレンス・ガイド (小都 元/新紀元社/2000年)466〜469頁。
[9] SIPRI 「The SIPRI Arms Transfers Database」
[10] Kojii.net - 今週の軍事関連ニュース (2007-09-21)
[11]現代艦船2006.3B「台湾軍情:不帰之路-“基徳”級導弾駆逐艦浅析」

台湾海軍

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