日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼康定級フリゲイト5番艦「武昌」(FF-1205)。76mm砲と比べてもシーチャパレルのコンパクトさが解る。


▼康定級フリゲイト1番艦「康定」(FF-1202)のシーチャパレル発射機。


Chapfire兵装システム性能緒元
武装MIM-72対空ミサイル×4(予備8発)
上下射角−5〜90度
左右射角全周

MIM-72Cミサイル性能緒元
全長2.91m
直径12.7cm
重量86.2
最大速度マッハ2.5
照準方式光学照準/全方位赤外線誘導
最大射程4,800m
最大射高2,500m
弾頭11.35kg HE弾(炸薬4.5kg)

RIM-92C対空ミサイルシステム「シーチャパレル」は、アメリカで開発された個艦防御用対空ミサイルである。RIM-92はシステムの名称で、ミサイル本体の名称はMIM-72。

アメリカ軍は米フィルコ・フォード社と共に、1965年からAIM-9サイドワインダー空対空ミサイルを基にした近距離防空用の自走式ミサイル・システムの開発を始めた。試作タイプは1965年に完成して各種テストが行われ、1966年4月からMIM-72A 「Chaparral」の制式名称で生産が行われた。アメリカ海軍では、チャパレルを艦載化した個艦防御ミサイルの開発を計画したが、1967年にイスラエルの駆逐艦がソ連製対艦ミサイルによって撃沈された「エイラート事件」契機に開発が本格化する。1972年には、RIM-92「Sea Chaparral」として仮採用され、ヴェトナム戦争においてヴェトナム沿岸で活動するアメリカ海軍の駆逐艦9隻に搭載された。しかし、アメリカ海軍ではシーチャパレルの運用評価を行った結果、シー・チャパレルの制式採用は見送られた。ヴェトナム戦争終結後、既にシーチャパレルを搭載していた駆逐艦からもミサイル発射機が撤去された。その後、アメリカ海軍の個艦防御ミサイルの地位はより能力の高いシースパロー対空ミサイルが担う事になった。

シーチャパレルは、MIM-72ミサイル、連装ミサイル・ランチャー×2、射手1名が登場するChapfire兵装システムなどで構成されている。Chapfire兵装システムは全周旋回が可能で、装備されたランチャーは-5度から+90度の俯仰角を備えている。誘導方式は原型となったサイドワインダーと同じ赤外線誘導方式で、ロックオンはMIM-72の弾頭部にあるIRシーカーによって行う。そのため、完全撃ちっ放しが可能で、レーダー誘導ミサイルのようにイルミネーター(ミサイル管制レーダー)を装備する必要もない。シーチャパレルのミサイルは、初期型はMIM-72Aを採用していたが、これは熱源発生の多い目標後方からの攻撃のみ可能であった。改良型のMIM-72Cでは、シーカーの能力を向上させ目標に対する全方位攻撃能力を得ることになった。ミサイルの予備弾は合計8発搭載されているが、再装填作業は人力で行う必要があり、この点は戦闘継続性に欠ける所である。

シーチャパレルは簡易な対空ミサイルシステムで整備性と運用性に優れており、コンパクトなため特別な改装を施さずに艦船に搭載できる利点を有している。その反面、赤外線誘導方式の難点として命中精度が天候に左右されやすい難点も有している。また、ミサイルが小型であるため、最大射程は4,800mと極めて短く、弾頭重量も軽量のため破壊力に乏しいなどの欠点もある。シーカーの探知能力や弾頭破壊力の不足などから、1980年代以降に各国で普及したシースキマー型対艦ミサイルに対しては有効に対処し得ないのが実態である。

台湾海軍では1973年から、アメリカよりシーチャパレルの供給を受ける事となり、アメリカ海軍から退役した同システムもまとめて台湾に売却される事となった。台湾海軍では、1960年代末から1980年代始めにかけて、アメリカからフレッチャー級4隻・アレン・M・サムナー級8隻、ギアリング級14隻といった二次大戦型駆逐艦の供給を受けて、海軍力を大きく向上させていた。しかし、これらの艦は艦齢延命工事であるFRAM改装を受けていたものの、対空兵装は大戦時のままであり、対艦ミサイルなどの脅威に対する防空能力には大きな懸念があった。そのため、台湾ではこれらの駆逐艦に現代戦に対応しうる近代化改装を施す事になり、改装の内容に応じて「武進1〜3号」の3タイプに区分された。アメリカから調達されたシーチャパレルは、「武進1号」/「武進2」近代化改装を受けたフレッチャー級、アレン・M・サムナー級、ギアリング級駆逐艦に搭載された(なお、「武進3号」改装ではシーチャパレルではなくスタンダードSM-1MRの運用能力が付与された)。その後、シーチャパレルは、上記の駆逐艦以外にも康定級フリゲイト(ラファイエット級)、中正級揚陸艦、武夷級補給艦雲峰級人員輸送艦など台湾海軍の各種艦艇に搭載される事になった。これは、同ミサイルがコンパクトなシステムで大きな改装無しに搭載可能な事に寄る所が大きい。

シーチャパレルは、現在でも台湾海軍で広く用いられているが、基本は1960年代に開発された装備であり、現代の経空脅威に対処するには能力不足である事は明白となっている。台湾海軍では、康定級フリゲイトのシーチャパレルを国産の「天剣2型」AAMの艦載型に換装する事を検討していたが開発費の高騰などの問題から2009年に「天剣2型」の搭載は見送られる事となった[8]。しかし、康定級の防空能力の脆弱性は放置するわけには行かない事から、台湾海軍ではアメリカ製の防空システムを庚定級に搭載する防空能力向上計画「定海専案」を現在検討中である。「定海専案」では米レイセオン社製SeaRAM近接防空ミサイルシステムやGDM-008「ミレニアム」35mm機関砲(ラインメタル社傘下のエリコン・コントラヴェスで開発。米ロッキード・マーチンがライセンス生産)をシーチャパレルや40mm機関砲に換えて搭載する事が考えられいる[8]。ただし、「定海専案」は検討中の計画であり、その実現時期については未定[8]。

【参考資料】
[1]「艦載兵器ハンドブック 改訂第2版」 2000年(海人社)
[2]『台湾問題 中国と米国の軍事的確執』 2005年(平松茂雄/勁草書房)
[3]GlobalSecurity
[4]Missile Index
[5]SIPRI 「The SIPRI Arms Transfers Database」
[6]戦車研究所
[7]中国武器大全
[8]軍武狂人夢「康定級巡防艦」

M48近距離地対空ミサイル「チャパレル」
台湾海軍

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