日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼S-70C(M)-1

▼S-70C(M)-2


性能緒元
ローター直径16.38m
全長19.76m(ローター含む)
胴体長12.47m
全高3.26m(ローター含まず)
全幅4.04m。
総重量9,873.96kg(S-70C(M)-1)/9,845.84kg(S-70C(M)-2)
エンジン(S-70C(M)-1)CT7-2D1(最大持続出力1,595shp/30分連続最大出力1,635shp/2.5分緊急出力1,940shp)×2
(S-70C(M)-2)T700-GE-401C(最大持続出力1,662shp/30分連続最大出力1,800shp/2.5分緊急出力1,940shp)×2
最高速度277.8km/h
ホバリング限度3,800m(S-70C(M)-1)/3,829m(S-70C(M)-2)
上昇速度425m/分(S-70C(M)-1)/430m(S-70C(M)-2)
航続距離550nm
武装Mk44/46 短魚雷×2基
乗員5名(操縦士、副操縦士、音響センサー要員、戦術センサー要員、機長)

【電子装備】
レーダーAN/APS-143(V)3捜索レーダー1基
Colins高度測定レーダー1基
ソナーAN/AQS-18(V)3ディッピング・ソナー1基
6連装ソノブイ発射装置1基
ARR-84 99チャンネルソノブイ受信機1基
MADAN/AQS-81(V)21基(兵装や各種装備をフル搭載する場合は撤去される[2])
ECM装置AN/ALR-606(V)-21基
レーダー波警報装置AN/APR-391基
戦闘・航法システムAN/ASN-150戦術・航法システム1基

シコルスキーS-70C(M)-1/2「サンダーホーク」は1992年から導入が開始された台湾海軍の主力対潜哨戒ヘリコプターである[1]。

【導入経緯】
台湾海軍では1980年代に構想された満載排水量3,300tクラスのPFG-1型ミサイル・フリゲイト導入計画(「忠義計画」)において、同艦に搭載する対潜哨戒ヘリコプターについて「神鷹案」計画との名称で検討を進めていた[2]。その際に候補となったのは、米シコルスキーSH-3「シーキング」、同S-70C「シーホーク」、カマンSH-2F「シースプライト」、ベル214、仏アエロスパシエル「シュペルピューマ」の5機種であった[2]。台湾海軍では調査検討の結果、設計が新しく、機体が大型で装備搭載力や航続距離の面で有利なS-70Cを「神鷹案」候補機とする決定を下した。なお、台湾軍上層部では当時並行して行われていた空軍の救難用ヘリコプターについても、装備共通化のメリットを得るためS-70Cを充てる事を決めている[2]。

「忠義計画」自体は紆余曲折を経て頓挫する事になったが、対潜哨戒ヘリコプターの需要は依然として存在するため「神鷹案」計画は継続して推進された[2]。

「神鷹案」にとってネックとなったのがアメリカの台湾向け兵器輸出制限措置の存在であった[2]。アメリカは、1982年8月17日の米中共同声明(通称「八一七声明/」)において、台湾に輸出する兵器の性能と数量は米中国交回復前の水準を超えない物に限定するとの方針を宣言しており、高性能な対潜哨戒ヘリコプターの輸出はこの宣言に抵触し、中国側の反発を招く恐れがあった。アメリカは1984年に中国に24機のS-70Cを輸出する契約を結んでいたが、中台の軍事力均衡を保つという名目で台湾に対しても24機のS-70Cを提供するという事で、台湾へのS-70C売却は「八一七声明」には抵触しないという立場を取るに至った[2]。

シコルスキー社との交渉は1988年に開始されたが、これは3年に渡る長期間の交渉となった。問題となったのはこの時点ではS-70Cシリーズには対潜哨戒機型が存在していない事であった[2]。シコルスキー社は民間機バージョンのS-70Cに対潜哨戒用機材を搭載した機体を提案したが、台湾側はSH-60哨戒ヘリコプター(米陸軍向けUH-60を元に米海軍向けに開発)に準じた機体の提供を要請した[2]。SH-60は艦載ヘリコプターとしての運用を前提に、機体構造の強化やローターの折り畳み機構の採用、塩害対策の付与といった設計が施されており、艦載機として運用するには民間機型S-70の改造よりも遥かに適していることは明白であった。軍用機であるSH-60ではなく、あくまで民間機S-70Cの輸出であるという形を取りたいアメリカ側との間で交渉は難航を余儀なくされた。最終的には、S-70Cという名称はそのままだが、実際の機体構造はSH-60に準じたものとして、対潜哨戒システムは米海軍で運用が行われていたSH-60Fの装備をベースにしたものを搭載するという事で合意が成立した[2]。

シコルスキー社が実施したS-70C対潜哨戒型「S-70C(M)」の開発には台湾も資金提供を行う事とされ、台湾は同機向けに開発された関連機材に対する知的財産権を有する事もシコルスキー社との間で合意された。後にS-70C(M)シリーズがトルコやオーストラリア、タイなどの国々に輸出された際には、台湾が支払った研究開発費に応じて売却益が分配され、その収入は400万ドル以上に達している[2]。

1990年に調印された契約において台湾が購入したS-70Cの内訳は、空軍の救難用ヘリであるS-70Cが14機、海軍の対潜哨戒ヘリであるS-70C(M)が10機というものであった[2]。海軍のS-70C(M)とは異なり、救難用のS-70Cは民間機型S-70Cをそのまま購入した機体であり、S-70(M)とは名称は似ているが別の機体というべき存在であった。

台湾向けのS-70C(M)は第一次購入分を表わす「S-70C(M)-1」と命名され、シコルスキー社はこの機体に対して「サンダーホークThunderhawk」の愛称を付与した[2]。

S-70C(M)-1初号機は1990年7月19日に台湾側に引き渡され、台湾から派遣された搭乗員と整備要員チームがフロリダ州パームビーチのシコルスキー社訓練施設において習熟訓練を実施している[2]。初号機を含む10機のS-70C(M)-1は、1991年7月30日に台湾に到着。台湾海軍への部隊配備が行われ、S-70C(M)1装備部隊である「海軍701反潛直昇機中隊」が編制された[2]。S-70(M)-1は、台湾海軍に就役したばかりの新鋭艦である成功級フリゲイト(オリヴァー・ハザード・ペリー級)康定級フリゲイト(ラファイエット級)の艦載ヘリコプターとして、対潜哨戒任務の他、水上艦艇の索敵、艦船による艦対艦ミサイル攻撃の際の水平線外の目標情報提供、海上捜索任務、気象観測任務など多岐に渡る運用が行われた。これまで小型で能力の限定された500MD/ASW対潜ヘリコプター「ディフェンダー」のみ保有していた台湾海軍にとっては、S-70C(M)-1の導入は対潜・対艦能力の近代化に大きな貢献を果たす事になった。

S-70C(M)-1の性能に満足した台湾海軍では1997年にシコルスキー社に対してS-70C(M)の第二次発注を行った。「S-70(M)-2」と命名された第二次発注分の機数は11機で、2000年3月から台湾軍への引渡しが開始され、2001年7月9日にはS-70C(M)-2装備部隊である「海軍702反潛直昇機中隊」が編制されている[1][2]。

【性能】
S-70C(M)-1/2は、双発の対潜哨戒ヘリコプターであり、その構造は米海軍の艦載哨戒ヘリであるSH-60に準じたものになっている[1][2]。機体はアルミニウム合金製だが、ドア部分や機体底板には重量軽減のため複合材が使用されている。着艦時の衝撃に備えて、原型の陸上機型UH-60よりも機体構造や降着装置の強度が増している。降着装置は尾輪式の3車輪固定脚型であるが、狭い甲板への着艦に供えて尾輪の取り付け位置をUH-60/S-70よりも前進させて主脚との間隔を縮めている。胴体下部にはカナダが開発したベア・トラップ着艦拘束装置を装備しており、動揺する艦艇への着艦を容易にしている。その他にも、塩害対策の付与、格納庫への収納の便を考慮したローター折り畳み機構の採用といった洋上での活動を前提とした改修が施されている。

機体のサイズは以下の通り。総重量9,873.96kg(S-70C(M)-1)/9,845.84kg(S-70C(M)-2)、ローター直径16.38m、全長19.76m(ローター含む)、胴体長12.47m、全高3.26m(ローター含まず)、胴体幅4.04m。搭載エンジンは、S-70C(M)-1がCT7-2D1(1,595shp/緊急出力1,940shp)2基、S-70C(M)-2はT700-GE-401C(1,800shp/緊急出力1,940shp)2基。CT7-2D1は民生用エンジンで、T700-GE-401Cは米海軍のSH-60B(後期型)でも使用されている軍用規格のエンジン。通常のメンテナンスは民生向けCT7-2D1の方が容易であるとされるが、緊急時の出力増加率ではT-700-GE-401Cが勝っている[2]。主ローターは全関節型の4枚ブレードで、先端には後方へ折れ曲がったような後退角が付く。ローターヘッドはチタニウム製。ベアリングは潤滑油不要のエラストメリックで、ヘッドの上にはバイファイラー吸振装置が備えられている。尾部ローターは直径3.35mの4枚ブレードで、2本のスパーを十字に組み合わせたクロスビームにグラスファイバの外皮という構造である[2][3]。

S-70C(M)-1/2の機首下部には水上目標捜索用にAN/APS-143(V)3捜索レーダーが搭載されている[2]。導レーダーはは最大捜索距離370kmで最大20目標を同時に追尾する能力を有しており、悪天候下においても潜水艦のシュノーケルの様な小型目標を探知する高い探知能力を有している。レーダー断面積1平方メートルの目標を28kmの距離から探知可能[2]。水中目標の探知システムとしては、AN/AQS-18(V)3ディッピング・ソナー、6連装ソノブイ発射装置、ARR-84 99チャンネルソノブイ受信機、AN/AQS-81(V)2 MDAにより構成される。これらの装置はAN/ASN-150戦術・航法システムによって管制・制御される。S-70C(M)-1/2により探知された音響データは無線通信を使用してヘリコプターの母艦に転送され、母艦の音響処理システムにより分析を行うことも可能[2]。また、母艦のレーダーでは探知困難な水平線外の水上目標に関するデータを母艦に転送し得るため、艦対艦ミサイルの射程を最大限に生かすことが可能となる。ただし、現時点ではS-70C(M)-1/2にはデータリンクシステムは搭載されていないため、情報の転送や共有化については限界が有る[2]。

機体側面には計2箇所のパイロンが設置されており、対潜攻撃用のMk44/46 短魚雷や増加燃料タンクなどを搭載する[2]。米海軍や海上自衛隊などでは対水上目標攻撃用にペンギンやヘルファイアといった空対艦ミサイルの運用能力を付与しているが、台湾海軍のS−70C(M)−1/2ではそのような装備の運用は行われていない。

S−70C(M)−1/2の主任務は対潜哨戒活動であるが、必要に応じて装備の積み替えを行うことで空中輸送、医療活動、捜索・救難任務など多様な任務に対応することができる[1]。

台湾海軍では前述のようにS−70C(M)−1/2を装備する二個対潜哨戒ヘリコプター中隊が編成されている。これまでの調達機数は21機であるが、1994年と2005年に墜落事故により2機を喪失しているため、現在の保有機数は19機となっている[1][4]。

【参考資料】
[1]TaiwanAirPower.org「Sikorsky S-70C(M) Thunderhawk」
[2]台湾百種主戦装備大観(杜文龍編著/軍事科学出版社/2000年)153〜155頁。
[3]MDC軍武狂人夢「S-70C(M)1/2反潛直昇機」
[4]Yahoo!奇摩部落格-中華台灣福爾摩沙國防軍-「中華民國空軍、海軍S-70C機隊介紹(應好友要求^^)」

台湾海軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます