日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




SR-4型122mm自走40連装自走ロケット砲は81式122mm40連装自走ロケット砲の発展型として開発された自走ロケット砲[1]。SR-4は輸出用名称で、中国語では「122毫米模块化火箭炮(122mmモジュール化ロケット砲)」と呼ばれる[2]。

SR-4は、2000年代後半頃からインターネット上で試製車両の写真が散見されるようになった。2012年には、タイが4セット分を発注し、2013年に同国軍に配備された[1]。中国軍では11式(PHL-11)の制式名称で2013年から配備が開始され大量配備が行われている[5]。

【性能】
SR-4は、陝西汽車公司製SX2190KA型6×6野戦トラックの荷台に40連装122mmロケット発射機を搭載している[1]。SX2190は1990年代後半から中国軍への配備が開始され、兵站部隊、砲兵、工兵部隊などで広く用いられている野戦トラックで、SX2190KAはその派生型の1つ[1][3]。更新対象である、81式122mm40連装自走ロケット砲は、陝西汽車公司製SX250(SX2150) 6×6野戦トラックをシャーシとして使用していたが[4]、SX250は実用化から40年以上経っているので、シャーシをモデルチェンジすることが求められたと考えられる。シャーシの基本構造は原型を踏襲しているが、多連装ロケットの運用に必要な装備の追加が行われている。車体後部にはロケット発射時に展開して車体を安定化させるための伸縮式架台二基が装備されている。キャビンの窓には、火炎避け用の防護板が用意されており、ロケット射撃時にはすべての窓が防護板で覆われる。

乗員は3名、もしくは5名[5]。荷台後方に搭載された122mmロケット砲は、20連装のランチチューブを一組としたコンテナ2基を搭載。20秒で全弾発射が可能[2]。再装填の際には、コンテナを丸ごと換装する事で迅速な装填を可能としている[2]。SR-4が「モジュール式自走ロケット砲」と呼ばれるのは、コンテナ式ランチャーを指した表現である。なお、必要な場合は、乗員が手動でロケット弾を再装填することも可能である[2]。

このランチャーは、同時期に開発が行われたと見られるPHZ-10/PHZ-11装軌式122mm40連装自走ロケット砲のものと共通であり、ランチャーを共通化することで開発費用や期間を短縮し、兵站・整備面での負担軽減を図ったものと考えられる。ランチャーの動作は電動式で、車内からの操作、車両から乗員が離れた状態での遠隔操作も可能[2][5]。ロケット砲に照準器が付いており、これを用いて目視照準して射撃することもできる[5]。

SR-4の122mmロケット弾は、HE-FRAG、煙幕弾頭、焼夷弾、照明弾、クラスター弾頭、長射程型(射程50km)を含む各種ロケット弾が用意されている[2]。標準的な122mmロケット弾は全長2.87m、重量66kg、射程距離は20km。射程延長型は全長2.76m、重量61kg。最大射程は30km[6]。さらに最大射程50kmの新型122mmロケットも開発されている[6]。11式 は一斉射撃により0.8〜1ヘクタールの面積を火制する能力を有している[6]。面制圧が主任務であるが、122mmロケット弾にも精密誘導型が存在するのでそれを用いればピンポイント打撃も可能となる。すでに報道では「北斗」衛星位置測定システムを用いた誘導システムを採用したロケット弾を用いて、CEP(Circular Error Probability:平均誤差半径)1mという命中精度を発揮したことが報じられている[7]。

照準システムと射撃統制システムは最新のものが搭載されており[5]、更新対象の81式122mm40連装自走ロケット砲の制式化から30年を経て実用化された車輌である事から、同じ122mm多連装ロケット砲でもその戦闘能力は大きく向上していることが想定されている[4]。ロケットの照準から射撃までの過程を全て車内で操作することが出来るが、ロケット砲にも照準装置が付いており必要に応じてロケット砲の照準器を用いて照準・射撃することも可能[5]。SR-4は通常は指揮車両からの管制を受けて部隊単位での統制射撃を行うが、各車両ごとにナビゲーションシステムと射撃統制システムを搭載しているので、必要に応じて車両ごとでの射撃も可能[5]

SR-4の自走ロケット砲は、弾薬輸送車とセットで運用される。多連装ロケットは大量のロケットを一斉射撃することで強力な制圧能力を保有しているが、反面で持続的射撃には弾薬補給車による再装填が欠かせない。SR-4とセットで運用される弾薬補給車は、8輪トラックをベースとしている。トラックの荷台にロケット弾を装填済みの予備のランチャーと装填作業用のクレーンを積んでいる[5]。空のモジュールをランチャーから取り外して、新しいモジュールと付け替える作業は10分を要する[6]。なお、空のモジュールに一発一発再装填することも可能であり、この場合も10分で作業を終えるとしている[6]。

【展望】
SR-4はPHL-11として制式採用され、81式の後継車両として中型合成旅(「旅」は旅団に相当)などの旅団砲兵の自走ロケット部隊に配属される。装軌車両中心の重型合成旅の自走ロケット砲大隊についても11式装軌式122mm40連装自走ロケット砲(PHZ-11)の配備を開始していることから、中国軍では旅団レベルの多連装ロケットの口径については122mmを維持する方針であることが伺える。

SR-4とその発展型であるSR-5型122mm/220mm多連装自走ロケット砲は、アルジェリア、バーレーン、ラオス、タイ、UAE、ベネズエラなど複数の国で採用されている[8]。その多くは発展型のSR-5を採用しているが、タイ陸軍ではSR-4を調達し技術導入を受けて「DTI2」の名称で国産化している[9]。タイ陸軍では、通常のSR-4を導入するだけでなくモジュールランチャーを転用して、1990年代に中国から輸入した85式装甲兵員輸送車ベースの85式130mm30連装自走ロケット砲(YW-306)のランチャーを122mmモジュールランチャーに換装する近代化改修を実施している[10]。

▼西蔵軍区の砲兵団(連隊に相当)で運用されるPHL-11(PHL-11はSR-4の中国軍制式名)

▼動画「DTI2 (SR4) จรวดหลายลำกล้องของไทย」タイ陸軍で採用されSR-4に関する動画。同国ではDTI2と命名された。


性能緒元
重量約13トン
全長7.5m
全幅2.4m
全高3m
エンジン潍柴(Weichai) WD615-77A ディーゼル 277hp
最高速度80km/h
航続距離600km
渡渉深度1.2m
武装122mm20連装ロケット砲×2(40発)
乗員3〜5名

性能緒元(122丱蹈吋奪斑)
重量66kg(榴弾)
 61kg(射程延伸型)
全長2.87mm(榴弾)
 2.76mm(射程延伸型)
直径122mm
弾頭重量18.3kg
弾頭種類HE弾、HE-FRAG弾、発煙弾、焼夷弾、照明弾、燃料気化弾、地雷敷設、対人/対装甲クラスター弾、精密誘導型など
初速
最高飛行速度
射程20km(通常弾)/30km(射程延伸弾)/50km(新型射程延伸弾)

【参考資料】
[1]Military-Today.Com 「SR-4 Multiple launch rocket system」
[2]新浪网「壮观美照:西藏军区新模块化火箭炮群高原齐射」(2015年7月21日)
[3]Chinese Defence Today「Shaanqi SX2190 truck」
[4] Chinese Defence Today「Type 81 122mm Multiple Rocket Launcher」
[5]Military-Today.com「PHL-11 Multiple launch rocket system」http://www.military-today.com/artillery/phl_11.htm
[6]Military-Today.com「PHZ-11 Multiple launch rocket system」http://www.military-today.com/artillery/pzh_11.htm
[7]Youtube「北斗建功,我军演练122毫米火箭弹打出1米精度,首展点穴作战能力」(2020年12月3日投稿)https://www.youtube.com/watch?v=m64vHPXbyQY
[8]SIPRI公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database-Trade registers」https://armstrade.sipri.org/armstrade/page/trade_r...
[9]MilitaryLeak「Royal Thai Army Successfully Test-fires Indigenous DTI-2 122mm Rockets」(2020年12月9日)https://militaryleak.com/2020/12/09/royal-thai-arm...
[10]Army Recognition.com「Thai artillery receives upgraded version of NORINCO YW 306 MLRS with DTI-2 122mm rockets」(2021年10月26日)https://www.armyrecognition.com/defense_news_octob...

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