日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼「NORINCO Group promotional films at 14th China airshow, Nov 2022」。この動画の0:23〜0:24にST-3の射撃シーンが収録されている。


性能緒元
重量24トン
車体長
全幅
車体高
エンジン
最高速度100km/h
航続距離1000km
武装105mmライフル砲×1(30発)
 12.7mm重機関銃×1(RWSに搭載)
 7.62mm機関銃×1
 砲発射型対戦車ミサイル
 4連装発煙弾発射機×2
装甲アルミ合金装甲+付加装甲
乗員4名(車長、操縦手、砲手、装填手)

ST-3型装輪105mm多用途自走砲(中国語だとST3外贸多用途自行火炮。ST-1と同じ装輪装甲突撃砲の名称が用いられることもある)は、国際市場への売込みを前提として開発された装輪式の火力支援車両。中国兵器工業集団公司のグループ企業である北方機械集団公司によって開発され、輸出事業は北方工業集団公司(NORINCO)が担当している[1]。設計主任は第247廠の範社衛技師で主に砲塔部分を担当、シャーシ開発を担当したのは第617廠で開発責任者は牛志亮技師[2][3]。

NORINCOでは、ST-3に先立って VN-1装輪歩兵戦闘車に105mmライフル砲を搭載しST-1型装輪105mm突撃砲を開発していた。ST-3はST-1をベースとして、元来の直射火力支援のみならず榴弾砲や対空砲としての役割も兼ねる多用途自走砲として開発された。

ST-3の開発は2013年にNORINCOの支援の下で、第247廠を中心に行われた多用途火砲のスタディに遡る[5]。二、三年に渡って行われた検討結果として、多用途火砲に求められる能力として纏められたのが、々埒粉崋遊發覆氷眦戮閉昭庸塾蓮↓見越外目標に対して曲射砲撃による打撃、ドローンやヘリコプターなど低空を低速で飛ぶ目標に対する対空射撃能力の確保、の三点であった[5]。この三つの能力を一つの車輛に纏めるのは技術的なチャレンジであったため、実現可能性に関する検討が行われ、その結果、既に実用化していた装輪105mm突撃砲の技術を基礎として、↓の能力を加味していく方向性が決定された[5]。これは軍の要求に基づく開発ではなく、メーカー側が将来の市場動向をにらんで独自開発を行ったものであり、この多用途自走砲の話を聞いた専門家は、この兵器は装甲兵に配備するのか?それとも砲兵の所属となるのか?(そもそも開発の)必要性があるのか?と、その存在意義に疑問を呈したというエピソードもある[5]。

247廠の範社衛技師はST-3の意義について、‐来の戦場において装甲兵と砲兵の区分があいまいになり、最終的には融合していくだろう。流動的な戦場において、直射と曲射を兼ねて快速性能を備えた装輪自走砲があれば、それは将来の戦場において大いに役立つだろう、△海里茲Δ並人囘喙走砲は、兵器売り込みにおいてリーズナブルで多様な選択肢を備えたAFVとして高い競争力を持つとことになるとの見通しを示している[5]。最終的に2017年にST-3の開発が正式に承認された[5]。


【性能】
ST-3のシャーシは、ST-1と同じくNORINCOが輸出向け車両として開発したVN-1装輪歩兵戦闘車をベースにしたものが使用されている[1] VN-と多くのコンポーネントとを共通化していることは、整備や訓練の手間を省き、補給や部品供給面でのメリットや生産コスト削減といった効果があり、輸出におけるセールスポイントとなる。水上航行能力は付与されていない[5]。ST-3の防御力は、12.7mm機関銃弾に抗湛することを基本とし、正面装甲はNATO規格のAEP-55 STANAG 4569レベル3+に相当する防御能力を有している[5]。現状では、対戦車ロケット弾に対する防御性能は備えていないが、設計陣ではスラットアーマーの追加装備を考慮して600〜800kg程度の重量増加を想定した設計を行っている[5]。

ST-3とST-1との最大の識別点は砲塔である。ST-1の砲塔は先端部がクサビ形に成形されていたが、ST-1では、わずかに傾斜のかかった一枚板に変更されている。砲塔周囲の前半分には付加装甲がボルト止めされており、後半部分には成形炸薬弾対策とみられるケージ式装甲を配置している。砲塔後部は後ろに張り出しており砲弾を収納する砲塔バスルが設けられている。弾薬装填は自動装填装置によって行われ、省力化と自動化に資している[5]。

ST-3の戦車砲はST-1と同じ105mmライフル砲だが、付仰角を大きく取るため砲塔中央部が一段高く成型されている。ST-3は45度という大仰角での射撃能力が付与されている[5]。ST-3がこのような大仰角を可能としたのは、ST-1を採用したユーザーからの要望として、山地戦闘や市街地戦闘において、高所に陣取る目標を105mmライフル砲で制圧するのが困難であったという指摘がきっかけであった[2]。開発陣は、大仰角を与えるにあたって、単に高所の目標を直射できるようにするだけでなく、榴弾砲のような間接射撃、迫撃砲のような曲射射撃、高射砲のような対空射撃のいずれも実施できるようにすることを目指した[2][3]。大仰角での射撃では発射後に砲が後退する後座長が問題になるので、ST-3の搭載する105mmライフル砲は後座長を短縮するとともにマズルブレーキの設計を変更して反動抑制効果の高いものにしたうえで、砲架にも手を加えて砲耳の位置を変更している[5]。シャーシにも手を加えており、砲塔基部の底板の位置を下げることで、大仰角射撃時に後退する砲身に必要なスペースを確保している[5]。

ST-3の105mmライフル砲は、直射の場合は有効射程3kmだが、仰角を上げて間接射撃を行った場合、最大射程は20km以上に延伸される[1]。また、直接射撃では攻撃が困難である、見越外目標や山岳地帯、反斜面陣地、高層ビル(30階までを射撃可能[5])、などを曲射弾道により打撃することが可能となった。さらに、経空脅威に対する対空射撃を行うことも可能。これにより、ST-3は、対戦車砲、榴弾砲、迫撃砲、高射砲の四種類の火砲を一両で賄える存在となった。無論、四種の火砲の照準方式は異なる点が多いので、搭載砲の大仰角化のみならずFCSをそれぞれの射撃に対応可能なものにする必要もある。

ST-3の射撃統制システムは、レーザー測距器、独立式ペリスコープ(砲長用)、弾道計算機、赤外線暗視装置、二軸砲安定装置、弾道計算機、各種環境センサー(傾斜、横風、温度)などで構成されており、行進間射撃も可能で高い初弾命中精度を実現している[1][2]。脅威度の高い目標を砲長が発見した際は、その目標へ優先的に照準を指向できるオーバーライド機能を有している。そして、ST-3の特徴として、同車の射撃統制装置には、直接照準モードと間接照準モードが用意されており、直射支援のみならず自走榴弾砲としての運用を可能としている。ST-3はそれぞれの照準モードに合わせた照準装置を搭載しており、直接照準射撃の場合は、砲手席手前の照準装置を用いて、関節照準射撃の場合は、砲手席後方の独立式ペリスコープを用いる[5]。

間接照準モードでは、ST-3は慣性航法装置、「北斗」衛星位置測定システム、デジタルマップ、データリンクシステムを活用して、迅速に進行コースを測定し、目標の座標を得る[5]。射撃統制装置は高度に自動化されており目標の座標算出、諸元の割り出し、砲塔旋回と砲の付仰角を自動で行い、遠距離目標を火制する。

ST-3は、緊急時にはその大仰角を生かして対空射撃を行うことも想定されている。対空射撃の際には、直接照準モードを用いて、近接信管を装填した榴弾を使用する[4]。低空から飛来する航空機、ヘリコプター、UAVなどの迎撃を想定している。ただし、。範社衛設計主任はST-3の対空能力は理論的には可能だが、実現には重量増加を前提とするとしており、現時点での実用性にはまだ留保をおいている[5]。

105mmライフル砲の使用弾種は、APFSDS(装弾筒付徹甲弾)、HE(高性能榴弾)、HEAT(対戦車榴弾)、射程5,000mのST3WX-02砲発射ミサイルなどが用意されているほか、各国で使用されている105mmライフル砲向けの砲弾をそのまま使用する事が可能。範社衛設計主任は、将来的には105mm砲用の誘導砲弾が実用化すれば、ST-3の遠距離打撃能力を最大限に発揮できると語っている[5]。砲弾の装填は砲塔後部バスルに搭載された自動装填装置を用いるので、ST-3では装填手は不要となっている[5]。搭載弾は車内と砲塔バスルに合計30発収納されている[5]。砲弾の搬入は車体後部ハッチを使用する。副武装としては、主砲同軸に7.62mm機関銃1挺、砲塔上部に12.7mm重機関銃1挺を備えたRWS(Remote Weapon system)が搭載され、このほか砲塔後部の両側面に4連装発煙弾発射機を二基装備している。


【今後の見通し】
NORINCOがこのような多用途自走砲を開発したのは、海外市場のさらなる開拓を視野に入れたものである。第三世界の国の中で、戦車や自走砲といった重装備を潤沢に配備できる国は限られる。各種重装備を十分配備できない国々にとっては、一両で火力支援車、榴弾砲、迫撃砲、高射砲の四種類を兼ねるST-3は、リーズナブルに国防能力を向上することができる存在になるとNORINCOでは判断したのである。戦車に比べて整備・維持コストの安い装輪装甲車を多用途自走砲とすることで、配備するAFVの種類を減じつつ、様々な脅威に対処可能な戦力を比較的低コストで調達できるというのがST-3の「売り」である。この点について、範社衛設計主任はインタビューの中で、将来的には装輪突撃車による直接射撃と、自走榴弾砲による間接射撃を一種類の車両で兼務できるようにすることで、一部隊が多用な任務に対応可能となり、複雑化する戦場の脅威に対してより迅速に対応することが可能となるとの見通しを示している。ST-3はこの見通しに沿って開発されたAFVである。

ST-3はモジュール設計概念を採用しており、ハードウェアとソフトウェアの両面においてユーザーの要望に応じた柔軟な設計変更を行い得る[5]。さらなる能力向上を目指した改良も想定されており、現在45度となっている最大仰角をさらに高めること、関節照準射撃の際の有用性を高める為の誘導砲弾の採用などの項目が挙がっている[5]。

【派生型】
ST-3は開発されたばかりのAFVであるが、改良型であるST-3Aの存在が確認されている[]。ST-3Aはシャーシ全般に手を加えており、写真ではST-3では廃止されていた水上航行用スクリューが存在することから、水上浮航能力が付与された可能性もあり得る。ST-3Aの詳細については今後のさらなる情報が待たれる。

【参考資料】
[1]21st Century Asian Arms Race「Norinco Is Exporting A Hybrid Wheeled Tank」(2021年11月13日)https://21stcenturyasianarmsrace.com/2021/11/13/no... (2020年1月30日閲覧)
[1]微博-现代兵器「中国多功能火炮发展的最新成果——ST3外贸型105毫米突击炮」(作者: 草莽 2021年9月28日)https://weibo.com/ttarticle/p/show?id=230940468644...  (2020年1月30日閲覧)
[3]新浪军事国产ST3外贸多用途自行火炮首公开 实现"一炮四用"|国产|外贸|火炮_新浪军事_新浪网2021年04月02日 15:28 澎湃新闻https://mil.news.sina.com.cn/china/2021-04-02/doc-...  (2020年1月30日閲覧)
[4]腾讯网「国产新型大八轮突击炮亮相!搭载新105毫米主炮,打坦克还能防空_」迷彩虎
2021-04-02
https://xw.qq.com/partner/vivoscreen/20210402A0C7X...
[5]曹励云「让敌人无处躲藏-范社卫、牛志亮谈ST-3中国第一种间直瞄火炮的研制历程」『现代兵器』2021.11(No.511)(中国兵器工业集团有限公司)42〜53ページ
[6]内蒙古第一机械集团有限公司公式サイト「军品-ST3A轮式装甲突击炮」(公開日2022年12月26日)http://yjjt.norincogroup.com.cn/art/2022/12/26/art...

【関連項目】
VN-1装輪歩兵戦闘車(07P式/PF-2006)
ST-1型装輪105mm突撃砲
中国陸軍

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