最終更新:
rglc85tj8h 2013年04月12日(金) 03:28:39履歴
中国は1977年に巡航ミサイル開発に関する長期計画を開始したとされる[1]。X-600(XW-41、YJ-61の別名も知られている)は、その計画に基づいて開発されたもので、巡航ミサイル開発のために必要な技術的蓄積を行うテストベッドとしての役割が与えられた。
X-600は完全な新規開発ではなく、既存の対艦ミサイルをベースとして開発されたと推測されている[1]。ベースとなった対艦ミサイルとしては、HY-2対艦ミサイル、YJ-6空対艦ミサイル、HY-4対艦ミサイル(海鷹4/C-401/CSS-C-7 Sadsack)などが候補として挙がっている[1]。開発は鷹撃対艦ミサイルを開発した実績のある海鷹電子機械技術研究所が担当したものと考えられている[1]。1980年代半ばには、巡航ミサイル開発の中心的な役割を果たす開発期間として設立された8359研究所と中国巡航ミサイル研究所(中国巡航導弾研究所)が開発を主導することになった。8359研究所は、中国湖北三江航天(066基地)の名でも知られている[1][2]。
X-600の初期のプロトタイプは、HY-4を改造したXW-41、YJ-6を改造したYJ-61など既存の対艦ミサイルを巡航ミサイルに改造したものであった。X-600(YJ-61)は、折りたたみ式の主翼と、引き込み式インテークを備えたミサイルで、推進装置にはX-600のために新たに開発された小型ターボジェットエンジンを採用していた[1](開発されたのはターボファンエンジンとの説もある[2][3])。誘導システムとしては、地形追随飛行を行うための地形追従レーダーと終末誘導用の光学センサーを備えているとされる。X-600は空中発射型の巡航ミサイルであり、H-6D爆撃機を改造した巡航ミサイル発射母機の爆弾倉、もしくは主翼パイロンに搭載されて空中発射されることになっていた[1]。
X-600の発射試験は1985年に実施された[1]。
X-600自体は前述の通り巡航ミサイル開発の技術的蓄積を行うための存在で、中国軍に採用されることはなかったが、1988年にはその技術を基にして新型巡航ミサイルであるHN-1(紅鳥1)の開発が開始された[1]。中国の巡航ミサイル開発の起源となったという意味で、X-600の果たした役割は大きなものがあると考えられる。
【参考資料】
[1]「HN-1/-2/-3(X-600/DH-10/HN-2000)」『Strategic Weaopns Systems ISSUE45-2006』(Jane's Information Group)34〜36ページ
[2]国家之窗「红鸟/长风攻地巡航导弹」
[3]青木謙知『ミリタリー選書8-軍用機ウエポン・ハンドブック』(イカロス出版/2005年)140ページ
中国第二砲兵