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▼DefAsia「Y-9LG: China’s New Electronic Warfare Game-Changer Takes Flight Overseas」(投稿日2024年12月18日)中国とタイ空軍との合同演習に参加したY-9LGに関する動画


Y-9LG電子妨害機(運輸9LG/高進13/GX13)は、近年その存在が明らかになった新型電子戦機。型式名のLGは、Lが中国語の雷达(レーダー)、Gが中国語の干扰(妨害)を表している[1]。中国の特殊任務機を意味する「高進(GX)シリーズ」の一機として「高進13(GX13)」の名で呼ばれる場合もある[2]。

Y-9LGは2017年から5年間の開発期間を経て配備された[3]。初公開は、2024年の中タイ合同軍事演習。その後、ロシアで開催された中露合同軍事演習にも参加して、新型機であるにもかかわらず積極的に対外展開しているのが特徴[1]。連続して外国での軍事演習に参加したことから、Y-9LGはすでに就役から一定の期間が経っており、十分な信頼性を実証して戦力化に漕ぎつけていることが伺える[1]。

【性能】
Y-9LGの外観は、Y-9輸送機に背負い式にビーム式レーダーアンテナを搭載するというもので、一見、KJ-200早期警戒機(空警200)と区別がつかないほど酷似している。

Y-9LGは、電子妨害機として運用されてきたY-8G電子戦機(Y-8EW/ECM)の後継機として開発されたと考えられている[1]。Y-9LGは多バンドのレーダーに対する電子妨害を行い、通信・航法・指揮管制に対する強力な妨害能力を有しており、搭載センサーを用いて電子偵察機としての運用も可能[1]。

ビーム式レーダーアンテナは、大型の電子戦用アレイアンテナとなっており、このレーダーから電子走査レーダービームを発射して敵のレーダー信号を妨害することで、遠距離の複数の目標に対して複雑かつ精密なピンポイント電子攻撃を実行することができる[1][4]。このアレイアンテナはKJ-200のものと同じく AESA(Active Electronically Scanned Array:アクティブ電子走査アレイ)レーダーであると見なされている[2]。AESAレーダーは、空中目標の探知・追尾と航空管制のみならず、電子戦に用いて敵を抑制することも可能。この柔軟性は現代のAESAレーダー特有の強みであり、中国のみならず他の国でも活用されている。

Y-9LGのバランスビームのアレイ部分は二つの部分で構成されており、後部胴体側面にも機体外壁と一体化した大型のコンフォーマルアンテナが存在することから、これらを活用して広い周波数帯をカバーしていると考えられる[1]。胴体後部の大型アンテナは、そのサイズから強力な妨害能力を備えているとみられ、仮想敵の早期警戒管制機の有効探知距離の外側から電子妨害を仕掛け得る可能性も指摘されている[1]。Y-9LGは、AN/APG/77とAN/APG-81を含む西側諸国の主要なAESAレーダーのすべてを妨害することを念頭に開発されたと考えられている[4]。

Y-9LGは、このほかに、気象レーダーを搭載するとみられる機首レドーム、そして機首後方のフェアリング、胴体下部前方の円筒形フェアリング、垂直尾翼頂部のアンテナ、尾部アンテナ、そして胴体下部と尾部に多数のブレードアンテナを装着している。これらの装備の多くがESM(Electronic Support Measures:電子支援対策)やELINT(ELectric INTelligence:電子諜報)に用いるアンテナで、発信される電波信号をパッシブ監視しているとみられる[1]。これら多数のアンテナアレイは、Y-9LGが、情報収集・監視・偵察システムを用いて敵機や艦艇のレーダー、さらには陸上の大規模電子施設からの電子信号をキャッチして、その位置を特定する能力を有することを示している[1]。

これらの電子情報は、機体上部前方にあるフェアリングに収納された衛星通信アンテナを用いることで、Y-9LGはどこに展開していても後方とデータリンクで結ばれて情報を転送・共有し得る[1]。

Y-9LGは、米軍のEC-37BやEC-130Hなどと同等の能力を備えているとみられ、敵の電子機器に対する電子攻撃や妨害を担当し、レーダー、通信システム、航法装置などにダメージを与えることで、敵の活動、特に線上における連携を妨害する[1]。それに加えて、電子偵察センサーや電子支援センサーを介して、脅威となる発信源に対する広範なデータを取集し、検知・追尾・位置の特定を行うことも可能[1]。

中国軍では輸送機ベースのY-9LGのような電子戦機のみならず、戦闘機ベースのJ-16D、J-15D、J-15DTといった電子戦機の開発・配備も進めている。両者の性格の相違を挙げると、Y-9LGが、大型プラットフォームに多数の捜査員と装備、装備を稼働させるだけの発電能力を備えて、前線の比較的後方に位置して、長時間の飛行を行い、様々な任務を持続的に遂行するのに対して、J-16D、J-15D/DTは脅威度の高い空域に高速で展開して深く侵入し、精密な電子攻撃/妨害を実施する。その点で、両者は競合関係にはなく、電子戦を行う上での相互補完関係にあるというべきである。

【運用状況】
Y-9LGは、中国空軍の第20航空師隷下の第58電子戦連に配備されているとされる[4]同部隊は、戦略性の高い南シナ海での任務を担当しているが、台湾に対する大規模作戦にも参加する可能性が高い。平時には電子情報収集任務に当たり、有事には、指揮統制通信、レーダー、航法システムを含む多数の敵の装備を混乱させ、敵の活動、とりわけ戦場の調整能力を阻害する役割を果たすであろう[4]。またASEAレーダーは空中警戒や管制にも活用できる可能性も指摘されている[6]。

去年の中露合同演習では、Y-9LGとY-9Z総合電子戦機がコンビで参加して、Tu-95M爆撃機とH-6N爆撃機に電子支援を提供した。Y-9Zは、日米両軍のレーダー信号を収集し、Y-9LGは日米両軍の早期警戒管制機や艦艇のレーダーに対する遠距離妨害をシミュレートしたと推測されている[1]。

【参考資料】
[1]观海「特殊机梯队—运-9LG雷达干扰机、运-9Z1综合电子战机」『兵工科技 纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利80周年2025九三大阅兵 上册』(兵工科技杂志社/2025年9月)63-66ページ
[2]Naval News「Rare Chinese Y-9LG ELINT Aircraft Spotted in Thailand」(Naval News Staff/2024年9月1日)https://www.navalnews.com/naval-news/2024/09/rare-...
[3]DefAsia「Y-9LG: China’s New Electronic Warfare Game-Changer Takes Flight Overseas」(投稿日2024年12月18日)https://www.youtube.com/watch?v=udVn4S2h_3s
[4]The War Zone「Our Best Look Yet At China’s New Standoff Electronic Warfare Plane」(THOMAS NEWDICK/2024年8月30日)https://www.twz.com/air/our-best-look-yet-at-china...
[5]Chinese Military Aviation.「Y-9LG High New 13」http://chinese-military-aviation.blogspot.com/p/su...
[6]The National Interest「Y-9LG: China's Electronic Warfare Warrior In the Sky」(Peter Suciu/2024年9月9日)https://nationalinterest.org/blog/buzz/y-9lg-china...

【関連事項】
Y-9Z総合電子戦機(運輸9Z/Y-9DZ/高進12/GX12)
Y-9輸送機(運輸9)

中国空軍

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