鷹撃91(YJ-91)対レーダーミサイルは、ロシアのズベズダ設計局が開発したKh-31P(AS-17Cクリプトン/Krypton)対レーダーミサイルを元に開発された中国発の実用的対レーダーミサイルである。
1997年、中国はロシアのズベズダ設計局とKh-31P高速対レーダーミサイルを共同生産する事で合意した事が明らかになった。ズベズダ設計局はこの報道を否定したが、WEB上では中国の某工場がKh-31Pを生産している画像が公開されている。情報によればズベズダ設計局は200基のL-112Eパッシブ・レーダー誘導装置を中国に送り、これによってYJ-91が生産された模様。YJ-91は地上のレーダー施設やパトリオット・ミサイルのレーダーユニット、イージスシステム搭載艦、AWACSなどに対して使用される。また未確認の情報によると、中国は射程200kmを超えるYJ-91の改良型を開発しており、この対レーダーミサイルを使用すれば台湾の防空レーダーの探知距離外から攻撃を行うことも可能になるという。
Kh-31には対レーダー型のKh-31Pのほかに空対艦型のKh-31Aがあるが、YJ-91にもアクティブ・レーダー誘導方式の空対艦型が存在するとの情報もある。こちらは航空機からの発射後に高度20m前後で巡航飛行を行い、終末段階では高度7mに降下(最低可能飛行高度は1.2m)することで目標艦艇からの探知を避けるとされている。
現在YJ-91はKh-31シリーズと共にSu-30MKK2とJH-7Aによって運用されているが、将来的にはJ-11戦闘機(殲撃11/Su-27SK/Su-27UBK)やJ-10戦闘機(殲撃10/F-10)にも搭載されるものと思われる。
■性能緒元
全長 | 4.71m |
直径 | 36.02cm |
重量 | 600kg |
弾頭重量 | 90kg |
最大速度 | M4.5 |
射程 | 5km〜50km |
誘導方式 | パッシブ・レーダー誘導 |
装備機種 | Su-30MKK/MKK2戦闘機 |
J-11戦闘機(殲撃11/Su-27SK/Su-27UBK) | |
J-10戦闘機(殲撃10/F-10) | |
JH-7攻撃機「飛豹」(殲轟7/FBC-1) | |
J-8II戦闘機(殲撃8B/F-8II/フィンバックB) | |
J-11B/BS戦闘機(殲撃11B/殲撃11BS/Su-27) |
【参考資料】
戦闘機年鑑2005-2006 (青木謙知/イカロス出版)
Chinese Defence Today
新浪網 「武器資料:中国鷹撃-91反矢輻射導弾(附図)」
Kh-31A空対艦ミサイル(AS-17クリプトン)
中国空軍