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YJ-12(鷹撃12)は、1990年代中頃から開発が始まった次世代の対艦/対地超音速巡航ミサイル[1]。その情報は乏しく、具体的な開発状況や性能など明らかになっていないところが多い。

【性能】
YJ-12は、YJ-83をベースとして開発が進められたが、性能の大幅な向上が求められたことからエンジンをターボジェットからラムジェットに変更するなどその構造は大きく変化している[1]。

公式情報が乏しいことから、YJ-12がどのような姿をしているのかは長らく不明であった。2006年の珠海航空ショーで中国航空工業第一集団公司(現中国航空工業集団公司)が出展したFBC-1(JH-7の輸出型)戦闘爆撃機の模型に搭載されていた超音速ミサイルがYJ-12に当たるのではないかとの推測もあった[2][3]。このミサイルは中国航空工業第一集団公司が自主開発したスタンドオフ攻撃が可能な超音速巡航ミサイルの概念案で、円筒形の胴体側面に矩形のインテークを配しており、インテークから最後尾までダクトが延びて尾部に4枚の制御フィンを装着していた[3]。サイズは全長4.18m、直径560mm、重量980kg、弾頭重量300kg。最高速度はマッハ4で、400kmの射程を有すると伝えられた[2]。

しかし、2013年に中国のインターネットで紹介されたYJ-12の写真とされるものは2006年に展示されたミサイルとは全く異なる形状であった[4]。こちらは本体中央部に4つのラムジェット用空気取り入れ口を備え、その後方に切り落としデルタの安定翼を4枚、ミサイル尾部に矩形の飛翔制御フィンをそれぞれX字型に配置したものであった[4]。ミサイルのサイズは全長6m、重量約1tとのデータがあるが真偽は不明[1]。2013年の写真からの推測では、Kh-31(全長4.7〜5.3m)よりも大型でKh-41(9.75m)よりも小さいサイズであると見られている[4]。

超音速巡航を可能とするため、推進装置はYJ-83のターボジェットエンジンからラムジェットエンジンに変更された[1]。YJ-12は液体燃料によるラムジェット推進で、マッハ2.5〜3.5程度の最高速度の発揮が可能であり、航続距離は飛行高度により変化するが150kmから300km、もしくは400km超との数値も見られる[1][4]。誘導システムは、中間段階が管制/衛星位置測定システム、終末段階がアクティブ・レーダー誘導/赤外線画像誘導/TV誘導との情報がある[1]。当然、データリンクをつかった指令アップデート機能も備えているものと推測される。

当初から各種派生型の実用化を想定しており、艦艇、航空機、地上車両など各種プラットフォームでの運用が可能[1]。

【今後の展開】
YJ-12は2009〜2010年頃に、H-6G爆撃機の試作機から発射試験を実施したと伝えられている[4]。2010年代には実用段階に達し量産化が開始され、海軍や海軍航空隊への配備が始まっている[5]。段階的に現在の主力対艦ミサイルであるYJ-83に代わって運用されることが想定される。より射程の長いYJ-18Aの配備も進んでいるが、こちらはVLSでの運用が中心で、052D型駆逐艦など新型の汎用式垂直発射機(VLS)装備艦艇に搭載され、傾斜式ランチャーを使用するYJ-12との住み分けがなされている[12]。今後は、汎用式垂直発射機(VLS)装備艦艇がYJ-18Aを搭載し、既存のYJ-83運用艦はYJ-12へ換装されると見られている[5]。

YJ-12は、対艦ミサイル、対地ミサイルとしてだけではなく、YJ-91(Kh-31P)に換わる対レーダー・ミサイルとしても使われるとの情報もある[3]。また、中国では長射程の次世代超音速地対地ミサイルや空対地ミサイルの開発が行われているとされ、YJ-12が開発のベースとなっていることも考えられている[3]。2016年の珠海航空ショーでは、YJ-12の輸出型であるCM-302超音速対艦ミサイルが出展された。YJ-12は400kmを超える射程を有するが、CM-302の射程は290kmと原形よりかなり短縮された数値が発表されている[6]。国際的なミサイル技術輸出規制であるミサイル技術管理レジーム(MTCR:Missile Technology Control Regime)で射程300km以上の巡航ミサイルの輸出が規制されているため、これに抵触しないための措置とみられる。

性能緒元(確定的なものでは無い)
全長6m
直径
重量約1t
弾頭重量  
最大速度マッハ2.5〜3.5
射程150〜400km超(諸説あり)
誘導方式慣性航法+衛星位置測定システム(中間段階)
 アクティブ・レーダー誘導/TV誘導/赤外線画像誘導(終末段階)
装備機種艦艇、航空機、地上発射車両など

【参考資料】
[1]多田智彦「特集・中国海軍-ウエポン・システム」(『世界の艦船』2013年1月号/海人社)90〜95ページ
[2]東方網-軍事「中国4倍音速導弹亮相 400公里内能打航母[図]」(楊鉄虎/2006年11月13日)
[3]青木謙知『ミリタリー選書8-軍用機ウエポン・ハンドブック』(イカロス出版/2005年)95ページ
[4]Chinese Military Aviation「YJ-12」
[5]银河「厚积薄发−从”深圳”舰的现代化改装看中国海军技术的变革」『舰载武器』2016.12/No.255(中国船舶重工集团公司/17〜30ページ)24ページ
[6]伊呜「全射超音速−CM-302新型反舰导弹」『兵工科技 2016甦-2016珠海航展专辑』(兵工科技杂志社/63〜66ページ)

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