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▼動画:邁糞始群「厉害的并不是高超音速反舰导弹鹰击17本身,九三阅兵亮剑」
(2025年9月6日)2025年9月3日に北京で挙行された軍事パレードに参加したYJ-17の解説動画


YJ-17(鷹撃17)は、2025年9月3日に北京で挙行された軍事パレードで初公開された、艦載型極超音速滑空艦対艦ミサイルである[1]。先端部にウェーブライダー式極超音速滑空飛翔体(Hypersonic Glide Vehicle:HGV)を備えており、従来の防空システムでは対処困難な突破能力を付与されている[1][2]。

中国軍のHGVを用いた装備としては、戦略ミサイル部隊である火箭軍(ロケット軍)のDF-17短距離弾道ミサイルに続くもので、海軍としては初のHGVとなる。一部の資料では、DF-17はYJ-17の技術的淵源であり、DF-17の設計をベースとして艦載化に必要な所定の改造を施したのがYJ-17になるとする[1]。

艦載化に当たって、052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)055型駆逐艦(レンハイ型)のVLS(Vertical Launching System:垂直発射システム)への搭載を前提として設計が行われた。これは、YJ-17と同時期に開発されたYJ-20 ASBM(anti-ship ballistic missile:対艦弾道ミサイル)とも共通した設計であり、052D型/055型駆逐艦はYJ-17/20という射程1000kmを超えるスタンドオフ兵器の運用能力を与えられたのだった[1]。

【性能】
YJ-17の全長は8.5m、直径は0.8m[1]。これは052D/055型駆逐艦が搭載するVLS(垂直発射装置)のうち、もっとも大型のランチャーの内径(0.85m)に適合するミサイル直径0.8mとして設計された[1]。このランチャーの内径0.85mというのは、アメリカ海軍が運用する最大のVLSであるMk.57の内径0.71m、全高7.9mよりも大きなサイズとなっており、それだけ大型のミサイルを運用できる優位性を確保している[1]。

YJ-17は、先端部の極超音速滑空飛翔体(HGV)と、第一段ロケットである大型ブースターから構成されている。YJ-17のHGVは、「ウェーブライダー」 形状を採用している[1]。全体に扁平で鋭角的な形状で、先端部に行くほど平坦になるように絞り込まれている。HGV自体が揚力を発揮するため、胴体側面に設置された翼は短冊状の横幅が短いものとなっており、これが機体側面のほぼ全体に沿って装着されている。尾部の上下には切り落としデルタ翼の安定翼が配置されている。「ウェーブライダー」とは、極超音速飛行時に自らが発生させる衝撃波の上に「乗る」ことで、空気抵抗を低減し、衝撃波の圧力を揚力に変換する飛翔方式を意味しており、エンジン推力なしで極超音速滑空を継続し、「スキップ・グライド」(跳躍・滑空)飛行を行うことを可能とする[2]。YJ-17のHGVは、滑空機としての設計により、不規則な軌道を描くことで迎撃ミサイルの軌道予測を困難にする[3]。その極超音速と回避機動は、防衛側の反応時間を短縮し、センサーや迎撃システムによる対処を困難にする[3]。

ウェーブライダー、スキップ・グライドの源流となったのは、中国の宇宙開発史における最重要人物である銭学森(1911〜2009)が、在米中の1949年に考案した「銭学森弾道」(ブースト・グライド弾道、Boost-Glide Trajectory)という概念である[4][5]。これは、オーストリア出身の宇宙工学者オイゲン・ゼンガー(1905〜1964)が提唱した「ゼンガー弾道」(Sanger trajectory。大気圏の外と内を水切りのように何度も跳ね返りながら飛行するスキップ弾道)を発展・修正させたものである[5]。ゼンガー弾道が宇宙空間への再跳躍を繰り返すのに対し、銭学森弾道の核心は、ロケットで高高度まで打ち上げた後、宇宙へ戻ることなく大気圏辺縁の薄い空気を利用して、一定の高度を維持したまま「大気圏内を滑るように」長距離滑空させる点にある[4][5]。この弾道は、弾道ミサイルの長射程と、飛行体の柔軟性を巧みに融合させている。通常の弾道ミサイルの放物線軌道とは異なり、この滑空軌道は極めて予測が困難となり、飛行のほとんどは大気圏と宇宙空間の境界領域(高度20〜100kmの「近宇宙空間」)を極超音速で飛行するため、既存の多くの防空システムの迎撃可能な範囲を巧妙に回避するものとなる[4]。

HGVの空力制御は、極めて高い高度から極超音速域のマッハ6〜8までの速度に対応でき、速度の出し過ぎや強大な大気との摩擦による制御不能を防ぎつつ、修正や回避のための時間も確保する必要がある[6]。極超音速域では、僅かなずれでも目標から大きく逸れたり、過剰な摩擦の発生によって機体構造が損傷したりする可能性が生じるため、その空力性能には極めて厳しい要求が課せられる[6]。中国はDF-17の開発においてこの問題に直面し解決した経験があり、それはYJ-17にも活用されていると考えられる[6]。

YJ-17の誘導システムについてはまだ詳細な情報は少ないが、資料[3]では中間段階を慣性航法と「北斗」衛星測位システムを用いて、終末段階では搭載センサーによるアクティブ・レーダー誘導システムを使うことで、移動目標に対しても高い精度を確保しているとする[3]。

ただし、この点について、HGVにはその特性に由来する難易度の高さも存在する。それは通信途絶の問題である[7]。HGVを含む極超音速飛翔体はは高度20キロメートルを超える近宇宙空間を飛行する。完全な宇宙空間ではなくまだ密度の高い大気圏であるため、摩擦が非常に激しく、機体周辺の温度が急激に上昇を来し、空気分子が電離し、機体を覆う不均一な厚さのプラズマ層が形成される。電波はこのプラズマ層を透過できないので、『ブラックアウト』として知られる通信途絶状態になる。極超音速飛翔体の場合、ブラックアウトはかなりの時間に渡る可能性があるので、目標探知に用いるレーダーや他ユニットとのデータリンクの使用が困難になる。この問題を解決するために、YJ-17(とその原型となったDF-17)の機体は非常に長く細長く、先端が尖った形状に設計されており、アンテナ周辺のプラズマ層を薄くすることで通信を確立できるよう工夫が凝らされている[7]。

YJ-17と同サイズのランチャーに搭載されるYJ-20は、第一段ブースターと第二段ミサイルがほぼ半々の長さであるのに対して、全長の三分の二を占めるYJ-17のブースターの大きさは群を抜いている[1]。YJ-17のブースターのサイズであれば、50〜60秒の作動時間で、5〜6t程度の加速力を発揮して、ミサイルを高度3万〜5万mでマッハ5〜8の速度に達するまでに加速させる能力があると見積もられている[1]。

YJ-20が第二段ロケットにもロケットモーターが内蔵されているのに対して、YJ-17は第二段のHGVには動力装置は積まれておらず、必要な加速はすべて第一段ロケットに依存している。YJ-17が大型ブースターを採用しているのはこれが原因であった。3万〜5万mという高高度に上昇したHGVは、一段目ブースターを切り離すと、「銭学森軌道」(ブースト・グライド弾道)に乗って飛翔を開始する。YJ-20の第二段ロケットよりも小型・軽量で、空気抵抗も少ないYJ-17のHGVは、空気抵抗の少ない高高度をYJ-20の第二段ロケットより遠方まで飛翔することが可能[1]。

HGVは、その独特な弾道飛行特性により、その航続距離は一般に1,300km〜1,500kmに達する。これは既存の対艦ミサイルの3〜4倍に相当するもので、制圧可能な海域面積を8倍に拡大でき、中国海軍の対艦攻撃を戦術レベルから戦略レベルへと引き上げた存在と評されている[1]。HGVは極超音速のスピードで飛翔しながら、探知側が予測不可能な複雑な軌道を採って飛翔コースを変えることが出来る敏捷性を備えており、低いレーダー反射断面積も相まって、そのレーダー追尾を困難にしている[8]

【YJ-17とYJ-20の比較】
YJ-17という兵器の性格を知るには、同時に開発されたYJ-20との比較が有効であり、なぜ二種類の極超音速兵器を中国海軍が開発・配備したのかをより深く理解できる。

まず、YJ-17という兵器システムの特徴は、極超音速滑空兵器(HGV)という点にある。HGVは、高い揚抗比、長射程、高速性、優れた機動性、小さなレーダー反射断面積、高い防空網突破能力を兼ね備える反面、その製造技術は複雑で、コストは高く、特に複雑なウェーブライダー構造を有し、搭載される弾頭には厳格な重量制限が課せられるという課題を抱えている[1]。高い防御力を有する大型艦艇に重大なダメージを与えるには弾頭重量が重いほど有利になるのは当然だが、この点においてHGVの限られた弾頭重量は不利に働く。例として、アメリカで開発されたAGM-183A極超音速ミサイルの弾頭重量は僅か68kgに留まっていた[1]。

これに対してYJ-20のような二重円錐形滑空極超音速ミサイルは、速度・航続距離・敏捷性などのスペックではHGVに劣るものの、第一段ロケットのサイズと重量はHGVよりも大きく重くできるので、広い内部容積を備え、センサー、制御装置、電子機器を搭載するだけの十分な容積を確保し得る点で優れている[1]。このスペースはHGVには不可能な大型弾頭の収納場所として機能する[1]。

二重円錐形滑空極超音速ミサイルは終末段階で極超音速で標的艦艇に命中した場合、その運動エネルギー、貫通深度、破壊面積、内部構造に与える損害範囲は、HGVをはるかに超えるもので、排水量1万トン級の水上目標に対して一撃で壊滅的な打撃を与える能力を備えている。米海軍の10万トン級のスーパーキャリアーに対する攻撃を実施する場合は、入射角度80度を超えるほぼ垂直からの突入を行い、船体を8〜12mに渡って貫通して、艦内で弾頭を爆発させる[1]。これにより、艦内の重要部分に対して重大な損害を与えて、空母の戦闘能力および艦自体に深刻なダメージを与え得る。見積もりでは5〜7発の命中により、スーパーキャリアーであっても撃沈できると見られている[1]

HGVであるYJ-17とASBMであるYJ-20は、異なる特性を持ち、それぞれ一長一短があるため、中国海軍ではこの二種類の兵器を組み合わせて運用することで、その利点を生かし欠点を抑える手段を取ったものと考えられている[1]。すなわち、打撃力自体は少ないが、広大な範囲をカバーする航続距離と、探知が困難で、その高速性と敏捷性と低いレーダー反射断面積に由来する高度な防空網突破能力を兼ね備えるHGVは、米空母打撃群の周辺部に展開して艦隊防空を担当するイージス艦などの護衛艦艇を優先的に攻撃し、米艦隊のエリア・ディフェンス能力を制圧ないし弱体化させる。そのお膳立ての上で、HGVほどの機動性や低視認性は持たないものの、大型弾頭を搭載して高い打撃力を備えたASBMにより最重要目標である航空母艦を打撃すると想定される[1]。

【YJ-17/YJ-20と、その搭載プラットフォームとの関係】
全長8.5m、直径0.8mという通常の対艦ミサイルより大型なYJ-17とYJ-20を搭載できるのは、それらを収納可能なVLSを有する052D型駆逐艦と055型駆逐艦のみである。

両艦のそれまでの対艦攻撃手段であるとYJ-18艦対艦ミサイルも、600km以上の射程と終末段階でマッハ3に達する速度を誇る強力な対艦ミサイルであるが、YJ-17/YJ-20は射程1,000kmを超える極超音速ミサイルという次元の違う対艦攻撃兵器となっている。
両兵器の実装により、052D/055型駆逐艦は、1,000km以上離れた海域にいるアメリカ海軍の空母戦闘群に対してスタンドオフ攻撃を行う能力を付与された形となる。

2025年9月3日の軍事パレードに登場した4種類の新型対艦ミサイル、YJ-15、YJ-17、YJ-19 、YJ-20は、搭載プラットフォームの対艦攻撃能力を飛躍的に向上させ、その投射可能距離を大幅に延伸したという二点においてこれらの兵器は共通した特徴を持っている。

J-15T艦上戦闘機は、以前のYJ-83K(高亜音速、120〜200km)から、YJ-15(マッハ3〜4、射程300〜400km台)へと強化され、052D/055型駆逐艦は、前述の通り、YJ-18からYJ-17/YJ-20の搭載により極超音速ミサイルを射程1,000km以上離れた海域への投射を可能とした。そしてYJ-19は潜水艦の533mm魚雷発射管からの射出を想定した極超音速ミサイルであり、既存のYJ-18A(終末マッハ3、射程600km)から、最高速度マッハ6、射程1,200〜1,500kmと射程と速度が以前の対艦ミサイルと比較して劇的に向上しているのを見て取れる[1][9]。

052D型駆逐艦/055型駆逐艦に、従来のエリア・ディフェンス防空艦としての役割に加えて、1,000kmを超える距離の艦艇に対する打撃力を付与したことで、中国海軍と対峙する西太平洋における米艦艇の活動はYJ-17/YJ-20の射程を意識せざるを得なくなり、行動を起こす上での指標を複雑化させる効果が期待し得る[1]。

これらは単なる個別兵器の性能向上ではなく、中国海軍の対艦戦ドクトリンそのものを『数による飽和攻撃』から『異種脅威による質的飽和攻撃』へと転換させる、体系的な戦力構造の変革の一環と理解すべきである。これについては次章で解説を行う。

【アメリカ海軍のCECとNIFC-CAへの対抗措置としての中国海軍の新型対艦ミサイル群】
中国海軍が、対艦攻撃手段の多様化、射程と速度の延伸を図ったのは、仮想敵であるアメリカ海軍の防空能力の画期的な強化に対抗する意味合いが強かった。

2010年代以降、米海軍は中露の対艦攻撃に対応して艦隊の防空能力の強化を図っており、その核心となるのがCEC(協同交戦能力)とNIFC-CA(海軍統合射撃指揮対空能力)という二つのコンセプトである[1][3][6]。

CECは、複数の艦艇や航空機のレーダー情報をリアルタイムで統合し、艦隊全体で一つの共通の戦術状況図を共有する技術。これにより、個々のレーダーでは捉えられない水平線彼方の目標も、僚艦や航空機とデータを共有することで探知・追跡が可能となり、より遠距離から迅速で高い効率の対空戦闘を可能とする[1][10]。艦隊から数百キロ先に展開したE-2D早期警戒管制機を核とするネットワーク化された各プラットフォームがそれぞれ情報を共有して全体で迎撃を行うCECの採用により、レーダーの物理的限界を超えた広範な空域を監視しつつ、遠距離から接近する目標を迎撃可能となったことで、超音速対艦ミサイルの優位性であったリアクションタイムの短さは相応に相殺されてしまった[1]。

CECが「遠くまで見渡せる目」だとすれば、NIFC-CAは「遠方を制する弓矢」というべき迎撃手段の革新となる。NIFC-CAは、CECで共有された情報を基に、「どのセンサーが、どのシューター(武器)を誘導するか」を状況に合わせて指示して攻撃を実施するシステムである[3]。最大の利点は、前方の戦闘機や地上部隊が発見した目標に対し、水平線外の後方にいる艦艇からSM-6などの長距離艦対空ミサイルを発射し、他ユニットが中継誘導を担当し情報のアップデートを受けながら飛翔し、終末段階でミサイルのシーカーを作動させて相手を補足・撃墜するというものである。CECとNIFC-CAの組み合わせにより、公表値130海里(240km)、推定最大射程は250海里(463km)に達すると考えられているSM-6の長射程[11]を有効に機能させることが可能となった。米海軍ではSM-6をF/A-18E/F「スーパーホーネット」艦上戦闘機に搭載することで、艦艇搭載という制約から解放し、その射程を劇的に伸ばす計画も実行に移している[11]。

YJ-15/YJ-17/YJ-19/YJ-20の配備は単なる新兵器の枠に留まらず、CECとNIFC-CAにより既存のYJ-12YJ-18という超音速対艦ミサイルの有効性を損なわされた中国海軍の対応措置という意味合いが強い。中国の対米戦略は戦力的均衡を目指すというよりも、非対称性を利用して米国の戦力投射を抑止することに重点を置いている[12]。中国は均衡を追求するのではなく、破壊的技術に的を絞って投資することで、米国にコストを課し、米国の計画を複雑化させ介入へのハードルを上げることを意図している[13][12][14]。その意味で対艦攻撃能力の有効性が傷つけられたことには重大な意味があり、中国側は早急にこの面での能力回復を図る必要があった。防御側の有利に傾いた戦力バランスを取り戻すために開発を進めたのがYJ-15、YJ-17、YJ-19、YJ-20という一連の新型ミサイル群であった。それぞれ、射程と速度を延伸し、四種類中三種類が迎撃が困難な極超音速ミサイルというラインナップをそろえたことも、米海軍の艦隊防空システムの高度な迎撃システムを突破することを目指す中国海軍の強い意志の表れと見なすことが出来るだろう。

結論として、YJ-15、YJ-17、YJ-19、YJ-20の開発は、従来の「数」で勝負する飽和攻撃から、「速度」「機動性」「多様性」という質的な要素で防御システムのキャパシティを超える「新しい飽和攻撃」 への移行を示している[1][9][15]。既存の超音速対艦ミサイルに加え、極超音速飛翔体やスクラムジェットミサイル、対艦弾道ミサイルといった、防衛側に全く異なる対応を強いる多様な攻撃手段を、時を同じくして投射する。これにより、迎撃システムは複数の異種脅威への同時対処を強いられ、その処理能力を超える「質的な飽和攻撃」が実現された。これは従来の中国海軍/空軍の多数の亜音速/超音速対艦ミサイルを軸として、それを戦略ロケット軍のASBMで補完する攻撃手段からの明確な戦術的進化であり、中国海軍の対艦戦におけるパラダイムシフトと言えるだろう。

これらの新型兵器は、それぞれ単独で機能するのではなく、一つの巨大なシステムとして機能する。すなわち、以下のような要素の統合的運用が求められる[13]。
センサー人工衛星、OTH(Over-The-Horizon:超水平線)レーダー、有人機・無人機などによる戦略ISR(Intelligence, Reconnaissance and Surveillance:情報・監視・偵察)の統括
データリンク各ユニットの情報をデータリンクで共有するネットワーク
指揮管制各軍の枠を超えた統合指揮管制
攻撃タイミングの調整広域に分散配置された各種対艦攻撃手段を連動させた、最適な弾数とタイミングでの投射

攻撃手段となる各種ミサイルは水上戦闘艦、潜水艦、航空機など多岐にわたるプラットフォームから発射可能であり、中国側が構築を進めている(まさしくCECやNIFC-CAにも相当する)統合戦場指揮システムを用いることで、陸・海・空・水中のあらゆる方向から、異なるプラットフォームによりタイミングを合わせて多種多様なミサイルによる複合的な飽和攻撃を実施するインフラ構築が進んでいる。このような複雑な戦術判断には、AIによる意思決定支援が不可欠であり、中国もこの分野の研究を加速している[16][17]。AIは、戦場データをリアルタイムで分析し、戦場状況を自動的に生成し、指揮官の迅速な意思決定を支援し、緊急時対応計画を動的に最適化し、適応型キルチェーンを構築するために使用され、「システム予測+人間の意思決定」モデルが構築されるべきと見なされている[17]。アメリカ側の専門家も中国が指揮統制システムにAIを活用することで、そのOODAループ(観察、方向付け、決定、行動)を劇的に短縮しようとしていると見なしている[12]。

その意味で、米海軍と中国海軍の兵器体系は「System of Systems[18]」としての対決というべき状況となっている。どちらがより早く、より正確に「自軍のSystem of Systemsを機能させ、敵軍のSystem of Systemsを機能不全に陥れるか」という、システム同士の対決の様相を強く帯びている。中国は、CEC/NIFC-CAによる米海軍の「防御側の優位」に対し、それを「攻撃側の優位」に転ずるために自らのSystem of Systemsを駆使することで対抗しようとしている。それは具体的には、多様なミサイルを「質的に飽和」させることで、米軍のSystem of Systemsの処理限界を超える、もしくは他の手段との合わせ技でシステムそのものを機能不全に陥れることで「防御側の優位」を崩そうとしている。YJ-15/YJ-17/YJ-19/YJ-20の登場は、単なる新兵器の登場というより、システム同士の対決という新たな戦争様相の具体的な現れとして理解すべきである。

性能諸元[1]
全長8.5m
直径0.8m
重量
弾頭重量
推進装置第一段ロケット(固体燃料ロケットモーター)
最大速度マッハ5〜8程度(巡航時)
射程1,000km以上(1,500km程度?)
誘導方式慣性航法+「北斗」衛星測位システム(中間段階)
 アクティブ・レーダー誘導(終末段階)
搭載艦艇052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)055型駆逐艦(レンハイ型)

【参考資料】
[1]银河「”破盾之锤”中国第四代对海打击武器的建设以及对西太平制海权的影响(下部)」『舰载武器』2026.05/No.481(中国船舶集团有限公司)16-27ページ
[2]Kajal, Kapil「China’s submarine-launched missile can fly hypersonic riding its own shockwaves」『Interesting Engineering』2025年11月28日, https://interestingengineering.com/military/china-...
[3] Weichert, Brandon J.「The West Is Worried About China’s YJ-17 Hypersonic Glide Vehicle—for Good Reason」『The National Interest』(2025年8月24日)https://nationalinterest.org/blog/west-worried-abo...
[4]成航科普基地 「钱学森弹道(第十届全国科普讲解大赛)」『成航科普基地』2025年9月16日, https://www.cap.edu.cn/chkpjd/info/1371/2401.htm
[5]GlobalSecurity.org「Hypersonic systems」(2021年10月18日)
https://www.globalsecurity.org/wmd/world/china/hyp...
[6] 新浪网-军事「中国东风17导弹疑曝光:这项性能世界第一(图)」(2019年6月26日/空中世界加特林)https://mil.sina.cn/sd/2019-06-26/detail-ihytcitk7...
[7]中時新聞網「最快10倍音速 陸東風17靠這招」(2019年10月4日/楊幼蘭)https://www.chinatimes.com/realtimenews/2019100400...
[8]唐志远「反舰导弹方队—鹰击-15超声速导弹、鹰击-17、鹰击-19、鹰击-20高超声速导弹」『兵工科技--纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利80周年2025九三大阅兵(下册)』2025.18(兵工科技杂志社)36-43ページ
[9]银河「”破盾之锤”中国第四代对海打击武器的建设以及对西太平制海权的影响(上部)」『舰载武器』2026.04/No.479(中国船舶集团有限公司)19-32ページ
[10]自由時報「中國海軍航空兵移轉空軍 打造以航艦為中心戰力」(編譯張沛元・綜合報導/2023年8月4日)https://def.ltn.com.tw/article/breakingnews/438552...
[11]Naval News「Air-launched SM-6 Spotted Again on U.S. Navy F/A-18 Super Hornet」(Carter Johnston/2024年4月6日)https://www.navalnews.com/naval-news/2024/06/air-l...
[12]Dr. James M. Minnich「Dialogue | Episode 47: China’s Military Bet on the Future – A Dialogue with Elsa B. Kania」『Daniel K. Inouye Asia-Pacific Center for Security Studies』(2025年7月)https://dkiapcss.edu/dialogue-episode-47-chinas-mi...
[13]河津幸英「米艦隊を阻止せよ!中国の空母キラーウエポン」『図説 徹底検証 アメリカ海軍の全貌 対中作戦と新型軍艦』(発行:アリアドネ企画、発売:三修社/2016年5月)121〜141ページ
[14]林富士夫「戦闘機開発から分析!中国空軍の近代化構想」『軍事研究』2015年2月号(ジャパン・ミリタリー・レビュー社)28〜39ページ
[15]Military Watch Magazine Editorial Staff「Chinese J-15 Carrier Based Fighters Deploy New Ramjet Missiles in Long Range Ship Hunting Configuration」『Military Watch Magazine』 (2026, Feb. 9). [Online]. https://militarywatchmagazine.com/article/chinese-...
[16]中国军网-解放军报「挑灯看剑用AI赋能指挥信息系统」 作者:解贻泽 责任编辑:王一亘/(2026年2月24日) http://www.81.mil.cn/yw_208727/16444158.html
[17]人民網-軍事「提高作戰指揮效能水平」(來源:解放軍報/車東偉 宋騰淵/2025年11月25日)http://military.people.com.cn/BIG5/n1/2025/1125/c1...
[18]]Maier, Mark W.「Architecting principles for systems-of-systems」『Systems Engineering』Vol.1, No.4,
(1998年).267〜284ページ https://asymmetricleadership.com/wp-content/upload...

【関連事項】
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