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rglc85tj8h 2026年06月02日(火) 00:37:31履歴
▼動画:Akela Freedom「ALBM 2PZD-21」(2023年4月22日)。空地21/2PZD-21(当時の呼称)の外観を確認できる。
YJ-21(鷹撃21)は2022年の珠海航空ショーでその存在が明らかにされたASBM(anti-ship ballistic missile:対艦弾道ミサイル)にしてALBM(air-launched ballistic missile: 空中発射型弾道ミサイル)[1]。
珠海航空ショーでは主翼パイロンに合計二基のAKD-21を搭載したH-6K爆撃機が実機展示された[1]。珠海で公開されたこの新型ミサイルの弾体には「2PZD-21」の型式名が記載されていた。これは訓練用の「配重弾(ダミーウェイト弾)」を意味しており、中国軍の命名規則から判断すると、ミサイルの制式名称はAKD-21/KD-21/空地21であると推測されていた[1][2]。
それが判明するのは2025年9月3日に北京で挙行された軍事パレードであった。トレーラーに搭載されて登場した同ミサイルの名称は「鷹撃-21空中発射弾道ミサイル(中国語で鹰击-21空射弹道导弹)と紹介され、その名称が対艦攻撃兵器「鷹撃(YJ)」であることから、ASBMを主任務としつつ、
高価値目標に対する対地攻撃も並行して遂行し得る兵器ということが明らかになった[3]
以下、本項ではYJ-21の名称を用いることにする。
【性能】
YJ-21のサイズは、全長7〜7.3m、直径76〜79cm、翼幅1.56m、重量は約2tとされる[2][4]。これは、ロシアのKh-47M「キンジャール」ALBMよりも小型で、KD-63など既存の空対地ミサイルと大差ないサイズにまとまっており、H-6K爆撃機であれば最大4発の搭載が可能と見られている[2][4]。
このサイズと形状、そして任務の共通性から、YJ-21は国際市場向けに開発されたCM-401対艦弾道ミサイルを技術的淵源としているのではと推測されている[3]。両者の間には強い共通性が見て取れるのは間違いないと思われる。ただし、中国軍での運用に当たり偏向された要素もあり、その第一が射程の差である[3]。CM-401は、大量破壊兵器の拡散防止を目的とした国際規制であるMTCR(Missile Technology Control Regime:ミサイル技術管理レジーム)を意識した設計が施されていた。MTCRでは、搭載能力500kg以上、射程300km以上のミサイルは輸出が厳しく制限されており、CM-401の290kmの射程はMTCRの規制を前提として、それに抵触しないぎりぎりの水準にまで向上されたものであった[5][6]
それに対して、YJ-21は先進的な固体燃料ロケットモーターの採用により、その射程を1,000kmにまで延伸することに成功していた[3]。(資料によっては、1,000〜1,500km[7]、約2,000km[2]とさらに長い射程を提示するものも存在する。
ミサイルの形状は、先端部の絞りの角度が段階的に変化する二段円錐構造のノーズコーンを採用した極超音速ミサイルで、極超音速で滑空することを想定した設計が施されている[1]。この設計は、すでにJL-1空対地弾道ミサイル(驚雷1/CH-AS-X-13)やDF-21D ASBM(anti-ship ballistic missile:対艦弾道ミサイル)、輸出用のCM-401 ASBMにも用いられており、先行者の設計が反映されていることが伺える[1]。
推進装置は固体ロケットモーターで、速度については少なくともマッハ5以上の速度は確保されていると推測される[4]。資料[3]では、平均飛翔速度マッハ5〜6、終末段階ではマッハ10前後になるとその速度を見積もっている。YJ-21は、母機から切り離されるとロケットモーターに点火して急上昇して、弾道軌道の頂点に達すると降下を開始して、滑空しながら目標に向かう[8]。その際には、空中で進行方向を変更したり、上下動軌道を行うことで不規則な飛行コースを採る。目標直前に達すると垂直に近い急降下姿勢をとって目標に突入する[8]。YJ-21は、その高い防空網突破能力と速度において、既存の防空システムによる迎撃を困難にすると見られている[8]。
中間誘導に関する情報は少ないが、同種のミサイルから推測すると慣性航法システムと「北斗」衛星位置測定システムを基本として、データリンクによる修正を加味していると思われる。先端のノーズコーン内には合成開口能力を備えたレーダーが搭載されており、終末段階ではこのレーダーを用いて目標を補足して突入すると見られている[2]。資料[3]では複合誘導システムを導入(具体的な内容は記載されていない)しており、悪天候下においても精密打撃を可能とするとしている。
YJ-21は任務に応じて弾頭を換装することが想定されており、通常の高爆弾頭 (HE)のほかに、強力な貫徹能力を有する「バンカーバスター」タイプの貫徹弾頭も用意されている[3]。これを用いることで、YJ-21は、強化された地下施設に対して有効打を与えることが可能[2][3]。無論、YJ-21は、CM-401の流れを汲むASBMであることから、固定目標のみならず、水上航行中の水上艦艇に対する攻撃能力も有している[2][8]。
【今後の見通し】
H-6爆撃機を母機としたALBMについては、中国空軍では既に JL-1空対地弾道ミサイル(驚雷1/CH-AS-X-13)の開発・配備を行っていることが知られていたが、JL-1は核抑止を目的とする核ミサイルであり、かつその搭載弾数は一発に限定されていた[9]。
それに対して、小型のYJ-21は、H-6シリーズの主翼パイロンであればどのタイプでも搭載可能であり、H-6Kであれば最大4発のYJ-21を積むことができる[2]。これは、空軍のH-6K、H-6N、海軍のH-6Jなど多くの機体にALBM/ASBMの運用能力を付与することを意味しており、複数発のALBM/ASBMを空中発射できることは中国空軍の遠距離攻撃能力を大きく底上げすることに繋がる。対艦攻撃においては、H-6K/J/N爆撃機が一機当たり4発のYJ-21を搭載すると想定すると、射程2,000kmのALBM/ASBMによる飽和攻撃能力を中国軍が有することを意味する点も重要である。
YJ-21は、その射程と命中精度を生かして。敵飛行場や指揮所、強化バンカーなどの高価値目標、そして水上艦艇に対する精密打撃に用いられる。
CCTVの報道では、H-6K爆撃機がYJ-21と空中発射式ドローンを組み合わせて運用する動画が公開されており、ALBMとドローンによる高いスタンド・オフ攻撃能力を実現しているものと想定される[1]。巡航ミサイルよりもはるかに高速なYJ-21を用いることで、目標に対して短時間で打撃を加えることが可能となり、巡航ミサイルなど他のミサイルと組み合わせることで迎撃側の防空システムに対して高い負荷をかけることに繋がる[3]。
YJ-21のサイズは既存のAKD-20/CJ-20巡航ミサイルと比較すると、直径は僅かに大きく、全長は大差ないので、将来的に次世代爆撃機であるH-20 が就役すれば、YJ-21をH-20 のウエポンベイに内蔵可能でステルス性を損なうことなくALBMを運用することが可能となることが指摘されている[7]。
H-6K爆撃機の航続距離は6,000km、空中給油用プローブを装備したH-6Nはさらに行動範囲を延伸することが可能であり、射程1,000kmのYJ-21と組み合わせることで、広大なエリアを攻撃圏内に収めることが可能となる[3]。
■性能諸元
| 全長 | 7〜7.3m |
| 直径 | 76〜79cm |
| 重量 | 約2t |
| 推進装置 | 固体燃料ロケットモーター |
| 最大射程 | 推定1,000〜2,000km |
| 誘導システム | 中間:慣性航法+「北斗」衛星測位システム+データリンク修正、終末:アクティブ・レーダー誘導+複合的な誘導システムを採用 |
| 速度 | 巡航:マッハ5〜6、終末:マッハ10前後 |
| 弾頭重量 |
【参考資料】
[1]大公报「火力升级/轰6K空中利刃 高超音速斩首」(2022年11月21日)https://www.takungpao.com/news/232108/2022/1121/78...
[2]Chnese Military Aviation「KD-21」https://chinese-military-aviation.blogspot.com/p/m...
[3]张川「高超声速导弹方队—鹰击-21、东风-17、东风-26D导弹」『兵工科技--纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利80周年2025九三大阅兵(下册)』2025.18(兵工科技杂志社)99-105ページ
[4]每日头条「轰-6K携双锥体导弹亮相航展 高超音速武器要白菜化 关键还要看平台」(雏菊西瓜Peterpan/2022年11月4日)https://kknews.cc/military/35mjbqg.html
[5]远林「珠海航展中国对地打击体系」(『兵器知识2011 1A』/《兵器知识》杂志社/36-37頁)
[6]外務省公式サイト「ミサイル技術管理レジーム(MTCR:Missile Technology Control Regime、大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制)」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html
[7]腾讯网-腾讯新闻「中国版“匕首”亮相!轰6K携带全新高超导弹,将震撼亮相珠海航展」(东方点兵/2022年11月4日)https://new.qq.com/rain/a/20221104A03CMW00
[8]每日头条「轰-6K亮相珠海航展,机翼下搭载新型导弹,美航母打击群更加头疼」(沐风谈兵论道/2022年11月3日)https://kknews.cc/military/6jp8b3v.html
[9]方向「核导弹第一方队—惊雷-1空基远程导弹、巨浪-3潜射洲际导弹、东风-61陆基洲际导弹、东风-31新型陆基洲际导弹」『兵工科技--纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利80周年2025九三大阅兵(下册)』2025.18(兵工科技杂志社)106-117ページ
【関連項目】
CM-401対艦弾道ミサイル
H-6爆撃機(轟炸6/B-6/Tu-16)
中国空軍