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▼YJ-62の試射。


性能緒元
全長6.1m(ブースター付7.0m)
翼幅2,900mm
直径540mm
重量1,140kg(ブースター付1,350kg)
弾頭重量300kg(HE)
推進装置WS-500ターボファンエンジン
最大速度マッハ0.9
射程400km
飛行高度30m(飛行時)/7〜10m(攻撃時)
誘導方式中間段階:衛星位置測定システム(GPSとGLONASSの併用)+慣性誘導+データリンク
 終末段階:アクティブ・レーダー誘導
装備艦艇052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型)

YJ-62艦対艦ミサイル(鷹撃62/C-602)は、YJ-62は、中国第一世代の対艦ミサイルであるHY-1艦対艦/地対艦ミサイルの後継として開発が行われ、052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型)に搭載されたことでその存在が明らかになった[1][7]。開発は中国航天科技集団公司(CASIC)傘下の中国海鷹機電技術研究院(CHETA。第三航空宇宙学院)によって行われた。

【開発経緯】
HY-1は1960年代から中国海軍の主力艦対艦/地対艦ミサイルとして配備が開始され、1990年代まで改良を重ねて運用が続けられてきたが、その発展も限度に達していた[7]。この状態を踏まえて中国海軍では、YJ-6HY-4の開発経験を踏まえて、米のトマホーク巡航ミサイル(対艦攻撃型)など1990年代の海外の先進的な対艦ミサイルの設計思想も加味した、艦対艦/地対艦ミサイルの開発を決定[7]。ミサイルのデザインには、米トマホーク巡航ミサイルの影響が伺える設計が採用されている[7]。艦対艦型と地対艦型は、設計の多くを共通化させているが、尾翼形状の相違(艦対艦型はX字翼、地対艦型は十字翼)など一部の設計には違いがみられる。艦対艦型はYJ-62、地対艦型はYJ-62Aとして制式化された。

【性能】
YJ-62のサイズは全長6.1m(ブースター付7.0m)、重量1,140kg(ブースター付1,350kg)、弾頭重量300kg[3]。ミサイルの外観は、円筒形の胴体に軽い後退角の付いた主翼とX字型に配置された尾翼を組み合わせた構成。尾部には発射機からの射出に用いられる固体燃料ブースターが装着されている。

推進装置はWS-500ターボファンエンジンで、ミサイルの胴体下部には空気取り入れ用に固定式インテークを配置している。最大速度はマッハ0.9[3]、射程は資料により異同があるが輸出版のC-602は280km、自国向けのYJ-6は最長で400km超の射程を有するとされる[3][4]。巡航飛行時の飛行高度は30m、攻撃時にはレーダーによる探知を避けるため飛翔高度を7〜10mにまで下げて超低空飛行を行う[2][3]。長射程の飛行を行う際には、中間段階では空気抵抗の低い航空を飛行し、敵目標に近づいた段階で探知を避けるために低空飛行に切り替える[5]。全ての飛行高度を低空にすれば、敵からの探知の可能性を低くすることが出来るが、その際の最大射程は120km程度にまで制限される[5]。弾頭重量300kは、中国海軍の標準的対艦ミサイルであるYJ-83の190kgよりも大幅に増えており、排水量7000t以上の水上艦艇を一撃で撃破できるとしている[7]。YJ−62は、これまでの中国の対艦ミサイルが角型ランチャーを採用していたのとは異なり、4連装の円筒形発射機に搭載されている[2]。

誘導方式は中間段階では慣性航法システムが使用され、衛星位置測定システムによりアップデートが行われ、終末誘導ではアクティブ・レーダー誘導が採用されている[1]。慣性誘導システムは、従来型の機械式ジャイロではなくレーザージャイロが中国の対艦ミサイルとしては初めて採用された[8]。レーザージャイロは機械式に比べて高精度で、なおかつ低コストで信頼性も高いとメリットが多い。レーザージャイロ慣性航法システムの採用により、発射前のジャイロ設定に要する時間が短縮され、ミサイルの即応性向上につながったとのこと[8]。YJ-62の400kmという射程は水平線外目標に対する攻撃を可能とするものであるが、それを有効に活用するには見越し外目標の情報をいかに入手するかにかかっている。YJ-62では、中国海軍の標準的なデータリンクシステムであるHN-900の運用能力が付与されており、飛翔中でも洋上哨戒機や艦艇などが探知した情報に基づいて目標情報のアップデートが可能[9]。YJ-62のレーダーは、YJ-83と比べて探知距離・方位が延伸・拡大されており、高速目標やステルス性の高い目標に対する探知能力にも改善がみられ、電子妨害に対する抗湛性に優れたものとなっている[7]。衛星位置測定システムはアメリカのGPSとロシアのGLONASSを併用しているが、将来的には中国の「北斗2(コンパス2)」衛星位置測定システムの使用も考慮されていると見られている[6]。

YJ-62は、長射程と高い対艦攻撃能力の両立に成功したが、このミサイルを搭載したのは052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型)のみに留まっている。一つの要因は長射程を実現するためミサイルが大型化したことであり、それに伴い排水量5000t以下の艦艇への搭載には向かないものとなったと評されている[8]。また、052C型駆逐艦に続いて建造された052D型駆逐艦や055型駆逐艦は搭載する対艦ミサイルを、YJ-62よりも高性能で、なおかつVLS(垂直発射システム)に搭載し甲板容積を節約できるYJ-18としたことで、中国海軍の水上戦闘艦艇でYJ-62を搭載する艦艇は姿を消すことになった[8]。

一方、地対艦型YJ-62Aは、HY-1に代わって沿岸ミサイル部隊に配備され、現在では同部隊の主力地対艦ミサイルの地位を占めている(詳細はYJ-62A地対艦ミサイルを参照。)

YJ-62の派生型としては、輸出向けのC-602、地対艦ミサイル型のYJ-62A地対艦ミサイルが確認されており、YJ-62の発展型として対地攻撃用巡航ミサイルCM-602Gが開発されている。輸出向けのC-602とYJ-62Aでは尾部の操舵翼がYJ-62のX字型から十字型に変更されている。


052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型)に搭載されたYJ-62の4連装発射機


【参考資料】
[1]国際展望編集部「中国鷹撃-海外軍情媒体関注解放軍超遠程反艦導弾。」(『国際展望』2006年第23期/総第553期/国際展望雑誌社)
[2]Chinese Defence Today「Type 052C (Luyang-II Class) Missile Destroyer」
http://www.sinodefence.com/navy/surface/type052c_l...
[3]MDC軍武狂人夢「旅洋-II級導彈驅逐艦」
http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/052c.htm
[4]多田智彦「特集・中国海軍-ウエポン・システム」(『世界の艦船』2013年1月号/海人社)90〜95ページ
[5]中国武器大全「YJ-62(鹰击62)与中国海军」
http://www.zgjunshi.com/Article/Class38/Class89/Cl...
[6]石江月・張錦「国産新型反艦導弾縦覧」(『兵工科技 2008増刊 2008珠海航展専輯』/兵工科技雑誌社)40〜45ページ
[7]张亦隆「中国反舰导弹新传」(『现代舰船』2017-23/《现代舰船》雑誌社)43〜51ページ
[8]晖弁「海上作战群 海军导弹第2方队-鹰击-83K空舰导弹、鹰击-62A岸舰导弹」(『兵工科技 2017/16纪念中国人民解放军建军90周年 沙场大阅兵』/兵工科技雑誌社)58〜61ページ
[9]兵工科技编辑部「海上攻击模块 第三方队-鹰击-62岸舰导弹」(『兵工科技 2015甦 1945-2015纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利70周年大阅兵』/兵工科技雑誌社)71〜73ページ

YJ-62対艦ミサイルの派生型
中国海軍

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