日本周辺国の軍事兵器 - 068/069型汎用揚陸艇(ユーチン型/玉青型)

▼海軍所属の068/069型


068型汎用揚陸艇(中国語では068型小型登陸艇)は067型汎用揚陸艇(ユーナン型/玉南型)をベースとして設計された067型の縮小版といえる揚陸艇。NATOコードネームは「Yuqing class」(Yuchinとの表記もある)。1967年11月にネームシップが就役し、以降上海、杭州、広州の造船所において量産にされた。建造数については諸説あるが50隻程度[4]というものからChinese Defence Todayが提示する300隻以上という説もある[2]。派生型としては1997年に航海レーダーを新型に換装するなどの設計変更が施された発展型(069型)が登場している[2]。

【性能】
068/069型は067型と同じく平時には島嶼部などへの物資・人員輸送に従事し、有事には主に沿岸部での着上陸作戦に使用される。人員輸送を主任務としているのが067型との相違点。ゆえに船体の規模は067型よりも縮小されているが、歩兵については067型と遜色ない1個歩兵連(100〜150名。中隊に相当)の輸送能力を確保している[1][3]。輸送能力は物資36トン。前述した様に068型は人員輸送が主任務であるが、戦車や軽車輌の搭載も可能。

068型は067型をベースとして開発された事から基本的な艦の配置や機関、武装はほぼ共通している。艦のサイズは全長24.8m、全幅5.2m、喫水1.3m。排水量については基準58トン、満載85トン[1]。ただし満載排水量についてはChinese Defence Todayでは128トンとしている[2]。武装は69式14.5mm連装機関砲もしくは61式25mm連装機関砲2基[2]。一部の艦では着上陸作戦における火力支援用に68式130mm19連装ロケット発射機1基を搭載している[2]。

【総括】
068/069型は平時の業務輸送、港湾施設の不十分な島嶼部などへの物資輸送に適した輸送艇であり、ネームシップの就役から40年以上が経過しているが、現在でも海軍や陸軍艦艇部隊などでの運用が行われている。現役の068/069型の隻数については『Jane's fighting ships 2007-2008』では20隻が南海艦隊で運用されているとしているが、陸軍艦船部隊での在籍数は不明[1]。

068/069型は、1995年には6隻がバングラデシュに、2隻がタンザニアに輸出されている[1]。

性能緒元
基準排水量58トン
満載排水量85トン[1]。(128トン説もある[2])
全長24.8m
全幅5.2m
喫水1.3m
主機12V150Cディーゼル2基(合計600馬力) 2軸
速力11.5kts
航続距離450海里/11.5kts
乗員10〜12名

【搭載能力】
戦車中型戦車1輌
車輌軽車輌2輌
人員歩兵100〜150名
物資36トン

【武装】
近接防御69式14.5mm連装機関砲もしくは61式25mm連装機関砲2基
ロケット砲68式130mm19連装ロケット発射機1基(一部の艦)

【電子装備】
レーダー航海レーダー1基

▼南京軍区の陸軍艦艇部隊に所属する068/069型


【参考資料】
[1]Jane's fighting ships 2007-2008 (Jane's Information Group)143頁
[2]Chinese Defence Today「Type 068 (Yuqing Class) Utility Landing Craft」
[3]銀河「変遷與展望−中国現代登陸艦発展」(『艦載武器』2008.10号/中国船舶重工業集団公司)
[4]軍事歪歪訊「玉南級小型登陸艇」

【関連項目】
067型汎用揚陸艇(ユーナン型/玉南型)
中国陸軍
中国海軍