724型は上海にある第708研究所で開発された人員輸送を主任務とする小型エアクッション揚陸艇。約20〜30隻が南海艦隊に配備されている。1990年代初頭に開発され、
072/072-II型戦車揚陸艦(ユカン型/玉坎型)などに搭載されて、着上陸作戦において人員や物資輸送に従事する[3]。
724型の主なスペックは以下の通り。排水量6.35t、全長12.4m、全幅4.7m。エンジンはBF12L-913Cディーゼル2基(380馬力)で、2基のダクテッド・ファンにより最高速度40ktsを発揮する。乗員は2〜3名で陸戦隊隊員10名が搭乗可能。艦固有の武装は搭載されていないが、必要に応じて12.7mm重機関銃を艦首に搭載可能[3]。船体前部が兵員区画、中央部は操縦室、後部が動力部となっている。船体は非装甲で特に兵員区画はオープントップのため被弾に対しては脆弱であった。
724型は着上陸作戦においては、072型戦車揚陸艦の艦尾ハッチから直接水上に展開して、その高速性と陸上や浅瀬でも航行できる能力を活かして歩兵部隊を迅速に揚陸させる任務に就く。これにより、以前のように揚陸艦の舷側に網状ロープを垂らして、小型揚陸艇に兵員を移してから上陸を行うという手間を省くことが可能となった[3]。
ただし724型には様々な不具合も存在していた。乗員は艇中央のキャビンが用意されているが、乗船する陸戦隊隊員10名はキャビン前方のオープントップの兵員区画に乗船するので航行時にはしばしば大波を被ってずぶ濡れになってしまうのは避けられなかった。兵員区画の最前面には12.7mm重機関銃と機関銃手が配置されているが、この配置は艦首が海面に突っ込んだ際には極めて危険だったとの事[3]。小型艇のため一度に揚陸できる兵士の数に限界があり、船体の動揺も大きく、悪天候時には特に航行への影響が大きかった[3]。このほか、エアクッション艇の必須装備であるスカートが破損しやすく、しばしば部隊での運用期間よりも整備期間の方が長くなってしまう事も生じていた[3]。
上記の様な問題は有ったものの、724型の配備によりエアクッション艇の開発・生産・運用の経験を積んだ中国海軍ではその後、兵員だけでなく戦車の揚陸も可能な
726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)の開発へと歩を進めていく事となる。
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性能緒元排水量 | 6.35t |
全長 | 12.4m |
全幅 | 4.7m |
主機 | BF12L-913Cディーゼル2基(380馬力)、ダクテッド.ファン2基 |
速力 | 40kts |
航続距離 | 100nm |
乗員 | 2〜3名 |
兵員搭載数 | 10名 |
▼沖の揚陸艦から発進した724型
▼乗降用ランプが無いため、陸戦隊員は兵員室から素早く降りる事が出来ない
【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「Type 724 Air Cushion Landing Craft」
[2]中国武器大全「724型气垫登陆艇」
[3]网易「中国自产气垫登陆艇的教训」(2022年1月2日/来源:万乘之尊)
https://www.163.com/dy/article/GSNOB0I205359990.ht...
中国海軍