日本周辺国の軍事兵器 - 90-II式戦車の派生型

90-II式装甲回収車(BW-654)







性能緒元
重量48t
全長8.83m
全幅3.4m
全高2.4m
エンジンディーゼル 1,200hp
最高速度69.2km/h
航続距離km
武装12.7mm重機関銃×1
発煙弾発射機×8
装甲 
特殊装備25tクレーン
 牽引用ウィンチ
乗員5名

90-II式装甲回収車(生産番号BW-654。中国語では90-II式搶救牽引車)は、輸出専用戦車の90-II式戦車をベースに開発された装甲回収車輌である。主要な任務は野外で損傷した車輌を修理・牽引する支援任務。

90-II式装甲回収車は、車体右側に最大吊り上げ重量25トンの大型クレーンを装備しており、90-II式戦車のパワーパックを吊り上げて交換作業を行う事ができる。メイン・ウィンチは牽引能力41トンで最大82トンの車両を救助可能で、50トン級の戦車を牽引輸送する能力を有している。車体は90-II式戦車とほぼ共通で1200馬力の強力なエンジンによって、戦車部隊に追随できる高い機動性能を有している。搭乗員は、操縦手、車長、操作員、整備員2名で構成されており、車体左側に搭乗用装甲区画が設けられている。操縦手は装甲区画前方左に位置し、車両の操縦とドーザー・ブレードやウインチなどの機材の操作を行う。車長は操縦手の後方左側に位置し、各種の指示や対空機関銃の操作や通信・連絡、NBC装置の操作などを行う。車長の右側には操作員が搭乗する。操作員は、クレーンの操縦や補助発電装置の操作などを担当。搭乗区画後部には整備員2名が登場し、彼らは車長や操縦手、操作員を補助し、回収車両の整備など様々な仕事を担当する。搭乗区画前方は視野を確保するためにガラスになっており、危険な際には装甲で覆うことが出来る。

車体前面には陣地作成作業用のドーザー・ブレードが設置されており、最大40cmの深さの壕を一時間に120m開削することが可能。車体には補助発電装置が搭載されており、車内に用意された電気溶接などの工具に電気を供給する。この補助動力を使用することにより、主エンジンの起動時間を短縮し、主エンジンの寿命を長くすることに成功している。

また、他の車両に燃料を供給するためのポンプも搭載されている。車体後部に1.5トンの整備用備品(換装用パワーパックや履帯など) を搭載して短距離輸送を行うことも想定されている。車体には重機関銃1挺と8連装の発煙弾発射機が装備され、車内にはNBC(Nuclear,Biological,Biological:核・生物・化学)防護システムが備えられている。

90-II式装甲回収車は、21世紀の輸出市場での競争力を確保するために開発された車両であり、これまでの中国の装甲回収車の中でも最も能力の高い車両となっている。今後、90-II式の発展型であるアル・ハーリド戦車を生産しているパキスタンなどへの売込みが行われるものと推測される。その際には、エンジンをアル・ハーリド戦車と同じウクライナ製6TD対向ディーゼルエンジンに換装することも予想される。

【参考資料】
「中国90-II式装甲搶救牽引車」(張juan、張少文)
「挺進海外的重装騎兵-采訪国産90-II式坦克総師馬成萌」(袁風/『兵器』2008年9月号/兵器雑誌社)

90-II式戦車(MBT-2000/アル・ハーリド) 
中国陸軍