日本周辺国の軍事兵器 - ASN-209多用途無人偵察機



性能緒元
最大離陸重量320kg
全長4,273mm
翼幅7,500mm
エンジンHS-700空冷レシプロエンジン×1(51馬力)
最大速度180km/h
巡航速度120〜140km/h
上昇限度5,000m
戦闘行動半径200km
連続飛行時間10時間
ペイロード50kg

ASN-209は、西北工業大学西安愛生技術集团公司が開発した軍民両用の多用途UAV(unmanned aerial vehicle:無人航空機)。軍用UAVとしては、偵察、戦場調査、目標位置特定、弾着観測、目標指示、電子戦任務、無線中継、天候調査などの任務が想定されている[1][2]。

【性能】
ASN-207の機体構成は、双胴双尾翼形式で推進式プロペラと、同社が以前開発したASN-206、ASN-207と同じ構成を採用している。機体のサイズは、ASN-206/207よりも小型化されており、最大離陸重量は320kgとASN-206の222kgより多いがASN-207の480kgよりは少ない[1]。ペイロードは50kgで、モジュール化された機材を入れ替えることで、偵察、電子戦任務、無線中継、天候調査など各種の任務に対応可能[1]。偵察用機材としては電子光学/赤外線センサーや合成開口レーダーなどの装備を任務に応じて搭載する[2]。観測した情報はデータリンク機能により、リアルタイムで地上の管制ステーションに伝達される。

ASN-209はGPS衛星位置測定システムと無線制御システムを組み合わせた航法・飛行制御システムを採用している[1]。機体制御は、自動制御システムと地上からの無線制御方式の併用で、事前に入力されたコースを自律飛行するだけでなく、飛行中のどの段階においても地上からの制御による操縦を行うことが可能[1]。システムの操作は、容易に習熟することが出来るとされている[1]。

ASN-209の戦闘行動半径は200kmで最大10時間の連続飛行が可能[1]。2機のASN-209を交代で使用することで、24時間に渡って任務を遂行することができる[1]。離陸の際には発射台からロケットモーターの推進力で射出され、着陸の際には胴体に取り付けられたパラシュートを利用する[1]。胴体下部には着陸時の衝撃を和らげるためスキッドが装着されている。

ASN-209の各種システムの構成は、UAV本体、搭載する各種機材、地上管制システム、発進・回収装置などで構成されている[1]。

【今後の展望】
ASN-209は、長年にわたりUAV開発に携わってきた西安愛生技術集团公司の経験が生かされた汎用性の高い戦術UAVであるといえる。

中国軍での具体的な配備状況については情報が少ないが、今後ASN-206/207に続いて配備が進められると思われる。西安愛生技術集团公司は各国で開催される兵器博覧会にASN-209を出展しており、国際兵器市場への売り込みが図られている[2]。また、同機をベースとした派生型の開発も行われており、海軍で遠距離無線中継を行う「銀鷹」UAVの存在が確認されている[3]。

【2012年5月20日追記】
エジプトのアラブ工業化機構のハミディ・ワヒバ(Hamdy Weheba)会長は、同機構が中国と共同でASN-209の第二次生産を開始したことを明らかにした[4]。会長によると、エジプトはASN-209の99.5%の部品を国産化しているとのこと。アラブ工業化機構はASN-209の第一次生産で6機を製造しており、第二次生産では12機が製造される計画。

【参考資料】
[1]西安爱生技术集团公司公式サイト「ASN-209 多用途无人机系统」
[2]新浪网_新浪军事「中国推销U8E垂直起降无人机首次提供说明手册」()
[3]China's Silver Hawk UAV Program Advances
[4]AllAfrica Global Media「Egypt: Nation Produces UAV in Cooperation With China」(Egypt State Information Service/2012年5月18日)

【関連項目】
ASN-206多用途戦術無人偵察機(JWP-01)
ASN-207多用途戦術無人偵察機(JWP-02/BZK-006/WZ-6/無偵-6)
「銀鷹」無人通信中継機
中国陸軍