日本周辺国の軍事兵器 - AT-3練習機「自強」





性能緒元
重量3,860kg
全長12.90m
全幅10.46m
全高4.36m
エンジンギャレットTFE731-2-2L 1,590kg ×1
最大速度904km/h
航続距離2,280km
上昇限度14,630m
武装2,700kgまでの爆弾等
乗員2名

AT-3自強(ツチャン)はAIDCがノースロップの協力を得て完成させた、台湾初の国産ジェット機である。1975年7月に開発契約が結ばれ、原型1号機は1980年9月16日に初飛行に成功した。台湾空軍から60機の発注を受けて1982年3月に量産がスタートし、1984年以降T-33Aに替わって部隊配備が始められ90年代初めまでに全機が引き渡された。

本機はジェット練習機としては標準的な設計で手堅くまとめられているように見えるが、細かく見ていくと各部に意欲的な設計が採り入れられている事が分かる。まず機体の規模としてはスペインのCASA101やアルゼンチンのFMAパンパと同クラスだが、これらが単発であるのに対しエンジンを双発としている事。そして主翼は厚比10%、25%翼弦で後退角約7゜という直線翼に近いものだが、翼型にスーパークリティカル形式を採用しており、胴体にもエリアルールを適用して臨海マッハ数を上げている事等が挙げられる。胴体下面に機関砲収納ベイを持つ事もこのクラスの機体としては珍しいといえよう。

外見は平凡ながら能力的にはホーク、アルファジェットクラスに匹敵する機体であり、80年代後半には単座化した対地攻撃機AT-3A雷鳴が2機試作された。AT-3Aは量産には移されなかったものの、その航法・攻撃システムは20機のAT-3に搭載され、軽攻撃・訓練兼用型のAT-3Bに改造された。ただし兵装搭載能力はAT-3/3B共通で計2,700kg搭載可能であり、両機とも胴体センターラインに1箇所、主翼下面に4箇所、翼端ミサイルランチャー2箇所、計7箇所のハードポイントを備える。

【参考資料】
世界航空機年鑑2005

AT-3A攻撃機「雷鳴」(A-3)
台湾空軍

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