日本周辺国の軍事兵器 - C28A型コルベット

▼マレーシアで開催されたDSA2014兵器博覧会で展示されたC28A型コルベットの模型
外部リンク

性能緒元
満載排水量2,880t
全長120m
全幅14.4m
喫水3.87m
主機ディーゼル 2軸
速力
航続距離 
乗員

【兵装】
対空ミサイルFM-90対空ミサイル/ 8連装発射機1基(予備ミサイル8発)
対艦ミサイルC-802A/ 4連装発射筒2基
魚雷YU-7 324mm短魚雷/B515 324mm3連装魚雷発射管2基
H/PJ-26型60口径76.2mm単装砲(AK-176M)1基
近接防御730B型30mmCIWS2基
搭載機アグスタウエストランド スーパーリンクス対潜ヘリコプター1機

【電子兵装】
三次元対空/対水上レーダータレスSmart-S Mk21基
対空/水上レーダー346型(MR-36A)1基
火器管制レーダー345型(MR-35)SAM用1基
 352型(Square Tie)SSM&砲用1基
 347G型(EFR-1/Rice Lamp)機関砲用2基
航海レーダーケルビンヒューズ社製(型式不明)
戦闘システム
EWシステム2基
チャフ/フレア発射装置726-4型18連装デゴイ発射機2基
ソナー
(注)火器管制レーダーについてはまだ確実な情報ではなく、異説もある

 2012年3月12日、中国造船出口公司(CSTC)はアルジェリア政府との間で、同国海軍向けに3隻のC28A型コルベットを建造する事業に関する契約に調印した[1]。C28A型コルベットの開発は、中国船舶工業集団公司(CSSC)の第一設計所が担当し、建造も同グループの傘下企業である上海の滬東中華造船(集団)有限公司が担当する[1]。一番艦の建造は2013年に開始されており、契約調印から38ヶ月以内に一番艦をアルジェリアに引き渡す事が定められている[1]。

【C28A型コルベットについて】
 C28A型コルベットは、中国がパキスタン向けに開発したF-22P型フリゲイト(ズルフィカル級/ソード級)をタイプシップとしてアルジェリア海軍の要求を盛り込んで開発された[2]。そのため、当初はF-22A型フリゲイトとの名称が伝えられた事もあった[2]。クラス名はコルベットとなっているが、同級の排水量は2,880tとF-22P型より400t近く増加しており、コルベットというにはいささか過大なサイズの艦ともいえる[3]。

 基本的なレイアウトは、タイプシップとなったF-22Pを踏襲しているが、上部構造物は舷側と一体化させた中央船楼型に変更されており、一見すると中国海軍の054型フリゲイトの小型版のような艦形をしている。船体各部の設計にはレーダー波反射率の低減を図るための傾斜が取り入れられ、搭載艇や短魚雷発射管を艦内収納にするなどステルス性への配慮がF-22P型よりも高められている。排煙の赤外線ステルスを改善するため、煙突を廃して排気は舷側から排出する方式が採用された[3]が、これは中国のフリゲイトクラスの水上戦闘艦艇では初の試みとなる。C28A型の主要項目は満載排水量2,880t、全長120m、全幅14.4m、喫水3.87m[3]。主機についてはMTUディーゼルエンジンを搭載する事は判明しているが、最高速力は不明[1][3]。推進軸は2軸。

 兵装は、FM-90N対空ミサイル8連装発射機×1基、C-802A艦対艦ミサイル4連装発射筒×2基、H/PJ-26型60口径76.2mm単装砲(AK-176M)×1基、730B型30mmCIWS×2基、324mm3連装短魚雷発射管×2基と、全て中国製兵器で統一している[1][3]。艦載ヘリコプターについては中国製ではなく、アルジェリアの要求に応じて、アグスタウエストランド社製スーパーリンクスの搭載を前提とした設計を施している[3]。

 兵装は中国製で統一しているが、電子装備については中国製だけでなく西側企業の製品の導入が行われている。艦載兵器を中国製で統一した事から、兵器の制御に使う火器管制レーダーは中国製でそろえている。前部マスト基部にはFM-90N制御用の345型(MR-35)レーダー、その直後には対艦ミサイルと76mm艦砲管制用の352型(Square Tie)レーダー、後部マスト基部には30mmCIWS制御用の347G型(EFR-1/Rice Lamp)レーダーを配置している。前部マスト頂部にはタレス社製のSmart-S Mk2 三次元対空/水上捜索レーダーが搭載され、後部マスト頂部の中国製346型(MR-36A)対空レーダーがSmart-S MK2を補完する[1][3]。航海レーダーは、英ケルビンヒューズ社製のものが採用されている[3]。電子戦装備としては、前部マストを挟む形で左右二箇所にEWシステムを配置、後部マストを挟む形で726-4型18連装デゴイ発射機2基を搭載している[1]。

【展望】
 中国はアルジェリアに対して、スーマム級練習艦(T50A型)を輸出しており、同国で建造されたミサイル艇向けにC-802対艦ミサイルを販売するなどアルジェリア海軍との間で一定の実績があった[2]。アルジェリア海軍は、F-22P型フリゲイトを運用するパキスタンに軍事視察団を派遣して詳細な運用状況を調査しており、今後は要員訓練などでパキスタンの支援を受けることも推測されている[2]。

同型艦
1番艦上海滬東造船廠で建造。2014年8月15日進水[4]。2015年中にアルジェリア海軍に引渡し予定
2番艦上海滬東造船廠で建造
3番艦上海滬東造船廠で建造

【参考資料】
[1]Bmpd「Китайские корветы для Алжира」(2014年4月15日)
[2]平可夫「阿爾及利亜計画進口中国的導弾護衛艦」『漢和防務評論』2013年1月号(加拿大漢和信息中心)41頁
[3]Navy Recognition「CSTC Showcases the future Algerian Navy C28A Corvette and Thai Navy LPD models at DSA 2014」(2014年4月14日)
[4]中国船舶工业集团公司公式サイト「中船集团又一舰船出口项目首舰下水」(2014年8月19日)

【関連項目】
F-22P型フリゲイト(ズルフィカル級/ソード級)
中国海軍