日本周辺国の軍事兵器 - H-5爆撃機(轟炸5/B-5/IL-28)



1947年12月にイリューシン設計局が独自開発した双発中型爆撃機IL-28ビーグルの中国ライセンス型。IL-28はソ連以外の21ヶ国に輸出されたが、中国ではこの機体をライセンス生産する事を決め、1963年からハルビン航空機生産株式会社(HAMC)で生産が開始された。

IL-28は直線の前縁と前進角の付いた後縁を持つテーパー型の主翼で、その内側3分の1付近にエンジン・ポッドを装備している。尾翼は水平尾翼、垂直尾翼ともに35゜の後退角を有し、水平尾翼はエンジン排気を避ける高さに取り付けられている。エンジンは当初ロールスロイス・ニーンのソ連生産型であるRD-45を装備し、本機の実用化とともに発展型であるVK-1Aに変更され、このエンジンは中国でも渦噴5としてライセンス生産された。爆弾兵装類は胴体内の爆弾倉に搭載し標準爆弾搭載量は1トンであったが、爆弾倉には余裕があったことから最大3トンまで搭載できた。爆弾倉扉直前の胴体下面には航法及び爆撃レーダー収納部の張り出しがついている。固定武装としては胴体尾部に銃座が設けられており、NR-23 23mm機関砲2門をIL-K6ターレットに装備している。また一部には機首部に前方向け23mm機関砲1門を装備している機体もあるようだ。乗員は3名でパイロットが胴体上面に張り出したキャノピー内の操縦席に座り、航法/爆撃手が機首のガラス張りされた部分に搭乗する。もう1名は尾部銃手で通信員も兼務している。尾部銃座は極めて堅固に装甲が施されており、その装甲材だけで450kg以上の重量になるという。

H-5は中国空軍・海軍で使用されていたが老朽化・陳腐化が著しく、現在はほとんどが退役しており、一部の機体が訓練と偵察用に使用されているのみである。

【H-5各タイプ】
H-51962年初飛行基本型
H-5A 核爆弾運用型
H-5海軍型 Yu-2魚雷2発を搭載する海軍型
HJ-51970年12月初飛行操縦席を複座化した練習機型
HD-5 電子戦型

性能緒元
重量12,890kg
全長16.768m
全幅21.45m
全高6.20m
エンジン渦噴5(WP5) 2,700kg ×2
最大速度750km/h
航続距離2,400km
上昇限度12,500m
武装NR-23 23mm機関砲×2
 自由落下爆弾3トン
乗員3名

【参考資料】
Jウイング特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
Chinese Defence Today

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