日本周辺国の軍事兵器 - P-3C対潜哨戒機「オライオン」(台湾)

▼【参考】アメリカ海軍のP-3C


性能緒元
重量27,890kg
全長35.61m
全幅30.37m
全高10.27m
エンジンアリソンT56A-14 4,910shp ×4
最大速度760km/h
哨戒速度380km/h
航続距離7,670km
上昇限度8,630m
武装AGM-84ハープーン対艦ミサイル
 対潜魚雷、対潜爆雷
 小型爆弾など
乗員12名

P-3Cはアメリカ海軍がL-188エレクトラ4発旅客機をベースに開発した長距離対潜哨戒機。台湾海軍は中国潜水艦勢力の拡大に対処するためP-3Cの導入を希望していたが、野党国民党の度重なる反対で立法院での承認が遅れていた。2006年秋の国家防衛委員会でようやくP-3C 12機の調達が認められ、導入はほぼ確定した。P-3C導入事業で2006〜2012年にかけて約470台湾ドルが必要になる見込み。

P-3CはユニバックAN/ASQ-114(v)デジタル・コンピューターを中心に構成されたA-NEWシステムにより、各センサーからの情報を迅速かつ大量に分析する高性能対潜哨戒(AEW)機。原型のYP-3Cは1968年9月に完成し、量産型は1969年9月からアメリカ海軍に配備された。以後、コンピューター処理能力を強化したUDI、AGM-84ハープーン対艦ミサイルの運用能力を付与したUDII、航法通信装備を強化したUDII.5と改良が続けられ、1984年からはIBM製AN/UYS-1プロテュース音響信号処理システムを搭載したUDIIIが登場した。

【2007年9月15日追記】
9月12日、アメリカ国防総省の国防安保協力局 (Defense Security and Cooperation Agency) は議会に対して、台湾に有償軍事援助(FMS)でP-3C 12機を売却することを通知した。これは、台湾側のP-3C調達予算が立法院での承認を得た事を受けての措置である。台湾に売却されるP-3Cは米軍の余剰機で、引き渡し前にエンジン・電子装備・指揮命令系統を近代化し、台湾軍のデータリンクとの統合作業にもアメリカが協力する。P-3Cの売却総額は19億6,000万ドル。

【2008年3月7日追記】
台湾は当初、購入予定の12機のP-3Cの内、8機を国内で組み立てることを計画していたが、製作を担当する予定だった鐽辰公司(国防部も予算を支出する半民半官企業)が立法院の許可を得ることが出来ず会社設立を断念したため、全ての機体をアメリカから輸入することに変更、台湾にはP-3Cのメンテナンス施設のみが作られることとなった。

【2008年6月17日追記】
DefenseNewsの6月9日付の報道では、アメリカ国務省は議会に対して120億ドル相当の台湾への兵器輸出を凍結することを通知したとのこと。これにより、AH-64D戦闘ヘリ30機、UH-60汎用ヘリ60機、潜水艦8隻、パトリオットPAC-3地対空ミサイル4セット、F-16C/D 66機の台湾への輸出が凍結されたが、P-3C 12機については凍結には含まれず台湾への引渡し予定に変更は無い[1]。

【2009年4月4日追記】
アメリカ国防省は、台湾向けの12機のP-3Cの近代化改修作業についてロッキード・マーチン社が作業を受注する事を明らかにした[2]。

改装によってP-3Cの飛行耐用時間は15,000時間に延長され、アビオニクスや各種装備の近代化が実施される[3]。改修された最初の機体は2012年に台湾に送付され、2015年8月までに全ての作業を完了する予定。

改修費用は6億6563万7785ドルが予定されているが[4]、アメリカ海軍関係者によるとその他の整備・支援、各種部品の調達などの費用を合わせると総額は13億ドルに達するとしている[2]。

【2013年9月25日追記】
2013年7月1日、台湾空軍の第439連隊に新たに対潜作戦大隊(中国語では反潜作戦大隊」)の編制式典が行われた[5]。これにより、これまで海軍で運用されていた固定翼対潜哨戒機は、同部隊に移管・運用される事になった。今回の措置は、固定翼対潜哨戒機を空軍の統一指揮の下で運用する事で部隊の指揮効率の向上を達成するのが目的とされる。

2013年9月25日、台湾がアメリカから購入した12機のP-3Cの最初の機体が台湾南部の空軍屏東基地に到着、空軍第439混合連隊において記念式典が開かれた[6]。残り11機の引渡しは今年から2015年にかけて行われ、屏東基地に配備される予定。

【参考資料】
[1]DefenseNews 「U.S. Freezes $12B in Arms Sales to Taiwan」(2008年6月9日)
[2]蘋果動新聞「美向台出售 反潛艇飛機」(2009年3月14日)
[3]ロイター通信ウェブ版「UPDATE 1-US in deal to refurbish aircraft for Taiwan」(Jim Wolf/2009年3月13日)
[4]defense-aerospace.com「Pentagon Contract Announcement」(2009年3月13日)
[5]Yahoo!奇摩部落格 - 中華台灣福爾摩沙國防軍「空軍反潛作戰大隊編成 守護臺海安全 」(2013年7月3日)
[6]フォーカス台湾「米から購入のP-3C対潜哨戒機、1機目が台湾に到着」(2013年9月25日)

世界航空機年鑑2005
kojii.net
Defense-Aerospace.com
Taipei Times「US abandons plan to let Taiwan build anti-sub aircraft」(2008年3月4日)
聯合新聞網 2007年9月14日「美宣布対我両項軍售」

台湾海軍
台湾空軍