日本周辺国の軍事兵器 - RIM-66艦対空ミサイル「スタンダードSM-1MR」

▼成功級フリゲイト「田単」(PFG-1110)のMk13 Mod4 単装発射機に搭載されたRIM-66B 「スタンダードMR」艦対空ミサイル。


RIM-66B SM-1MR性能緒元[1]
全長4.47m
翼幅1.07m
直径34.0cm
重量621kg
最大速度マッハ3.5
射高24,440m
射程46km
誘導方式セミアクティブ・レーダー誘導

アメリカ海軍は1950年代の後半に3Tと呼ぶ艦対空ミサイル(SAM:Surface-to-Air Missile)を相次いで実用化した。超長距離防空を担うラムジェット推進のRIM-8タロス(Talos)、長距離防空用のRIM-2テリア(Terrier)、中距離防空用のRIM-24ターター(Tartar)の三種類の艦対空ミサイルである[1][2][3]。

この内、ミサイル自体が大型でシステム全体の容積も大きいRIM-8タロスは巡洋艦以上の大型艦にしか搭載できず、第二次大戦型巡洋艦の退役と共に姿を消すことになった。RIM-2テリアとRIM-24ターターは、1960年代後半から発展型のRIM-66/67スタンダードにより代替されることになった[2]。

スタンダードは、RIM-2テリアの発展型であるブースターを装備したRIM-67スタンダードER(ERは「Extended Range:延長射程」の略称)と、RIM-24ターターの発展型であるブースター無しのRIM-66スタンダードMR(MRは「Medium Range:中射程」の略称)の2種類が開発された[2][3]。スタンダードMRはSM-1MR(SMはStandard Missileの略称)、スタンダードERはSM-1ERと呼ばれた。スタンダードSM-1は1967年から実戦配備が開始された[2]。アメリカ海軍ではSM-1ER/MRはすでに退役したが、SM-1MRはエリア・ディフェンス防空用艦対艦ミサイルとして現在で各国で幅広く使われている。

SM-1MRは単装もしくは連装のレール式発射機か、ミサイルを収納した発射筒から発射される。ミサイルのサイズは、全長4.47m、翼幅1.07m、直径34.0cm、重量621kg[1]。二段式固体ロケット・モーターによって、最大速度マッハ3.5、射高24,440m、射程46kmの飛翔性能を得ている[1]。誘導方式はセミアクティブ・レーダー誘導で、母艦からのレーダー波照射を受けて目標にむけて飛翔する[3]。ミサイルが目標に命中するまで誘導を行う必要があるため、同時に誘導できるミサイルの数は母艦に搭載されたイルミネーターの数に制約される。弾頭部には50kgの炸薬が搭載されており、装備されている近接/触発信管が作動することにより爆発して目標を破壊する[4]。

台湾海軍では1983年からRIM-66B スタンダード-1MR Block 5の導入を開始した[5]。台湾海軍ではアメリカから引き渡されたギアリング級駆逐艦に対して「武進1号」「武進2号」「武進3号」と命名された3種類の近代化改装工事を実施したが、最も規模の大きい「武進3号」改装では、ギアリング級駆逐艦にSM-1MRの運用能力を付与することにより、エリア・ディフェンス能力を得ることが目指された。「武進3号」改装艦は、SM-1MRを発射筒に搭載して、連装発射筒2基、3連装発射筒2基を搭載している[4]。通常スタンダードはレール式発射機を使用するが、スタンダードを発射筒に収納して搭載する方式は台湾の「武進3号」改装艦と韓国に輸出された米アッシュビル級砲艇(韓国でパエク型哨戒艇として採用されたタイプ。退役済み)、イランに引き渡された旧アレン・M・サムナー級駆逐艦でしか採用されていない。韓国のアッシュビル級は艦対艦ミサイルとしてスタンダードを使用(後期型はハープーンSSMを採用)しているので、艦対空ミサイルとして発射筒を使用したのは台湾とイランのみとなる[6]。「武進3号」改装艦は2005年までにすべて退役したが、スタンダード・ミサイルのシステム一式は撤去・保管された後、済陽級フリゲイト(ノックス級)に搭載された [7]。

SM-1MRは、「武進3号」改装艦のほか、米オリヴァー・ハザード・ペリー級フリゲイトをタイプシップとして台湾で建造された成功級フリゲイトにも搭載されている。成功級は、艦首部にスタンダードME用のMk13 Mod4 レール式単装発射機を配置している。ミサイルはMk13発射機の直下にある弾薬庫に40発が収納されている[8]。成功級の場合、SM-1MRを同時に2発目標に誘導できる[8]。

台湾海軍は1983年に170発、1991年に97発、1994年に383発のSM-1MRをアメリカに発注している[5]。

【参考資料】
[1]Directory of U.S. Military Rockets and Missiles「Raytheon (General Dynamics) RIM-66 Standard MR」
[2]世界の艦船2006年8月号「対空兵装の変遷▲潺汽ぅ襦廖焚部いさく/海人社)84〜89頁。
[3]艦載兵器ハンドブック改訂第2版「スタンダードRIM-66/67」(海人社)56頁。
[4]台湾百種主戦装備大観(杜文龍編著/軍事科学出版社/2000年)178〜180頁。
[5]SIPRI 「The SIPRI Arms Transfers Database」
[6]世界の艦船増刊第33集 (1992.NO.448) 世界の大型水上戦闘艦
[7]軍武狂人夢「濟陽級巡防艦」
[8]軍武狂人夢「成功級飛彈巡防艦」

台湾海軍