否定派の主張

南京の中国軍は、唐生智が部下を置いて逃亡したので司令官不在となった。司令官のいない軍隊は捕虜にする必要はない。

反論

名目上の司令官が不在であるからと言って、軍の所属員が捕虜資格をなくすことはない。

確かにハーグ陸戦規約の「交戦者の条件」(正確には正規軍以外のものが正規軍と同等の資格を認められるための条件)には司令官の存在が謳われている。
しかしこれは、国家の組織する軍隊以外の組織に正規軍と同等の資格があると見なすための条件で、非公式の組織を公式の組織と同等に扱うためには、責任者のはっきりしない団体をそのように扱うわけには行かない、という理由によるものだ。
これに対して、国家の組織する軍隊には通常、指揮権の継承順序を定めるルールがあって、あるポストが空白の場合は、誰が代理を務めるかはちゃんと決まっているものだ。日本軍の場合で言うと、「軍令承行令」というものがあり、指揮官が不在でも、戦死しても、代わりに誰が指揮を執るかは組織上明確にされている。

だいいち、捕虜資格は、軍の所属員である限り、部隊で降伏しようと、個別に投降しようと、動けなくなったところを本人の意志ではなく捕獲されようと、敵に捕らえられて管理下に入れば適用されるものだ。
戦線で大量に投降があってこれを拘束した場合、敵の総司令官がどこにいるかがはっきりしないうちは投降した兵に捕虜資格があるかどうか解らない、というルールはあり得ない。

名目上の司令官一人が不在であるからと言って、その軍全体の捕虜資格がなくなるような馬鹿なことはない。

ハーグ陸戦規約
第三条[戦闘員と非戦闘員]

 交戦当事者の兵力は、戦闘員及非戦闘員を以て之を編成することを得。敵に捕はれたる場合に於ては、二者均しく俘虜の取扱を受くるの権利を有す。

ハーグ陸戦規約(全文)
http://www1.umn.edu/humanrts/japanese/J1907c.htm
「司令官逃亡」が交戦者資格喪失を意味するか?
http://members.at.infoseek.co.jp/NankingMassacre/a...

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