ただいま
254 名前: ◆34IETlJpS6 [sage] 投稿日:2007/11/15(木) 09:44:28 ID:1vYJbhZp
「ただいま〜」
返事はなかった。
30秒ほど黙って待つ。
でも、家の中は静まりかえったままで・・・待てど暮らせど返事が返る気配は無い。
「ただいま〜・・・なのは、ヴィヴィオ、いないの?」
もう一度家の奥に向かって声をかける。
結果は同じことだった。
出かけてるのかな。
そう結論付けて出迎えを諦めると、わたしは家の中に入る。
今回は長期の航行任務だったため、直接なのはとヴィヴィオの顔を見るのは随分久し振りになる。
だから、きっといつも以上に出迎えてくれるものだと思っていたのだけれど・・・期待が外れて、少し寂しい。
わたしは二人に早く会いたくて仕方無かったのに・・・なのはやヴィヴィオにとっては、そんなこと気にならないのかな・・・
暗い考えが頭をよぎる。
いけない・・・すぐ悪い方に考え過ぎるのは、わたしの悪い癖だ。
そう思っても、ついつい漏れてしまうため息だけは隠せない。
わたしは、そんな風に肩を落としたまま居間の扉を開けた。
「・・・ええっ!?」
視界一杯に色彩が乱舞する。
居間は、様々な色によって飾り付けられていた。
赤、青、緑、黄、色とりどりの折り紙をわっか状にして作った鎖が、部屋のあちらこちらに張り巡らされているのだ。
今日は・・・誰かの誕生日か何かだったっけ?
思い返すが、わたし達の誰も今日が誕生日だったりはしないし
何か特別なパーティーをするような日でもなかったはずだ。
そんな風に悩んで辺りを見回すと、部屋の上方に大きな紙が貼り付けられているのに気付く。
そこには・・・ヴィヴィオのまだつたない文字で、大きく書かれていた。
“フェイトママ、おかえりなさい”
255 名前: ◆34IETlJpS6 [sage] 投稿日:2007/11/15(木) 10:18:50 ID:1vYJbhZp
思わず、目頭が熱くなる。
わたしは慌てて、目蓋を押さえた。
・・・・・・・
黙ってそうしていると、徐々に気持ちが収まってくる。
でも・・・二人がこんな風に、わたしの出迎えの準備をしていてくれたのなら
何で未だに姿が見えないんだろう・・・
「あ・・・・」
わたしはその時になってやっと、寝室のドアが少しだけ開いていることに気が付いた。
音をたてないように、そっと開く。
部屋の中からは、穏やかな寝息が・・・二つ聞こえてきた。
「ヴィヴィオ、ただいま」
布団の中で眠るヴィヴィオに声をかける。
きっと、まだ夢の中で聞こえてはいないだろうけど・・・それでもいい。
そして、わたしはその布団にもたれかかるようにして眠るもう一人の耳元に顔を近付けて言った。
これまでずっと・・・そうしてきたように、彼女の眠りを妨げないように
そして、愛を囁くように優しく。
「なのは、ただいま」
この言葉を言って、初めて自分が家に帰ってきたんだと自覚できた気がした。
「このままじゃ、風邪引いちゃうよ」
毛布でも持ってこようと思い立ち上がる。
ふと足元に目をやると、小さなハサミと切りかけの折り紙が落ちていた。
「管理局のお仕事が忙しいのに、こんなに頑張るから・・・」
でも、気持ちは凄く嬉しい。
わたしはもう一度その場に跪くと、なのはの背中に抱き着くようにもたれかかった。
わたしの体温が、なのはの少しだけ冷えた背中に流れ込んでいく。
それに呼応するように、なのはの体温もわたしの身体を暖めるようになっていった。
やがて・・・二つの体温は一つになる。
もう・・・毛布は必要なかった。
「ただいま〜」
返事はなかった。
30秒ほど黙って待つ。
でも、家の中は静まりかえったままで・・・待てど暮らせど返事が返る気配は無い。
「ただいま〜・・・なのは、ヴィヴィオ、いないの?」
もう一度家の奥に向かって声をかける。
結果は同じことだった。
出かけてるのかな。
そう結論付けて出迎えを諦めると、わたしは家の中に入る。
今回は長期の航行任務だったため、直接なのはとヴィヴィオの顔を見るのは随分久し振りになる。
だから、きっといつも以上に出迎えてくれるものだと思っていたのだけれど・・・期待が外れて、少し寂しい。
わたしは二人に早く会いたくて仕方無かったのに・・・なのはやヴィヴィオにとっては、そんなこと気にならないのかな・・・
暗い考えが頭をよぎる。
いけない・・・すぐ悪い方に考え過ぎるのは、わたしの悪い癖だ。
そう思っても、ついつい漏れてしまうため息だけは隠せない。
わたしは、そんな風に肩を落としたまま居間の扉を開けた。
「・・・ええっ!?」
視界一杯に色彩が乱舞する。
居間は、様々な色によって飾り付けられていた。
赤、青、緑、黄、色とりどりの折り紙をわっか状にして作った鎖が、部屋のあちらこちらに張り巡らされているのだ。
今日は・・・誰かの誕生日か何かだったっけ?
思い返すが、わたし達の誰も今日が誕生日だったりはしないし
何か特別なパーティーをするような日でもなかったはずだ。
そんな風に悩んで辺りを見回すと、部屋の上方に大きな紙が貼り付けられているのに気付く。
そこには・・・ヴィヴィオのまだつたない文字で、大きく書かれていた。
“フェイトママ、おかえりなさい”
255 名前: ◆34IETlJpS6 [sage] 投稿日:2007/11/15(木) 10:18:50 ID:1vYJbhZp
思わず、目頭が熱くなる。
わたしは慌てて、目蓋を押さえた。
黙ってそうしていると、徐々に気持ちが収まってくる。
でも・・・二人がこんな風に、わたしの出迎えの準備をしていてくれたのなら
何で未だに姿が見えないんだろう・・・
「あ・・・・」
わたしはその時になってやっと、寝室のドアが少しだけ開いていることに気が付いた。
音をたてないように、そっと開く。
部屋の中からは、穏やかな寝息が・・・二つ聞こえてきた。
「ヴィヴィオ、ただいま」
布団の中で眠るヴィヴィオに声をかける。
きっと、まだ夢の中で聞こえてはいないだろうけど・・・それでもいい。
そして、わたしはその布団にもたれかかるようにして眠るもう一人の耳元に顔を近付けて言った。
これまでずっと・・・そうしてきたように、彼女の眠りを妨げないように
そして、愛を囁くように優しく。
「なのは、ただいま」
この言葉を言って、初めて自分が家に帰ってきたんだと自覚できた気がした。
「このままじゃ、風邪引いちゃうよ」
毛布でも持ってこようと思い立ち上がる。
ふと足元に目をやると、小さなハサミと切りかけの折り紙が落ちていた。
「管理局のお仕事が忙しいのに、こんなに頑張るから・・・」
でも、気持ちは凄く嬉しい。
わたしはもう一度その場に跪くと、なのはの背中に抱き着くようにもたれかかった。
わたしの体温が、なのはの少しだけ冷えた背中に流れ込んでいく。
それに呼応するように、なのはの体温もわたしの身体を暖めるようになっていった。
やがて・・・二つの体温は一つになる。
もう・・・毛布は必要なかった。
2007年11月17日(土) 02:36:32 Modified by nanohayuri