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想いを言葉に

371 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:15:58 ID:wz1Rx0Lc
はやて×カリム
12レスほど使用予定。ちょい長めです
それでは投下します

372 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:16:33 ID:wz1Rx0Lc
「ヴィヴィオ、あ〜ん」
「あ〜ん」
「もう、なのはも自分の分食べないと、ほら、あ〜ん」
「ありがと、あ〜ん」
「ヴィヴィオも〜、フェイトママ、あ〜ん」
「あ〜ん」

「今 日 も か 。高町家、少しでいいから自重して欲しいわ〜」
 いつものことだけど、羨ましくてちょっとイラッとする。
「ですよね……」
 一緒のテーブルで食事をしていたティアナも困惑していた。
「でもでも、あれやってみたくありません?」
 同じく共に食事していたスバルは目を輝かせていた。
「バカスバル。一体誰とやるのよ?」
「えっと……」
 いや、見つめあうな。照れるな。そして顔そらすな。
「エリオ君ケチャップ付いてるよ」
「あ、ありがとう……」
 こっちもか。はぁ〜……。もうええわ。
「ごめんな、仕事で出掛けるからお先に」
「はい、お気をつけて。ちょっとスバル、そのスプーン何のつもり?」

 JS事件から一ヶ月ばかり、気付けば周りはいちゃつくカップルだらけだった。
 そのためちょっとした疎外感を感じている。自分だっていちゃついてみたい。
 だが、悲しい事に今のところそんなお相手はいない。絶賛片思い中だ。

 ヘリポートに到着すると、ヴァイス君が手を振りながら近づいてきた。
「準備OKです」
「ほな、行こか」
 想い人の待つ
「聖王教会へ」

373 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:18:23 ID:wz1Rx0Lc
 ミッドチルダ北部に位置する聖王教会。その一室で私はカリムと話し合いをしていた。
 議題はJS事件、レリック、今後の機動六課について。
 優秀な六課スタッフによる資料のおかげで、大きな問題も無く、比較的スムーズに話はまとまった。

「今日のところはこれで終わりにしましょう」
「あ〜疲れた〜」
「紅茶でも淹れるわね」
 テーブルに突っ伏して伸びる私を見て、カリムは笑みを零す。
「最近また忙しいんじゃない? 少しはお休みを取ったら?」
「大丈夫。近いうちに休みはとる予定やから」
 私はぼやきながらちらちらとカリムを盗み見ていた。その優雅で可憐な所作を。
 単に紅茶やお菓子の準備をしているだけなのに気品が溢れている。
 それはとても私には真似できないもので、そんなところに憧れる。

「お砂糖は一杯よね?」
 私のお砂糖は一杯。覚えてくれている事が嬉しい。
 私が頷くと、スプーンで一杯入れてくれた。
 カリム自身は三杯入れる。彼女は甘党だ。

「いい香り。甘くておいしいわ」
「頭脳労働の後の糖分はええね〜」
「甘いものならこのクッキーもどうぞ。私が焼いたの。味見してくれる?」
 皿の上を見ると紅茶クッキー・チョコレートナッツ・チョコマーブルの三種類が並んでいた。
 好物のチョコマーブルに手を伸ばす。
「さくさくして甘くておいしい」
 私の感想にカリムは満面の笑顔で返してくれた。この笑顔が私は大好きだ。
「もうプロ級なんとちゃう?」
「そんなことないわ。ただの趣味よ」
「趣味でこれだけできるなんてええな〜。羨ましいわ〜」
「そういえばはやての趣味って何?」
 趣味……。私の趣味ってなんやろ?
 お料理は必要に応じてやってた部分もあるしな。最近は仕事忙しくてできてへんし。

374 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:19:19 ID:wz1Rx0Lc
「もしかして私、無趣味?」
「あっ!」
 カリムは手をぽんと合わせると何かを言おうとしたが、何故か口を噤んでしまった。
「何? 言いかけてやめられるとすごく気になるんやけど」
「そ、そのね……、女性の胸を触るのが好きって……」

 盛大に紅茶噴いた。脳内で。
「な、何かの聞き間違いやない……?」
「ロ、ロッサがそう言ってたの……」
 あんの変態緑。余計な事を。次会ったら八神ファミリーでフルボッコや。
「い、嫌やな〜。ロッサお得意のホラやないの?」
「シャッハもそう言ってたわ」

 これはあかん。このままやとカリムに変態さんと思われてまう。
 何とかごまかさんと――

「あ、あのね!」
 カリムの呼びかけに背筋が伸びる。ついでに冷や汗もつたう。
 彼女は顔を赤らめ、一呼吸置くと少し上目遣いでこう言った。

「……私の胸は揉んでくれないの?」

 …………何言うた?今この人何言うた?

 数秒の時を使ってカリムの言葉を咀嚼する。
 意味を理解するにつれ、段々と呼吸が荒くなり、気付くと手が高速でわきわきしていた。
「え、ええの?」
 カリムは俯きながらこくりと頷いた。
 跳ねるように立ち上がると思いっ切りテーブルにぶつかった。だが、痛みは感じなかった。
 興奮のあまりもつれそうになる足をリビドーで前へ前へと進める。
「ほんまに……ええの?」
 座っているカリムに真後ろから問いかけると、うん、と小さく答えた。

375 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:19:54 ID:wz1Rx0Lc
 震える手を伸ばす。服の上からでも大きいとわかる胸へと。
 触れると「あっ……」とカリムが小さく声を漏らす。
 幸福な感触が手の中に広がった。同時に脳内麻薬が大量に分泌される。
 それに支配されるようにそっと触る程度から揉むという言葉にふさわしい動きになる。
 カリムの呼吸が少しずつ乱れていく。それと反比例するように私の視野は狭くなっていった。

「ど、どう?」
 声をかけられ、一時我に返る。が、すぐにモミモミ再開する。
「そ、そやね。とってもええよ」
「あ、ありがとう……」
 耳まで真っ赤にして恥ずかしそうにそう言うカリムが可愛すぎて、興奮がピークに達した。
「できれば生で――」

「お話中のところ申し訳ありません。騎士カリム、管理局から……」
 突然の通信に私とカリムが固まり、声の主も固まった。
 その後、逆巻けヴィンデルシャフト! の声とほぼ同時に、私は気を失った。


376 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:20:36 ID:wz1Rx0Lc
「ふ〜、お掃除終わりや」
 その日久々の休暇に私は海鳴の家へと帰っていた。
 教会を訪ねてから既に五日が経っており、あれからカリムとは連絡を取っていない。

『……私の胸は揉んでくれないの?』
 どうしてカリムはあんな事を言ったのだろうか。あの日から毎日考えているがわからない。
 カリムとは仲良くしてもらっているけれど、今まで触ったことなど一度もなかった。
 それがまさか触って欲しいと頼まれる羽目になるとは。全く以って予想外の出来事だった。
 それはまあいいとして、胸を触って欲しいと思う相手というのは普通誰だろうか。
 ただの友人にそんな事を頼むだろうか。常識的に考えるとそんな相手なんて……。
 いやいや自分に都合よく考えるのはやめよう。私は六課メンバーの胸は大概揉んでる。
 それが私の趣味だと彼女は言っていた。趣味に付き合ってくれた以上の意味はないかもしれない。
 思わず溜息が出る。やっぱりカリムの考えている事なんてわからない。
 自分の気持ちはどんどん溢れてくるのに。

「好き……」

 ちょっと呟いただけなのに急に恥ずかしくなる。穴掘って潜りたい。
 恥ずかしさのあまり床を悶えながらゴロゴロ転がった。
 一通り転がり終わると、段々とクールダウンしてきた。途端に心細くなる。
 カリムは私の事をどう想っているのだろう?
 可愛い妹ぐらいにしか思っていない可能性は十二分にある。
 カリムの気持ちがわからないまま想いを伝えるのが怖い。
 告白してもうまくいかなかったら……。今の関係すら失ってしまうかもしれない。
 そうなったら彼女と会うのが辛くなる。好きなのに笑顔で向き合えなくなる。
 そんなの堪えられない――

 ――ピンポーン

 私の悪い考えを切り裂くようにチャイムが鳴った。
 時計を見ると二時を指していた。約束の時間だ。玄関のドアを開けると彼女がいた。
 少し救われた気がした。

377 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:21:14 ID:wz1Rx0Lc
「お久しぶりやね、すずかちゃん」
「うん、はやてちゃん、お久しぶり」
 笑いかけると彼女も笑顔をくれた。

 月村すずかちゃんは私の初恋の人。可愛らしくて優しい娘。そして強い娘。
 想いを伝えられないまま私の初恋は終わってしまった。彼女に恋人ができたから。
 あの頃は笑顔で出会うことも辛かった。彼女の特別な存在になれないことが悲しかった。
 中学を卒業して、距離と時間を置いて、ようやく心から笑って話せるようになった。
 今彼女と対面して湧き上がる感情は、嬉しさとちょっとした寂しさの化合物だ。

「ちょっとあたしには挨拶なし?」
 その一言にはっとして、取り繕うように話しかけた。
「アリサちゃんもお久しぶり」
「なんかあたしは来ないほうがよかった?」
「せやね」
「言ったな〜」

 アリサちゃんはすずかちゃんの恋人。誰よりもはっきりと思いを言葉にする娘。
 以前は複雑な思いがあったが、今では憎まれ口を叩き合う間柄。
 そんな関係が結構気に入っている。

「ちょお寒いし中に入って」
 そう言って二人を家へと招き入れた。久しぶりの来客に我が家も喜んでいるような気がする。
 リビングでソファーを勧めると、すずかちゃんはおもむろにビニールの袋を掲げた。
「おいしいって評判の焼き芋買って来たの。はやてちゃん焼き芋好きだったよね?」
 その一言に大きく頷いて日本茶を淹れると、おいしくて楽しい焼き芋パーティーが始まった。

 私がぼけて、アリサちゃんがつっこんで、すずかちゃんが笑う。そんな心地よくて大切な時を過ごす。
 六課を設立してからは、なのはちゃんやフェイトちゃんとも仕事関係の話ばかりになっていたため、
 友達同士の他愛の無い世間話というものがこの上なく楽しかった。

378 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:21:50 ID:wz1Rx0Lc
「あ、もうこんな時間」
 三時間程経った頃、すずかちゃんがそう口にした。
「ごめん、もうアルバイト行かないと」
「うん、明日も会えるんよね?」
「明日は一日中はやてちゃんと遊べるよ。後で電話するね」
 その言葉に笑顔で返し、すずかちゃんを玄関の外まで送る。
 彼女の姿が見えなくなるまで私は手を振っていた。

 ふうと溜息を吐き、空を見上げる。空はすっかり夕焼け空だ。
 この時期になると暗くなるのも早い。何となく寂しい気がする。
 そろそろ夜ご飯の準備にでも取り掛かろうか。

「ちょっと」
「ぬわっ! アリサちゃんまだおったん?」
「話があるわ。ちょっと中入んなさい」
 アリサちゃんはいつに無く真剣な表情でそう言うと、すたすたと家に入って行ってしまった。
 いや、ここ私の家なんやけど……。

 お茶を淹れ換えて、先程と同じリビングのソファーに腰掛けると、アリサちゃんがおもむろに口を開いた。
「何か悩んでる事あるの?」
 あまりにも直球な不意打ちに、私は目を瞬かせた。
「あたし達を出迎えた時、表情暗かったわよ。まあ、すぐに笑顔になったし、その後は楽しそうだったけど」
「そないに暗かった?」
「まあ一瞬だったけどね。すずかも気付いてたと思う」
 あ〜、大失敗や。久しぶりに会う友達にそないな心配させてまうなんて。
「ま、すずかははやてが話すまで何も聞かないでしょうけどね。そういうスタンスの娘だし。
 でも、あたしは違う。お節介を焼かないではいられない。――悩み事、あるんでしょ?」
 そう言うとアリサちゃんはお茶をすすり、腕と足を組んだ。ゆっくり話を聞く時の態勢だ。
 いい機会だし話してみようか。言葉にするだけでも少しは楽になれるかもしれない。


379 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:22:26 ID:wz1Rx0Lc
 アリサちゃんにカリムの事と先日の出来事をかいつまんで説明する。
 話している最中に何度もツッコミを入れたそうだったけど、大人しく聞いてくれた。
 私が話し終わるとアリサちゃんは足を組み換えてから口を開いた。
「想っていた相手の胸を何故だか触ることができて一気に盛り上がっちゃったわけね――この変態!」
「ぬお……。ほんまきついな〜、アリサちゃんは」
「んで、想いを伝えたいけどうじうじ悩んでる。相変わらずこの手の事になるとヘタレるんだから」
「返す言葉もございません……」
「いい方法があるわ」
「ほんま!?」
「さっさと告白すればいいのよ」
 私の話聞いとった? と反論しようとしたが手をかざされて止められた。
「迷ったら行動する。アクション起こすしかないのよ。それに、案ずるより産むが易しって言葉もあるわ」
「でも断られたら……」
「リスクがあるのは当たり前。その分のリターンがあるんだから。
 欲しいものがあるなら自分から動いていかないと手に入らないわよ?」
「それはそうやけど…………。アリサちゃんはいつもそうしてるんやね」
「はやてだってそうやって自分の部隊という夢をしっかりと叶えたんじゃないの?
 今度の願いも叶えてみせてよ。……自信を持ちなさい。はやてはとっても魅力的なんだから」
 その言葉にいくらか元気づけられたけれども、それでも振られる事を想像してしまう自分がいた。
 そんな煮え切らない私に、アリサちゃんは少し躊躇ってから一言付け加えた。
「それに…………誰かに盗られてしまってもいいの?」
「……それはもう嫌や」
「なら、やることは一つじゃない?」
 アリサちゃんの言葉に私は力強く頷いた。

「相変わらずアリサちゃんはがんがん攻めてく派なんやね」
「まあ色々と問題が山積みでね。全部片付けないとこの先うまくやっていけないし。
 攻めて攻めて攻めまくる。万が一間違いを犯しそうになったらすずかが止めてくれるわ」
 そう言ったアリサちゃんの顔はとても誇らしげだった。


380 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:23:01 ID:wz1Rx0Lc
 カタンとソーサーにカップを置く音が響いた。
 あれ以来初めてのカリムとの顔合わせだったが、ぎこちないものの仕事の方は片付いた。
 が、その後のティータイムに入ると、ろくな会話もできずに私もカリムも黙ってしまった。
 何か言わないと、そう思っても言葉が見つからない。何か切っ掛けが欲しい――

「やあやあお二人さん元気かい? 麗しのロッサが旬のモンブランをもって参上だよ」
 突然現れた陽気な闖入者に私達は呆気にとられた。が、そんな私達をよそに、彼はモンブランを並べ始めた。
 並べながら何処其処の栗を使っているだの、何某というパティシエが作っただのと講釈を開始する。
 一通り語り終えると満足したのか、私にそっと耳打ちをして彼はさっさと去って行った。
『今日は邪魔、入らないよ』という意味深な言葉を残して。

「何だったのかしらね? これをわざわざプレゼントしに来てくれたのかしら?」
 そう言ってやっとカリムが笑ってくれた。つられて私も笑う。雰囲気が少し和んだ。
「あの」「あんな」
 声がかぶってしまい、「お先にどうぞ」という言葉までハモってしまう。
 二人して苦笑し、しばらく譲り合った後にカリムが話し始めた。

「この間は変なことを頼んでしまって、ごめんなさい」
「あー、うん」
「あの後シャッハに怒られちゃって。もうあんなことを言ったりしないから安心してね」
「え……? 嫌、やった?」
「い、嫌じゃなかったわよ? でも、普通はああいう事、しないわよね」
「私は結構するよ? カリムのまた触りたい――やなくて、いや、触りたいんやけど、
 カリムはちょお特別、というか、何と言うか」
「特別……?」
「他の人のを触る時は遊び半分で、ただ触り心地ええな〜って感じなんやけど、
 カリムの触る時はどきどきするんよ……」
 少しの間を置いてカリムは首を傾げた。
「どういう、事?」
「……好きって事。私はカリムが好きや」
「え? えーと……?」
「伝わらんかった? カリムに恋愛感情抱いとるんよ、私」

381 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:23:36 ID:wz1Rx0Lc
 カリムが目を丸くするのがよくわかった。ようやく私の言った事が伝わってくれたようだ。
 彼女は何かを言いかけて、すぐに視線を逸らしてしまった。

 もう言ってしまった。想いを伝えてしまった。後戻りはできない。
 以前はできなかった事。今ようやくできた。勇気を持って踏み出せた。
 私はカリムを見つめて待った。彼女の返答を。心臓を高鳴らせながら。

 数分の時が経つと、視線を逸らしたままカリムは重い口を開いた。
「自分が何を言っているかわかってる? 私達、女同士なのよ?」
 カリムの声のトーンがわずかに低い。そこにわずかばかりの困惑を感じた。
「もちろんわかってるよ。でも、好きなんよ。カリムの事が好きなんよ……」
 いつのまにか声が震えており、視界はぼやけ出していた。
「あかんの……?」
 こちらの異変に気付いたのか、カリムはやっとこちらに視線を向けてくれた。
 彼女は少し寂しそうに笑っていた。
「同性愛に対して嫌悪感を露にする人も少なくないわ。はやての今後に影響がでるかもしれない」
「そんなん……、何とかするよ」
「そうは言っても……。それにね、聖王教会は同性愛に対して寛容じゃないの」
「そんな……知らんかった」
「だから……」

 カリムの言葉はそこで途切れてしまった。下を向いてしまった彼女の表情は窺えない。
 一筋の涙が頬を伝う。一度溢れ出してしまうと私はもう止められなかった。
 掌で顔を覆って目の前にある現実を拒絶する。
 だが、何の効果も得られなかった。かえって自分の嗚咽が耳に響くばかりだった。

382 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:24:16 ID:wz1Rx0Lc
 気付くといつの間にかカリムが傍に立っていた。
 右手が伸びて来て、そっと涙を拭ってくれた。
「だから」
 私の涙を止めるように、カリムは優しく語りかけてくる。
「もし私がここを追い出されてしまったら、はやては私の力になってくれる?」

 しばらくの間私はぽかんとしていた。事態を把握できなかった。
 そんな私にカリムは微笑んだ。
「ここで生まれ育った私は聖王教会が世界の全てで、外の世界はよくわからなくて少し怖いの。
 だからその時が来たら、私をしっかりと抱きとめてくれる?」
 ぐしゃぐしゃの顔で思い切り首を縦に振る。涙を吹き飛ばすように。
「これから色々な問題にぶつかる事も増えてくると思う。それでも後悔しない?」
 その言葉にとびきりの笑顔と強い頷きで答える。今の喜びを表現するように。

 カリムは一歩下がり、スカートの裾をわずかに上げ、貴族の令嬢が挨拶をするようにして、
 言葉を紡いだ。
「私の恋人になって頂けますか?」


383 名前:想いを言葉に[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 10:24:54 ID:wz1Rx0Lc
エピローグ

「あら、いらっしゃい、はやて」
「来たよ〜」
「きゃっ、ちょっといきなり揉まないで……」
「仕事か乳揉みか、それが問題や」
「仕事優先に決まってるでしょ!」
「そやね、揉みながら仕事すればええね」
「ちょっと〜」

 私はさっさと席に着き、ここに座れ、と膝をたたく。
 カリムは溜息を吐くと、重いわよ? と言いながらそっと腰を下ろしてきた。
「う〜ん……」
「やっぱり重いんじゃない!」
 怒って立ち上がったカリムの手首をがっしりと掴み、その瞳を見つめ、私は想いを言葉にする。

「そうやない、フトモモの感触は直のほうがエエと思うんよ」

 顔に?マークを浮かべるカリムのスカートを躊躇なくめくる。うん、柔そうなエエ足や。
「な、なにするの!?」
「スカートめくって座って。生足on生足。楽しめそうや〜」
「もう、いつもそんな事ばかり言って……」
 文句を言いながらもやってくれる。カリムはほんま可愛い恋人さんや。
「いっそのことパンツも脱い――」
 言い終わる前に鉄拳制裁を喰らう。カリムの愛は時に激しい。

「重くない?」
「生足の感触がたまらんわ〜」
 背中に頬をつけてすりすりする。ついでに乳も揉む。やっぱりエエ乳や。
「うう〜、仕事ができない……」
「私は色々とみなぎってきて、むしろなんでもできそうな気がするよ〜!」
 私の高らかな宣言にカリムは溜息を吐いた。その息は心成し熱を帯びていた。
2007年11月18日(日) 02:02:37 Modified by nanohayuri




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