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本当に好きな人-中編

前:本当に好きな人-前編

209 :名無しさん@秘密の花園 [sage] :2008/02/28(木) 22:42:30 ID:0DmQc5VA
210 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 22:44:18 ID:0DmQc5VA
211 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 22:46:15 ID:0DmQc5VA
213 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 22:52:47 ID:0DmQc5VA
214 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 22:55:05 ID:0DmQc5VA
215 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 22:55:52 ID:0DmQc5VA
216 :本当に好きな人 中編 [sage] :2008/02/28(木) 23:00:02 ID:0DmQc5VA


GJや感想くれた人ありがとう
励みになります

それでは本当に好きな人中編投下します
なのフェイの話です
5レス使用します

注意書き
  • なのはがユーノと結婚してます
  • 修羅場展開はありません

ちなみに前編は>>109-117です



 執務官室にて、フェイトは書類と睨めっこをしていた。
 そこには青白い顔をした男の写真と経歴等の情報が記載されている。
 今度捜査協力することになった事件の容疑者で生命操作を違法に研究している男のものだ。
 フェイトは顔を顰めながらもしっかりと情報を頭に叩き込む。
 読み終えると書類を机に置き、目をこすり、肩をほぐして、伸びをした。
 突然執務官補佐のシャーリーから通信が入った。珍しい訪問客が来た、と。
 相手の名を聞いてフェイトは驚いたが、嬉々として迎え入れた。
「久しぶりだね、ヴィヴィオ」
「お仕事中にごめんなさい、フェイトママ」
「大丈夫。ちょうど休憩するとこだったから。それで、ヴィヴィオはどうしたのかな?」
 ヴィヴィオは鞄からピンクのリボンがかかったものを取り出し、はにかみながら差し出した。
「これ、フェイトママに。バレンタインチョコ」
「わあ、ありがとう」
「一日遅れでごめんなさい」
「そんな謝るようなことじゃないよ。ヴィヴィオからチョコ貰えてとっても嬉しいよ」
 フェイトが優しく頭を撫でると、ヴィヴィオは気持ちよさそうに目を細めた。
「フェイトママ」
「ん、何?」
「チョコレートはいくつ貰った?」
「三つかな? シャーリーとティアナとはやてから貰ったよ」
「その……なのはママからは?」
 『なのはママ』という単語を聞いた瞬間フェイトが凍った。
 その様子を見てヴィヴィオは顔を曇らせる。少しの間の後にごめんなさい、と言った。
 フェイトはヴィヴィオの謝罪に首を振り、眉根を寄せて質問に答えた。
「なのはからは貰ってないよ。もう随分会ってないからね……。
 最後に会ったのは結婚式の一ヶ月くらい前かな……」
 それはなのはの『ご報告』の時。それ以来フェイトはなのはを避けている。
「そっか。なのはママ会いに行ったと思ったんだけど」
「私のところに? 多分、来てないよ」
 ヴィヴィオは小さく頷くと、怒らないで欲しいんだけど、と前置きして躊躇いがちに尋ねた。
「フェイトママはなのはママのこと嫌いになっちゃったの?」
 フェイトは大げさなくらい首を振った。
「そ、そんなことないよ? どうしてヴィヴィオはそう思ったのかな?」
「だって毎日メールとか電話とかしてたのにこの頃ずっとそういうことしてないよ」
「それはね、邪魔しちゃ悪いかなって思って」
「誰の邪魔になるの?」
「えっと、なのはと……ユーノのかな」
 フェイトの言葉を受けてヴィヴィオが小さく首を捻る。
「邪魔になんか――ならないと思う」
「なるよ。その、二人は……結婚、したんだから、何と言うか、仲良くお話するのの邪魔になるような」
「ならないよ。なのはママたち二人共忙しくてあんまりお話できてないみたい」
「……そうなの?」
「いつもおうちにいるのはどっちか一人だよ」
「そうなんだ……」
 複雑な表情をしているフェイトを窺いながらヴィヴィオは問いかけた。
「フェイトママはなのはママのこと嫌いじゃないんだよね?」
「嫌いになんかなれないよ」
「それじゃあ好き?」
 フェイトはたっぷりと間を置いてから、好きだよ、と言った。
「好きならお話しないとだめだよ?」
「そうだね……。今度お話してみるよ」
「本当に本当? 絶対になのはママとお話してくれる?」
「うん、約束するよ」
「フェイトママとなのはママは仲良しじゃないとだめなんだよ?」
 じっと見つめるヴィヴィオに、フェイトは頷いて答えた。
 その答えに満足したヴィヴィオは立ち上がるとバイバイ、と言って背を向けた。
 去り行く娘に手を振るフェイト。その顔には微笑が浮かんでいた。
 自分となのはの間に何かあったのだと感づいたのだろう。それで仲立ちを買って出るなんて。
 本当に気の利くいい子だ。
 そんなことを考えて、ゆっくりと息を吐き出す。
 口を真一文字に結び、顔を引き締めると、フェイトは己の心に誓いを立てた。
 今度なのはに会いに行こう。愛する娘の頼みを無下にするなんてできない。
 自分の想いは心の奥の奥にしまってしまおう。
 もう二度と出てこないように厳重に。鍵をかけて。

 バレンタインから二日後、晴れた土曜の午後、海鳴公園のベンチになのはは腰掛けていた。
 視線は他の子とサッカーをするヴィヴィオにぼんやりと向けられている。
 時々手を振るヴィヴィオに笑顔で手を振り返しては顔を曇らせた。
 憂鬱そうに溜息をつく。
「こんなにいい天気なのに、何暗〜い顔してんのよ」
 顔を上げたなのはの目の前に仁王立ちになったアリサがいた。
「なのはちゃん、久しぶり」
 その隣には小さく手を振るすずかがいた。
「久しぶり。二人はそのワンちゃんのお散歩?」
 なのはが顔を向けるとゴールデンレトリバーはパタパタと尻尾を振った。
「どっちかと言うとあたしたちの散歩がメイン。この子はボディーガードってところ」
「もう、ボディーガードなら私がいるのに」
「すずかに守られるなんて嫌」
「またそういうこと言う」
「嫌なものは嫌なの」
 いつも通りいちゃつく二人を見て、なのははくすりと笑った。
「ってそんなことは置いといて」
 アリサはすっとなのはの左隣に腰を下ろした。
「旦那と喧嘩でもしたの?」
 なのはは一瞬怪訝な顔をして、力なく首を振った。
「喧嘩はしてないよ。喧嘩するほど会ってないから」
「会ってないってどういうこと?」
 アリサの左隣に座ったすずかが少し前かがみになって訊いた。
「そのままの意味だよ。すれ違い生活ってやつかな……?」
「新婚早々すれ違いって……ある意味すごいわね」
 あんぐりと口を開けたアリサに、なのはは再び首を振った。
「でも、結婚する前から決まってたことなんだ。ヴィヴィオを一人にしないってこと。
 私もユーノ君も忙しいから、なんとか片方だけでも早めに帰れるようにって。
 そしたら、顔を会わせることがすごい減って」
「休日は?」
「一緒にいることはたまにあるけど、突然呼び出されることもあるし……。
 やっぱり喧嘩するような暇はないかな」
「なるほど。一緒にいる時間があまりなくてなのはは困ってる訳ね」
「えっと、そうじゃ、ないんだけど……」
 歯切れの悪いなのはに、アリサとすずかは顔を見合わせて首を傾げた。
「よくわからないけど、長年の親友であるこのアリサさんとすずかさんに話してみなさい」
 胸を張るアリサになのはは曖昧に笑うとぽつりぽつりと話しだした。
「あの、ね、私、好きな人ができたの」
「旦那以外に?」
 なのはが肯定すると、アリサはあちゃーという顔をした。
「なのはちゃん、それって……」
「浮気ってことになるかもしれない。想いは伝えてないし、相手の気持ちもわからないけど……」
「それならまだどうにかなったわけじゃないのね? 何? 旦那が嫌になったの?」
「そうじゃないと思う。ユーノ君のことは嫌いじゃない。そう、嫌いじゃない。
 でも、好きな人ができたの。……違うな。ずっと前から好きだったってようやく気付いたの。
 もやもやしてた気持ちが好きってことに気付いたの」
 はやてちゃんと話をして、という言葉が出かかったが、声にならなかった。
「ずっと、前から……?」
「そう、ずっと前から。いつからかははっきりしないけど」
 サッカーボールがなのはの下へとコロコロ転がってきた。
 なのははそれを取りに来たヴィヴィオに渡す。
 ヴィヴィオは笑顔で受け取ると、アリサとすずかに簡単な挨拶をして駆けて行った。

「それで、なのはちゃんはどうするの?」
「わからない」
「わからないって、あんた……」
「どうしたらいいんだろう」
「ま、簡単に考えて二つに一つでしょ。旦那を取るか、その人を取るか」
「そうなんだけど……」
「何よ、煮え切らないわね。こんななのはも久しぶりね。小学生の時以来じゃない?」
 アリサはふざけた調子でそう言いながらも、すずかにアイコンタクトを送った。
「今までこういうことなくて。よくわからないんだ」
 沈んでいくなのはにアリサの意図をつかんだすずかが尋ねた。
「今まで一度もなかったの?」
「うん。初めて」
「それならよく考えたほうがいいと思うよ。その人を想うってことはユーノ君を裏切ることだよ。
 そうなったらユーノ君傷つくと思う。結婚して半年も経ってないし」
「うん」
「それに、こんなこと言いたくないけど、勘違いかもしれないよ? その好きって気持ち。
 今まで恋をしたことがないのなら、どうして今回のが恋だと言い切れるの?
 仮にその気持ちが恋だったとしても、今の生活を失ってまで手に入れるほど価値があることなのかな?
 恋愛がすべてじゃないと思うんだ」
「ちょい待った、すずか。まず、このなのはの深刻さから言って恋に悩んでると言ってもいいと思うわ。
 しかも初恋でずっと前から好きだった相手よ? ずっと前ってユーノと結婚する前からでしょ?
 だからってどうこう言える訳じゃないけど、一考してみる価値はあると思うわ」
 それに、と言ってアリサはなのはを見据える。
「ユーノを傷つけることにはなるだろうけど、気持ちを抑えたまま日々を過ごしていくのは辛いと思う。
 だからその気持ちを大切にして、いっそ恋に生きてみたら? あたしたちまだ二十歳よ?
 若さに任せて突っ走ったっていいと思う」
「若さって……なんだかアリサちゃんおばさんみたいだよ?」
「Shut up! いい? すずか。突っ走るのってやっぱ重要だと思うのよ。大体ね――」
「どうどう、アリサちゃん。話が脱線しそうだよ? ごめんね、なのはちゃん」
 すずかがなのはの方を見遣ると、いつの間にか憂鬱そうな雰囲気はどこかへ消えていた。
「私、どうしたいのかがわかった気がする」
 その一言でアリサとすずかにはなのはがどちらを選ぶのかがわかった。
 よかった、と言ってすずかは微笑んだ。
 アリサはニヤリとしておどけるように言った。
「ニブちんで朴念仁で枯れたなのはにもようやく春が来たのね〜」
 なのはは目をぱちくりさせた。
「もう、その言い方はひどいよ〜、アリサちゃん」
「何よ、本当のことでしょ?」
 すずかがくすくす笑い、アリサはあははと笑い、なのはは楽しそうにふくれた。

「今度その人紹介しなさいよ」
「え……? 紹介?」
「何? 嫌な訳?」
「そうじゃなくて……。二人とも知ってるよ?」
「知ってる人?」
「だって……フェイトちゃんだし」
 アリサはこの上ないまぬけな顔をした。すずかは口元に手をやり、目を見張った。
「え? 何かおかしなこと言った?」
「全然……」
「むしろおかしくなさすぎて……」
 二人の言葉になのはは首を傾げてから、伏し目がちに言った。
「でも、フェイトちゃんに受け入れてもらえるかな……?」
「はあ!? そんなの――」
 すっと伸びた腕がアリサの口を塞いだ。アリサはすずかを睨んでもごもごと文句を言う。
 すずかはアリサの耳元に口を寄せて囁いた。
「フェイトちゃんはきっと十年以上悩んできたと思うから、なのはちゃんにも少しくらい
 悩んでもらわないと、フェイトちゃんが報われないよ」
 やれやれ、とアリサが肩をすくめると、すずかはそっと離れた。
「何の話?」
「大したことじゃないから気にしなくていいわよ」

 そうなの? と言ったなのはに戻ってきたヴィヴィオが抱きついた。
「サッカー終わったの?」
 元気よくヴィヴィオが返事をする。三人から笑みが零れた。

 帰路につくなのはとヴィヴィオ。二人を見送りながらアリサは溜息と共に言葉を吐き出した。
「しっかしさっきのすずかの言葉きつかったわね。なんだか逆らいたくなるような物言いだったわ」
 すずかは可愛らしく首を傾げて、そう? と言った。
「もしかして、わざと……?」
 すずかは悪戯っぽく笑うと話を逸らした。
「それよりアリサちゃん、私、欲しいものできちゃった……」
「何? このアリサさんが何だって手に入れてご覧にいれましょうか?」
 すずかは頬を染めると爆弾を投下した。
「アリサちゃんとの子供……」
 アリサはブフォッと噴出すと盛大に咳き込んだ。すずかがアリサの背中をさする。
 十数秒かかってようやく回復すると、アリサは力の限り声を張り上げた。
「そんなんできるか!」
「でも、アリサちゃん何だってって……」
「何だってにも限度がある! そりゃ、あたしだって、その、すずかとの……いや、そうじゃない。
 無理なものは無理だから!」
「でも……」
「無理!」
 この後、すずかの『アリサちゃんとの子供欲しい』発言に関する激論は長期間に渡って尾を引いた。



『なのはママに明日フェイトママが遊びに来ることを伝えておきました』
 そういった内容のメールがフェイトの下に届いたのは、ヴィヴィオとの約束から一週間後だった。
 当初フェイトが直接なのはに連絡するつもりだったのだが、どうしても一歩を踏み出せず、
 結局ヴィヴィオが仲介を引き受けることとなった。
 メールを読み終えたフェイトは胸に手を当て深呼吸をする。
 そして、自らの想いに幾重もの封印をほどこし鍵をかけた――つもりだった。

 インターフォンに手を伸ばす。引っ込める。伸ばす。引っ込める。
 フェイトは何度もその動作を繰り返した後、思い切ってインターフォンを押した。
 数秒の後、ドタドタという音がすると、ドアが開かれ、なのはとヴィヴィオが飛び出した。
「いらっしゃい、フェイトちゃん」
 なのはに名前を呼ばれた途端、フェイトは胸が高鳴り、締め付けられるのを感じた。
 名前を呼ぶという行為がどんな魔法よりも鋭くフェイトを抉る。
 心にかけた鍵にヒビが入り、奥にしまったはずの想いが噴出しそうになる。
 しかし、そんなことはおくびにも出さずにフェイトはニコリと笑って挨拶をした。
「お邪魔するね」
 フェイトの声を聞いた途端なのはは涙ぐんだ。フェイトは直視できすに顔を逸らした。
 なのはが一歩近づく。フェイトは思わず一歩身を退く。
 なのはは眼前の光景が信じられず、自身の目を疑った。
「なのはママ、いつまでも玄関じゃフェイトママがかわいそうだよ」
 ヴィヴィオがなのはの袖を掴んでそう言った。
「ごめんね、フェイトちゃん。さ、上がって」
 ヴィヴィオはフェイトの手を引き、リビングに連れて行くと、ソファを勧めた。
 なのはは紅茶とお菓子の用意をしにキッチンへと向かう。
 段取りをつけてくれたことをフェイトが礼を述べると、ヴィヴィオは嬉しそうに笑った。
 とりあえず座って、とフェイトがソファーをぽんぽんと叩くと、
「あ、そうだ。友達に借りてた漫画返さないと」
 棒読みでヴィヴィオはそう言った。
 面食らっているフェイトにヴィヴィオは手を合わせて謝る。
「ごめんね、フェイトママ。一時間くらいしたら帰ってくるから」
 そう言うや否や、脱兎の勢いでヴィヴィオは去って行った。
「あれ? ヴィヴィオはどこ行ったの?」
「何だか友達に漫画を返すとか言ってたけど……」
 なのはは首を傾げると、紅茶とお菓子を並べ、少し距離を置いて腰を下ろした。
「な、なんか、久しぶりで緊張する」

 フェイトは紅茶の水面を眺めながらそうだね、と素っ気なく返した。
 その態度になのはは気後れしたが、多少強引に話を振っていった。
 仕事のこと、アリサやすずかのこと、ヴィヴィオのこと等等。
 特にヴィヴィオの話にはフェイトが関心を示したので、学校や家でのことを話すと、
 フェイトの表情も少しずつだが柔らかくなっていった。
 それを受けてなのはは一番気になっていたことを尋ねた。
「はやてちゃんがご飯作りに来てくれてるんだってね?」
 フェイトは微笑して頷いた。
「最近はよく来てくれてる。はやてはやっぱり料理が上手いよ」
「そうなんだ。でも、友達の家にご飯作りに行くなんて中々できないよね」
「そうだね」
「それで、その、はやてちゃんとはどういう、関係?」
 フェイトは訝しげな表情をした。
「十年来の親友だけど……」
「そ、そうだよね。あはは。ごめんね、変なこと訊いて」
 よかった、となのはは小さく呟いた。
 紅茶を一口飲むと、軽く拳を握り、顔を上げた。
「あのね、フェイトちゃん」
「何?」
「その、私、フェイトちゃんに言いたいことが――」
 ――まだ駄目だ。この先は言ってはいけない。
 今の状態のままで言うのはユーノへの裏切りになるし、なによりフェイトに対して失礼だ。
 そう思ったなのはは、何でもない、と言って首を振った。
 フェイトはちらりと横目で様子を見て、クッキーを口に運んだ。
 突然シャーリーから通信が入る。二三言葉を交わすとフェイトは勢いよく立ち上がった。
「ごめん、行かなくちゃ」
「うん。気をつけてね」
 フェイトはなのはを見ようともせず、逃げ出すようになのは宅を辞した。
 車にエンジンをかけ、走り出す。
 赤信号で停車すると、ようやく肩の力を抜いて息をついた。

 シンクに水が流れる。なのははカップについた泡を落としながらフェイトとの再会を反芻していた。
 フェイトはほとんど目を合わせてくれなかった。一度も名前を呼んでくれなかった。
 声のトーンが低かった。肩肘を張っていた。何かから自分の身を守っているように見えた。
 確かに、話をしているうちに少しは表情も和らぎ、微笑することもあった。
 だが、フェイトは一定の距離を保とうとしているようだった。
 その距離は友達になって以来、もっとも遠く隔たりを感じさせるものだった。
 フェイトとの関係はいつの間にか変わってしまっていた。それを痛感せずにはいられなかった。
 水を止めるとシンクになのはが映った。それを見てなのはは、ひどい顔だ、と思った。


以上です
何か改行が多すぎる、とか言われてテンパって投下ミスりました。すいません

ちなみになのフェイの話なのにアリすずがいちゃつくのは仕様です

続きは近いうちに投下します

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2008年04月21日(月) 16:31:09 Modified by gonn90




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