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39-87

注)なのフェイ、拗ねるフェイトとそれを宥(なだ)めつつも「うっかり」苛めちゃうなのはちゃん


「フェイトちゃーん」
「……」

時は休日の昼下がり。フェイトが、先ほどからソファーの上でアルマジロのように、頑なに丸まっていた。
「いつまでそうしてるつもりかなー?」
斜め後ろに立ったなのはが、名前を呼び続けるが全く反応せず、体育座りをした膝に額をくっつけたまま動かない。
なのはは小さくため息をついた。
「もうっ、そんなに拗ねないで?」
「…拗ねてない」
「拗ねてないなら、顔上げてほしいな」
「……やだ」
相変わらず顔をあげずに、もごもごと、くぐもった声が子供のようなことを言ってくる。
なのはが今度はフェイトに聞こえるように、わざと大きなため息をついてみせると、さっきよりも強気な声がまた駄々をこねる。
…こんな姿、きっと誰も知らないんだろうなぁ
そんなことを考えると、フェイトの態度に困らされている現状はさて置き、なのはの顔が、だらしなく緩んでしまう。
うーん。甘やかしすぎてる、のかなぁ…でも…
フェイトがあんまり可愛くて、だから、仕方がない気がしている。結局、いつもその結論に至るのだ。
「いい加減、機嫌直してよ。ね?」
キレイなつむじをうりゃうりゃと人差し指で突っつくと、フェイトが頭を小さく振っていやいやをする。

「なのはさんに、フェイトちゃんの可愛い顔見せてほしいな」
「ね、フェイトちゃん、お願い」

幼い子供に向けるような、やさしい口調で語りかけても、フェイトは、丸まったまま、だんまりを続けている。
今回のフェイトはいつもよりも手ごわかった。
なのはは顎に手をやり、軽く目を瞑った。しばし思案した後、何かに閃いたのか、一人頷いた。

「今、顔見せてくれたら、ちゅーしてあげる」

なのはの予想どおり、フェイトが「ちゅー」の単語にピクリと反応する。なんとも、わかりやすいフェイトである。
うんうん、と二度ほど頷いたなのはは、しょうがないなぁーと思いながらも、フェイトの背中をもうひと押しする。



「よーしっ、大サービス。顔あげてくれたら、フェイトちゃんの言うことなんでも一つ聞いてあげるよ?」
「ほんとに?」
「うん、ほんと」
「なんでも?」
「…う、うん、なんでも…」
「ほんとに、なんでも?」
うぅ…。フェイトはまだ顔をあげていないが、キラキラとした金色の光が膝とおでこの隙間からもれてくる。
なのはは少し怖気づいた。
「え、えーと。常識の範囲内でお願い、したいかなぁ…なんて…」
弱気で注文を付けたなのはの声が聞こえたのか、聞こえなかったのか、フェイトがゆっくりと顔をあげる。
想像していたとおり、見つめてくる紅の瞳は、期待やら希望やらにキラッキラと輝いていた。
間違いなく、聞いていないのがわかった。なのはの背中を冷や汗が流れる。
「ふぇ、フェイトちゃん、機嫌なおったの?」
「…別に、もとから拗ねてないよ…」
「そうなの?じゃあ、なんで?」
「あ、え、…な、内緒…」
適当な理由が思いつかなかったのか、言葉を濁すフェイトにジト目を向けると、慌てたように「そ、それよりっ」と話題をかえられた。
「お願い、何でも聞いてくれるって言ったよね?」
フェイトの機嫌はすっかり直ったようで、うれしそうな顔が喜々として聞いてくる。
無邪気な笑顔を向けてくるフェイトが、なんだか、少しだけ――。可愛さ余って、なんとかというやつだ。
「…」
「なのは?」
何も応えないなのはに、途端にフェイトが不安そうな表情になり、ちらちらと視線を投げかけてくる。
そんな反応に、かわいいなぁ、なんて思いながら、なのはの心の隅ではムクムクと悪戯心が芽生えていた。
「…そんなこと言ったっけ?」
頬に人差し指をくっつけ、おどけてみせると、え?と、驚いたフェイトが、ぽかんと口をあけ、一瞬、間の抜けた顔になる。
「言ったよ!!」
すぐに、我に返ったフェイトが大声で叫ぶが、なのははあくまでもシラを通すことに決めた。
「そうだっけ?」
「ついさっき、言ってたよ!!」
「そうかなぁー?…ねぇ、レイジングハートは聞いてた?」
急に話を振られるとは思ってもいなかったレイジングハートは相当困ったのだろう、目が眩むほどの強い光を一瞬発した。
一・二秒、高速点滅をくり返していたが、さすが長年のパートナー、すぐに落ち着きを取り戻し、主人の期待に応えてくれる。
「先ほどのお二人の会話は録音していないので、私には確認のしようがありません」
「そう。ありがとうレイジングハート。だって、フェイトちゃん」
なのはが意地悪く笑うと、フェイトがそれに対抗して、バルディッシュを呼ぶ。
「バルディッシュ!!なのは、絶対言ってたよね?ねっ?」
「…」
なのはから刃のような鋭い視線がバルディッシュに降り注いでいたが、なのはに背を向けバルを見ているフェイトはそれに気付かない。



「…サー。私も待機状態だったので、記録しておりません。申し訳ありません」
「そ、そんな…」
がっくりと肩を落としたフェイトの後ろ姿は頼りなく、少しでも触れれば、崩れ落ちてしまいそうに見えた。
ちょっと、意地悪しすぎたかな…
驚かさないようにと気を遣いながら、そっとフェイトの肩を掴み、少し力を入れこちらを向かせた。
対峙した紅の瞳が、不満を真直ぐに訴えてくる。なのはは、ハリセンボンのように膨れてしまっている桃色の頬をちょんちょんとつついた。
「ごめん、フェイトちゃん。ちょっと調子に乗りすぎたみたい」
なのはの肩口にフェイトが顔をうずめた。小さく唸る。
「なのはは、意地悪だ」
「うん、意地悪だったね。ごめんね。私のこと許してくれる?」
「もう意地悪しないって約束してくれるなら…、いいよ」
「うーん。それは…」
「約束してくれないと、許してあげないからねっ」
語尾を強め、本当に怒ってるんだぞー、と必死に伝えてくるフェイトが、なんとも微笑ましい。
なのはの口角がゆっくりと持ち上がり、それは、綺麗な放物線を描いた。
「そっかぁ。…でも、フェイトちゃん意地悪されるの、結構好きでしょ?」
「――っ。そ、そんなことないよ」
「嘘」
「嘘じゃないっ」
「ほんとにー?」
「嫌いだよ」
「またまたぁ。嫌いじゃないでしょ?」
「嫌い、嫌い、嫌い」
繰り返すフェイトの耳元で、わざと息がかかるようにして問うた。
「ほんとうに、嫌いなの?」
くすぐったいという理由以外で、ビクリとフェイトの身体が震えたのがわかった。
たっぷりと数十秒は時間がたってから、やっと返ってきた返事は余りにも小さくて、でも、しっかりとなのはの耳に届いた。
だが、なのはは聞こえていないふりをする。
「ん?フェイトちゃん?」
「だから、…嫌い…」
「聞こえないよ?」

「っ――。もうっ!嫌いじゃないけど…。で、でもっ!好きなわけじゃないよ!」

そんなに嫌じゃないだけ、と主張するフェイトに、一応、なのはは同調してあげる。
「そんなに、だね。わかってるよー。ふふっ。フェイトちゃん可愛い」
両手でフェイトの頬をはさみ、なのはは口元を緩ませる。堪えきれず、唇の隙間からもれてしまった笑い声にフェイトが面白くなさそうな顔をする。
「…。なのはは可愛くない」
ぷぃっと横を向いて、再び子供のように拗ねてしまったフェイトに、ここで終わるはずだった意地悪が、止まらなくなった。



「フェイトちゃん、ひどい。…なのは、傷ついた」
「え?」
「今のすっごく傷ついたなぁ。うぅー。フェイトちゃん酷いよ…」
「え、ええ?!」
だって、なのはが、だって、とオロオロしだしたフェイトを無視し、わざとらしく体を震わせ泣きまねをする。
なのはの様子に、何故か真似とは気づかない。簡単に騙されたフェイトはすっかり動揺してしまう。
「今のは嘘だよ?なのはは可愛いよ。すごく可愛いよ。ほんとに可愛いよ?」
笑いを堪えるために、本当に震えだしたなのはを、泣いているからだと勘違いしたままのフェイトが至極真剣な声でさらに続ける。
「なのは…。冗談のつもりだったんだ。なのは、ごめんね。ごめんなさい…」
最後は、泣き出しそうな声に変わり、何度も謝ってくる。
さすがに可哀想になってきたけれど、あともう少し、楽しみたい。
「すっごく傷ついたもん。許してあげない」
「な、なのはぁ…」
「でも、もし、フェイトちゃんが、何でも言うこと聞いてくれるっていうなら…。許してあげようかな」
「ホントに?」
「うん」
「…わ、わかった。なんでも聞くよ。だから――」
フェイトがそこで一旦言葉をきった。伺うように、上目使いで見つめられる。本人が無意識な攻撃ほど、受ける衝撃は破壊的に大きい。
「だから、許してくれる?」
なのはの目には、フェイトの頭上に、垂れてしまっている犬耳がはっきりと映って見えた。
な、なに、この天使な生き物!!フェイトちゃん、かわいすぎるよーーー!マイ・エンジェル!!
心の中でそんな事を叫びつつ、のたうちまわっていたが、もちろん、おくびにもださない。
「うんっ。許してあげる」
なのはが満面の笑顔で答えると、フェイトがホッと息を吐き出して、安堵の表情を浮かべた。
「よかった…。ありがとう、なのは」
お礼まで述べるフェイトに、今更ながら胸のあたりがチクリチクリと痛みはじめる。
「なのははとっても優しいね」
あぅ…。ちょっとどころか、かなり後ろめたくなってきた…。
なのははフェイトの頭にそっと手を伸ばした。謝罪の意味をこめて、できるだけ優しくなでなでする。
不思議そうな顔をしつつ、おとなしく撫でられているフェイトを見ながら、なのははひどく心配になってきた。
こんなにお人好しで大丈夫なのだろうか…、と。

しばらくして、撫でられ満足したのか、フェイトがなのはの手をとり、少し緊張した面持になって聞いてきた。
「それで…。なのはのお願いって?」
「え?…あぁ、うん。お願いね…」
こんなことになるとは全く予想していなかったので、もちろん、何も考えてなどいない
「何でもいいよ。あ、でも、えっと、お金がかかるものとか、あと…、恥ずかしいのは、あんまり…」
注意深くなのはから視線をそらしたフェイトの耳は熟したリンゴよりも真っ赤に染まっていた。
「も、もちろん、出来るだけ、頑張るけど…」
何でもと約束した手前、強気にでれないのだろう、フェイトの眉がきれいな八の字を描き、困った顔をつくった。
あぁー。もうっ、かわいいかわいいかわいいいいいぃ
なかなか返事をしてこないなのはに、フェイトは何を想像したのか、赤い顔が色を失い、だんだん白くなっていく。





なのはは慌てて、違う違うと、否定してやる。
「大丈夫、大丈夫。変なことじゃないから。えっとね…」
「う、うん…」
ちょいちょいと手招きをする。素直に身を寄せてきたフェイトの耳に唇を近づける。
「あのね…」
なのはが、恥ずかしそうにそっと囁いた。

恋人へのささやかな願い――

「フェイトちゃんが甘えるのは、私だけにしてね」


おしまい。
2011年12月17日(土) 18:58:17 Modified by sforzato0




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