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42-691

ここは停泊中のアースラ艦内。
事件も終わり、時の旅人たちが帰るまでの間、なのはたちは艦内で過ごしていた。
「ママー!」
「ヴィヴィオ♪」
なのはを見つけると嬉しそうに声を上げて、廊下の先から駆けてくるのは彼女の娘である大人モードのヴィヴィオだった。
未来からやってきたなのはの娘。
突然そう言われても、小学生のなのはに実感が沸くわけもない。
だが、なのはにはヴィヴィオが自分にとってきっと大切な子なんだろうということは何となく分かっていた。
だからこの時代で関わるのはあまり良くないとわかっているのに、どうしても邪険にできなくて、
今も鏡写しのような笑顔を向けてしまっていた。
「も〜、廊下は走っちゃダメだよ」
「はーい!」
軽く注意するなのはに元気よくヴィヴィオが答えた。
見た目は娘のほうが大分年上なのに、親子のようなやり取りにまるで違和感を感じない。
(うーん、でも何を話せばいいんだろう……)
なのはは掛ける言葉に迷っていた。
話したいこと、聞きたいことはたくさんあるのに、口を開けば未来のことに関わってしまいそうで。
すると、ニコニコと笑っていたヴィヴィオがなのはにぎゅっと抱きついた。
「わーっ、やっぱちっちゃいママかわい〜!」
「わわっ……」
そのまま抱き上げられて頬ずりをされるなのは。
突然のことにワタワタとしていたらソファの上に連れて行かれて、ヴィヴィオの上に座らされた。
なのはがヴィヴィオを背もたれにするような格好だ。
「えへへー、一度こうしてみたかったんだ。いつもなのはママとかフェイっ――トさんにしてもらってて嬉しいから」
ヴィヴィオは普段通りの呼び名で呼んでしまいそうになり慌てて軌道修正する。
「フェイトちゃん?」
一瞬言葉に詰まったことを不思議に思いながらなのはが問い返すとヴィヴィオはウンウンと頷いた。
フェイトの未来のこと。
もっと聞きたい、という強い感情をなのはは理性を働かせて我慢する。
フェイトが未来でもなのはと仲良くしてくれていて、
娘にも優しくしてくれているのだと分かっただけでも充分だと自分に言い聞かせて。

その大事な友達のフェイト。
ヴィヴィオが帰る少し前から様子が変だった。
どこかそわそわした様子で、なのはと目が合うと顔が真っ赤になって固まる。
「……何かあったの、フェイトちゃん」
「ななっ、なんでもないよっ!」
(どう見てもなんでもなくないんだけど……)
不審に感じるなのはだったが、怒ってたり悲しんでたりするふうには見えないから強くも聞けず、
どうしたものかと考えていると、
「なっ、なのは! 私、頑張るから! 未来でなのはとヴィヴィオが会えるように、頑張る!」
「え……? あ、うん。ありがとう」
一生懸命に言うフェイトに、なのはが戸惑いながらもお礼を言うと、
フェイトは決意を確認するように「うん、頑張るんだ」と呟いていた。
なんだかよく分からなかったなのはだったが、フェイトが嬉しそうに見えたからまあいいのかなと納得しておくことにした。




――その後、事件関係者からは時間移動に関する記憶が消されてしまったため、
なのはの疑問は解けることなく記憶とともに消えていった。
ここで、少し時を戻す。フェイトの態度がおかしくなった原因の時に。


「なのはの娘、か……」
未来から現れたなのはの娘ヴィヴィオ。
その存在を知ったフェイトの胸中は複雑だった。
ヴィヴィオはなのはの子どもらしく、とてもいい子みたいでそのことはいい。
だが、一体誰と結婚して生まれた子なのだろうと考えるとモヤモヤした気持ちが浮かんでくるのだった。
フェイトは頭を振る。考えても仕方がない。
ヴィヴィオはいい子であんなふうに育っているのだからなのはもきっと幸せなのだと。それでいいと。
廊下の角を曲がって見えたのは当のヴィヴィオの背中。
「ヴィヴィオ?」
「あっ、フェイトママ♪」
聞き慣れた声が聞こえて、振り返りながらいつものように名前を呼んだヴィヴィオは、小さな姿のフェイトを見て固まった。
フェイトも固まった。すこしして口だけがゆっくりと動く。
「………まま?」
「――ご、ごめんなさい! 間違えました! フェイトさん!! 失礼します!!」
硬直が解けたヴィヴィオは慌てて言うと脱兎のごとく逃げ出した。
「…………ママ」
一人残されたフェイトは繰り返し呟いて考える。
どういうことだろう。間違えたと言っていた。
だがあれは慣れ親しんだ呼称が思わず口をついて出たという感じだった。
「フェイトママ。……なのはママ」
ヴィヴィオがなのはを呼ぶときの呼称は少なくとも2つある。
ママとなのはママ。ママの前に名前をつけるのは何故だろう。
母親のことは、ママ、母さん等続柄だけで呼ぶことが一般的だ。
わざわざ名前を付けなくても子どもにとって母親は一人しかいないからだ。
ヴィヴィオの場合、名前で識別する必要がある。つまり二人以上母親がいる場合で――
「わ、私もヴィヴィオのママなのかな……」
考えた瞬間にフェイトの顔がボンッと音を立てたように真っ赤になった。
ヴィヴィオがフェイトとなのはの娘。
つまり、それはフェイトとなのはが未来で結婚しているということであって。
フェイトはパニックになった。
「だ、だって、友達だよ!? 女の子同士だよ!?」
友達になれただけでも幸せで、それ以外の関係になることなど考えたこともなかった。
でも……なのはと結婚。なのはとともにいる未来。
少し想像しただけで夢のように幸せだと感じた。
だから、フェイトは決意する。
ヴィヴィオと再び会えるようになのはを守っていこう。
もし、なのはとヴィヴィオが家族になってくれるなら、その時守れるように強くなろうと。
この後、ヴィヴィオに関するフェイトの記憶も消えてしまうが、心の底に残った意思は消えなかった。




「なのはママー!」
「なぁに、ヴィヴィオ?」
未来の時間軸、格闘技の練習から帰ってきた大人モードのヴィヴィオがリビングにいたなのはに声をかけた。
「えへへ、こっちきてこっち」
「?」
自分が座っているソファの隣をポンポンと叩いて呼ぶヴィヴィオの隣に座ろうとするなのはを、
ヴィヴィオは自分の膝の上に乗せた。
「ちょっ、ちょっと!? ヴィヴィオ!」
「あのね、夢のなかでちっちゃい頃のなのはママにこうしてあげたんだ。可愛かったよー」
「へえ〜、そうなんだ。……あれ?」
相槌を打ってからなのはは首を傾げた。
何かが記憶の片隅に引っかかった。そんな光景に覚えがあるような。
だが、思い出す前にフェイトが部屋に入ってきた。
「二人とも何遊んでるの?」
じゃれてるようにしか見えない二人を見て、フェイトが笑いかける。
「なんだか昔の私に会う夢を見たらしくて……ほら、ヴィヴィオ。もう練習も終わったんだから元の姿に戻りなさい」
「は〜い……」
渋々といった感じで返事をすると、ヴィヴィオはなのはを下ろして子どもの姿に戻った。
「ヴィヴィオはこっちにおいで」
フェイトはなのはの隣に腰掛けると自分の膝にヴィヴィオを乗せた。
頭をなでられるとヴィヴィオは子猫のように目を細めてご満悦になる。
「えへへ〜」
「あ、いいなー。ヴィヴィオ」
「えっ、え!?」
羨ましげな声を上げ、身を寄せるなのはに顔を赤くして戸惑うフェイト。
なのはを乗せたほうがいいのだろうか、ヴィヴィオはどうしようかと頭の中がグルグルに。
「あはは、冗談♪」
フェイトの頬をツンとつついてなのはが笑う。
「フェイトママ顔真っ赤ー♪」
「あう……」

互いに愛であう高町一家。
フェイトが過去に想像した形とは少し違っても、間違い無く幸せな家族の風景がここにある。
この大切な家族を守りたいという気持ちがいつ生まれたものか分からなかったけれど、
誓いを胸に、フェイトはなのはとヴィヴィオとともに生きていくのだった。



おわり
2012年11月18日(日) 21:23:02 Modified by sforzato0




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