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5-411

411 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 13:04:28 ID:QGlEIm45
数の子百合書いてると書き込んだ>>304です
まとめwikiの3-826氏のトーレ×セッテで妄想しました。

スカリエッティ家のほのぼのライフ恋愛模様みたいなものです。
生活は普通の女の子っぽいし各人の性格が
掴み切れないところは妄想で補完しています。
パラレルだと思ってください。

非常に長く14回分割です。
今回前半7回、夜に後半7回を投下予定です。

412 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 13:05:29 ID:QGlEIm45
ある日、いつものように稽古をつけてもらっていた。
場所は家から少し離れたところにある森の中。
適度に開けた場所で涼しくてよく使っていた。
脇が甘いとかもっとよく見ろとか言われて
その都度動きを修正しつつ組み手を続けていた。
が、やはり向こうのほうが一枚も二枚も上手で
蹴りの勢いに負けて尻餅を着いてしまった。
すぐに立ち上がろうとした。
でもそれは出来なかった。もつれて倒れたわけでもないのに
相手が上に覆いかぶさってきたからだ。
声を掛けようとしたがそれも出来なかった。
口は塞がれていた。
相手の口によって。
最初、何をされているのか分からなかった。
乾いた唇に何度も吸われ、なすがままになっていると今度は舌が唇を舐め上げた。
舌は唇とは対照的によく濡れていてあっという間に口に入り込み
私の舌は逃げる間もなく絡め取られた。
そして無骨な手や長い指は服を剥ぎ、あますとこなく体を撫でた。
覚えているのはここまで。
まるで風邪を引いて熱が出た時のように体が熱すぎて
苦しかっったので、正直なところ断片的にしか覚えていないのだ。
ただ後は、やはり行き着くところまで行ってしまったんだと思う。
夢だと思った。こんなのあり得ない、と。
でもこれは紛れもない現実で、その日からこの奇妙な関係は始まった。
私たちの、姉妹の枠を超えた歪な関係。


413 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 13:06:13 ID:QGlEIm45
今日もいつものように稽古をつけてもらった。
トーレの稽古は厳しい。
いや、おそらく稽古に限らず姉妹一厳しい。
だがセッテ自身は厳しいとはいえトーレを慕っていた。
ある意味で関係を持ったのはセッテの願望が一部叶ったといえる。

「本日もご指導ありがとうございました。」
「ああ…」

頭を下げる。
いつもならもう少し話すのだが会話が続かず無言の時が過ぎる。

「お疲れでしょう。何か飲み物でも…」
「いや、いい。お前こそよく休め。」
「…はい。では失礼します。また次もよろしくお願いします。」
「ああ…」

再度頭を下げると私は踵を返した。
あれから、稽古の後はたまにそういうことをするという
暗黙の了解のようなものが出来た。
たまに、というのもやるかやらないか、それは全部トーレが決めるからだ。
特に合図があるわけではない。
なんとなく雰囲気を察して後をついていくと行き着くのはトーレの部屋だ。
二回目以降はいつもそこで行われた。
さっきのが所謂「そういう雰囲気」であるが私はあえて気づかないふりをした。
もうここ何回か私は気づかないふりをして部屋に行くのを拒んでいた。
トーレを嫌いになったわけではない。
むしろあんなことをされた後でも変わらずに慕っていた。
いや、慕う気持ちは以前よりも強くなったと言ってもいい。
しかし、今はトーレの近くに寄るには少々躊躇してしまう理由が出来た。
ついこの間生まれたというのに、私はいつの間にか嫉妬という感情を
手に入れていた。

414 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 13:08:19 ID:QGlEIm45
嫉妬。トーレが関係を持っているのは自分だけじゃないかもしれないと思ったからだ。
トーレは厳しい。それをいくらか敬遠する姉妹もいるが同時に尊敬も集めている。
いざという時には文句を言いながらも手を貸してくれる。
そんなトーレを自分と同じような想いを抱きながら見る姉妹がいないとは限らない。
特に自分は個性的な姉妹に比べて目立たない。
いつも大人しすぎる。従順すぎるという評価がついて回る。
私自身、私と一緒にいてもつまらないだろうと思う。
だから思ったのだ。自分以外にもトーレに抱かれている姉妹がいるのではないかと。
生まれたばかりで他の姉妹のことはよく知らない。
特に知りたいとも思わないが今回はそれが裏目に出た。
姉妹の事情に詳しければここまで悩む必要もなかったのに。
かといって詳しそうな年長の姉妹に聞くのも気が引ける。
まさに八方塞がりだ。
やはり、諦めるしかないのだろう。
自室に戻って楽な格好に着替えると幾分気持ちも落ち着いた。
そしてまた考える。
他の姉妹にきっと私は敵わない。
それが一番いい。
そうすれば嫉妬も何もない。
一度こうと決めてしまうと不思議と楽になれた。
しばらく自室でじっとしていたがこれ以上いるのも退屈で
外の空気でも吸おうかと思い扉を開けた。

「え?」
「…」

そこにはトーレが立っていた。
表情は怒っているように見えたが、なんとなく悲しんでいるように見えたのは
気のせいだろうか。
何も言わずにぐいっと片手を掴まれとそのまま引っ張られていく。
振り払えなくてついていくと、やはりそこはトーレの部屋だった。
乱暴にベッドに突き飛ばされると扉が閉まって廊下が見えなくなった。

419 名前:304 1/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:03:31 ID:QGlEIm45
ぴちゃぴちゃ、と音がする。
トーレがセッテの股の間に顔を埋めていた。
セッテはベッドから足だけ投げ出し、それをトーレは床に跪き肩にかけつつ
もう三十分近く同じところを舐めている。
少しも休まず、息も上がっておらず大変精力的だ。
私はというと軽く息が上がっているが意識を飛ばすほどでもない。
じわじわと腹に溜まる、終わりの見えない快楽。
そんな中で私は天井を見上げつつ安堵していた。
つい先ほど決めたばかりの決意というのは自分でも思う以上に
強固なものだったようだ。
こうして久しぶりにトーレに抱かれていても何も湧き上がってこない。
よかった。ちゃんと諦められたようだ。
トーレにして見れば自分はあくまでそういう相手の一人。
嫌いになって突き放すこともできないなら
このまま中途半端なぬるま湯に浸った関係を続けるしかない。
たまに小さく喘ぐ自分の声が聞こえる。
そうだ、自分に求められているのはこういうことだ。
平時と変わらず黙って従っていればいい。
自分の取り柄は従順さだ。
トーレがいつか自分に飽きるまではこういう相手をして、
飽きられたら妹に戻ればいいだけだ。
そう、自分に求められるのはそれだけ。
それだけだ…

「なぜだ…」
「え?」

気がつけばトーレが目の前に仁王立ちしこちらを見下ろしていた。
その目つきは今まで見たこともないほど険しい。

420 名前:304 2/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:05:09 ID:QGlEIm45
「トーレ姉さま?」
「だめなのか…」
「え?」
「私ではだめなのか!なぜそんな顔をするんだ!そんな目で私を見るな!」
「姉さま、落ち着いてください…」
「やはりだめなのか…私ではお前に相応しく…」

激昂して怒鳴りつけたかと思えば今度はよく聞こえないがぼそぼそした声で
なにか言っている。
がっくりと頭を垂れている姿は別人のようだ。
こんなトーレは初めてだった。

「あんな形で始めたからか?だから、だから…」

力が上手く入らないがのろのろと体を起こす。
少し長めの前髪が目元を隠しているせいで表情が分からない。
自分が何かしたのだろうか。
従順にしていたし、何も言わなかった。不満なんて諦めたからもうない。
でもどこかでトーレの癇に障ったのかもしれない。

「姉さま…私なにか粗相を…」
「お前のせいじゃない。」
「…」
「お前のせいじゃないんだ。すまん、今日はもう…」

それ以上は言葉にならないのか、黙ってしまった。
ベッドの端に捨てられていた下着を取るとそっと履く。
脱がされたのは下着一枚だけでブラウスもスカートもそのままだった。
衣服を整えてもトーレは顔を上げなかった。
何と言っていいか分からなくて、結局何も言わずに部屋を出た。

421 名前:304 3/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:06:30 ID:QGlEIm45
いつもなら最低でも一時間はいるのに
トーレの部屋をこんなに早く出たのは初めてだった。
自室に戻る気にはなれなくて、家の裏側に座ってぼんやりしていると
誰かが横に立った。

「どうしたんだね、セッテ。」
「ドクター…。」

白衣の男。
ジェイル・スカリエッティ。
自分達の父。科学者として誇りを持っているのか姉妹には
「ドクター」と呼ばせている。

「ずいぶんと落ち込んでいるじゃないか。
 トーレのことかい?」
「え、いえ…」
「隠さなくてもいい。
 きみがいつもトーレを見ていたのはよく知っているよ。」

口調はいかにも心配気だがにこやかに切り込んでくる。
そうだ、ドクターはこういう人だ。
隠しても意味はない。

「ドクターは…トーレ姉さまのことをどうお考えですか?」
「真面目で実直、自他共に厳しい。一言で言えば堅物かな。」
「はい。」
「後は、そうだな。一途だね。」
「一途…ドクターにですね。」
「何を言ってるんだい、トーレは「きみに」一途だよ。」
「え?トーレ姉さまのような方が私だけなはずが…」
「ん?」

422 名前:304 4/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:08:40 ID:QGlEIm45
そちらこそ何を言ってるのか分からない。
微妙に話しが噛みあっていないことにあちらも気付いたらしい。
おもむろに口を開く。

「…私だけなはずがないと言いたいのかい?
 まさかとは思うがセッテ。
 トーレには他にも恋人がいると思ってないかい?」
「そうですが…」
「そうかい、そうかい、それで…ぷっ、くく」

何故か顔を俯かせると肩をぷるぷると震わせ始める。
真面目な話をしているのになぜ笑っていられるのだろう。
ドクターの思考回路は大丈夫だろうか。

「ドクター、大丈夫ですか…?」

頭が、という意味で言ったのだがドクターは純粋に心配されたと思ったらしい。
まだ笑いが引かないらしいが顔の前で手を振って大丈夫だとアピールする。

「いやいや、心配ご無用。しかし、まあ、天然というのは恐ろしいね。」
「はぁ…?」
「ふむ、少々純粋に育ちすぎたか。」
「…純粋なんかじゃありません。汚いです。」
「ほう、なぜだい?」
「ドクターの言うとおり、トーレ姉さまにはもっと相手がいると思ってます。
 私はその誰か分からない姉妹に嫉妬しました。」
「セッテ。きみはまだ生まれたばかりで分からないかもしれないが
 嫉妬することは決して悪いことではないんだよ。」
「そうなんですか?」
「そうとも。自分だけを愛してほしい、認めてほしい、受け入れてほしい、
 他者に触れないでほしい、これは独占欲にも通じるが
 そう思うことのどこがいけない?」

423 名前:304 5/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:10:43 ID:QGlEIm45
実に不思議そうにドクターが言う。
でも本やテレビでは嫉妬はあまりいい扱いはされていない。
実際私も持ってみて分かったが、これはあまり持ちたくなかった。

「しかし嫉妬は一般的に醜い感情とされていますし…」
「そういう感情は人を狂わせるのさ。
 時に世も果てもなく泣き叫び、人を殺すほど強い感情だ。
 それでも私は人には必要不可欠な感情だと思うがね。」
「…よく分かりません。」
「今は分からなくてもいつか分かる日が来るよ。」

ドクターの言うことは難しい。分からないことばかりだ。
まだ生まれたばかりだから、いつか分かるとそればかり言われる。
醜いと思っていたのに、持ってもいいものだなんて…少しだけ楽になったような気がする。

「たくさん悩んで苦しかっただろう。
 はっきり言えば何も言わずに手を出したトーレが悪いね。
 まあ、それだけ焦っていたんだろうが…言葉足らずにも過ぎるかな。」
「焦る?」

意味が分からず私が聞くとにやりと笑った。
やっぱりドクターの思考回路はおかしい。

「セッテはトーレを誰にも取られたくない。
 自分だけを見てほしいと思っているんだろう?」
「はい。」
「もしトーレもそう思っていたら…分からなくもないだろう?」
「まさか…」

トーレも同じ気持ちを持っている?
だから我慢できずにあんな行動に出た?
まさか、そんなはずはない。俄かには信じがたかった。

424 名前:304 6/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:13:08 ID:QGlEIm45
「信じられないかい?」
「…はい。」
「確かめる方法は一つだね。」
「…そうですね。」

それは分かってる。
直接聞くしかない。
確かめなくては。今までにないほど強くそう思った。

「さっきも言ったが今回はトーレが圧倒的に悪いよ。
 言いたいことはそれが端から聞けばどんなにひどい言葉でも
 きみには言う権利がある。
 だからきみが納得行くまで話し合いでも殺し合いでも
 何でもしなさい。妥協してはだめだよ。
 いいね?」
「…はい。」

ドクターが上体を屈めると手をかざしふっと私の目を塞いだ。
思わず目を閉じると完全に真っ暗になる。

「ドクター?」
「例えどんな結末になろうとも、それを受け入れなければならない。
 このことはきみが今後どう生きていくかに関わる大きな問題だ。
 自分がどうしたいのか、よく考えてから行きなさい。」
「…私は」

もし同じ気持ちだったら、いつだったか興味もなく流し見た映画のように
死が二人を別つときまで一緒だ。
もし違う気持ちだったら、きっともう二人の道は交わらない。
私が希望するのはもちろん前者だ。
でもドクターが言うように後者も受け入れる覚悟が必要だ。
私はそれでも生きていける?

425 名前:304 7/7[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 14:15:44 ID:QGlEIm45
「トーレ姉さまと一緒にいたいです。でも気持ちが違っても
 仕方がないと思います。ドクターがどんなに言ってくださっても
 確信は持てませんでした。ごめんなさい、ドクター。」
「構わないよ。ではどうする?」
「例え気持ちが違っても今なら本当に受け入れられると思います。
 時間は掛かるかもしれませんが…それで姉さまと二度と会えなくなっても構いません。
 それでも私は生きていけます。」
「なぜ、生きていけるんだい?」

なぜ?多分それはこの気持ちを消せないから。

「姉さまの気持ちがなくても自分の気持ちがあれば生きていけます。
 トーレ姉さまが好きな気持ちは醜いものもたくさんありますが
 綺麗なものをたくさん持てるよう努力します。
 つらいかもしれませんが、それでいいです。
 醜いものを持ってもいいなら、そうして生きていきます。」
「トーレを想って生きていくのか。
 結局きみはどんなになってもトーレが好きなんだね…」
「はい。嫌いには…なれません。」
「無理に嫌いになる必要はないさ。
 生きていれば一度や二度、好意があっても嫌になるものだよ。」

手が外される。しばらく目を瞑っていたせいで光が普段よりも眩しい。

「行っておいで、トーレはいつもの稽古場にいるよ。」
「ドクター…ありがとうございます。」

小走りに駆けるセッテの姿がどんどん小さくなっていく。
スカリエッティは静かにそれを見送った。

「健気に、どうあっても一途に想うか。
 セッテは決めたよ。トーレはどうするかな…。」

456 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:07:51 ID:QGlEIm45
稽古場から何か音がする。それは近づく度に大きくなり、稽古場には予想通りの光景があった。
拳を叩き込む。蹴りは体重を乗せ、振り抜く。装備も着けずただひたすらに木に向かって。
拳から血が幾筋も流れ、肩で息をして消耗しているはずなのに止める気配はなかった。

「トーレ姉さま…」
「セッテ!?なぜ…」

見ていられなくて声を掛けるとぎょっとする。
どうやら私に気付いていなかったようだ。こんなこと普段ならあり得ない。

「装備も着けずにこんな…」
「そうか、決めたんだな…」

低く唸るように呟く。私の考えていることはお見通しということだろうか。

「お話があって参りました。聞いていただけますか?」
「聞かなくても分かる。」
「え?それは…」
「あんなことをしたんだ。嫌われて当然だ。
 何でもいい。お前の好きなようにしてくれ。」
「姉さま?」
「どんなに謝っても足りないが謝る。
 本当にすまなかった。」

そう言うとトーレは頭を深く下げたまま動かない。

「私が憎いだろう。お前は大人しいからずっと言いたいことも
 言えずにさらに苦しめた。」
「姉さま、違うんです。私の言うこと聞いてください。」
「いくらでも聞くさ。お前が死ねと言えば死ぬ。」
「じゃあ私がトーレ姉さまが好きと言ったらどうするんですか?」
「…なに?」

457 名前:304 2/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:12:39 ID:QGlEIm45
やっと顔を上げてくれた。トーレは困惑した表情をしている。
こんな表情も初めて見る。

「そのままの意味で受け取ってくださって構いません。
 いえ、そうでないと困ります。私は姉さまが好きです。」
「お前…もしかして何をされたか分かってないのか?
 いいか?私はな、お前の意志を無視して無理矢理…」
「分かってます。何をされたか、ちゃんと分かってます。
 だからこそ聞きたいんです。姉さまはなぜ私にそんなことをしたんですか?」
「それは…」
「私が嫌いだから辱めるためですか?誰でもいいから体がほしかったんですか?」
「違う!私は、私は…!」

私の質問に激しく反応する。落ち着かせるためそっと語りかける。

「姉さまに嫌われているならそれでもいいんです。
 お願いです。どんな答えでも構いません。教えてください。」

しばし時間が流れる。でも真実を知るためには必要な時間だ。
トーレはぐっと歯を食い縛った後声を絞り出した。

「私も…お前のことを想っていた。
 ずっと前から…だから、そういうことを、した。」
「やっと、言ってくださいましたね。」
「さっきのあれは、嘘だろう?お前はどこまで優しい…
 いや、あれがお前なりの復讐なのか?」
「嘘も復讐もありません。お願いですから私の言うこと信じてください。」
「信じられん…そんな馬鹿なことが」
「今度は馬鹿ときましたか。私も姉さまが前から好きでした。
 だからああいう形でも嬉しかったんです。
 でも、姉さまには何も言ってくださらないし、きっとそういうことをする
 相手の一人だと思っていました。」

458 名前:304 3/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:13:59 ID:QGlEIm45
そこまで言うとさらにトーレの困惑が深くなる。
眉間に皺を寄せる。

「相手の一人?」
「私は生まれたばかりでよく分かりませんが、姉さまは他の姉妹にも
 こういうことをされているのではないかと…」
「あるわけないだろう…!」
「そうなんですか?じゃあドクターの言ったとおりだったんですね…。」
「…なぜそこでドクターが出てくる。」
「ドクターが悩んでる私に教えてくれたんです。
 『トーレはきみに一途だよ』、と。」
「そうか…。ドクターが…。」

前に見た、怒ったような悲しそうな顔。
でもそこには少しだけ感謝も見えた気がした。

「…恋愛など下らないと思っていた。興味もないし
 私には一生縁のないものだと思っていた。しかし…お前を一目見た時から…」
「それって…もしかして一目惚れですか?」

そこまで言うと口を「へ」の字に曲げてそっぽを向いてしまった。
対して私はぽかんと口を「○」のように開けた。

459 名前:304 4/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:15:21 ID:QGlEIm45
「…本当ですか?」
「嘘を言っても仕方がないだろう。他にも色々あるが…」
「言ってください。」
「…やはり無理だ。これ以上言わせるな。」
「そうですか…。」

少し残念だがちゃんと本音も聞けたし目的は達成された。
それに、今はいい。

「いつか」
「…」
「いつか教えてくださいますか?」
「…ああ。」
「ならいいです。
 教えてくださるまで待っていますから。」
「…ああ。」

ずっと一緒にいればいつか教えてくれるだろう。
それなら、それでいい。

460 名前:304 5/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:16:54 ID:QGlEIm45
「お帰り、ウーノ。」
「ただいま戻りました。」
「聞いてくれたまえ、トーレとセッテ。中々面白いことになったよ。」
「大体の想像はつきますが、ようやく決着がついたんですか?」
「決着、そう決着だね。セッテときたらトーレには他にも
 何人も相手がいると思っていたよ。」
「あら、トーレにはそんなこと無理だと思いますけど。
 一途な子ですよ。」
「だろう?セッテは大人しすぎると思っていたんだが
 思わぬことを起こしてくれたよ。
 きっとこれからも気付かずにトーレを振り回すんだろうね。」
「珍しいですわね。トーレが振り回されるなんて。」
「ふふふ、いや全くみんな私の予想をいい意味で裏切ってくれるんだ。
 嬉しいよ。」
「ドクター、二人が可愛いからといってあまりからかっては
 いけませんよ。」
「分かっているよ。ふふふふ…」

461 名前:304 6/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:20:04 ID:QGlEIm45
セイン→チンク→ノーヴェ→ウェンディで大富豪
「ダイヤの4。それにしても恋は盲目とはよく言ったもんだよね。」
「5。そうだな、まぁ収まるところに収まってよかった。次、ダイヤの6は?」
「ない。いきなり階段縛りかよ…。パス。」
「はいはい、あるよ。ハラハラさせてくれちゃってねー、もう。あ、ごめん。7もあるや。」
「じゃあ流すっす。でもセッテも鈍いっす。」
「じゃあ11。お互いさまじゃない?」
「11か…じゃあ10。トーレも相当鈍いからな。」
「イレブンバックかよ…(11が出たら10以下のカードを出す。)パス。」
「あ、9あったっす。セッテの目は前から恋する乙女の目だったっす。」
「8で流して…ほい。どう見ても相思相愛なのにね。」
「また11か。近寄りすぎて見えなくなったんじゃないのか…10。」
「セイン、てめぇまたイレブンバック…パス!」
「9。クローバーで縛りっす。そういうもんっすか。
 さて、8は誰が…ノーヴェっすか?」
「セインちゃんが持ってるんだな、これが。また流して…5。でもあのお堅いトーレ姉がね…」
「うむ。…8で流すぞ。12。」
「13!」
「それが一番ビビったっす。やっぱ恋は人を変えるっすね。あーパスっす。」
「姉もパスだ。」
「よっしゃ!じゃあ」
「こらこら、お姉ちゃん無視しないでよ。ほい、ジョーカー。」
「!!スペードの3誰だよ!」
「セインちゃんでーす♪」

ニヤニヤしながらチョキの形をした二本の指をくっつけたり離したりする。
そこはかとなくむかつく仕草だ。ぶちぶちとノーヴェの血管が千切れ飛ぶ。

「てんめぇ…IS発動!」
「うおお!?ISはちょっと待ったあ!」
「うわ、ノーヴェ、危ない!危ないっす!」
「ノーヴェ止めろ!家が壊れるぞ!」

462 名前:304 7/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:22:08 ID:QGlEIm45
なにやら家のほうから賑やかな――どちらかというと騒がしい――音がする。
派手に遊んでいるのだろうか。

「ここまで聞こえるとは、まったく…。騒がしいにも程があるぞ。」

憮然とした顔で呟く。これは帰ったらお仕置きだろう。

「どうした。」
「いえ、同じことを考えていました。」
「そうか。」

それっきり会話が続かない。
かといって「そういう雰囲気」でもない。
今までにない不思議な間に密かに戸惑っていると
まだ憮然としたままの顔でトーレが呟く。

「…行きたかったら行っていいんだぞ。」
「はい?」
「私はあまり遊んでやれん。ああいうことはよく分からん。」
「ええ、知ってます。」
「だがあいつらならよく知ってるだろう。
 私のことは気にしなくていい。」
「…トーレ姉さまは何かご予定でも?」
「別にない。怪我もあるし部屋に帰って少し休む程度だ。」

特に他の姉妹たちと遊ぼうという気はなかった。
誘われれば輪に入るかもしれないが自分から入ろうとは思わない。
何より今は自分から入り込みたいものが目の前にあるのだ。

「そうですか。あの、もしよろしければ…」
「なんだ。」
「あの…」

463 名前:304 8/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:23:57 ID:QGlEIm45
一言、怪我が心配だから部屋に行ってもいいですかと言えばいいのに
いざとなると出てこない。私も意気地がない。

「すみません。何でもないです。」
「あいつらのところに行かないのか。」
「え?…ええ、私も少し休もうかと思って…」
「…じゃあ来るか?」
「え?」
「私の部屋に来るか?」

予想外の質問に返答に詰まる。
まさか向こうから誘ってもらえるとは思わなかった。嬉しくて声が出ない。
しかしトーレは別の意味だと思ったらしい。
はっとしたかのように口を開く。

「そういう意味で言ってるんじゃない。ただ普通に休むだけだ。
 たまたま同じ目的なら一人も二人も変わらんと言いたいだけで…」
「はい…。」
「確かに少し寝ようとは思ったが、そういうつもりで言ったわけではなくてだな。」
「はい。」
「…そんな目で見るな。」
「そう言われるのは二回目ですね。」
「からかうな。」
「すみません。」

悪びれずに言うとむっとした顔で行くぞ、と呟いてトーレは背を向けた。
慌ててついていくとちら、と見るだけでそれ以上こちらを見てくれなかった。
そうしたら無性に振り向かせたくなった。
なぜだろう。感情というのは本当に分からないことばかりだ。
でも今はそれを素直に受け入れたい。
なんだか楽しい気分だった。
それにしても、何と言えばいいだろうか。

464 名前:304 9/9[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:26:06 ID:QGlEIm45
…そういえば一つ、あの時言い忘れていたことがあった。
この人はどんな反応をするだろうか。

「姉さま、私…」

確かにあなたを知るうちにもっともっと好きになっていったけど、
私も実は一目惚れだったんですよ。

あなたは振り向いてくれますか?


465 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:29:25 ID:QGlEIm45
以上です。
ありがとうございました。

468 名前:304[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 22:54:03 ID:QGlEIm45
ありがとうございます
また妄想が湧いてきたら投下しますんでお願いします
もっと他のナンバーズも書けたらいいなあ
2007年10月18日(木) 20:18:47 Modified by nanohayuri




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