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Hello, Again 22



353 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 22:56:56 ID:E53JJvw9





天国の母さん

今あなたの側に私の姿は一緒に居ますか?


母さん

例えそこに居るのが私と同じ姿をした別の子だとしても

私はあなたのことをずっと愛しています


母さん

私、大切な人がいます

その人のこと、誰よりも好きです

あなたへの気持ちが変わらないのと同じように

その人への愛は永遠に変わりません


例え何度人生をやり直しても

その人に出逢いたい

何度でも

出逢いたい――









354 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 22:59:12 ID:E53JJvw9


*  *  *



ハンドルを握る自らの手。
ほんの数時間前からその薬指を飾る細い銀の輝き。
信号待ちになる度にそれを眺めていると、助手席のフェイトが言った。

「夕日、綺麗だね」

同じ輝きを見せるフェイトの手が、顔に触れるオレンジの光を眩しそうに遮っている。
「んーでもこんなに遅くなるとは……」
「そうだね……」
「フェイトちゃんのせいだよー、寄り道したいって言ったのフェイトちゃんなんだから」
「だってせっかく早く帰れたんだし……もう少し二人きりがいいなって……」
「……う、うん……」
車に乗る前から既に早まっていたなのはの鼓動は、運転速度とは反対にますます加速していく。
一方のフェイトは夕日を見つめながら随分落ち着いた様子。
「あ、向こうにカモメがいた」
そう言って窓の外を指差すフェイト。
なんだかんだ言っても彼女は自分と比べればまだ子どもだけれど、そんなところも愛しい。
こうして想いを繋げてくれた指輪も、今はまだ買った当時と同じ意味は持っていないのかもしれない。
けれどそれでいい。
いつか同じ意味を持つに決まっているから。
そんなことを思っているとフェイトがふいに語り始めた。
「なのは、聞いてくれる?」
「うん?」
「私ね、色んなことを知った今でも、やっぱり過去のこと思い出せないんだ」
最近は話さなくなっていたその話題。
なのははフロントガラスの向こうに視線を固定したままそれを聞いた。
「局の人たちや施設の子どもたちに、フェイトさんは前はこうだった、って言われたりすると、
時々困ることもある。申し訳なく思ったり、色々考える」
「うん……」





355 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:00:31 ID:E53JJvw9


「だけどね、今の自分が見てきたことはちゃんと覚えてるんだよ。
知らない船の中で目が覚めて、なのはが死ぬほど心配そうな顔で私を見ていたことも、
私が寂しいときはいつだってなのはが抱きしめてくれたことも、全部ちゃんと覚えてる」
「……フェイトちゃん……」
「手を握って眠ってくれたこと、君を傷つけてしまったこと、君が笑ってくれたこと、
今日までのこと、悲しかったことも嬉しかったことも、全部……」
フェイトは窓から視線を戻すと、穏やかに微笑むなのはの横顔を見つめた。
そして。

「……それから初めて一緒に見た映画のことも」

耳元で囁かれたと気づき、なのはは驚いてフェイトの方を向いた。
「えっ?初めて見た映画ってな――」



「ん」



ほんの一瞬のことだった。
赤くなったフェイトの顔がゆっくり離れていき、それからこう言った。

「なのは、私もう子どもじゃないよ……こ、恋人ならこういうことするんだよ……?」






キキィーーーッ

ガシャン!





356 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:00:48 ID:LNqfagAg

なんという焦らしの達人…はよはよう!



357 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:03:07 ID:E53JJvw9


*  *  *



「おかえりなさい、なのはママ、フェイトちゃん」

「ただいまー」
「ただいま、ヴィヴィオ」

「今日遅かったね?もうとっくにアイナさん帰っちゃったよ」

「う、うん、ちょっとね、軽く事故があって……」
「あの、車がちょっとヘコんだけど被害者はいないし、大丈夫だよ全然」

「え!?ママ、新車ヘコませちゃったの!?」

「私のせいじゃなくてフェイトちゃんのせいだよ……」
「えっ」
「私免許取りたてなんだよ?急にあんなことしたら危ないに決まってるじゃない」
「だって!なのはが五年も何もしてこな――はっ、いや、何でもない……」

「……変な二人……ママもフェイトちゃんも顔赤いよ……?」

「そ、そう……?」
「えっと、あはは……」

「……フェイトちゃん早く免許取り直してね」

「ヴィヴィオそれどういう意味なの……」
「え、あ、ヴィヴィオ、それよりほら、なんかいい匂いがするね?」

「あぁ!!今オーブンにケーキ入れっぱなしなんだった!
そろそろ出さないと焦げちゃう!二人とも、私先行ってるね!」


パタパタと音を立てて奥に向うその後ろ姿を見送ると、
後に取り残された二人は顔を見合わせて微笑み合った。





358 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:07:27 ID:E53JJvw9


「……そっかぁ、もうヴィヴィオ一人で色々作れるようになったんだね」
「チョコのかな?楽しみだなぁ」
「えー?それはないと思うなぁ。この間、翠屋に帰ったとき飽きるほど食べさせられたじゃないの」
「ふふ、そうだった。あのときのお父さん嬉しそうだったね」
「……それは多分……フェイトちゃんがそういう呼び方をするから……」
「え?何?」
小首を傾げるフェイトになのははただクスリと笑った。
「ん、何でも。またそのうちね」
「そう?」
フェイトは困ったように頬を掻くと、まぁいいや、と微笑して部屋履きに足を入れた。
それからなのはが同じように履き終えるのを待って言う。
「何のケーキが出来たのか、早く見に行こうよ」
そしてフェイトはなのはの手を握り、歩き始めた。
フェイトが触れるなのはの指には銀のそれが誇らしく光っている。
こうしていれば短い廊下を進む間さえ、こんなにもなのはは幸せを感じる。
だけど廊下を抜けた先も、明日も、ずっと未来もそう感じていたい。

――それはきっと叶うはずだよね?

「ね、フェイトちゃん」
なのはがグイとその手を引き寄せたので、フェイトは立ち止まった。
「一つ聞いてもいい?」
「何?」
「……もし……」
「……うん?」
振り返ったフェイトの瞳を見つめ、なのはは言った。

「もし私の記憶がなくなったら――フェイトちゃんのこと知らない私に出会ったら……
そしたら……フェイトちゃんはどうする?」

フェイトは何でもないことのように微笑んでこう答えた。


「そしたら名前を言うよ。なのはがまた私の名前を呼んでくれるように」





359 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:09:38 ID:E53JJvw9


――ほら、やっぱり

――それなら……

――私たち、いつまでも幸せでいられるね


「フェイトちゃん……ありがとう」
「え、お礼なら私が言うべきなんじゃないのかな……」
「いいの。お礼より……今はギュッてしたいな」
「……だめ」
「えーなんで」
「私がギュッてするの」
「……もう、それなら両方が一緒にすればいいだけじゃない」
「そっか、じゃあ――」


「フェイトちゃーん、まだぁー?ママも早く来ないと先に食べちゃうよー?」


「あ、はーい!」
「ごめん、もう行くよー」





「ふふ、それじゃあ行こっか、なのは」






「うん!私のフェイトちゃん――」










360 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:10:45 ID:E53JJvw9




フェイトの記憶が戻ることはなかった。

三人はそれで幸せだった。

とても幸せだった。


















目が覚めたとき、もしあなたが私を知らなくても

例えあなたが私を忘れても

悲しまないで

私たちの全ては何度だって始められる

だから私は何度でも言うよ

何度でも


何度でも……








『こんにちは』


『はじめまして』


『私高町なのは。なのはだよ』






361 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/13(土) 23:11:48 ID:E53JJvw9



*  *  *  *  *

― Hello, Again ― 後編

END
2009年08月30日(日) 17:48:43 Modified by coyote2000




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