ウォレンとクリス♀

ウォレンとクリス♀1

　クリス「あ、ウォレン。どこへ行ってたの？
　　　　　しばらく姿が
　　　　　見えなかったみたいだけど…」
ウォレン「森へ。」
　クリス「森？」
ウォレン「猟師だからな。」
（ウォレン消える）
　クリス「え？
　　　　　ちょ、ちょっと待って。」
（ウォレン現れる）
ウォレン「…ああ、すまん。
　　　　　まだ話の途中だったか…」
　クリス「良かった、
　　　　　嫌われたと思ったわ。」
ウォレン「いや、そうじゃねえ。
　　　　　ただおれは、一人が多い。
　　　　　話すことが得意じゃなくてな…」
　クリス「そうだったの。
　　　　　でも、あなたはカチュア殿と
　　　　　知り合いだと聞いたけれど？」
ウォレン「ああ…昔、
　　　　　遭難してたカチュアの
　　　　　天馬の手当をした。」
　クリス「そう、それでカチュア殿と…」
（ウォレン消える）
　クリス「カチュア殿が言ってたわ。
　　　　　あなたはぶっきらぼうだけど
　　　　　優しいところが…」
　クリス「って、あれ？
　　　　　もういなくなってる…」
　クリス「やっぱり、
　　　　　私、嫌われてる…？」

ウォレンとクリス♀2

　クリス「あ、ウォレン。」
ウォレン「ああ、あんたか。」
　クリス「前みたいにまたお話しても良い？
　　　　　私、あなたのことが知りたいの。
　　　　　共に戦う仲間だから。」
ウォレン「……ああ、構わねえさ。」
　クリス「ウォレンは猟師なのよね、
　　　　　猟師の暮らしってどんな風なの？
　　　　　私も田舎の出だけど、
　　　　　祖父と二人で
　　　　　訓練ばかりしてたから…」
ウォレン「……」
　クリス「も、もしかして
　　　　　私と話すのいや？」
ウォレン「いや、そうじゃねえ。
　　　　　誤解させてすまん。
　　　　　ただ、
　　　　　話すことに慣れてなくてな。
　　　　　何から話すのが良いか…」
　クリス「例えば、猟は一人でするの？」
ウォレン「ああ、いつも一人だ。
　　　　　森で小さな獲物を取ったり、
　　　　　時には大きな獲物を求めて
　　　　　雪山に入ることもある…
　　　　　吹雪になれば、穴を掘って
　　　　　雪が止むまでその中で待つ。
　　　　　何日もな…」
　クリス「その間は、何をして過ごすの？」
ウォレン「何もしねえ。
　　　　　ただじっと待つだけだ。」
　クリス「何日も一人でじっと…？
　　　　　私だったらとても
　　　　　我慢できそうにないわ。」
ウォレン「おれは一人に慣れてるからな。
　　　　　普段の暮らしも似たようなもんだ。」
　クリス「家族はいないの？」
ウォレン「いねえな。森で一人暮らしだ。
　　　　　猟で必要な獲物を取って、
　　　　　あとは森の小屋で暮らしている。
　　　　　用がない限り…
　　　　　何年も誰とも会うことはねえ。」
　クリス「でも、寂しくない？」
ウォレン「カチュアにも昔そう聞かれたが…
　　　　　俺には寂しさ、
　　　　　ってものがよくわからねえ。
　　　　　おれは物心つく頃から一人だ。
　　　　　一人が当たり前だった。
　　　　　だから、何も感じたことはねえな。」
　クリス「そう…」
ウォレン「もし、世界からおれ以外の人間が
　　　　　いなくなったとしても…
　　　　　おれは何も変わらないだろう。
　　　　　反対に、世界からおれが
　　　　　いなくなったとしても…
　　　　　世界は何も変わらないだろう。」
　クリス「それは違うわ、ウォレン。
　　　　　あなたと私は仲間よ。
　　　　　あなたがもしいなくなったら、
　　　　　私は悲しい。」
ウォレン「……」
　クリス「だから、
　　　　　急にいなくなったり
　　　　　しないでね？」
ウォレン「…大丈夫だ。
　　　　　そのつもりはねえよ。」