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第八十一景 虎口前(こぐちまえ)

あらすじ

駿府城内を歩く一団がいる。この日、駿河大納言は酒気を帯び、童のごとく口元を緩め、眼差しは虚空の一点を見据えるという、ただならぬ仕上がりであった。
城内では、まだ剣士控えの庭に入らぬ清玄といくが、舞っている。
一方、源之助はすでに準備を終え、椅子に座りながら竹筒の水を飲んでいた。その時、源之助はあの舟木兄弟と対決した帰り道のことを思い出した。真剣試合前の研ぎすまされた感性のゆえか、突如宿敵の本質を見抜いた。伊良子清玄は、他者に命じられて殺めるという行為に吐き気を催したのだ、と。何者にも操られに宿敵の自我を、源之助は誇らしくさえ思えた。突如目の前に浮かぶ牛股と涼之介。まずは清玄の下段をはね上がらせるべしと助言をした。それに対し源之助は、力強く心得ましてござると心の中で告げた。合戦における激戦区を虎口前と呼ぶが、虎眼流にとっては、そこが住処である。
虎口前の恐怖に怯えていたのはむしろ、忠長に招かれた大名家の重鎮らであった。これは法に触れる催しではないかと、不安げになる一同。あの鳥居成次が懇願した、駿府城の庭先を血で汚すことは、御公儀への叛意と受け取られる危険があるとの一言が、今現実になろうとしている。
忠長の入室を告げる陣太鼓が響くと、藩士たちの表情が、人形のごとく消失した。
再び源之助控える西方の庭。虎殺七丁念仏を渡す三重は、その源之助の顔に正中線の切り口を見た。その三重の反応に、源之助はどうなされたと心配するが、返事は勝利の姿が見えたとの意外な答えだった。そしてついに出番との声がかかる。手首に盃を乗せ、酒を注ぐ。何処へも行き申さぬと一言いい、乙女の不安を飲み干すかのように、剣士は盃を空にした。西方藤木源之助と剣士呼び出しの声と太鼓が鳴り響く中、源之助は勢い良く広場に向かう。一歩一歩力強く進む源之助。隻腕の剣士に浴びせられる陪観者たちの視線。不足している者、劣る者、誰もが自分をそのような目で見ている。それは幼少時、両親が源之助に注いだ視線と同じもの。しかしそれこそが、事に望んで躊躇なく、他者の生命を切断する闘技者としての「鬼」を育んできたのだ。
東方伊良子清玄。こちらの異様な剣士の姿にも驚く陪観者たち。
源之助はまだ宿敵を見ようとはしなかった。足を引きずる音はさらなく剣技の深化を予感させた。何かがあふれそうで、何かがちぎれそうな思いが張りつめていく。ただならぬ仕上がりの大納言は、この両名に何を見たか。行司役が、両名とも心置きなく、御殿のため存分に剣技を尽くされよと挨拶をし、一礼をする。

そして、ついに源之助は清玄を見た。

何事も 皆偽りの世の中に 死ぬるばかりぞ 誠なりける
登場人物
徳川忠長三枝高昌伊良子清玄いく藤木源之助岩本三重舟木数馬(デスマスク)、舟木兵馬(デスマスク)、
牛股権左衛門(幻)、近藤涼之介(幻)、鳥居成次(回想)、加藤忠広むぎ(回想)、孫兵衛(回想)、
朝倉宣正渡辺監物広瀬京平(声のみ)、ほか忠長従者、大名家重鎮
舞台
駿府城(剣士控えの庭、南広場)
道具
扇子、三味線、水筒、盃、陣太鼓、虎殺七丁念仏、一
主要単語
虎口前、公方様、公儀
詳細
第一景 駿府城御前試合でおかしかった、三重が渡した刀の向きが修正されている。すべてのコマで曲線内側が源之助に。
・30ページの3コマ目で、源之助の左手が生えている。作画ミス

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2010年6月号
単行本15巻
34ページ119コマ文字

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最終15巻

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