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第三十景 流れ星 (ながれぼし)

あらすじ

虎眼流秘剣流れ星、何人もこの魔技から逃れることは出来ない。いくと清玄は流れ星の及ぼす死の間合いの中に位置し、瞬時に首をはねられる運命にあった。魔神の脳裏に浮かぶは鮮明なる勝利の幻。

話し戻って、清玄仕置追放より十一ヶ月、その日源之助は虎眼の失禁を掃除していた。その時甲高い音が響き、虎眼が曖昧のまま源之助に徳利を渡した。その徳利は側面に穴が空き、使い物にならないものだった。それを手にした時、源之助の背中がじわりと濡れた。顔面蒼白の同門の士に山崎が話しかけたが、幽鬼の如く素通りし穴の空いた徳利を林の中に埋めてしまった。これは奥技にかかわるもの、剣士の本能がそう告げていた。
夜半は移動へ忍び入った源之助は、宿場で拾い集めた徳利を並べた。虎眼より預かった徳利の穴は得物によってあけられたものではなく、高速の指と推測した。源之助は徳利を置き、指で狙いをつけ放った。中身が空の上に固定されてもいない徳利の上部のみが削ぎ飛ばされた。しかし源之助は遅いと思った。
同じ頃、盲目となった清玄といくは金谷宿の外れで、追い剥ぎに遭遇していた。盲いた男と美しい女は格好の得物。いくは清玄を守るためなら命の限り抵抗するつもりだったが、清玄が伏せていろと前に出た。流れを放った清玄だが、刃が幹に根元まで埋まり動かなくなる失態を冒す。追い剥ぎが接近し焦る清玄は、渾身の力で抜いた。幹より引き抜いた太刀は、清玄自身が思いもよらぬ速さで走った。このとき、盲いた剣士の脳裏に最後に見た光景が蘇った。絶叫とともに双眸は再び避けた。
再び源之助、禅問答のように正座し瞑想していた。目を開いた時、ひらめいたように徳利を空中に投げ右手の虎拳を左手で蓋をし解き放った。あの虎眼と同じように甲高い音とともに徳利に見事穴が空いた。この翌日稽古場に現れた源之助を一目見るなり、師範牛股は大目録術許しを与えた。

力を溜め虎眼の歯にひびが入る。そしてついに左手から流れ星が放たれた。
舞台
岩本虎眼屋敷?竹林?掛川宿?廃堂?金谷宿?の外れ、虎眼流指南岩本道場?
道具
日本刀?火鉢??手ぬぐい?徳利?竹箒??竹杖?
主要単語
流れ星、同門、宿場、得物、神技、下種、失態、双眸、大目録術許し
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2006年3月号
単行本6巻
36ページ103コマ文字

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最終15巻

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