ワハハハワハハ



第四十五景 赤縄 << 物語 >> 第四十七景 稚児

第四十六景 修羅 (しゅら)

あらすじ

駿府城、朝倉と鳥居の見守る中徳川忠長は、袴の裾を踏んだという理由で、小姓一名を弓で手討ちにしていた。忠長の附家老朝倉宣正は、隣接する掛川藩の城主でもあるが、日増しに悪化する忠長の癇癖をなだめその行状を抑制するため、同じく附家老鳥居成次とともに駿府に常駐していた。この日掛川では、下級武士の仇討が行われているはずである。朝倉がそろそろ済んだ頃かと思っていた頃、、、

ただの肉片と化した物が飛び散る敵討場、牛股はさらに細かく千切り、腸を撒き散らしていた。備前守が腸を巻くのをやめさせいと馬廻役に命令するが、おいそれと近づける状況ではない。一人進み出たるは石田凡太郎というもの。家中では菩薩の石田で通っている。賄頭豊岡惣右衛門の三女は、蟷螂を思わせる醜女であった。当時の縁談は事前に相手の顔さえ知らぬのが普通である。周囲は哀れんだが、石田はこの妻を存分に愛し三人の男子を儲けた。人は姿にあらず、石田の信念である。石田は牛股の傍らで膝をつき、天晴れな働きぶりといって一服してはどうかといった。牛股はかじきを置き、笑顔で石田に近寄った。そのとき、牛股の右手は石田の腹部を掴み、力任せに腸ごと引きちぎった。蝦蟇は知っていた。餌に出くわした獣は決して唸ることなく、穏やかな目をすることを。
嘔吐を飲み込みながら、この光景をいくは見据えた。清玄の秘剣のために丹念に整備した決闘の場が、見るも無残な惨劇の場に変わっていた。見分席から一名立ち上がり、裃を脱いだ。柳沢と雪千代が止めようとするも備前守は太刀を抜き、落命し足るものを弄び決闘の場を汚した上、家中の者を手にかけたるは言語道断の仕儀、乱心したる者に仇討に望む資格なしといい、成敗いたすと吼えた。この老剣士、彼我の実力差は計算にない。牛股は老剣士を見てはおらず、背後の清玄といくを見ていた。
いくの肩を借り、静かに前に出る清玄。

無明に落ち果てしか牛股権左衛門、汝を救いしは我が剣のみ
舞台
駿府城?、掛川敵討場?
道具
??かじき?日本刀?柄杓???
主要単語
附家老、癇癖、下級武士、仇討、腸、家中、賄頭、醜女、蝦蟇、秘剣、無明
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2007年7月号
単行本9巻
36ページ112コマ文字

第四十五景 赤縄 << 物語 >> 第四十七景 稚児

最終15巻

425318121X.01.MZZZZZZZ.jpg
文庫がついに登場

コンテンツ

ベストセラー

編集にはIDが必要です