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自転車の写真です。去年の写真なんですが、夏らしく海をバックに。
でもやはりまだ使いこなせないな。。

サイクルモード'07(その3)

CYCLE MODE international 2007 その3

(ヨーロピアンバイク編 3/3)




■ RIDLEY




バックの写真にもありますが、リドレーといえばプレディクトール・ロットの破天荒なスプリンター、ロビー・マキュアンの活躍が光ります。その供給モデルであるノア601Cは三角ないし菱形断面のカクカクしたチューブが個性的ですが、ヘッド周りやBB周りはやはりボリューム感たっぷりで、剛性の高さを伺わせます。それも屈指のスプリンター御用達ゆえでしょう。

マキュアンの活躍といえば、圧巻だったのは今年のツール第1ステージですね。落車を喫して遅れたものの、アシスト選手の献身的なサポートもあって大逆転で勝利をもぎ取った時には鳥肌が立ちました。何しろ彼が集団落車に巻き込まれたのは残りわずか23kmの地点でしたからね。普通ならそのステージは諦めます。もっとも、その後のステージでも落車で負傷し、それが祟って山岳に入るなりタイムオーバーでリタイヤという結果に終わってしまいました。マイヨ・ヴェール(スプリント賞)の連覇がかかっていただけに非常に残念でしたね。





写真ではあまり解らない部分ですが、リドレーの実車を見るとそのフレームの美しさ、とりわけ塗装の仕上げの良さに目を奪われます。イタリアンバイクやクラインなどの芸術的なセンスが光る塗装などとは違い、リドレーのそれは技術の高さ、妥協のないディテールが見事です。オージーナショナルカラーにペイントされたこのトラックレーサーも非常に素晴らしい仕上がりでした。



もちろんデカールではなく、マスキングで塗り分けられています。そのマスキングシートも加工や貼り付けの精度が非常に高く、目視ではわずかな狂いも全く確認できません。一方、グリーンとイエローが重なるグラデーションはロボットでは出せそうにない味があり、職人がエアーブラシで丹念に仕上げたものに間違いありません。また、完璧なフラットに仕上げられていますので、研ぎ出しもかなり入念にやっているのでしょう。

同社はマキュアンの活躍とともに日本でも急速に知名度を上げていますが、創業からまだ20年足らずの若い会社なんですね。しかも、当初は自転車メーカーではなく塗装屋でした。そうした生い立ちからか、今日でも全てのフレームを一度ベルギーへ運び、同社の塗装工場で仕上げるといった手間を厭わない厳しい品質管理が貫かれているんですね。

こうした品質はカタログや情報誌、ネット上に流れている写真などではなかなか伝わりにくい部分かと思います。それだけに、こうしたイベントで実車を間近に見るのは非常に有意義なことですね。

ちなみに、リドレーは上述の通りカスタムペイントを請け負う塗装屋が原点でしたが、それは自社フレームについて現在でも続いており、日本からもオーダーできるそうです。しかも、アンカーやテスタッチのように単純な選択式だけではなく、デザイン画の持ち込みも可能です。さらには、イメージ素材などを持ち込めばリドレーのデザイナーがそれに合ったデザインを数パターン提案してくれるので、そこからチョイスすることも可能なんですね。マスプロメーカーとしてはおよそ考えられないようなスペシャルメニューです。

こうした原点を大切にするブランドが歴史を重ねていけば、それはやがてプレミアムブランドとして醸成していくのだと思います。リドレーが今のまま順調に進んでいけば、そうした価値を身につけていけるポテンシャルを秘めているのではないかと私は大いに期待しています。



■ r&m




塗装といえば、ミズタニ自転車はドイツの銘車BD-1のカドワキパウダーコート仕様を参考出品していました。パウダーコートの詳細についてはカドワキのサイトをご参照頂きたいと思いますが、溶剤を使用せず、静電気で粉体を付着させて焼付けを行う塗装の仕上がりは圧巻です。

現在、ほとんどの国産乗用車はドブ漬けのカチオン電着塗装で下塗りを施すと、「回転霧化静電塗装」という方法で中塗り/上塗りが施されます。これは「ベル」と呼ばれる円盤状ノズルを高速回転させ、その遠心力で液体塗料をミスト状にします(わた菓子を作る仕組みによく似ています)。圧搾空気とスプレーガンによる吹き付け塗装は塗料が飛散して大量の無駄が出るのですが、回転霧化静電塗装はベルとボディパネルに逆相の高い電荷を与え、ミスト状に漂わせた塗料を静電気でボディパネルに付着させるため、塗料の無駄を大幅に削減できるわけです。

ということで、静電気を利用した塗装技術は全く珍しいものではありませんし、粉体の焼付け塗装も古くからある技術ですが、カドワキのこれは塗膜がかなり厚く、それでいながら表面が平滑で非常に美しい仕上がりになっているところが優れた技術だと思います。ま、それだけにコストもかかりますが。この特別仕様のBD-1はさらにパーツも良いものを使っていますから、参考価格は30万円を超えています。

BD-1といえば初代のアルミパイプによるスマートなフレームワークが魅力的でした。また、新型にもそのまま継承されたフロントのリーディングアーム式サスペンションや、その構造を利用した斬新な折りたたみ機構など、優れたデザインが多くのファンを生みました。

昨年、アルミモノコックの新型が発売され(上の写真と同じフレームで、私もそのモノコック初年度モデルを所有しています)、ついにパイプフレームは生産を終了してしまうことになりました。少々寂しい気もしますが、BD-1もどんどん進化を続けて欲しいフォールディングバイクの雄ですから、こうした世代交代もファンとしては受け入れていかなければならないのでしょう。



■ corratec


スペシャライズドとの契約切れでダイワ精工のサイクルスポーツ用品部門はドイツのコラテックを扱うことになりました。

コラテックといいますと、個人的には2005年のジロが鮮烈な印象として残っています。コロンビア・セライタリア(ワイルドカードで出場したコンチネンタルプロ)のホセ・ルハノがマリア・ヴェルデ(山岳賞)を獲得、同2位にもイバン-ラミロ・パッラが入り、またステージ3勝(第13、14ステージはパッラ、第19ステージはルハノが優勝)を遂げるなど、大暴れしてみせました。

殊に、この年のルハノの獲得ポイントは143という驚異的なものでした。どれくらい驚異的かといいますと、昨年マリア・ヴェルデを獲得したファン-マヌエル・ガラテ(64ポイント)と、今年のレオナルド・ピエポリ(79ポイント)を足して丁度143ポイントです。最近10年のマリア・ヴェルデの平均獲得ポイントが80.5ポイントあることを考えると如何に突出しているか解るでしょう。

それはさておき、コラテックはブランド名で、これをプロデュースしているのはIKOという企業です。自転車ショップとしてミュンヘン郊外に創業した同社は、後に自転車製品の輸入商社へスケールアップ、1990年にコラテックブランドを立ち上げ、用品やアパレルからついには完成車の総合プロデュースへ至りました。こうした沿革もスペシャライズドとよく似ていますね。



取扱い品目もロードバイク、MTBといった本格的なレース用機材から、アパレル、用品類などスペシャライズドとかぶる部分が非常に多く、ダイワ精工のサイクルスポーツ用品部門は従来の販路を生かせる最高のパートナーを得たといえるでしょう。





最高級モデルのマウロ・サニーノCF-1はフレームセットで627,900円(税込み)とイタリアのプレミアムメーカーに勝るとも劣らないハイプライスです。もっとも、これが作られる環境はイタリアのプレミアムメーカーのそれと全く変わらないのですから、何の不思議もありません。

ドイツ・ローゼンハイムにあるコラテックの自社工場の中にはイタリア人フレームビルダー、マウロ・サニーノの工房が設けられており、このCF-1は一本一本がハンドメイドで製作されているそうです。この辺は自社工場を持たないスペシャライズドとは極めて対照的ですね。

このバイクのフレーム素材はハニカムコア(このコアの素材がアルミなのかケブラーなのか、詳細は明記ありませんでしたが、F1マシンにも使用されていると謳っていますので後者の可能性が高いかも知れません)をカーボンでサンドイッチした特製チューブだそうで、これは何とフェラーリから調達しているそうです。

強靭かつ軽量ということでは恐らく現在考え得る最高の複合素材を用い、最高の職人が手作りするフレームということですね。これは、およそマスプロメーカーのやる仕事ではありません。同じコラテックブランドでも、量産車とこのCF-1は全く別次元の製品といえるでしょう。それが同じブランドで売られることに違和感を抱く人もいるかも知れません。が、実はカローラとセンチュリーでは同じトヨタブランドでもこれくらい違う環境で作られています。

余談になりますが、センチュリーを生産しているのはトヨタ自動車ではなく関東自動車工業です。同社で最高の技術を持つ職人さんが特性の砥石で塗装を修正したりなんかします。内装の木目パネルは楽器を作る技術を生かし、日本古来の「屏風継ぎ」という技術なんかも駆使したりして、ヤマハが作ってたりします。なので、コラテックのハイエンドバイクがスペシャルな作られ方をしても、これはこれでありじゃないかと私は思います。

いずれにしても、日本のユーザーの殆どはコラテックに対するブランドイメージが白紙に近いでしょう。上述の通りグランツールでの実績もありますし、マウロ・サニーノというテライスタ(フレーム職人)を擁するブランドでもありますから、イメージを構築するための素材に不足はないでしょう。後は日本国内でのプロモーションを如何に展開してそれをマーケットに浸透させていくか、ダイワ精工に問われるのはそこでしょう。



■ STORCK




ポルシェバイクスのフレームもOEM生産しているドイツのハイエンドメーカー、ストークですが、このフレームもハイエンドメーカーらしいカーボンテクノロジーが遺憾なく発揮されているようです。

特許を取得したカーボン成形技術「バキューム・ボイド・コントロール」というものがどんな内容なのかよく解りませんが、バキュームというからには真空が関係しているのは確かでしょう。ボイドというのは気泡のことですから、真空を利用して樹脂内の残留気泡をコントロールする、といったところでしょうか。ま、これはあくまでも私の勝手な想像ですが。

いずれにしても、フレーム重量はメーカー公称値790gで、これまで実用レーシングフレームでは世界最軽量とされていたスコットのアディクトに肩を並べています。「ファシナリオ0.7」というモデル名も0.7kg台という意味でしょう。ま、フレームセットの価格も約0.7ミリオン円で、アディクトのトップグレードの1.5倍以上しますけどね。



■ BROMPTON




ブロンプトンはこのシックなブリティッシュグリーンが本当によく似合いますねぇ。凄い機構や高価な素材が使われているわけでもないのですが、このM3Rは162,750円という結構なプライスタグが付いています。

何でこんなに高いのか? それは彼らがとんでもない作り方をしているからです。

ブロンプトンは全ての製品がロンドン西部にある自社工場で生産されています。しかも、1台あたりの総部品点数約12,000点の内、約70%が内製部品という、今日の自転車業界ではとても考えられない奇特なことをやっているんですね。

年産16,000台という規模のメーカーで部品内製率70%などという不合理な作り方をしている自転車メーカーはブロンプトンの他には類を見ないでしょう。部品内製どころか自社工場すら持たない、いわゆる「ファブレス企業」といえばスペシャライズドやナイキなどもそうですが、ブロンプトンはその最も対極に位置する企業といえるでしょう。

実は、いまも手元に1999年刊行の小径車専門誌がありますが、この16万円超のM3Rと同程度のモデルは当時8万円ほどでした。つまり、この10年弱の間で約2倍の値上げがされているんですね(ま、為替レートも円高ポンド安だった当時とかなり違うでしょうが)。恐らく、これを台湾でOEM生産させ、汎用部品も多く採用すれば、品質を維持したまま据え置きどころか、さらに低価格での販売も可能でしょう。

しかし、そうした低価格路線のビジネスで勝負に出れば、ブロンプトンは「イギリス生まれのオシャレなフォールディングバイク」というキャッチフレーズを纏っただけのワン・オブ・ゼムに終わってしまうことでしょう。ブロンプトンがオンリーワンのブランドたり得るのは、ずっと変わらずに貫かれている独自の物づくりの姿勢が評価されているゆえだと思います。

今日の常識的な合理性を捨て、己が信ずる道を選んだ彼らの判断に間違いはないのか? その結論は自転車文化の成熟度を測るバロメーターになるかも知れません。



その4・アメリカンバイク編 1/2へ続く)


(C)石墨
2007年12月15日(土) 23:19:14 Modified by ishi_zumi

添付ファイル一覧(全8件)
3c6704223fb9c099.jpg (97.77KB)
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