このウィキの読者になる
更新情報がメールで届きます。
このウィキの読者になる
カテゴリー
最近更新したページ
最新コメント
Menu
自転車の写真です。去年の写真なんですが、夏らしく海をバックに。
でもやはりまだ使いこなせないな。。

サイクルモード'07(その4)

CYCLE MODE international 2007 その4

(アメリカンバイク編 1/2)




■ cannondale




キャノンデールのニューモデル、スーパーシックスがお目見えしたのは今年のジロの山岳ステージでした。そうしたタイミングで投入されたのはコマーシャル戦略上のプロットと考えて間違いないでしょう。

キャノンデールはこれまでもシナプスというコンフォートモデルでフルカーボンのロードフレームをやってましたが、いよいよトップレーシングモデルでもフルカーボンのリリースです。ついにアルミに見切りをつけたということで皆さんも様々な感慨を持たれているのではないでしょうか?

「キャノンデールはアルミ」というイメージが根強いと思いますし、最近の動向とかロードバイクのマーケティングだけを見て記事を書いているライターたちもキャノンデールといえば「アルミにこだわる頑固なメーカー」みたいな捕らえ方をしているようです。が、私のイメージからすると、忌まわしきレイヴンII(詳しくは後述)の悪夢、あのトラウマからようやく抜け出せたのではないかという意味で非常に感慨深いものがあります。

その昔、キャノンデールはもっと前衛的(向こう見ず?)なメーカーでした。調子に乗って自転車のみならずモーターサイクルにも参入してしまったほどでした。キャノンデールの経営が悪化した諸悪の根源はこのモーターサイクル部門の不振で、2003年に事実上の倒産となった折にはATKへ同部門を売却した上で再建されました。

あのイケイケ時代のキャノンデールは倒立片持ちサスの「レフティ」など、果敢にも冒険的な企画を進めていったものでした。で、そのレフティとも組み合わされたカーボンモノコックフレームの「レイヴン」も実に衝撃的だったんですね。

レイヴンはアルミ製スパイン(内骨格)にカーボンの外皮を被せたハイブリッド構造を採用し、後継のレイヴンIIではスパインをアルミからさらに軽量なマグネシウムに変更、見た目にも近未来的でクールなバイクに仕上がっていました。(私もかなり本気で欲しかったのですが、クルマを買うための貯金に励んでいた時分でしたので、指をくわえて見ているだけでした。)



しかし、この先進的なレイヴンIIはBB周りの強度不足が発覚、リコールせざるを得なくなってしまったのです。しかも、そのリコール対策がまた悲惨でした。フレームのBB付近に小さな穴をあけ、2液混合で硬化する樹脂を流し込むという方法をとったのです。そのため、処理済みのフレームは500gくらい重くなって返ってきたといいます。

現在のものと比較しても殆ど見劣りしない軽さが売りだったレイヴンIIですが、リコール対策でしこたま皮下脂肪を蓄えることになってしまいました。軽さを買ったユーザーはさぞ泣けたことでしょう。キャノンデールのエンジニアにしてみれば自業自得ではありますが、相当プライドを傷つけられた一件だったのではないでしょうか?

その後の彼らは品質管理に対して極めてシビアになり、自動車のようなクラッシュテストまで課すようになったそうです。ま、いまとなってはこうしたエピソードも新素材・新工法の黎明期にありがちなトホホ話として懐かしく思います。(私がこんな気楽なことをいっていられるのは、誘惑に負けず貯金を続けて良かったと胸を撫で下ろした故かも知れませんけど。)

実際のところ、キャノンデールがアルミを極めたその背景に、このリコールの一件が関係していたのかどうかは解りません。が、キャノンデールはかなり早い時期にMTBで先進的な構造のカーボンモノコックフレームを手がけておきながら、その後はMTBでもロードでもアルミにこだわり続け、フルカーボン化には非常に消極的なメーカーであったのは事実です。ま、その真相が語られることは恐らく今後もないと思いますが。





ヘッド周りのオレンジからリヤエンドのイエローまで3トーンでグラデーションしていく鮮やかなこのフレームはF5です。カラーリングが異なるためピンと来ないかもしれませんが、DoCoMo2.0のテレビCMで瑛太くんがタイヤまでピンクにカスタマイズして乗っていたことから一部では話題になりました。

実は同CMの『ディザー』編にワンカット挿入されているスタント(宙を舞う)シーンで使用されていたのはキャノンデールと縁もゆかりもない660SSだったりします。ま、どうでも良い話ではありますが。



■ TREK




これまでホリゾンタルトップチューブ、ノーマルヘッドなど、保守的なロードバイクにこだわってきたトレックでしたが、今年のマドンは開き直ったかのごとく怒涛の新機軸投入です。



トップチューブを弱スローピングのジオメトリとし、インテグラルヘッドも採用となりました。しかも、上下のベアリングを異径とし、下側は1.5インチのスーパーオーバーサイズです。さらに、アルミコラムに固執してきた考えを捨て去って、カーボンコラムも採用となりました。ま、コラムのカーボン化は何となく解るような気もしますが。

これまでカーボンコラムの耐久性をイメージだけで疑問視する人も少なからずいましたし、トレックもアルミを使い続けたのはそれまでの実績を重視していたからだと思います。しかし、2006年のパリ〜ルーベでディスカバリーチャンネルのジョージ・ヒンカピーがでんぐり返るように落車した衝撃的な映像が世界中に流れ、その認識は覆ったのではないでしょうか? 彼のバイクのアルミコラムはその神話と共にポッキリと折れてしまったのですから。

もっとも、ヒンカピーのケースはコラムが折れた落車の前に一度落車しており、そのときに受けたダメージから一気に金属疲労が進んだのが原因だと考えられています。しかも、あの悪名高きパヴェ(石畳)という悪条件が重なっていますから、これは致し方ないでしょう。トレックジャパンも大慌てでパブリックコメントをリリースしましたが、それだけショックが大きかったのだと思います。

カーボンだろうとアルミだろうと、折れるときゃ折れるとなれば、軽量化に有利なカーボンに鞍替えしたくなるのも自然な流れでしょう。などと、トレックがカーボンコラムを採用したこととヒンカピーの落車事故に関係があったかのように書き進めていますが、これはあくまでも私の妄想に属するものですので、鵜呑みは禁物です。念のため。

さて、新型マドンの新機軸はそれだけではありません。他社のインテグラルシートポストともちょっと違うこれは上から被せる方式です。



また、曲面の連なり方はオルベアのオルカにも似た印象で、これまで力強く無骨な男性的イメージの強かったトレックらしからぬ変貌振りです。(ちなみに、オルカはミリアム・ベンゴエチュアという女性デザイナーの手になります。)



スコットのところでも触れましたが、新型マドンもベアリングカップ一体式BB(と毎回書くのが面倒なので、「インテグラルBB」でも何でも良いので早いところ一般名が定まって欲しいものです)になりました。シマノ、カンパ、スラムの3社に対応するそうです。が、これだけダウンチューブが太く、ベアリングカップ部の張り出し量が小さければFSAのネオプロは間違いなく装着不可でしょう。

あれだけ頑固で保守的だったトレックがここまで革新的な路線へスイッチしてしまったのはキャノンデールのフルカーボンレーシングフレームよりさらに大胆な変わり身ですね。ここまで大きく変わってしまうと果たしてマドンの名を与えるのは妥当なのか? という疑問もわいてきます。ま、私の基本的なスタンスは「是々非々」ですから、こういう思い切った方向転換もレーシングバイクとして「是」であれば結構ウェルカムだったりしますが。旧来からのマドンユーザーは少々戸惑うかも知れませんけどね。

ところで、トレックはアスタナへの機材供給が噂されているとの旨をBMCのところで書きましたが、あれをアップした直後くらいに正式決定の報が入ってきました。コンポはスラムになるようです。



カザフスタン政府肝いりのチームは来年からアメリカンな色合いも強くなりますが、実は拠点を昨年までのスイスからルクセンブルクに移したことや、元々はスペインの強豪オンセがルーツだったことなど殆どの人は意識していないでしょう。でも、サイクルロードレースのプロチームはこうした複雑な綾をなす沿革が決して珍しいことではありません。



■SPECIALIZED


コラテックのところでも触れましたが、1990年から17年に渡って日本総代理店を務めてきたダイワ精工との契約が今年の4月末日を以って終了、日本国内マーケットはスペシャライズド・ジャパンが担うことになりました。

が、恵比寿ガーデンホールで開催された日本法人設立発表会は5月9日、日本公式サイトの立ち上げはさらに数ヵ月後といった段取りの悪さはいただけないですねぇ。アフターサービスは年内いっぱいダイワ精工で受け付けるとはいえ、ユーザー(私もその一人ですが)としてみれば、こうした段取りの悪さは不安感につながります。





今年のツールのマイヨ・ヴェール争いは本命のマキュアンが前述の通り早々にリタイヤし、フレイレも昨シーズンからの故障を抱えたまま最初の1週間で去り、フースホフトもアルプスで風邪をひいて不調に陥り、ペタッキはジロでのドーピング疑惑で出場取り消しの憂き目に合いました(ま、チッポリーニもそうでしたが、ジロで完全燃焼するイタリア人スプリンターはツールに出場したところで、序盤のステージをいくつか獲ったら山に入るなりタイヤしてしまうものですけどね。実際、ペタッキにも前科がありますし)。

ペタッキの同僚ツァベルが37歳であれだけ頑張ったのも、コンチネンタルプロからワイルドカードで出場したバルロワールドのハンターが2位に食い込む活躍をしたのも少々驚きましたが、やはり有力選手が次々に脱落していく中でボーネンは常に安定していたと思います。ま、長丁場のステージレースで勝つのは殆どの場合がこういう人なんですけどね。

ということで、今年のツールのスプリントを制したこのターマックSL2は、どうやらボーネン向けのスペシャルバージョンのようです。ノーマルのSL2とはジオメトリがかなり違います。恐らくハンドル位置を下げるためだと思いますが、ヘッドチューブが短くなり、そのためにトップチューブのスローピングも浅くなっています。シーズン序盤からポジションに対する不満が伝えられていたようですので、それを受けてボーネン向けにジオメトリを見直したフレームが特別に製作されたようです。

単純な円筒形のカーボンチューブをカットし、ラグに接着する古典的なフルカーボンフレームであれば、ラグのアングルを修正するだけでジオメトリの変更にも柔軟に応えられます。しかしながら、最近の曲面がうねるカーボンフレームでジオメトリに手を入れるとなると、手間もコストもかかって大変です。ま、資金力のないメーカーがUCIプロからどんどんいなくなっているのはそのせいもあるでしょう。





2006年からメインフレームがカーボン化されたS-ワークス・エピックFSRですが、リヤサスの「ブレインテクノロジ」は6年目に突入です。

些か大袈裟なネーミングではありますが、このブレインという機構はダンパーのオイルラインに慣性バルブ(錘を利用してポートを開閉する機構)を設け、リバウンドを制御する仕組みです。入力加速度が規定値を超えなければリバウンドせず、ロックアウト状態となりますので、ペダリングロスを抑えられるわけですね。

低速コンプレッションのダンピングを上げるサスユニットのカラクリはマニトウのSPVなどもありますが、内容的にはFOXのテラロジックと同様ですね。ただ、スペシャのブレインはフレームとサスアームのリンク構造とサスユニットがコンプリートで最適設計されていますから、普通のフルサス・フレームセットにモーションコントロール・サスユニットを仕込んだものよりポテンシャルは数段高いと思います。

ペダリングロスを減らすリヤサスのアイデアはサスユニットのモーションに依存する以外にも色々あります。ジャイアントの「マエストロ」に代表されるような4バーリンクの最適設計によるものとか、BBにかかる荷重をサスアームにフィードバックさせるGTの「i-ドライブ」などですね。もちろん、これらも完全無欠ではありませんから、一長一短の何をどう評価するかで好みも分かれるでしょう。

スペシャのブレインは初期入力に反応してサスユニットのモーションが決まりますから、路面からの突き上げが入力されてから一瞬のタイムディレイがあって衝撃をいなすような格好になるため、わずかに角のある感触といいますか、独特のクセみたいなものがあるんですね。特に初年度の2003年モデルは感知レベルが1G固定だったこともあって、かなり賛否が分かれていたようです。

私はこのエピックFSRの2005年モデル(当時のフレームマテリアルは「M5」と称するアルミ合金です)を所有しています。残念ながら、それ以前のモデルには乗ったことがないので比較はできませんが、感知レベルも0.5〜1.25Gの5段階可変になっていますし、馴染んでしまえば私の感覚では充分許容できるレベルに初期入力のクセが抑えられたチューニングがなされていると思います。現在のブレインはさらに進歩し、より自然なフィーリングに近づいていると思いますが、それゆえ物欲との闘いが怖くて試乗できません。

ところが、情報誌のインプレ記事などには「クセが解消されてきた分、エピックらしさも薄まった」みたいなことが残念そうに書かれていたりします。私がスペシャの設計担当なら「ほんだら、どないせーっちゅーねん!」と言いたくもなりますが、ま、彼らは好き勝手なことを書くのも仕事のうちなので、諦めるしかないでしょう。え? お前も散々好き勝手なこと書いているじゃないかって? 返す言葉もございません。



その5・アメリカンバイク編 2/2へ続く)


(C)石墨
2007年12月16日(日) 16:56:06 Modified by ishi_zumi

添付ファイル一覧(全10件)
b23ac052a67aadbb.jpg (108.32KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:35:19
7d905f31d5a7dd6e.jpg (108.93KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:35:18
30d04848fa0483c4.jpg (78.06KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:35:18
c6ff48e5c08d1614.jpg (92.02KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:35:18
e2b664b5a1a5890a.jpg (82.75KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:35:18
27348a146a5b9512.jpg (97.03KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:34:14
fed846a16a018f22.jpg (99.73KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:34:14
73acdffd353cf7e5.jpg (118.92KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:34:14
e6d702a58b3d908e.jpg (53.71KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:34:13
1fd688c0bfa26fbc.jpg (121.05KB)
Uploaded by ishi_zumi 2007年12月15日(土) 23:34:13



スマートフォン版で見る

×

この広告は60日間更新がないwikiに表示されております。