「や、やってしまいました………」
 クリスマスと言う事を除けば、平凡なある日の昼下がり。
 瑠璃花はこの世が終わるかと思えるような声で呟いた。
「ど、どうしましょうか………もう時間はないですし……」
 壁に取り付けられた時計をチラリと見る。
 別に遅い時間ではないが、晩御飯の事を考えると完全にアウトな時間だろう。
 瑠璃花の顔色が更に悪くなった。
「わ、私としたことが………」
 両手両膝を床に付けOTLの姿勢。南雲瑠璃花一生の不覚である。
 こんなにも瑠璃花がうなだれる、その理由は
「まさか……まさかプレゼントを買ってないだなんて……」
 ようするに、小波へのクリスマスプレゼントを買っていない。ただそれだけである。

「何もないのは……流石に……」
 別に忘れていた訳ではない。
 寧ろ真逆で、何がいいかなと、一ヶ月ほど前から悩んでいたほどだ。
 ただ決められないまま一週間、二週間と時間が過ぎ、最終的に今に至ってしまった訳で。
「何か……何かないんでしょうか……」
 誕生日、クリスマスと、毎年何かをあげてきた瑠璃花。
 今年は何もないと分かり、がっかりして元気を無くす小波の姿が頭に浮かぶ。
 それだけは、それだけは避けなくてはいけない。
「何か……何か……!!」
 藁も掴む思いで辺りを見渡していく。が、
 テレビ、クリスマスツリー、パソコン、etc……。
 何もプレゼントになるような物は無かった。
 …………しかし。
「ツリー………プレゼント………サンタ……」
 ツリーをヒントに、瑠璃花の頭が高速回転を始める。
 ヒントのピースを一つ一つ組み合わせていき、一つの答えへとまとめていく。
 そして5分程考えた、その結果。
「!!!」
 ある一つの結論が、瑠璃花の中でまとめ上がった。
 ………だが、
「こ、これはあまりにも……」
 恥ずかしい。
 瑠璃花の顔が突然真っ赤に染まる。
 それに小波が受け取ってくれるかどうかも分からないし、
ひょっとしたら引かれるかもしれない。
「………でも、やるしかないですよね」
 元より、時間も余裕もほとんどない。悩んでいる暇などもっとない。
「………よし!!」
 自分自身に気合いを入れ、瑠璃花は早速行動を開始した。

 時間は移って、夕食の後。
 小波は南雲家で夕食を御馳走になっていた。
 それはそうと、瑠璃花の部屋に呼び出された小波。
 何となく分かってはいるが、あえて聞いてみる。
「瑠璃花、どうしたの?」
「いえ、小波にプレゼントを渡そうと思いまして」
 やっぱりな、と小波の表情が喜びのものへと変わる。
 予想はしていても、嬉しいものはやはり嬉しいものだ。
「そうなんだ。ありがとう」
 思い切り抱きしめたいが、今はとりあえず感謝の言葉を述べる。
 だが次の瑠璃花の言葉は、小波が予想にしていない物だった。
「じゃあ小波、一度部屋から出て下さい」
「え? 何で?」
「いいから! 一度出てください!!」
「ちょっ、お、おい!」
 背中を押され、強引に部屋の外へと追いやれる。
 扉が閉められ、ドアの向こう側から届く声。
「私がいいと言うまで開けちゃいけませんからね!」
「あ……うん。分かったよ……」
 返事を返すものの、頭の中はそれどころではない。
 プレゼントなら普通に渡してくれればいいのに……。
 瑠璃花の意図が分からずに、小波はしばらくボーっと立っていた。
 他に何もする事がないので、壁にもたれて合図を待つ。
 そのまま十分くらいが経った頃だろうか。
「………小波?」
 再びドアの向こうから声がした。
「なに?」
「もう、いいですよ?」
「…………?」
 何か違和感を感じる。
 さっきまで元気だったのに、急に声がしおらしくなった様な……そんな気がする。
「………まぁ、考えたってしょうがないか」
 そう結論を下し、ドアに向き直る。
 これを開けば全てが分かるのだから、そっちの方が手っ取り早い。
「じゃあ入るよ」
 ドアノブを回し、ドアを開け、再び部屋の中に入る。と、
「め、メリークリスマス……」
 サンタの服(しかもミニスカ)を着た瑠璃花がそこに立っていた。
「る、瑠璃………花?」
「………………」
 耐えられないとばかりに、横を向く瑠璃花。小波と視線を合わそうとしない。
「そ、その服って……」
 瑠璃花が身につけているその衣装。小波はどこかで見覚えがあった。
 確かあれだ。小学校の時にクリスマス会で瑠璃花が着ていたやつだ。
「きょ、今日はクリスマスですから……」
 恥ずかしそうに、瑠璃花がようやく言葉を口にした。
 小学校の時は普通のスカートだったのだが、
中学生の自分が着てみると、どうしてもミニスカートになってしまう。
 下に引っ張ってみても、下着を完全に隠す事は出来ない。
「え〜と………その……」
 スカートを握る手はそのままだが、もじもじと瑠璃花は小波に向き直った。
 数秒間の沈黙の後、勇気を出し、あらかじめ考えておいたセリフを口にする。

「今日は………私が……プレゼント………です」
「瑠璃花――――!!!!」
 もう我慢出来ないと、小波が瑠璃花に抱き着いた。
 ここに、一匹の獣が誕生した。

 目の前のサンタクロースを力の限り抱きしめる。
 自分の為にこんな格好をしてくれただなんて、感動のあまり言葉がでない。
「ちょ、ちょっと苦しいんですが……」
「ゴメン。少し我慢して」
 力を緩める事はしない。愛らしい我が彼女を全身全霊で感じとっていく。
 両腕で簡単に包み込めるほどの小さい身体。小波はそれを軽々と抱き抱えた。
「きゃあっ!?」
「ほらほら、暴れないで」
 お姫様を運ぶように、瑠璃花をベッドの上へ。
 優しく寝かせて、その上に覆いかぶさり、言う。
「じゃあ遠慮なく貰うけど……いいよね?」
「………はい」
 了承の答えを貰うと、小波は口づけを開始した。
「ん…………」
 瑠璃花の唇に唇が触れる。柔らかくて、熱い。そして何より甘い。
「ん……ふ……はぁ……」
 瑠璃花も小波の唇に吸い付いていく。
 両腕で小波の顔を掴んで抱き寄せる。その温もりが逃げないように。
「ふ……んん……あむ……」
 お互いの口の中から舌が出て来はじめた。
 空中で交わったかと思うと、互いの口内に侵入していく。
 キス。言葉にすればたったの二文字だが、二人の身体はそれだけで熱くなっていく。
「は……あ……」
「あ、瑠璃花。待って」
「………え?」
 身体が熱いのか、上着のボタンを外そうとしていた瑠璃花。
 その動きを小波が止める。
「その服は脱いじゃいけない」
「……何でですか?」
 部屋は暖房が効いているため、寒さを心配する必要はないのだが。
 疑問を上げる瑠璃花に、小波は得意そうに答えた。
「だって、脱いだら服の意味が無くなるだろ?」
「はぁ………」
 欲望に満ちた答え。瑠璃花には意味がよく分からなかったみたいだが。
「まぁとにかく、今日は服を着たままやるって事だよ」
「やっ! あ……んっ!」
 上着の下から手を侵入させ、上へ上へと上っていく。
 驚いた事に、瑠璃花は上着の下に何も身につけていなかった。
 ブラウスもキャミソールも。そしてブラジャーも。
「あれ瑠璃花? 何で何も着てないの?」
「そ、それは……」
 実は小波の持つエロ本の一つを参考にしたのだが、無断拝借な為言葉に出来ない。
 それをいい事に小波の言葉責めは続く。
「もしかしてこんなのを期待してた、とか?」
「んんっ!」
 乳首を摘むと、声を出して瑠璃花が喘ぐ。
 期待も何も、元よりこういうつもりだったのだが、そこは置いておいて。
「瑠璃花もHになったよね」
「やぁっ! 摘っ……ダメっ!!」
 お互いに性に興味津々な年頃な二人。身体を重ねる回数が増えるのも仕方ないだろう。
 次は下半身をと、小波が顔を下げていくと、瑠璃花が再びスカートを引っ張りだした。

「ほら、隠しちゃダメだって」
「やっ………あ………離し、て……」
 瑠璃花の両手首を掴んで頭の上へ。抵抗をしているが、ほとんど意味はないだろう。
 腕が上がった分スカートがずり上がり、股間の部分から下着が頭を出した。
 今日はピンク色らしい。
「今日は縞パンなんだね」
「や……ぁ……言わないでください……」
「服に合わせた感じかな? 可愛いよ」
「あ………うぅぅ……」
 まじまじと小波が実況すると、瑠璃花が可愛い悲鳴を上げる。
 それがまた小波の性欲をビシビシ刺激するのだが。
「ふむ!」
「んっ!? こ、小波?! 何をやって……」
「ん? ふひはのにほいをはいでるんはけど?」
「ひぅっ! しゃ、喋らないで!」
 股間に顔を埋もれさせ、思い切り息を吸う。
 下着に染み付いた臭いに混じって、何か違う臭いを感じた。
 指で下着をずらし、下で割れ目をなぞる。
「あっ! だ、ダメ……です………!!」
 頭を離そうと瑠璃花が小波の頭を必死で押す。
 夕食後、小波を誘う前にトイレに行く事を忘れていた瑠璃花。
 今そこを舐められるのはマズイ。
「ダメっ! やっ! あ、ああっ! こな、みっ!!」
 瑠璃花の必死の抵抗も虚しく、小波を止める事は出来ない。
 犬が皿をなめ回すように、舌が何度も何度も股間を往復する。
「やっ! あっ! ああっ!!」
 もはや抵抗どころではないのか、瑠璃花の腕の力が弱くなった。
 それは好機と、存分に股間を堪能する小波。
 もうしばらくまさぐった後、頭を上げて、言う。
「………もう十分だよな?」
「え? いや………ダメ、ダメです……」
「ん? そうかな?」
 改めて両方の股間の様子を確認する。
 自分の物は全く申し分なし。瑠璃花の股間―――ほとんど毛も生えていない―――も、言葉とは裏腹に準備万端に見えた。
「やっぱり大丈夫だよ」
「いや、ちょっと! ちょっと待って下さい!」
 あくまでも無理だと言い張る瑠璃花。だが小波は、
「ゴメン。もう我慢出来ない」
「わっ! だ、ダメ!」
 衣装の効果もあってか、もう我慢の限界なのだろう。
 瑠璃花の脚を大きく広げて、素早く息子を割れ目に押しやった。
 そして優しくながらも一気に瑠璃花の中に侵入した。

「やぁっ! ああっ! あ、あっあ゙っ!!」
 瑠璃花の喘ぎ声が、どこか悲鳴のように聞こえる。
 流石に小波も不信に思ったが、自分の息子が感じる限り何もおかしくはない。
 寧ろいつもより締め付けてきているような……。
「瑠璃、花? 何か、いつもよりキツくない?」
「んんっ!! あっ……や、あ、ダメ………!!」
「………瑠璃花?」
 何か別の事に必死なのか、小波の質問に答えない。 それは自分の質問より大切な物なのだろうか。
 小波の表情が不快に歪む。
「瑠璃花。話を聞いて……よ!」
「!!! やぁ゙あ゙っ!!」
 注目してもらおうと、身体を起こして座位の体勢へ。
 瑠璃花の身体がビクリと震え、締め付ける力が更に増した。
「いや、だから、何で……」
「あ゛っ! だめ!! いやぁあ゛っ!!!」
 小波が深く腰を押し付けると、その度に拒絶の言葉をはく瑠璃花。
 本当に何がそこまでいけないのだろうか。
 今の状況。瑠璃花が嫌がりだしたタイミング。頭に?マークが乱舞する。
 それから導き出した小波の答えは、
(もしかして、中だしか……?)
 そう言われてみれば、今自分は避妊具を付けていない。
 多分瑠璃花も直前で危険日だと気づいたのだろう。
 小波はそう結論づけて、
「大丈夫。出す時は外に出すから!」
 瑠璃花の耳元でそう呟き、いっそう腰を激しく動かし始めた。
「ちがっ!! あ゛っ! や、ああっ!! うぁ゛!!」
 瑠璃花が必死で何かを伝えようとしているが、もう小波の耳には届かない。
 届いたとしても、言葉になっていなくちゃ意味がない。
「やぁ゛っ!! だめ! だめ!! だめぇ!!!」
「ぐ………もう……出る……!」
 絶頂を迎えようと、腰を激しく打ち付ける小波。それに増して、締め付ける力も強くなってきた。
 腕も使って、息子を奥の奥まで貫かせる。
 先が奥の何に触れた途端、二人に絶頂が訪れた。
 急いで息子を引き抜き、息子を手で刺激する。
「あっ……あ……あぁ……」
「あ゛あ゛!!!……………あ………あ………ああぁ……」
 飛び出す精液。白く汚れていく赤い服。股間から溢れ出る液体が、ベッドの上を汚れていった。
 ……………ただし、小波と瑠璃花、両方の股間から溢れた液体が。

「………え? あ、あれ?」
「いや…………やぁぁ……」
 白いシーツの上にどんどん広がっていく黄色いシミ。
 それは瑠璃花の割れ目から始まってらしく、そこからはチョロチョロと水滴が漏れ出していた。
「………はぁ………はぁ……」
 一通り出し終えたのか、瑠璃花の身体がビクリと震えた。
 シーツに出来た大きなシミ。少し小波にもかかったのか、ズボンから同じような臭いが漂い始める。
「えっと………瑠璃花?」
「………………」
 下を向いたまま顔を上げてくれない。
 思考が纏まらず、とにかく最初に頭に浮かんだ一言を述べた。
「もしかして………漏らしちゃった………とか?」
「!!!」
 止めの一言。
 瑠璃花の表情が一気に変化した。
「………ひっ……う……うぅ……」
「る、瑠璃花!?」
 今にも泣き出しそうな声を上げて、涙を目に浮かべる。
 恥もへつらう中学生。おもらしを見られたのが相当恥ずかしかったのだろう。
「えっと……ゴメン、大丈夫?」
「………ダメって……言ったのに……」
 この事だったのかと、瑠璃花の一言が胸に突き刺さる。
 小波に背中を向け、メソメソと泣き沈む瑠璃花。その背中を小波が優しく抱きしめた。
「ゴメン。本当にゴメン」
「もう………しらない……ですから!」
 泣いているのか怒っているのか分からないが、とにかくマズイ事には変わりない。
 とにかく今は謝るしかないだろう。何度も謝罪を述べて、頭を下げる。
「………瑠璃花?」
「…………………」
 話しかけても、瑠璃花は何も喋らない。喋ってくれない。
 ツーーーーーーン。
 そんな擬音が背中から聞こえてきそうだった。
「本当にゴメン。瑠璃花が可愛いくてつい………」
「!!! …………………フン!」
「瑠璃花〜……」
 瑠璃花が機嫌を直すまで、小波はひたすらに謝り続けた。

「今度からは、ちゃんと人の話を聞いてくださいね」
「………はい」
「本当に分かってるんですか? 忘れ物が多いのもそれが原因でしょう?」
「………おっしゃる通りです」
「だいたい、いつもそうです。小波は………」
 あれから20分程して、ようやく落ち着いてきた瑠璃花。
 そして機嫌が直り、シーツ等の後片付けが終わった後、
小波に待ち受けていたのは、瑠璃花の散々たる説教だった。
 ロボットのように頷き、返事を返し続ける小波。
 クリスマスなのに、何が嬉しくて彼女に怒られなくてはいけないんだろうか。
(あ、足が………)
 説教を聞いている間、正座を強要されている。
 痛みと悲しみでどうにかなりそうだった。
「る、瑠璃花?」
「―――? 何ですか?」
 手を挙げて、説教の言葉を中断させる。
 もう耐えられない。肉体的にも精神的にも限界だ。
「もうこんな時間だしさ。続きはまた明日にしない?」
 壁に掛けられた時計に視線を移す。つられて瑠璃花も視線を動かした。
 なるほど。深夜と呼べるほどではないが、中学生なら寝ているのが普通の時間だろう。
「………確かにそうですね」
 納得の言葉。小波の顔に笑顔が浮かぶ。
「仕方ないですから、続きは明日にします」
「うん、うん」
 あまり乗り気ではないようだが、お許しが出た事には変わりがない。
 痺れる足で、ベッドに捕まりながらフラフラと立ち上がった。
「あ、足が……」
 ヨロヨロとふらつきながら歩きだす。瑠璃花を通り過ぎ、ドアの所へ―――
と、扉にたどり着いたところで、後ろから声がかかった。
「どこに行くんですか?」
「へ?」
 思わず後ろに振り返る。そこには当然瑠璃花がいる訳で。
「どこにって……家にだけど?」
 今から行く所なんてそこしかないだろう。
 だが、更に瑠璃花は続けた。
「ここで寝たらいいじゃないですか」
「………………えええ!? いや! それは……」
「今帰ったら水木さんの両親が起きるかもしれないですし、
私も明日すぐに続きが出来ますし、一石二鳥でしょう?」
 驚く小波に向かって淡々と述べる。だが、その顔が真っ赤になっているのは何故なのか。
「………ん? ………いや、うん」
 本音なのか建前なのか、それは瑠璃花にしか分からない。
 だが、小波は何となく理解した。
「………そうだね。そうするよ」
 そう言ってUターンし、瑠璃花のベッドへと戻り始めた。
 電気を消した後、瑠璃花に続いてモソモソとベッドの中へ入っていく。
「明日の朝から続きですからね? 分かってるんですか?」
「うん。分かってるって」
 返事と同時に手を握る。指を絡めると、瑠璃花も握り返してきた。
 明日の朝どんな説教が待っているのやら。
 明日の事を考えながら、小波はゆっくり目を閉じた。

 次の日の朝、水木や瑠璃花の母親に言い訳したりと説教どころではなかったのだが、
それはまた別の話。

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