「よし!!!!」
7回をシャットアウトした小波はマウンド上でガッツポーズを見せた。
「水木ナイスピッチングだ」
キャッチャーの先輩が駆け寄ってくる。
「さすが、プロの息子!!」
「いや、だから俺はただの養子で・・・・」
「まぁとにかくすげーじゃねーか」
ナインにもみくちゃにされる小波は遠くを見た。
・・・・・・・・・・瑠璃花もう来てくれないのか。



「はぁ・・・・・」
家に帰った小波は喪失感に襲われた。
「瑠璃花・・・・・・・・・・・。
瑠璃花・・・・・・・・・・」
中学生になって瑠璃花の裸を想像して自分を慰めているのは何回目だろうか。
「はぁ・・・・・・・。
小学生の時からあいつのことは好きだったけど、最近あいつのことしか考えられねぇ」
小学生時代小波は同級生の南雲瑠璃花と出会った。
隣に引っ越してきた瑠璃花に半ば一目ぼれ的な感覚で惹かれた小波。
気がつけば、完全に好きな人になっていた。
借金取りから命懸けの約束をして全国優勝を成し遂げるなんてこともあったが、それは彼女を愛する気持ちがさせたと言っても過言ではない。
そして水木の養子となった小波に瑠璃花も引越しと言う事情が重なったこともありあろうことかついてきてくれたのだ。
「私が今度は小波を支えます」
その言葉を聞いた時小波は俺だけじゃない、瑠璃花も俺のことが好きなんだ!!と確信した。
というのに中学に入ってだんだん瑠璃花は口を利かなくなった。
毎朝彼女の家でご飯を食べるがその時も交流なんてない。
全国大会で捕手と抑え投手を兼任した小波はエース無田等の活躍もあり、ライバルであり実の弟才葉零人を率いるチームを撃破して優勝した。
それが、瑠璃花を助けるための借金取りとの約束でもあり、父親は救えなかったが、彼女を救えて一安心だった。
勿論瑠璃花に見返りを求めてはいない。
好きだから守りたかった。
大切だから守りたかった。
でも、どうして話してもくれないのか。
折角、入部した野球部で1年生エースになったてのに試合を観にきてすらくれない。
「もうずっと一緒に遊んだりしたことは無かったことなのかよ・・・・・・」
小波はひとりでにボールを握り締める。
「才葉・・・・・・・じゃなくて零人、お前が今の俺を見たらなんて言う?」
弟はアメリカで頑張っているというのに兄の自分は好きな女の子のことで頭がいっぱいで野球にあまり身が入らない。
そんな自分がもどかしくて仕方なかった。

「ねぇねぇ、水木君昨日また完封したって!!」
「甘いわね、私は昨日試合観にいったもーん!!
水木君カッコよかった〜」
「ちょっと!!!何抜け駆けしてるのよ!!!!」
クラスメイトの女子の声を聞いて瑠璃花の不機嫌指数はどんどん増していった。
「ねぇ、南雲さん?」
いきなりクラスメイトの女子3人組が声を掛けてきた。
「なんですか?」
「南雲さんって水木君と同じ小学校だったんでしょ?」
やっぱり小波のことだ。
瑠璃花は冷静に努めて答える。
「ええ、まぁ」
「じゃあさ、水木君の趣味とか教えてよ」
またか、と瑠璃花は思う。
彼女にとって小波は誰よりも大切な存在だった。
借金取りから逃れるために引っ越した場所で彼と出会った瑠璃花は次第に彼に惹かれていった。
彼は自分を守るために全国優勝への賭けをしてくれたり、自分のためにこれ以上ないくらい守ってくれた。
だから今度は自分が・・・・・・・・。
瑠璃花は小波の家と引越し時期が重なることもあり母に懇願して彼の隣に越してきたのだ。
彼には一度自分のことが好きだと想いを告げられている。
勿論瑠璃花も小波のことが好きではあるが、元来の素直には程遠い性格のため伝えるには至っていない。
しかし、こんな事態が起きたのだ。
野球の実力に優れる小波は中学の野球部で1年エースになり既にチームを引っ張っている。
そんな彼は次第に女子等にチヤホヤされていったのだ。
それ以来瑠璃花は不機嫌になっていった。
自分はずっと小波だけを見てきたのに。
「いや、私は・・・・・・・・」
瑠璃花はどうにかかわそうとする。
しかし、女子の一人が心得たようにうなずいた。
「ふーん。
やっぱあの噂はホントだったんだ」
「噂?」
瑠璃花は首を傾げる。
「南雲さんってやっぱり、水木君のことわざわざ追いかけてここまで来たんでしょ??」

「なっ!!!」
瑠璃花は言葉を失った。
「なんか、チョー引くよね。
ストーカーじゃんそれ。
なんか『私のダーリンに手を出さないでメスネコ!!』とか言ってそう」
「水木君も迷惑してそうだよね〜」
「わ、私は・・・・・・・・」
瑠璃花はどうにか反論するが3対1の状況に弱気にってしまう。
「一つ言っとくけどここでストーカー行為はやめてよね!!
水木君が精神的にやられて結果残せなかったら大変だし」
「!!!」
散々言われた瑠璃花は教室を飛び出しトイレへと駆け込んだ。
こんなことを思われていたなんて。
こればかりは小波に助けを求めることはできない。
自分はどうすればいいのか。
瑠璃花はあの時の悪夢のような心境に陥り涙を流し始めた。
「・・・・・・・・・・・ひぅ・・・・・・・こ・・・・なみ
ひっく・・・・・・・・・」
大好きな人の名を呼んでも答えてくれるはずもなく・・・・・・・・・・・・。



「水木、大会近いんだからもうちょっと気合入れろよ」
「そういわれてもな〜」
部活が終わった帰り道に小波は同級生に練習態度を指摘される。
「おいおい、俺たちは羨ましいんだよ!!
確かに実力だからしょうがないけど雑用ばっかの尻目で同学年のお前が既に中心選手なんだから。
ベンチにすら入れてもらえないやつの気持ちを考えてくれよ」
「・・・・・・・・悪い」
小波はバツが悪そうに答えた。
だからと言って瑠璃花のことを考えるななんて無理だ。
小波の頭の中はスパイラルと化していた。
「あ!!そういや、水木。
お前に大事な話があるんだよ」
「え?」
急にチームメイトは話を変える。
「実はクラスの今日のホームルーム前にさ、南雲さんが学校来てたのに突然教室抜け出して早退したんだ」
「瑠璃花が!?
なんでそんなこと!!!」

いきなり好きな人の名前を出され小波は驚きの声を上げる。
「なんか、クラスの女子たちにお前のことでストーカー呼ばわりされてさ。
それでなくても最近陰口叩かれてたみたいで・・・・・・・」
小波は絶句した。
どうして俺に話してくれないんだ?
俺はそんな頼りないのか?
思い上がりかもしれないが、自分は瑠璃花を守る存在だと感じていた小波には瑠璃花が自分にそれを話してくれないことに憤った。
同時に辛い思いを知って、彼女をほっとけないとも思った。
「確かに南雲さんとお前は同じ引越し組だけど、ストーカーなんてあり得ないだろ?
水木のためにあんな可愛い子がついてくるなんて」
「当たり前だ!!!!!
瑠璃花をストーカーだなんて・・・・・
俺は許せない」
「おい、お前なんかこえーぞ・・・・・・」
「瑠璃花がいてから俺はここまでこれたんだ。
瑠璃花が笑ってくれたり、応援してくれたり、いろんなことを手伝ってくれたりして俺を支えてくれるから・・・」
「水木・・・・・・・」
「悪い、瑠璃花が心配だ。
先に帰らせてもらうぜ」
「・・・・・・・あぁ」
小波はチームメイトに別れを告げると猛ダッシュで家へ向かった。

「あら、小波君おかえりなさい」
瑠璃花の家のインターホンを押すと瑠璃花の母が出てきた。
「いきなりですいません。
瑠璃花いませんか?」
「あの子ならいきなり朝帰ってきて部屋に閉じこもりっぱなしなのよ」
母は困り果てた表情で答える。
「お願いします。
会わせてください。」
小波は気丈な目で言った。
「小波君がそこまで言うなら」
母が了承すると小波は瑠璃花の部屋に向かった。

小波は瑠璃花の部屋にたどり着くとドアをあけて中に入る。
「!!!!
小波!!人の部屋に勝手に入ってこないで下さい!!!」
そこには目を涙でいっぱいにした瑠璃花がいた。
彼女は彼を追い返そうとする。
「ふざけるな!!!」
そんな瑠璃花を小波は怒鳴りつける。
「お前が、瑠璃花がこんな状況でこんな状態でそんなことで四の五言ってられるかよ!!」
「小波・・・・・・・」
「クラスの女子にいろいろ言われてるんだろ、俺のせいで」
「違う!!!
小波のせいではありません!!
私がっ」
瑠璃花はなんとか気丈に振舞っている気がした。
小波は、そんな彼女を諌める。
「ごめん、ちょっと興奮してた。
お互いとりあえず落ち着こうよ」
そんな小波に瑠璃花も同意する。
「はい、じゃあ話の続きはお母さんに聞かれると嫌だから、小波の家で話していいですか?」
小波は瑠璃花のお願いは聞いてあげた。



二人は場所を隣の家の小波の部屋に移した。
「ひどいじゃないか!!
どうして言ってくれなかったんだよ!!」
瑠璃花の事情説明に小波は声をあげる。
「でも、これくらい一人で」
「なぁ、俺はそんなに頼りないか。
まだ俺はガキなのか。
だから・・・・・・」
下を向く小波に瑠璃花は
「違います!!!
私ずっと小波に守ってもらってばっかりで、今度は私が支えてあげようと思ったのにまた守ってもらうなんて」
「そんなことかよ」
「え??」
「俺は、お前を守ることが自分のやりたいことの一つだ。
苦しんでるお前を見過ごせない」
「小波・・・・・・」
瑠璃花の目に再び涙が溜まる。

「それに瑠璃花が傍にいることだけで俺のこれ以上の支えなんて存在しないよ。
だから俺はお前を守る。
全然お前が守られてるなんて事はない。」
「どうして・・・・・」
ここまでしてくれるの?
瑠璃花の質問に小波はあっさりと答えた。
「お前のことが好きだからに決まってるじゃないか。
小学生のころから変わらないよ。
瑠璃花のことが好きだ。
だから守りたい。」
またも、自分の想いを告げる小波に瑠璃花は大粒の涙を流し、
「小波!!!!」
と勢いよく抱きついた。
「私も・・・・・・・・好きです、小波」
「瑠璃花・・・・」
「いや、好きなんかじゃない、大好きです。
もう小波無しなんて考えられない、そのくらい」
二人は暫く抱き合い続けていた。
そして、数分後、泣きつかれた瑠璃花に小波は
「俺のベッド使っていいから少しねてな」
と勧めた。
瑠璃花は同意したが、ちょっと不安そうに小波を見た。
「小波・・・・・・あの・・・・」
「どうした?」
「その・・・・・・・・一緒に寝てくれません?」
「え!?」
予想もしてない一言で小波は目を見開く。
「抱きしめてて欲しいんです。
・・・・・・・・駄目ですか?」
上目遣いで頼む彼女を断る理由なんて無かった。
「いいよ」
そう言って一緒のベッドの中に入って瑠璃花を抱き締める。
「暖かい・・・・・・・・・」
瑠璃花はこう呟く。
その表情は世界の誰よりも可愛く小波に写った。
「瑠璃花・・・・・・・・・」
二人はどちらともなく唇を重ねると、眠りについていった。

「・・・・・・・ん」
小波は瑠璃花より先に目を覚ました。
瑠璃花は変わらぬ寝息を立てている。
「やっぱ可愛いな。
あいつ、俺が注目されてるとか言ってるけど、俺だって野球部のやつにお前のことよく聞かれるんだからな」
まぁ教えるわけ無いけど、と小波は呟く。
「瑠璃花・・・・・・・」
小波は背中に回した腕を瑠璃花の胸に移動させようとする。
「ダメだ!!!
瑠璃花は俺にこんなことして欲しくて抱きしめてなんて言ったわけじゃないんだ」
小波はなんとか欲望を堪えて自重する。
「・・・・・・ん」
瑠璃花も目を覚ました。
「・・・・・・小波」
彼女は小波を見ると安心したような表情で抱きつく。
「おい、瑠璃花・・・・・。
俺・・・・・」
小波はこれ以上されたら我慢できなくなると思い、瑠璃花を制止させる。
「またキスして下さい」
瑠璃花のおねだりは続く。
「でも・・・・・・」
キスまでして俺は瑠璃花に紳士でいれるだろうか?
そう思った小波は躊躇いを口にする。
「折角、素直になったのに」
そう言って不機嫌な瑠璃花。
確かに本音をはっきり言わない彼女がそう言ってくれるというのは自分に対する最大の愛情表現かもしれない。
「分かったよ」
小波は顔を近づけて唇を重ねた。
「・・・・ん・・・ふ・・ぁ」
自然と深い感じのものになっていき、二人は互いの唇の感覚に酔いしれていく。
「んん・・・こ・・な・・・・み」
もっとこの心地よさを味わいたいと思った瑠璃花だったが、小波は突然唇を離した。
「瑠璃花、ごめん。
俺これ以上したらお前を我慢できる保証が無い」
小波は正直に瑠璃花に告げた。
「それなら」
瑠璃花はあろうことか自分から小波に唇を重ねてきたのだ。
「・・・・ん・・・んんっ」
不意打ちのキスに成すすべない小波。
そして、
「きゃ!!」
小波は気がつけば瑠璃花を組み伏せたような体勢をとった。
「だから言ったろ。
こんなこと言うのあれだけど俺ずっとお前の裸見たいって思ったり、お前のおっぱい触りたい思ったり、お前と・・・・・・・エッチしたいって思ってたから。
そんなにキスされて我慢できるわけ無いよ
さっき瑠璃花が寝てたときだって・・・・・・・・」
小波は自分の行動の真意を申し訳なさそうに話す。

しかし、瑠璃花は笑みを浮かべた。
「だから、それは私の覚悟です」
「覚悟?」
「キスしたら我慢できないって小波が言いましたから、私がキスするってことは大体こうなるって予想がつきました。
だからこれは・・・・・・・・私の初めてをあなたにあげるっていう覚悟です」
瑠璃花の言葉に小波は
「ホントかよ・・・・・・」
とあっけにとられる。
「冗談じゃいえません。
あなただから、大好きな小波だからあげたい。
それだけですよ」
そう言って微笑む瑠璃花。
彼女の覚悟に小波は答えないわけにはいかなかった。
「・・・・ん・・・・」
またもや、唇を交える二人。
「じゃあ脱がすよ」
「はい・・・・・・・・・」
瑠璃花と小波はお互いの服を脱がしあった。
夢にまで見た彼女の裸。
それは、妄想したものよりも何倍も眩しいものだった。
「恥ずかしい・・・・・・・・・」
瑠璃花は小波から目を背ける。
「触っていいかな?」
小波の問いかけに瑠璃花は小さく頷く。
小波は瑠璃花の綺麗な乳房をもみしだく。
「ん・・・は・・あぁ・・」
瑠璃花は初めて他人に触られる胸の感覚に声をあげる。
「柔らかい・・・・・。
ずっと触ってたい」
一方の小波も彼女の胸の感触に心を躍らせていた。
「ん・・ぁ・・はぁ・・ん・・」
ある程度もみしだくと、彼は手を下のほうに移していく。
「・・・・・・・・・・瑠璃花?」
瑠璃花は秘所を手で抑えた。

「あの・・・・・・・・・」
恥ずかしいのだろう。
でも小波も一歩も引かない。
「瑠璃花・・・・・・・見せて欲しい」
彼の言葉に観念した瑠璃花は恐る恐る手をどかす。
小波は指をしこませていった
「!!っ・・ぁ・・・」
瑠璃花の喘ぎ声がより一層大きくなっていく。
「んんっ・・・・・・ふっ・・・く、・・うぅ・こ・・・・なみ」
そろそろいいかもしれない・・・・・・。
そう思った小波はポケットからコンドームを取り出した。
「どうして・・?」
「男の見栄だよ。
とりあえず持っときたいものなんだ」
小波は説明した。
装着した小波はいきりたつモノを彼女の中にあてがった。
「・・・・・・・・う」
不安そうな目をする瑠璃花に小波は唇を重ねる。
「大丈夫」
そう言って小波は瑠璃花を安心させる。
そして、中に突き入れた。
「ひ!!!!!!!!!!!!!」
瑠璃花は声にならない悲鳴をあげた。
もはや、痛みに喋ることすらさせてもらえない。
「瑠璃花!!」
小波は動きを止める。
強い締め付けに深い快感を感じているもののエゴで彼女を苦しめたくは無かった。
「・・・・・大丈夫・・・・・」
「そんな感じじゃない。
待ってろ、すぐ抜いてやるから」
そう言って引き抜こうとする小波の体を瑠璃花は掴んだ。
「おい!!」
「だめです・・・・・私は・・・・・あなたを支えるから。
こんな痛みなんて」
これ以上抵抗しても意地の張り合いなってキリが無い。
そう思った小波は瑠璃花の優しさにすがることにした。
「分かった。
キツかったら遠慮なく言え」
「はい」
瑠璃花は今日初めて会った時同様涙を浮かべていた。
しかし、同時にとびきりの笑顔も見せている。
・・・・・・・ホントに強い女の子だ。
どんな時でも彼女は負けない。
だからこそたまに見せる弱さにはしっかり手を差し伸べたいと小波は思った。


「ぁ・・・・・・あ・・・・ぁあ・・」
ゆっくり動かす小波。
瑠璃花は苦悶の声を上げ続ける。
「気持ちいい・・・・・。
もうヤバイかも」
小波はどんどんと沸き上がる快感酔いしれていった。
「ぁあっ・・はぁ・・・あ!・・くはぁ!ぁあっ!
私も・・・だんだん・・・気持ちよく」
「瑠璃花?そうなのか」
「ひぁっ、・・・くぁ、・・・ぐぁっ・・はっ・・はぁっ・・ん!
はい、痛いだけだったのに・・・もっと早く・・・
ぁあっ・・はぁ・」
ようやく、瑠璃花も快感を感じ始めてきたようだ。
「じゃあもっと早く」
小波は徐々にスピードを上げていった。
倍以上の快感を二人を襲う。
「ヤバイ・・・・・・もう・・・・・・」
「んぁっ・・・はぁっ・・・・・・きも・・ちいい、!」
小波のほうは限界に達しようとしていた。
「瑠璃花、出すぞ」
「あはぁ、あぁあ!あああああんっ・・!!」
そのまま小波は果てると倒れこむ。
「はぁはぁ・・・・・・・・・・」
お互いが息を荒くしている。
二人はまた唇を重ねるとそのまま抱き合い続けていた。




初めてのセックスを終えて、二人は服を着てまた抱き合いながら寝そべっていた。
「頑張るよ」
「え?」
「借金の約束はチャラとはいえ、まだお前とのプロ野球選手になる約束はしてないからな」
「小波・・・・・・・・」
「あの時・・・結婚するつもりで言ったんだぜ」
小波の言葉に瑠璃花は驚く。
「それって、ホント?」
「当然だろ、大人になって誰が無関係の人間なんかの金を返すか」
いきなりのプロポーズに瑠璃花は顔を赤らめる。
「プロになるまで挫折するかもしれないけど、俺たち二人なら壁なんて無いに等しいと思うから大丈夫だよきっと」
「小波・・・・・・・・・」
「だからさ、約束守るから。
これからもずっと支えてくれよな」
「はい!!!」
まるで夫婦のような二人の1ページが刻まれた。

明くる日、瑠璃花はいつも通り登校した。
「あれ〜。
ストーカーちゃん今日も来たんだ」
意地の悪いクラスメイトがまたもや突っかかってくる。
しかし、瑠璃花は一歩も引く気は無かった。
「私はストーカーではありません!!
確かにあなた方の察しのとおり私は彼が好きです。
でも、彼を支えたいと思うからでそんなことで彼に付いてきたわけじゃありません!!」
「何よ、調子に乗ってさ」
「ホントだよ」
女子が言い返そうとすると横槍が入る。
「水木・・・・・・君」
「瑠璃花がいるから、俺がいるんだよ。
それにむしろ好きなのは俺のほうだよ。
どちらかって言うと俺が瑠璃花のストーカーかな」
小波は照れくさそうに話す。
「そんな・・・・・・・・」
食い下がる女子たちに小波は目を尖らせる。
「だからさ、今度瑠璃花にストーカーだなんて言ったら、本気で怒るよ・・・・・・」
小波の鋭い一言に女子たちは引いていった。
「小波、来なくてもよかったのに・・・・・・・」
「俺が言いたかったの!!!」
そんな二人に瑠璃花のクラス野球部員が駆け寄る。
「お、おい水木。
お前まさか南雲さんと・・・・・・」
「まぁな」
「ちくしょー!
レギュラーになったり、可愛い彼女ができたり、なんでお前ばっかり!」
部員たちの呻きに近い嘆きが聞こえる。
「え・・・・?」
予想だにしない状況に驚く瑠璃花。
「お前、結構人気あるんだぜ。
お前は俺が俺がって言うけど、俺は俺でお前取られないか心配だったんだぜ」
「そうなんですか?そんなことしなくていいのに」
「なんでだよ??」
小波は瑠璃花に問う。
「だって、私は小波の近い将来の妻ですよ。
あなたしか見えてません」
そんなストレートな言葉に小波は顔を赤らめた。
それに追い討ちのように瑠璃花は満面の笑みで言った。
「大好きですよ、小波」

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