待ち合わせには少し早いお昼過ぎ。
ふと足元に目を向けると、オレンジ色の小さな花が咲いている。

「お、これは確かキンモクセイ……」

公園内を見回すと、他にもコスモス、リンドウなど
この季節特有の景色が目に入る。

純粋に綺麗だな、と思う。
以前は花の名前なんてさっぱりだったけど。

「――おかげで、花に詳しくなったなぁ」

柔らかな風に乗って、花の甘い香りが鼻をくすぐった。


『花想い』


甲子園優勝を果たした熱い夏から一ヶ月ほど。
街は、爽やかな空気に包まれた秋を迎えていた。

しみじみと情景にふけっていると、突然視界がシャットアウトされる。

「だ〜れだ?」

後ろから抱きつかれ、目隠しをされた状態。
良く知っている声。

「……みなこさん」
「あたりー。よく分かったね、野球少年?」
「そ、そりゃあ……」

待ち合わせしてたし、それにあの胸の感触で……

「あ〜なんか今、いやらしいこと考えてる?」
「い、いいや、そんなことないけど」

いたずらな笑みを浮かべるみなこさんに思わずドキリとする。


「ふ〜ん、あやしいなぁ?――あ、見て。ハナミズキ!」

彼女の視線の先にあるのは、赤い実をつけた花。

「ハナミズキって言うの?」
「かわいいでしょ?それに、花言葉も……」
「ん、何ていうの?」
「ひみつ〜」
「はあ……」

相変わらず、マイペースというか、かわされるというか。
年下とはいえ、少し不満だったり。

「……小波くんはさ」
(……え?)
「――ううん、何でもない!ほら、フラワーセンターへレッツゴー!」
「え、ちょ、ちょっと……」

そう言ってこちらを引っ張っていく。
先ほど浮かべた表情は消えていたが、少し気がかりだった。
なんとなく寂しい、秋風のような表情が――

 ………

「家に来ない?」
デートの後、そうみなこさんに誘われるまま、現在は彼女の部屋。
みなこさんはシャワーの最中。
何度も行為を重ねたベッドの上にに腰かけ、一息つく。

今日のデート中、なんとなく彼女の様子がいつもと違っていた。
本当になんとなくだけど、あの公園で見せたような、そんな雰囲気だった。
「……気になるな」
何か悩んでるのかな……

「何が『気になる』の?」

そんなことを考えていると、シャワーを終えたバスタオル姿のみなこさんが現れる。
少し張り付いたバスタオルが、その抜群のスタイルをより強調している。

「え、ちょっとね」
「悩み事?なら、お姉さんが聞いてあげようか?」

そう言うと手際よくこちらのトランクスを脱がし、既に硬くなったモノを取り出す。

「あはは、元気だね、君は。悩みなんてあるの?」
「くっ」

ピンっと指で軽く弾かれ、思わず声を上げてしまう。
そんな様子に彼女は妖しい笑みを浮かべる。


「ふふ、じゃあ……」
「う……」

しなやかな指がこちらをを優しく握り、時折強く握ってしごき始める。
「……ちゅ」
「っ!」
上へ下へ、そして左右に弄くりまわされ、ガマン汁が彼女の唾液と混ざりあい、
ジュプジュプといやらしい水音を生み出す。
下半身から伝わってくる甘い痺れが、俺の脳髄を麻痺させるような感覚に陥らせる。

「ふふ、どんどん硬くなる……」
「くぅ……」

全体を満遍なくしごき、その次に亀頭を責めあげる。
その繰り返しで、何度もダウンしそうになる。

「みなこさん……結構ヤバイかもっ……」
「あはは、もう限界?でも、まだだめよ……今日はこっちでね」

そう言って、みなこさんはバスタオルを完全に脱ぎ去った。
美しく豊かなバストがさらけ出され、思わず息を呑む。

「今度は……胸でしてあげる」
「え?」

そして彼女はかがみ込むと、そのボリュームのある双丘でこちらのものを包み込んだ。
途端に、柔らかく温かい感触が、敏感になったモノに襲ってくる。
「みなこさん……うあ!」
こちらを締め付ける感触、それは柔らかい肉の包み込むごとく。
クリームの中に挿し込んでいるような、膣や口とはまた違う感触だった。

「気に入ったかな?」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、双丘を弾ませて全体をしごいていく。
みなこさんは更に胸を絞り上げ、今度はピンク色の乳首で亀頭のくびれを擦り始めた。
「うぁ!」
最初は柔らかかったのが、亀頭を擦り続けるにつれて徐々に硬くなってゆく。
そして、硬く勃った乳首がクニクニとこちらの先端を刺激し始める。 

「っ、くうっ…」
息を荒くしながらその光景を見つめる。
彼女の胸がこちらのモノでその柔らかな肉を窪ませ、谷間からちょこんと亀頭が顔を覗かせる。
亀頭からは、絶え間なく透明な液体が溢れ出ていた。

その時一瞬、頭の中に違和感がよぎった。
確かにいつもリードされ気味だけど、今日は何か一方的というか――

そんな考えを断ち切らせるかの様に、みなこさんはペースを緩めるどころか、
こちらを快楽へ誘うかために、より一層行為を加速させていく。

「どう?もう限界?」
「あ、ああ……くぅ!」
「ふふ……」
彼女の妖しく湿る唇が先端に近づき、そして、それを啄ばんだ。

「くっ!!」
「きゃあっ!」
遂に耐え切れず、彼女の胸の中で精液を勢い良く吐き出す。
硬く腫れあがった亀頭に触れるその感触だけで、腰が砕けそうになるほどの快感だった。

「ふぅ……」
「あは……いっぱい出たね……」
息を整え、みなこさんが上気した顔に妖しい笑みを浮かべる。
そして、胸の谷間に溜まった白い液体を掬い、口に含む。
「うわ、苦くてドロドロだね……」
「………」
そんな姿を見て、先程出したばかりだというのに、それはすぐに硬さを取り戻す。

「じゃあ、最後は私が上に……」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「うん?なにかな?」

やっぱりおかしい。こんな一方的だなんて――
そう思うが先に、俺はみなこさんの手を握っていた。

「やっぱり変だよ、今日のみなこさん。昼からずっと……」
突然のこちらの言葉に、周りの空気が一瞬止まる。
「……そう?思い違いじゃないかな?」
そう彼女は言うが、それが嘘だってことぐらい、一緒に過ごした俺なら分かる。

「……わたしは大丈夫よ」

それでも虚勢を張るみなこさんに対して、ムキなってしまう。

「誰にだって言いたくないことや隠したいことはあるよ!
 でも、何か悩んでいたり、困ったりしているのなら相談してほしい。
 そりゃあ年下だし、頼りないかもしれないけど……そ、その、付き合ってるんだし……逃げないから」

語ってみたはいいけれども、最後の方は声が小さくなってしまった。
少しクサいセリフだったけど、本当にそう思って――

「――て、みなこさん!?」
そこで初めて、彼女の目にうっすらと涙が光るのが見えた。
「ど、どうしたの?」
思いがけない涙に狼狽してしまう。
「バカだね、君は……年上を泣かせるなんてね」

軽く目元を拭い、こちらをしっかり見て言葉を続ける。
「わたし、留学しようと思うんだ」
「もしかして……」
「そう、イギリス。前は飛行機に乗れ遅れたり、小波くんが必死に迎えに来てくれたりで、
 このままでもいいかな、なんて思ったけど……。
 でも、小波くんが夢を叶えたのを見てたら、わたしも夢を追いかけてみたくなって……」
「うん………」


静かに彼女の話を聞く。
「本当はあの甲子園決勝の日、あのまま別れちゃうのがいいかな、って思ってたんだ。
 でも、結局元にもどっちゃって、また一緒になって……けれど、やっぱりちゃんと勉強したくて……」
「なら、留学すればいいじゃないか」

そう言うと、キッとこちらを見て――今までで初めて見る、ストレートな感情をぶつけてくる。
「でも、留学したら君はわたしのことなんて忘れるでしょ!それが嫌なの!!
 どうせ忘れられるなら、このまま何も言わずに――今日が最後だと思って、わたしは、」

「忘れないよ」

驚きの表情を浮かべた彼女にふぅ、と一息ついて話を続ける。
「確かに、みなこさんと会えなくなるのはつらい。だけど、もう会えなくなる訳じゃない。
 それに、あの時もだけど、俺はもう『忘れられなく』なっているんだけど?」
「小波くん……」
「俺は、忘れない。だから――安心して、行っておいで」
行っておいで、なんて偉そうだったけど。
たぶん彼女にもこの想いは届いただろうから。

そう言うと、彼女は涙を溜めながら、最高の笑顔で――
「うん……」
俺は再び、彼女の手をしっかりと握りしめた。


「さっきね」
「?」
「君のこと、バカだね、なんて言ったけど……訂正。やっぱり『いいやつだね、君は』」
「みなこさん……」
「あ……」

そっと触れる感触。
そう言えば今日は初めてだな、なんてことを思いながら口づけをより甘く、深いものへと続けていく。

「んん……」
陶酔したように、彼女が吐息を漏らす。
「ん……ぁ……」
啄むように、慈しむように、何度も時間を掛けて触れ合うキス。

唇を離すと、みなこさんの甘い表情が目の前にある。
「上手……どこで覚えたの?」
「みなこさんが教えたくせに」
そう言って、ゆっくりと手で彼女の乳房へ触れる。
「んっ……」

十本の指を膨らみへあてがうと、合間から肉が溢れてくる。
双房は整った丸みを奪い去られ、いやらしい型を刻み込まれるかのように揉みくちゃにされている。
その中央に位置する赤く充血したそれは、自分の存在をアピールするかのように、ピンと上を指している。


「あんっ!」
その突起を爪で弾くと、まるで稲妻が走ったかのように彼女の体が反応する。
その姿にゾクゾクして、その行為を数回繰り返す。
「ひゃんっ!む、胸ばっかり……んぁっ!」
集中的に苛めていくと、彼女の体も敏感になっているのかどんどん感度が良くなる。
それが面白くて、自然と愛撫と苛めを反復してしまう。

「ん、あんっ、あぁ……」
「こっちも……」
頃合いを見計らって、今度は下へと手を伸ばす。
そこはすでに透明な液体で溢れかえっていた。

「んんっ!」
愛撫を続けると、奥から次々と新しい蜜が溢れてくる。

「すごい……」
「んんっ、言わないで……ああっ!」
全体への愛撫から、ピンポイントのものへと変えていく。
厭らしく、妖しく光るクリトリスがとてもエロティックだった。

「んん、熱くて硬いのが、お腹にあたってる……」

はち切れんばかりに膨張し脈打つそれは、待ちうる快楽が我慢できないかのようだ。
それを見つめる彼女の表情も、また同じだった。

「いくよ、みなこさん……」
「うん……」
愛液で溢れかえった花弁を開き、反り返る切っ先をあてがうと、彼女の腰を掴んでこちらに引き寄せる。
と同時に、こちらも腰を突き出して、熱い秘肉の中へと一気に挿入した。

「ひゃあぁんっ!!」
一気に貫かれた衝撃に、流石にみなこさんから悲鳴が上がる。

「い、いきなりなんて……あぁあっ!」
「っう!」
喉元まで抉られそうな快感。
最奥部まで達した瞬間にとてつもない、それこそ本当に逝ってしまいそうな快感に襲われる。

「んっ!ああっ!」
容赦なく締め付けてくる中を存分に貫き、擦り切れるまでに紅の陰唇を摩擦する。
擦るごとに彼女の躰は反り上がり、それと同時にこちらも締め上げてくる。

互いの結合部はとても熱く、溶けてしまいそう。
ただただ欲望に任せて、彼女の中を蹂躙していく。

「んんっ!はぁ、うぅん、ひゃあんっ!」

みなこさんの切ないほど甘美な嬌声を聞き、ますます腰の動きが止まらなくなる。
「こ、こんなに……はぁあん!!」
「ごめん、何も考えられない……くっ!」
「んんっ――!」
軽く絶頂に達したのか、休まず今度はみなこさんの華奢な躰をかき寄せ、後ろから突き上げる。

「んぁ、す、少し休ませ……ん……あむ……んあぁぁっ!!」
快楽の波から助けを請う彼女の言葉を唇でふさぎ、先程までとは異なる部分を擦りあげて、新しい刺激を与え続ける。
「ひゃあっ!あん、あぁんっ!」
彼女の中は生きているかのように自在に形を変え、こちらを徹底的にしごきあげる。


「すごい……溶けそうだ……」

そして今度は正面から抱き合うような姿勢へ。
みなこさんの大きなバストに顔を埋め、乳首を甘噛みする。

「あ、ああぁんっ!!」
断続的な快楽に加え、敏感になった乳首への責め立てもあって、その刺激に抗えず、何度も絶頂を迎えている。
かく言うこちらも、一度出したとはいえ一瞬でも動きを止めると途端に果ててしまう――そのぐらい、本当に余裕がない。

「あっ、あん、あぁ……ぁあっ!」
「も、もう限界っ……」
「んっ、んぁ、ああぁあ!」

顔を上げ、互いの唇を求める。
何も考えられず、ただ目の前の唇を求めあう。

最後の力で奥へとねじり込み、そして最奥ですべてを放った。
同時に、彼女の快感も最高に弾けた。

「くっ!」
「あぁぁあ――っ!!」

ゆっくりと快楽を味わうかのように、それは永く続いた。

 ………

「まったく、とんでもないオオカミだね、君は」
繋がったまま、糸が切れた人形のようにベッドに倒れこむ。
「知らなかったなー」
「いや、その……ごめんなさい」
我ながらやりすぎたと思うが、本当に何も考えられなかった。

「あのね」
「え、うん?」
俯いて、少し恥ずかしそうにして。
「ハナミズキの花言葉、教えてあげる。『――私の想いを受けて下さい。』覚えた?」
「…………」
「忘れないでね」
「わ、忘れないよ」
「約束だよ?野球少年……ううん、小波くん」
「みなこさん……」
「待っててね……」
そう言ってこちらに体を預けてくる。

そんな彼女の重みと温もりにありったけの幸福を感じ、俺は世界で最も愛しい人へとキスをした。


そして季節はめぐり――――

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