12月、ここ、遠前町もいよいよ本格的な寒さに襲われ始めていた。
その街角にある少し古風な喫茶店のウエイターンのメイド姿の女性、
夏目准は困っていた。主に目の前にいる男について。
「いい加減元気出してよ〜。」そういいながら、私はこの1年間を思い出していた。
この人は今年の春にこの町にやってきた、自称『旅ガラス』だ。
彼と私との、そして彼とあの人との出会いは、腹をすかせたこの人が,
この喫茶店に期間限定の無料のコーヒーを飲みに来たときだった。
もちろん、コーヒーだけを飲ませるつもりもなかったから、無理やりにハムサンドの注文もとってやった。
しかし、どうやら金を持っていなかったらしく、5時間コーヒー一杯で居座った挙句、
あの人―維織さんに金を払わせた。まあ、謝り倒すこの人を尻目に維織さんが勝手に払ったのだけど。
それから、この人と私と維織さんとの良く分からない関係が始まった。
そもそも、全てに無関心でめんどくさい星人の維織さんが人に関心を持った事が意外だった。
だけど、この人と付き合っていくうちになんとなく分かってきた。あたしたちよりおそらくけっこう年上であろうこの人は、一緒にいると楽しい人なんだ。
時々ふらっと喫茶店に来ては、維織さんと話して帰っていく。たまにうらやましくなって、私も会話に入ったりしてた。
もしかしたら、維織さんはこの人に好意を持っているんじゃないかな、と思っていたが、私とこの人が一緒に買い物していて、
それを見られてから維織さんがしばらく不機嫌だったのを見て確信した。わたしは維織さんを焚きつけて、この人を間接的に譲った。
私も彼に好意を抱いているのをうっすらと感じながらも、だ。思えばここが分岐点だったのかもしれない。それからしばらくして、この人は維織さんの家に住むようになった。
維織さんに半強制的に、だそうだけど。正直維織さんがうらやましかった。
それからも、この人と私はよくおしゃべりした。相変わらず楽しかったけど、そのころにははっきりと分かった。ああ、この人と維織さんは相思相愛なのだろう、って。
私だってこの人の事が好きだけど、一度は自分から引いた身だったから、未練はなかった。―この日までは。
維織さんは失踪した。同棲していた彼を置いて。それから3日ほど経って、彼は喫茶店にまた来るようになった。とても落ち込んでいたけど。
「いつまでも落ち込んでても維織さんは戻ってこないよ〜。」
「ああ、分かってはいるんだけど…、」
「もう!仕方ないなぁ。ちょっと待ってて。」
そういって私は厨房に戻り、前々から準備していた材料をミキサーに入れて、ジュースを作り、テーブルに持っていった。
「はい!コレでも飲んで元気出してよ!」
准、何だこの…黒いジュースは」
「私特製の元気の出るジュースだよ。ささ、ぐいっと!」
「まあいいか…、ありがとう准、頂くよ。」
普段の彼なら警戒したのかもしれない。しかし、今の彼には無理な話だった。
大きな音がした。彼がジュースのグラスを落とした音だ。
「ぐっ…准、何を入れた…。」
「なにか黒いもの。」
「なんだ…それは。」
「そうねえ、略奪愛、とか?」
最後まで言葉を聞けたかどうかは、わからない。


目が覚めると、俺はベッドに倒れていた。記憶が混乱している。
そうだ、確か准にジュースをもらってそれから…。
しかし、目の前に飛び込んできたものは、再び俺を混乱させた。
そこにいたのは、下着姿の准だった。
「じゅ、准、なんだその格好は…?」
「あっ、おはよう風来坊さん。」
おはようじゃない。これは夢か?しかし十代の盛りでもあるまいしそもそも見るなら維織さんのほうだろう。つまり、これは…‥
「夢じゃないよ。」
そういうことなのだろう。しかし、あまりに現実離れしている。
「准!いったい何するつもりだ!?」
「何するって…ナニだけど。」
「まじめに答えてくれ。」
「もう、女の子にそういうこと言わせるの?風来坊さんがいつまでもうじうじしてるから元気付けてあげようと思って。」
そういうことか。だけど、それは…。
「じゃあ、とりあえず…」
そういうと准は俺の寝ているベッドに寄ってきて、俺のズボンとパンツを取っ払った。そこには情けないが准の姿を見て剛直したおれのモノがあった。
抵抗したいが、体が上手く動かない。さっきのジュースの効果だろう。
「立派だね〜、風来坊さんのこれ。」
そういうと、准は少し頬を朱く染めつつ、自分のブラジャーを外した。大きすきず小さすぎず、形も綺麗な、美しい芸術品が露になった。
「やめるんだ、准…うっ」
准が俺のモノを、その美しい胸で包み込んでいた。
維織さんとの時は出来なかったコレの快感は、耐え難いものがある。
「やめろ…やめてくれ…准」
「もう、口ではそんなこと言ってー、もうそろそろ限界なんじゃない?それとも、そんなに維織さんとのがよかった?私のほうが胸もあるのに。」
「違う…そうじゃない。っく、うあぁぁ!」
先端から白い液が放出され、准の顔を白く染める。正直、とても扇情的な姿だ。だが…
「さてと、そろそろ本番にいく?私もうずうずしてきたし。」
俺は、渾身の力で叫び、准を押した。
「やめるんだ!!」
准は少し驚いていたが、
「なんでよ。私だって一応女よ。それとも、私を女として見えないって言うの?」
「違う!話を聞け。確かに俺は落ち込んでいる。
それをどうにかしようとしてくれたお前の気持ちはとても嬉しい。だが、俺のためだけにこんなことをお前にさせるわけにいかない。維織さんと共に、この町でのとても楽しい思い出をくれた大切な友達にこんな事を、望んでもいない事をさせるわけには行かないんだ!」


「望んでるよ。」
友達、という言葉に少し傷つきつつも、准は答える。
「望んでるよ、わたしは。風来坊さんと…、その、交わる事を。」
「……なんだって?」
「もう!鈍いなあ、あなたの事が好きなの!」
ああ、言っちゃった。自分の心にしまっていたこの言葉を。
「馬鹿だよね、私。あなたの心の中には今も維織さんが住んでいる、そんなことは分かってるのに、
こんなこと言わなければ今までの関係を続けられたのに.
ごめんね、こんなことしちゃって、ぐすっ…ごめんね、風来坊さん…。」
目の前の准は、らしくない、確固たる夢を持って突っ走る准には全く不釣合いな涙を流していた。
「准、ごめんな。」
「え?」
「お前がそんな事を思っていたなんて、俺は夢にも思わなかった。
さまざまな葛藤があっただろうことも、それに苦しんだであろうことも、俺はまったく気づけなかった。
維織さんのことといい、つくづく自分の鈍さが嫌になる。
准、確かに俺は今でも維織さんのことを『愛して』いる。でも、いつも元気で、ちょっと腹黒いけど本当はとても優しいお前のことも大好きだ。
そんなお前の気持ちを受け取らないのはひどいと思った。だから…准、抱かせてくれないか?」
「わかったよ。喜んで。…でも優しくしてね、これでも初めてなんだから。
もし痛かったら…ハムサンド150人前ね。」
「分かった、頑張る。…俺の腹のためにも。」
そう言うと俺は准の胸に手を伸ばした。最初は優しく、だんだん強く。瑞々しい弾力を持つそれは、変幻自在に姿を変える。
先端の小さい、ピンク色のそれを摘んだり、指ではじくたびに、准の顔が赤くなり、声を出すのをこらえているのが良く分かる。
少し意地悪したくなった俺は、それを口に含み、舌で弾いたり、吸ったりする。
「ひゃぅっ!」
「カワイイ声出すじゃないか。」
「もう…。」
さて、そろそろいいか。そう思った俺は、准の下半身に手を伸ばし、秘所からの液で、最早役目を果たしていない下着を脱がせた。きっちり生え揃った陰毛に守られたそこは准の愛液で濡れそぼっており、ヒクヒクうごめいていた。
「あんまりじろじろ見ないでよ…恥ずかしいよ。」
俺の視線に気づいたのだろう、准が小さい声で抵抗を示してきた。
「ああ、ごめん。…そろそろいくか。」
「うん。」
「出来る限り優しくするが、初めはどうしても痛いぞ。」
「うん。わかった。よろしくね。」
「ああ。」
そういうと俺は、モノを准のそこに挿れ始めた。やはりキツイ。准を見ると、やはり痛そうな顔をしている。
「准、大丈夫か?」
「うん、だいじょう…ぶ…。うぁ…。」
あんまり大丈夫じゃないなーと思いつつ、俺は少しずつ中に進んでいく。
正直、俺も結構キツイ。それでも進んでいくとと、処女の証である膜に当たった。
「准、あとちょっとだ。…力を抜け。いくぞ。」
そういうと俺は、ぐっと腰を入れ、一気に貫いた。
「ううっ…ひぐっ…うああ…」
やはり、かなり痛そうだ。ハムサンド50人前ぐらい覚悟したほうがいいかもしれない。
結合部からは、赤い血と白い液が混じったピンク色の液が流れ出ている。
「ありがとう、風来坊さん。私の望み、叶えてくれて。」
「お礼を言うのはこっちだ。准、ありがとう。…じゃあ、いくか。」
そういうと俺は、腰を激しく動かし始めた。
准ももう痛くないのだろう、押し寄せる快感に身を任せている。
「風来坊さん、私、もう…ふあぁぁっ」
「ああ、俺もだ。…一緒にいこう、准。」
そうして、二人一緒に達して行った。


1月1日、俺がこの街に別れを告げる日が来た。さまざまな人に別れを言い、
俺は、少し迷ったが喫茶店に行くことにした
「もう…行くんだね。」
いつもと変わらないメイド姿の准が言う。
「ああ…、准、今までありがとう。楽しかったよ。」
「私も!とってもたのしかったよ。」
結局、あのあと俺はハムサンド25人前を食う羽目になった、いや、25人前で済んだ。
「じゃあ、またな、准。」
おそらくもう会う事もないであろうが、それでもこう言いたかった。
「うん、またね!風来坊さん。」
こうして、男はこの街を去っていった。

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