アタシの名前は桜井いつき。
親切高校の二年生だ。

今アタシはひじょーに困っている事がある。
それは高校生としてはごく普通の一般的な悩みなんだけど、アタシの場合は少々特殊だ。

その話をするには、先にアタシの性癖について話しておいておかなければいけないと思う。
アタシはレズなのだ。
……レズっていうと生々し過ぎるかな、別に女の子なら誰でも良いって訳じゃないし……。
訂正。アタシは百合なのだ。
一緒だ、そんなもん!ってツッコミが返って来そうだけど、それは華麗に無視して話を続ける。

さっきも言ったけど、アタシは百合だけど女の子なら誰でも良いって訳じゃない。
アタシが好きなのは、愛してるのは、抱かれたいのはズバリ一人だけ。
子供の頃からの幼馴染で、現在親切高校三年生の姉御、高科奈桜その人だけだ。
…その妹のさらちゃんもちょっと興味あるっていうか、こっちは抱かれたいというより抱きたいなんだけど…コホン。
まぁその事は置いておこう。後で回収しよう、うん。


それで、だ。
アタシは本気で女として姉御を愛してるのに、姉御ときたら一年ばかしアタシが目を離してる間に、男を作ってしまっていた。
アタシというものがありながら…とそれを知った夜は枕を濡らしたものだ。
そしてうっかり食いちぎって寮の管理人さんに怒られたものだ。

それを知ってからのこの一年の間、何とか再び姉御をアタシの方へ振り向かす為に
色々頑張ってみたものの、あまり効果を上げる事は出来なかった。
姉御と姉御の彼氏、小波って言うんだけど、二人の絆は日増しに増すばかりで
二人の関係を知る人からは、バカップルなんて呼ばれている。
前半部分のアクセント強めで呼ばれている。
それについて言及すると怒られるので、三日位うなされる羽目になるのでコメントは控えさせてもらおう。

さて、これで前置きは終わり。本題に入らせてもらう。
もう皆さんお気づきかもしれないが、アタシが今抱えているのは恋の悩みだ。
自分が特殊だという事は重々承知している。
これは許されない恋だという事も理解している。
でも、でも!好きなものは好きになってしまったんだからしょうがないじゃない!

何だかそんな事を言ってたら胸が熱くなって、財布の中に入っている写真を取り出す。

「あぁ………好きです、小波さん」

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